- Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043828081
感想・レビュー・書評
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神武天皇は戦前にあっては初代天皇として偶像化され、戦後は一転して架空の人物としてみなされ、学界では抹殺されてきた存在だそうです。
とにかく戦前の反省ってことで、記紀を否定すれば学界に認められるような風潮があるらしい・・・
そんな学界に一石を投じ、天皇の実在化を検証したものが本書です。
専門的な話で私には理解しきれないところも多かったのですが、でもそれなりに楽しく読めました。
例えば、架空の人物だとされる一番の理由は「年代が古すぎる問題。」
歴史的に確かな時代を起点にして単純にさかのぼると、神武天皇の即位の年はなんと紀元前660年!縄文(石器)時代です。これはありえない=架空の人物というのが一般的な論法。
が、著者が日本書紀や後漢書などの中国の史書などと照らし合わせながら推測すると(詳細は省きます)、建国したのは西暦181年ということで、全く不自然ではないそうです。
享年100歳以上が乱立していたのも、春秋で年に2つ歳をとる中国の事例があったそう。
だから欠史八代だって、詳細が記されてない=架空とは言えないぞと。これはロマンですね。
他にも、神武天皇の幼少期の名は狭野尊(さののみこと)。神日本磐余彦(かみうやまとみわれひこ)はただの和風諡号(←後世に作られた)。当時の幼少名まであるんだから実在の証拠の一つになるでしょ、って論法もありました。
しかも、四人兄弟の末っ子。(当時は末子相続 が一般的だそうで、実例や理由等も詳細記されてました。)
本人どころか、
長男、五瀬
次男、稲飯
三男、三毛入野
四男、狭野 とここまで日本書紀に記されているんですって!
幼少名って私なんだかときめくんですよね(笑)。
などなど、残存する資料を素直に読み解けば、東征の大事業を行った生身の人物が浮かび上がってくる、というわけです。。
興味深い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
22年ぶりで埼玉に帰るので、稲荷山古墳に行く楽しみができました。
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戦後、皇国史観を忌避したことにより、古代史観までが不自然に捻じ曲げられたり、専門家自身の持論を裏付けたくて本末転倒な推測をした末に、歴史から抹消されていった古代の天皇達。日本書紀は時の権力者の作り事、という別の本を読んだことがあるけど、他国の文献と比較しているこっちの方が信憑性があるな。絶対、と言い切れないのが歴史だと思うけど。