きみが住む星 (角川文庫)

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  • 角川グループパブリッシング
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感想 : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (105ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043820023

感想・レビュー・書評

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  • きみが住む星 
    1992.10発行。字の大きさは…小。

    この本は、美しい風景と、愛しい人に宛てた手紙が綴られた、恋の本かと思って最後まで読んでしまいました。
    そして、いつ旅が終わって愛しい人のもとに帰るのかと……最後まで気になっていました。

    美しい風景を見ながら愛しい人にふみを書く、その思いを私は読んでいて癒され、そしてせつなく感じました。

    池澤夏樹さんの本を読むのは始めてです。

    【読後】
    美しい景色を見たとき、ふと大切な人の顔が思い浮かぶときがあります。この感動を共有したいと...。一枚の風景写真がラブレターになります。

  • いろんな国から送られてくる、恋人からの手紙。
    読み進めるにつれて、本当に自分宛の手紙のような気がしてくるから不思議。
    最後の、華恵ちゃんのあとがきもすてきです。
    旅に出たくなったり、恋をしたくなったり。人によっては、写真を撮りたくなるかもしれないし、はたまた、物語が書きたくなるかも。
    ゆっくり読めるときに、手にとってほしい本です。

  • 男は旅先から、故郷に残した恋人に手紙を送る。こういう形で、ぼくはきみへの思いを伝える―。

    恋人を日本に残してアジアを一人旅してたとき、感動的な風景、面白い出来事に出会うたび、「君にも見せたい」と思った気持のあたたかさを思い出した。
    それは、今自分がたっている見知らぬ世界にその人の面影をみることでもあったし、
    同時に、自分がその人といた世界と、今自分がたっている世界の確かな繋がりを感じることでもあった。
    旅先で感じた葛藤や違和感、怒りや悲しみ、学術的な思考の巡りは、その瞬間だけは身をひそめて、世界はとても優しく、不思議な丸みを帯びて在った。
    友人、家族とはまた違った愛情の形を胸に抱いてなければ、この風景は見えなかったかな…とふとおもった、その気持ち。青いけれどたぶん、大事にしなければいけない感覚。

    あの地平線が輝くのはどこかに君を隠しているから、という歌詞もありますが、
    遠く離れたところに君を残すことで、すべての美しい風景に君の面影を見る…
    寂しいし不安なことだけれど、愛を豊かにはすると思う。一緒に旅して経験を共有するのも勿論楽しいけど、また違ったものが見えるから。
    旅しなければいけない理由はひとそれぞれですが、それが逃避でないなら、きっと離れても大丈夫。


    補正や効果を多用していない写真たちが、実直な視線を感じさせてまた素敵。
    一人旅好きで恋人に渋い顔をされる方から、いつも恋人と一緒にいる方まで、幅広くメッセージがこめられる贈り物になるかと思います。

    私は今後もきっと、愛するひとができても旅をするだろうと思うので、今度は必ず手紙を書くよ。そして文末には必ず、「バイバイ」ですね。

  • 一人旅に持っていく

  • ぼくが帰ってくる日を待たずして、こんどは華恵さんが旅に出る。
    自分で着る服を自分でつくるため。

    ”この星の中で、私が出会う奇跡をたくさん見つけて、今度は、私が手紙と写真を送ります。”

    楽しみだ!

  • 花を踏まない馬の話がいい。

  • 【本の内容】
    とうとう旅に出てしまった。

    離陸した飛行機から、成層圏の空が見えたとき、ぼくはこの星が好きだと思った。

    どうしてなのか考えて、気がついた。

    この星には、きみが住んでいる。

    きみが住む星をぼくは旅する―。

    男は行く先々から、沙漠やアンデスの山、喧噪の都会から恋人に手紙を送った。

    朝焼けに息をのみ、渡り鳥に故郷を思い、大地を讃える日々。

    美しい言葉と風景を、あなたに。

    大切な人に贈る、魂のギフトブック。

    [ 目次 ]
    最初の手紙
    朝焼けコレクター
    花を踏まない馬
    風景を洗う
    向こう側へ行く人たち
    魔法使いの家
    考えが走る
    ゆっくりと飛ぶ鳥
    蛍の木
    夜間飛行
    フラミンゴたち
    心のガラス窓
    パピルス
    宝を探す人々
    海から逃げる光
    大事なものは空に
    丘の上の家に住む日
    あふれだした鳥
    最後の馬車
    長い長い物語
    雪迎え
    神さまの本当の名
    ワンピースの化石

    [ POP ]
    たとえば地球の反対側から手紙を送るとします。

    ペンと紙を用意し、文面を考え、郵便局を探して切手を買ってポストに投函!

    それは、インターネットの便利さを知る身にはとても面倒なこと。

    でもだからこそ、旅先からもらう手紙には“特別な感動”があるのだと最近感じるようになりました。

    池澤夏樹さんの『きみが住む星』には、そんな“特別”が詰まっています。

    「ぼくはこの星が好きだと思った。ここがきみが住む星だから」。

    地球上の様々な場所から「きみ」に送り続けられる珠玉の言葉と写真。

    巻末の華恵さん(きみ)による返信(解説)も含め、まさに魂が震える一冊です。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • エルンスト・ハースの写真に文章をつけた書簡体小説。
    残してきた男性が恋人に送る手紙。
    心に残る文章で、そのときの気分で写真を見て、また読みたい。

  • エルンスト・ハースの写真に池澤夏樹が文章をつけて、旅行中の旅人が故郷の恋人へとつづった手紙集になっています。
    関連性のない、とりとめのない写真が、池澤氏の文を通すと、さまざまな国を訪れ、その様子を語る手紙への道しるべになっている不思議な化学作用。
    旅人が何者なのか、詳しい背景は全く分からないながら、旅先で出会う美しく不思議な光景を恋人へと伝えようとする温かいまっすぐな心と、恋人の元を離れてでも旅せずにはいられない、自由でとらわれない、そして身勝手でもある心が折り重なって、不思議な魅力を放っています。

    写真だけ見ると、圧倒されるようなスケールながら、背景まではさぐれないものばかり。
    そこに物語を加えると、途端にドラマ性を帯びた情景が浮かび上がってくる効果の不思議さ。
    写真と文章のコラボレーションを楽しみ、旅人の目にしたさまざまな国について思いを馳せました。

    恋人の名前は華恵さん。
    手紙を送られるばかりだった彼女が最後に、自分からの手紙を掲載していたのは意外。
    彼女の手紙には写真は同封されておらず、旅人に触発されて、自分も旅に出る旨が記されていました。
    つまり彼女はこれから旅人になっていくため、まだ未知の土地で写した写真はないというわけです。

    彼らは果たして、旅人同士として、地球のどこかで巡り合うことができるのでしょうか。

    情景詩のような心地よさを感じて楽しむ一冊です。

  • エルンスト・ハースは、マグナム・フォトの一員だそうです。
    その写真とともに、手紙が20篇あまり、詩集のような本でもあります。

    小説と思ってネットで買ったので、ちょっと拍子抜けでしたが、手元において必要なときに、手に取ってじっくり読みたいと思います。

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著者プロフィール

1945年生まれ。作家・詩人。88年『スティル・ライフ』で芥川賞、93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞、2010年「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」で毎日出版文化賞、11年朝日賞、ほか多数受賞。他の著書に『カデナ』『砂浜に坐り込んだ船』『キトラ・ボックス』など。

「2021年 『特別授業3.11 君たちはどう生きるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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