宙の家 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.30
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本棚登録 : 130
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043808021

作品紹介・あらすじ

女子高に通う雛子の家は、マンションの11階にある4LDK。暇さえあれば寝てしまう雛子、一風変わった弟の真人、最近変な受け答えをするようになった祖母。ぎりぎりで保たれていた家族の均衡が崩れだして……。

感想・レビュー・書評

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  • 大切にし過ぎてる本、読み返すとまた何かが壊れてしまうかもしれないから読めない。図書館で借りた本だったので、数年後ネットオークションで入手。現在は復刊されましたけど。初版?は薄いパラフィン紙みたいのが付いてて、ちょっと素敵。
    ビルを爆破する映像を延々二人で見てる、だれも救わないけど救われる、そんな感じだったかな。

  • おばあちゃんが死んじゃって、ほっとしたのは悪いことだろうか。

  • 解説にもある通り、この作者はあまり詳細を敢えて語らない
    そのため、全体的にふわっとしている印象を受ける。一見どうでもよいことに主人公はじめ登場人物がこだわってその分セリフのかさが増すので話の進みが遅いと感じる時がある。

    個人的には2つ目の作品のほうが、話に動きがあって好み。

  • 大島さん作品の中で初めて読みきれなかった。

  • 【本の内容】
    女子高に通う雛子の家は、マンションの11階にある4LDK。

    どうにかこうにか宙空を、地球と一緒にぐるぐる回っている。

    暇さえあれば寝てしまう雛子、歳の割にしっかりした小学生の弟・真人、時々ヒステリックな母の圭以子。

    同居する祖母の萩乃が「運針の病」にかかってしまったことで、ぎりぎり保たれていた均衡がゆらぎ出した…。

    不安定な心のうつろいと喪失に、まっすぐにむきあう姉弟の物語。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    眠ってばかりいる高校生の雛子を主人公とする、家族の物語。

    詩的なタイトルは、マンションの11階にある雛子の住み処を表したもの。

    空の家、ではなく、宙の家。

    そらのいえ、ではなく、ソラノイエ。

    「宙」という字を当ててカタカナを振ると、11階という実際の高さ以上に、とてもとても高い位置にあるように思えてくる。

    カタカナといえば、本文中のルビがすべてカタカナになっているのが大きな特徴。

    描かれているのはどこにでもあるような家族だけど、このタイトルとカタカナ表記のおかげで、ちょっと別世界の話を読んでいるような、ふわふわとした不思議な感覚を味わえる。

    「きらりと冷たい風」、「透明な眠り」、「心の指の先っぽがしくしく疼く」など、独特な言葉の組み合わせが随所に見られる。

    言葉や文字に対する繊細なこだわりが感じられて、「あ、良いな」と思う表現を見つけるのを楽しみながら読んだ。

    悩みを抱えた家族ではあるけれど、全体的にやわらかく淡く描かれている。

    登場人物たちが新しい一歩をそっと踏み出す形で終わるので、ちょっと疲れ気味のときに読むと、ほどよく気持ちを上に向けてくれそう。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • マンションの11階に暮らす家族を描いた中編2作。
    両親と弟、祖母と暮らす女子高生が主人公。
    ある日祖母にボケの症状が見られはじめ、平凡な日常にズレが見られていく。

    ”運針の病”と名づけた謎の行動など、ボケの描写はあるものの介護の苦しみや家庭崩壊などはなく、静かな日々が描かれる。

    2作目は小学生の弟の親友兄弟と主人公との交流。
    ちょっと展開が唐突かな。2作目より1作目がよかった。

    文章表現は巧みで、特にタイトルにある通り地上40メートルのマンションの一室について描写する表現がいい。

    こういう雰囲気の作品はハマると感動すると思う(今回はそういうメンタリティじゃなかった)。

  • マンションの11階、空のすぐそばにある場所で暮らす雛子一家。なんとなく保たれていた均衡は祖母の萩乃が「通信不能」状態になったことで一気に崩れだす・・・
    「宙の家」だけでも完結しているが、後日譚の「空気」も含めて、この話はひとつにまとまっているような気がする。
    全体に漂うなにかもやもやとして抜け出せないもどかしさ、けれど透き通る空気。
    ここに「答え」はひとつも出てこない。けれどそれでよい気がする。答えはないのでなく、「書かれていない」だけであるような。

  • 図書館 P214
    最初から最後までフワフワしていて
    つかみどころがなくて、よくわからなかった。

  • この作者の作品は初読。
    確かAmazonかどこかで評価が高かったのだけど私には合わなかったかなぁ。

    あるマンションの11階に暮らす家族の物語。

    話の中心は高校生の雛子。とある事件により気力が失せ、眠り病にかかったように毎日眠り込む。その彼女がある出会いを経て起きようと思うまでの話。

    無関心ではないけれどそんな娘の様子に気が付かない母親や、さほど仲良くも憎みあってもいない普通の弟など…小説的な面白味には欠けるけどリアルなのかなぁと思う。

    ふわふわとしていてとらえどころが難しい話なので感想が語りにくいなぁ。

  • とてもいい作品。久々に気持ちをスーッと突き抜けてくミント味の物語を読んだ気がする。

    2019.8.11 再読
    直木賞を記念しての再読。
    登場人物みんなの心に影が見えるのは、背景に青い空があるから。光が強ければ影が濃い。
    でもそンなこともどうでもよくなるくらい、青い空が見える。物語自体は派手さは無いのに、読後感がすごく良い。

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著者プロフィール

1962年名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で文学界新人賞を受賞し同年『宙の家』で単行本デビュー。『三人姉妹』は2009年上半期本の雑誌ベスト2、2011年10月より『ビターシュガー』がNHKにて連続ドラマ化、2012年『ピエタ』で本屋大賞第3位。主な著作に『水の繭』『チョコリエッタ』『やがて目覚めない朝が来る』『戦友の恋』『空に牡丹』『ツタよ、ツタ』など。2019年『妹背山婦女庭 魂結び』で直木賞を受賞。

「2021年 『モモコとうさぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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