キップをなくして (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043820030

感想・レビュー・書評

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  • 「キップをなくしたら駅から出られないの」と女の子は言った。



    キップをなくした子供たちは、「駅の子」になる。
    駅の子たちは東京駅の詰所にいて、電車に乗る子供たちの安全を影ながら支えている。
    駅の子は、駅の中ならどこにでも行けるし、なんでもタダで手に入れられる。
    子どもたちは一定期間を駅で過ごし、出てもいいと言われたとき、駅から出るか出ないかを決めるのだ。

    そんなステーションキッズの一員になったイタルは、あることが気がかりだった。仲間のひとり、ミンちゃん。彼女は死んでいるからご飯を食べなくていいのだという。


    静謐に綴られる少年の冒険物語。
    生きること、死ぬことに触れ考えた特別な季節。

    キップをなくしたらどうなるんだろう?
    もしかして、一生出られないのかな?
    誰もが思う初めての疑問をもとに広がる、奇妙で優しい世界。

    普通に角川文庫で出ていますが、子どもに読み聞かせてもいい優しい作品だと思います。

    それにしてもミンちゃん、なんと強い子……「三日生きれば三日の喜び」と言い切ってしまえるまでどれほど考えたのでしょうか。
    それからフクシマケンがちょっと宙ぶらりんな気がして心配ですが、駅での生活がいい刺激になることを願うばかりです。小さな相棒もできたようですし。
    しかし駅長さん、精算機のことはやっぱり先に言っておいた方が良くないですか…。キップをなくした罰みたいじゃないですか。

    作品の時代設定を1980年頃にしてあるのは、はじめはオヤトと思いましたが、キップや有人改札、入鋏といった要素を盛り込むためという解説を読み、なるほどと思いました。
    知らない世界のノスタルジーがいい味になっています。

  • 【いちぶん】
    「それでわたしも考えたんだ」とミンちゃんは続ける。「この子は三日でも喜んでいる。この子は自分を他の子と比べていない。それまではわたしだって辛かった。悔しかった。なんでわたしばっかりって思った。でも振り返ったら、いいこといっぱいあったよね。」

  • 「子どもを本好きにする10の秘訣」>「命・生き方」で紹介された本。

  • 駅の子 というファンタジーの世界が優しく描かれている。最後に出てくる死生観は、よかった。


    “コロッコたちは一つの命に入ったら、その命を充分に楽しんでから終えたいと思っています。”

  • きっぷを失くすと改札から出られない、とは子どもなら信じてしまう事だろう。駅の子の日々の仕事、幽霊のミンちゃん、謎の駅長というプロットが良い。ミンちゃんが天国へ行くことを決意する場面と、春立で別れる場面では二度も涙してしまった。電車寝台特急はくつるの3段寝台や青函連絡船の登場に(どちらも乗ったことはないのだが)懐かしさがこみ上げてくる。駅の子ならぬ駅のおっちゃんになりたいな~

  • きっぷをなくしたら、駅の裏のいえに暮らすことになった少年の話。
    食堂は「駅の子」ということで食べ放題。だけど、外には自由に出れない。
    自由だけど、制約はある。なんとも社会を反映している。
    妙に心に残るストーリー。

  • 紙のキップで電車に乗ってた頃。改札では駅員さんがキップに鋏を入れてくれてた。そう そうだったんだよね、ずっと前は。
    キップをなくした子は駅から出られない。じゃぁどうするの?その子はどうなるの?
    電車に乗る時に、ふっと駅の子達を探してしまいそう。

    命はどこから来てどこへ行くのか、心って何で出来ているのか。彼らの暮らしを通して一つの考え方が見えてくる。そんな風に考えるのも良いね。

  • こんなお話だったとは。この作品の中で「死」は大きなテーマになっているけれど、その「死」について優しい眼差しで描かれている、という印象。最後の方はちょっとアニメの「あの花」を思い出しました。
    ミンちゃんの出会った、3日で死んでしまった赤ちゃんの話が印象的。3日だったけど、お日様が眩しくておしっこが出るのも嬉しかった、って言ってた赤ちゃん。死んでしまって悲しいものは悲しいけど、でもそれは仕方のないこと。これまでの経験をもって向こうに行けるなら、それでいい。最初はおどおどしてみえたミンちゃんがそのように自分の中で納得のいく考えにたどり着いて、後半足取りのしっかりしてきたところが良かった。

  • 夏休みに読むのにぴったりな小説。
    切符をなくした主人公の少年は駅からでられず、「駅の子」となり、ほかの切符をなくした子供達と駅で暮らすことに。
    電車に乗るだけでワクワクしていたころが思い出されました。
    冒険小説の形をとりながらも、後半は生と死の話も関わって来ます。
    駅長さんの秘密やミンちゃんのことなどを通して、主人公が死生観に触れて成長するさまが爽やかに描かれていました。時代設定は古めだけど、これからも読み継がれて欲しい1冊。

  • 2014年3月23日に開催された「ビブリオバトル関西大会inいこま」予選Aグループで発表された本です。

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プロフィール

一九四五年、北海道帯広市生まれ。旅と移住が多く、ギリシアには七五年から三年間滞在。小説、詩、評論、翻訳など幅広い分野で活動する。著書に『スティル・ライフ』(中央公論新人賞、芥川賞)、『マシアス・ギリの失脚』(谷崎潤一郎賞)、『花を運ぶ妹』『カデナ』『光の指で触れよ』『世界文学を読みほどく』『アトミック・ボックス』等多数。また池澤夏樹=個人編集『世界文学全集』、同『日本文学全集』も多くの読者を得ている。

「2018年 『のりものづくし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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