水の繭 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.13
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本棚登録 : 226
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043808014

作品紹介・あらすじ

母と兄、そして父も、私をおいていなくなった。ひとりぼっちのとうこのもとに転がりこんできた従妹。別居する兄は不安定な母のため、時々とうこになりかわっていた。喪失を抱えながら立ちあがる少女の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 人それぞれが持っている、悲しみの深さなど、言葉で勇気づけることも必要だけど、相手の気持ちに合わせて行動し、悲しみを少しでも共有できる人間になりたいと再確認できたストーリーでした。
    お話に出てくる廃屋だった家に住みつき、悲しみ心に空洞を持った人々にそっと寄り添っていた野良猫ちゃんのように。

  • 喪失と、そこからの再生を描いた、透明で澄んだ物語。
    ふわっと、淡々と話は進むのですが、確かにそこにある現実と、にわかに現実とは思えない話とが折り重なるそれは、なんだか実態の掴めない蜃気楼のよう。
    それはちょうど捉えようのない漠然とした孤独感とか、不安感に近いものなのでしょうか。

    壊れてしまったものを元通りの形ににすることはできないけれど、元通りではなくても、また別の形にすることはできる。案外、それは元の形より良かったりするのかもしれません。

    楽しいことは、自分で探す。楽しいところへは、自力で移動する。

  • 喪失と再生の物語。

    文中の「ああ楽しいっていう時間が増えるのがとにかく楽しいってことだよ」
    と言う言葉に共感した。

    楽しいことは、自分で探す。楽しいところへは、自力で移動する。

  • 穏やかで淡々としている。独特な空気感があってそれが好きです。
    なくした多くのものに絶望しつつも、静かに、でも確実に前に進んでいく。
    日常を踏みしめた力強さが良かったです。

  • 喪失を淡々と書く所 湿り気のなさが良い。喪失感をテーマにしている作品は多いけれど(10代あるいは20代の登場人物が出て来るもの)、中途半端にファンタジックな設定だと私は入り込みづらいし(江國香織さんとか湯本香樹実さん系?)、現実のエグい部分を書いて喪失を表現するのも安易な気がしている。大島真寿美さんの作品はファンタジーと現実のバランスがいい。メインの少女2人の繋がりや2人と周囲のつながりはあるけど意図的に「社会」を書いていないのか?
     今まで全く知らなかった作家さんだけど、少し追いかけてみようと思う。

  • 両親の離婚により、離れ離れになった双子。父親の死後、再会を描いた作品。お互いにそれぞれに様々な思いや苦労があって、でも全くそれをいい意味で感じさせないことで、余計にひしひしと伝わってくるものがあった。穏やかで透明感のあふれる作品でした。

  • 【本の内容】
    むかしむかしあるところに、私たちが家族だった頃がある―。

    母と兄、そして父も、私をおいていなくなった。

    孤独な日常を送っていたとうこのもとに、ある日転がりこんできた従妹の瑠璃。

    母とともに別居する双子の兄・陸は時々とうこになりかわって暮らすことで、不安定な母の気持ちを落ち着かせていた。

    近所の廃屋にカフェを作るためにやってきた夫婦や、とうこの祖母。

    それぞれが大きな喪失を抱えながら、ゆっくり立ち上がっていく、少女とひと夏の物語。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    父を亡くして以来、無気力になったとうこが少しずつ変化していく。

    何か劇的な出来事がきっかけになるわけではない。

    転がり込んできた従妹の瑠璃の何気ない言葉や行動。

    近所の廃屋にある日突然やってきた夫婦。

    説教めいたことも感動的な台詞も言わないが、黙って彼らを見たり聞いたりしているうちに、とうこの喪失は得体の知れない大きな重圧から自分の血肉になっていく。

    おそらく本当に大きな傷は、自分でも気付かないようなささやかな変化を繰り返して癒えていくものなのだろう、と思わされた。

    離れ離れになっていた双子の兄の陸と実際に会ってから、とうこはようやく自分が家族を失ったことを受け入れる。

    逃げていた現実を受け入れる、と書くと陳腐に見えてしまうけれど、仰々しく変化しない様子がリアルで、まるでこちらまで一緒に成長したかのような錯覚を覚える。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • どこかに寂しさをかかえてる登場人物たち。でもみんな前向きで、これからはちょっとずついい方向に向かっていくんじゃないかなぁ。
    全体的にふんわりのんびりしてる感じが、いいと言えばいいんだけどスピード感はないかも。

  • 失った過去を父親の死というものをキーにいろいろなつながりを再生する物語・・・かな。ジャケットで手にしたんだけど、少し切なくも透明感があって良かったんだけど、後半に入ってからちょっと話を行き急いだのか話を詰め込み過ぎだろ感が否めないのがちと残念かな。

  • 2012 12/28

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著者プロフィール

1962年名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で文学界新人賞を受賞し同年『宙の家』で単行本デビュー。『三人姉妹』は2009年上半期本の雑誌ベスト2、2011年10月より『ビターシュガー』がNHKにて連続ドラマ化、2012年『ピエタ』で本屋大賞第3位。主な著作に『水の繭』『チョコリエッタ』『やがて目覚めない朝が来る』『戦友の恋』『空に牡丹』『ツタよ、ツタ』など。2019年『妹背山婦女庭 魂結び』で直木賞を受賞。

「2021年 『モモコとうさぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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