不適応症候群 (角川文庫)

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著者 : 江波戸哲夫
制作 : 藤田 新策 
  • 角川書店 (2006年3月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043801022

不適応症候群 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  •  ブックオフで百五円で購入しました。
     ≪強迫観念≫を持つ精神科の医師と訪れる心を病んだ人たちが回復していくまでをリズミカルに描いた作品でした。
     ≪イン・ザ・プール≫を思い出しました。まぁあれは適当な精神科医がコメディタッチで描かれていてまた違った味を出していましたが。
     現代病と言われる鬱病や職場でのいじめ(パワーハラスメント)、出社拒否、帰宅拒否、アルコール依存……。
     出てくる人々はほとんどが会社員、年齢はバラバラ。
     何故こうなってしまったのか、と悩みながら3001に通う人々との悩み相談。

  • ◆遁走
    ◆女装癖
    ◆リストラうつ病
    ◆帰宅拒否症
    ◆サプリメント依存症
    ◆いじめうつ病
    ◆心の巡礼
    以上7編の短編集。全て<メンタル・クリニック3001>での精神科医・神山が担当した患者の話。また、神山自らも強迫神経症をかかえていたり、昔恋人に自殺された過去があったりで悩みを抱えている。

     診察室での問診や診察にとどまらず、時には患者の自宅へ行ったり趣味の場所に行ったり、まぁ実際には実現できないであろう治療例が多いのは多い。が、薬に頼ることは決してなくとにかく話を聞きだし、本当にちょっとしたことがきっかけで症状が改善したり、患者が再び前に進みだすところまでちゃんと描かれているのは励みになる。症例はどれも、今の世の中決して珍しいものではないだろう。タイトルがちょっと後ろ向きなのは残念。

  • 主人公である精神科医も持病があるということが面白い。彼の病気は強迫神経症。鍵の施錠とか、ガスの元栓とか、閉めたかどうか不安になって何回も確かめてしまうっていうやつ。そして彼のもとに、あらゆる病気を抱えた人たちが訪れるわけだけど・・もう、病気っていったい何なのかがわからなくなってくる。そもそも主人公の強迫神経症だって、ちょっとくらいは鍵を本当に閉めたか気になってちょっと家に引き返すくらいは誰にだってあるかもしれないし・・。今は簡単にうちも含め多くの人が「鬱やわー」って言ったりするけれど、そもそもどうなったら鬱なわけ!?女装癖だって、趣味と病気の境界はどこ!?とにかく、いつ自分が病気と診断されてもおかしくない、病気だと診断されても「人間はもともといろんなふうに壊れるようにできているんだ」と思って、自分を嫌いにならずに生きていきたい。読後感も爽やかで、癒される小説だった。

  • この本は、現代社会においてサラリーマンの身の上などに起こりうる様々な病気をテーマにした短編小説だ。



    そのいくつかの病名がタイトルにもなっており、眺めるだけでもすごい。

    「リストラうつ病」、「帰宅拒否症」、「サプリメント依存」、「いじめうつ病」、「女装癖」などなど・・。

    またその他にも「アルコール依存」「頻尿」「蒸発癖」、「虐待」などの患者がストーリーに登場する。



    これらの症状を発症したサラリーマンたち。

    しかし、彼らのカウンセリングを行なう医師、神山にも実は持病がある。



    それは「強迫神経症」。

    これは「カギをかけたかどうか」、「ガスの元栓をしめたかどうか」など何回も確認しないと気が済まないという病気だ。



    企業でも、最近は心を病んでしまう社員が多いらしく、メンタルヘルスという言葉があちこちで見られるようになった。



    仕事量が自分のキャパシティをオーバーする・・。

    職責が重くなることによるプレッシャー・・。

    パワハラにセクハラ・・。

    しかし「会社」というカゴの中から飛び出すことのほうが不安で飛び出せない。

    自分の境遇が悪くても、その立場から逃げられない。



    「人間はもともといろんなふうに壊れるようにできている」

    これが神山の言う印象的なセリフだ。



    みんなどこかに無理をしながら、何とか心のバランスを保っているのかもしれない。

    そんな読後感が残った小説だった。

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