トーキョー・プリズン (角川文庫)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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本棚登録 : 1725
レビュー : 261
  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043829026

作品紹介・あらすじ

戦時中に消息を絶った知人の情報を得るため巣鴨プリズンを訪れた私立探偵のフェアフィールドは、調査の交換条件として、囚人・貴島悟の記憶を取り戻す任務を命じられる。捕虜虐殺の容疑で拘留されている貴島は、恐ろしいほど頭脳明晰な男だが、戦争中の記憶は完全に消失していた。フェアフィールドは貴島の相棒役を務めながら、プリズン内で発生した不可解な服毒死事件の謎を追ってゆく。戦争の暗部を抉る傑作長編ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • ジョーカーゲームで柳さんの世界観にどっぷりとハマり、こちらも読んでみることに。
    読んでいても暗い雰囲気が映画のように頭の中に流れ込んできました。
    だからといって、戦争小説のように重すぎるわけではなくバランスがいい作品に感じました。
    そして、フィクションながらも実在した人物や巣鴨プリズンなど実在した場所も作品のに登場し、少しリアリティも感じながら読み進めたり…となかなか面白かったです。
    また、敗戦国の庶民にもスポットを当てており、戦後の苦しい日本の生活などが少し垣間見れた気がしました。
    バラバラであったピースが集約していくのが爽快。
    ただ最後のオウムのトリック…無理ない…?と感じてしまったところもあったりしたのが残念だった。

  • ※悲しいほどにネタバレしてますので、これから読まれる方はご注意下さい〜( ^ω^ )一応、肝心の部分は伏せますが、触れずにはいられなかったのです…


    刑務所内で発生した変死事件。何物の出入りも禁じられた鉄壁の監視網をくぐり抜けて、毒はどうやって内部に持ち込まれたのか?
    その解決に当たるのは、捕虜虐殺の疑いが持たれている死刑囚?!しかも彼は戦時中の記憶を全て失っており、ワトソン役に命じられたのは、本職の私立探偵だった!


    …ハイハイ、俺得俺得(笑)。
    こういう不可解性高くて日常の枠を超越した設定が、本当に、大好きでーす!(笑)
    独房の中に収容された頭脳明晰な探偵兼死刑囚が、外国人私立「探偵」を「助手」にして事件解決に挑むという、安楽椅子探偵ならぬ独房探偵です(笑)。いやー、これは斬新。羊達の沈黙でもレクター博士はクラリスに解決の糸口を示唆することはありますが、積極的に事件解決に乗り出すわけじゃなかったからなあ。


    失った記憶の謎、閉鎖空間に持ち込まれた毒物の謎、双方を追いながらやがて事態は意外過ぎる結末へと向かいます。この終着点は正直、予想だにしませんでした。意外な結末もの、に類されるかもしれません。まさか探偵が××になるとは…。しかも黒幕は××…。次々と畳み掛けられる衝撃の展開と事実に、ただただ着いていくのがやっとでした。
    正直、トリックの部分に関しては物足りなさも残りますが、この舞台設定と息詰まる展開・更に衝撃的なラストのインパクトを考えれば無問題です(笑)。

    戦時中の証言が、解釈の仕方によっては全く異なる様相を呈する、という前半部分の会話に戦慄。実際にこういう齟齬が戦争裁判では生じたりするかも…と思うと空恐ろしいですね…。
    誰に戦争責任の所在を見出せるか?という話の件も興味深かったんですが、読んでから大分間を置いてしまったので詳細は覚えてません←←←

  • 結末はかなり面白かった!でも、そこに行き着くまでがなんとも言えないグダグダ感。。
    なんだかどっと疲れた(ー ー;)

  • 柳広司『トーキョー・プリズン』角川文庫。

    巣鴨プリズンを舞台にしたミステリー。

    探偵役を演じる記憶を失った捕虜のキジマの不思議な魅力と奇抜な設定。柳広司らしい作品だと思う。

    反面、策に溺れた感のあるスッキリしない結末は如何がなものか。

  • いったい誰が悪いのか。
    私立探偵・フェアフィールドは記憶を失った囚人・キジマとともにプリズン内で起こった毒殺事件を追う。探偵がワトソン役とは面白い。最後はちゃんと探偵も探偵するけど。
    推理小説だけど、反戦小説の色が強い気がした。
    二転三転もする展開。あの人が実は犯人では……という予想が実際そうだったときの悲しさは、予想通りだったつまらなさではなく、そうでなければ良かったのにという思いから。
    主人公がアメリカ人でも日本人でもなくニュージーランド人なので、客観的に当時の日本を見れた気がした。
    「ジョーカー・ゲーム」で興味を持った作家さんだけど、これも映像化してほしいな。ミステリとして楽しみながら、観たあと二度と戦争を起こしてはいけないと思う作品にしてほしい。

  • 戦時中の記憶が無い戦犯のキジマ。
    彼は優れた頭脳と観察力でトーキョープリズンで起こった事件を解決する。
    戦争によって狂った人々の物語。
    これはフィクションだが、実際にあったかもしれない。

  • 安楽椅子探偵キジマな物語かと思いきや、戦争で傷ついた人々のけじめをつけるための話。

    登場人物それぞれが、なんらかのけじめをつけないと、戦争を終わらせることができない。個人としての、けじめ。
    その結果が、どんな形として現れようと、です。

    キジマ・フェアフィールド・キョウコだけでなく、ドクタ・アシュレイも、クリスの母親も、オオバも、イツオも、個人個人でとりあえずの区切りつけるためのけじめ。
    とりあえず、なんですよ。くっきりはっきりしなくてもいい。
    自分が、むりやりでも納得できる区切りが欲しかったんだと。
    そう感じましたね。

    登場人物が、無理やり納得してたり、そう思い込もうとしてるわけで。本人達も、すっきりはしてないのでしょう。
    イツオみたいな結果迎える人間も、だからでてくるわけです。

    そりゃあ、読後すっきりとは、しませんよ。

  • 図書館でかりました。

    天皇が悪くない=国民は悪くない、と言う方程式はなるほど、と思うところがありました。なんでこんな他人事何だろう?と思ったのですがつまり責任は取りたくないってことなんですよね、簡単に言うと。
    確かに民間人が住む土地に爆撃を行うのは非道な行いですがでも日本も同じことを他の国の民間人に行った、と言う事実は忘れがちなんですよね。私たちは知りたい情報しか知ろうとしなかった、と言うような台詞が胸に刺さります。
    今現在不穏な空気が流れております。そのツケは結局国民が払うんだよ、と言うことを何か今の時代我等は忘れている気がします。恐ろしいことです、本当に。

  • 戦後の東京が舞台ということもあり、内容は重くて暗いものだと思っていたが、確かに重く受け止めなければならない部分もあったが、先が気になって読み進められた。誰がプリズン内で殺人を起こしたかという話と、キジマの失われた記憶を取り戻すという二つの話が軸になって物語は進んでいく。最後はすべてがハッピーエンドというわけではないが、ある部分では救いがあったおかげで読後感もそれほど悪くなくむしろ、その余韻を感じることができてよかった。

  • 世界大戦後の日本が舞台の戦争小説。

    至る所に散りばめられた伏線が見事に回収された上での結末にはただた驚くだけだった。

    また描写が豊かで読みやすく、戦争責任まで内包するクオリティは流石!

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プロフィール

一九六七年生まれ。二○○一年『贋作『坊っちゃん』殺人事件』で朝日新人文学賞受賞。○九年『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編及び連作短編部門を受賞。同年刊行の『ダブル・ジョーカー』は、『ジョーカー・ゲーム』に続き二年連続で「このミステリーがすごい!」の二位に選ばれる。主著に「ジョーカーゲーム」シリーズ、『ロマンス』『楽園の蝶』『象は忘れない』などがある。

「2017年 『風神雷神 雷の章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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