トーキョー・プリズン (角川文庫)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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本棚登録 : 1772
レビュー : 267
  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043829026

作品紹介・あらすじ

戦時中に消息を絶った知人の情報を得るため巣鴨プリズンを訪れた私立探偵のフェアフィールドは、調査の交換条件として、囚人・貴島悟の記憶を取り戻す任務を命じられる。捕虜虐殺の容疑で拘留されている貴島は、恐ろしいほど頭脳明晰な男だが、戦争中の記憶は完全に消失していた。フェアフィールドは貴島の相棒役を務めながら、プリズン内で発生した不可解な服毒死事件の謎を追ってゆく。戦争の暗部を抉る傑作長編ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった
    東京裁判で裁かれる者たちが拘留されている巣鴨プリズンを舞台にした物語。

    主人公はそこに拘留されているキジマ。
    キジマは戦時中に捕虜を虐待した容疑で拘留されていますが、その戦時中5年間の記憶がありません。
    キジマの虐待行為に対する様々な証言
    キジマは本当に捕虜を虐待していたのか?

    また、頭脳明晰で何度も脱獄を繰り返す変わりモノ。
    そして、プリズン内で発生した服毒死事件の謎を追っていく事になります。

    その相棒となるのが知人の情報を得るためにニュージーランドから来日した私立探偵のフェアフィールド。

    プリズン内の人間関係、事件の真相、さらにはキジマの5年間の捕虜虐待の真相と、様々な謎が絡み合って明らかになっていきます。

    さらに、筆者自身の戦争観も随所に見られます。
    とりわけ、戦犯の問題や、日米文化の相違、そして天皇責任論にまで踏み込んでいます。
    マツウラのセリフ
    「ねえ、あなた。いったい女や子供の頭のうえに無差別に大量の爆弾を落とすというのは”人道に対する罪”には当たらないものなんですかね?」

    東京裁判の意味が問われています。

    ということで、戦争そのものの悲惨さ、戦争責任、東京裁判、そして、ミステリーと満載な物語でした。

    お勧め

  • ジョーカーゲームで柳さんの世界観にどっぷりとハマり、こちらも読んでみることに。
    読んでいても暗い雰囲気が映画のように頭の中に流れ込んできました。
    だからといって、戦争小説のように重すぎるわけではなくバランスがいい作品に感じました。
    そして、フィクションながらも実在した人物や巣鴨プリズンなど実在した場所も作品のに登場し、少しリアリティも感じながら読み進めたり…となかなか面白かったです。
    また、敗戦国の庶民にもスポットを当てており、戦後の苦しい日本の生活などが少し垣間見れた気がしました。
    バラバラであったピースが集約していくのが爽快。
    ただ最後のオウムのトリック…無理ない…?と感じてしまったところもあったりしたのが残念だった。

  • ※悲しいほどにネタバレしてますので、これから読まれる方はご注意下さい〜( ^ω^ )一応、肝心の部分は伏せますが、触れずにはいられなかったのです…


    刑務所内で発生した変死事件。何物の出入りも禁じられた鉄壁の監視網をくぐり抜けて、毒はどうやって内部に持ち込まれたのか?
    その解決に当たるのは、捕虜虐殺の疑いが持たれている死刑囚?!しかも彼は戦時中の記憶を全て失っており、ワトソン役に命じられたのは、本職の私立探偵だった!


    …ハイハイ、俺得俺得(笑)。
    こういう不可解性高くて日常の枠を超越した設定が、本当に、大好きでーす!(笑)
    独房の中に収容された頭脳明晰な探偵兼死刑囚が、外国人私立「探偵」を「助手」にして事件解決に挑むという、安楽椅子探偵ならぬ独房探偵です(笑)。いやー、これは斬新。羊達の沈黙でもレクター博士はクラリスに解決の糸口を示唆することはありますが、積極的に事件解決に乗り出すわけじゃなかったからなあ。


    失った記憶の謎、閉鎖空間に持ち込まれた毒物の謎、双方を追いながらやがて事態は意外過ぎる結末へと向かいます。この終着点は正直、予想だにしませんでした。意外な結末もの、に類されるかもしれません。まさか探偵が××になるとは…。しかも黒幕は××…。次々と畳み掛けられる衝撃の展開と事実に、ただただ着いていくのがやっとでした。
    正直、トリックの部分に関しては物足りなさも残りますが、この舞台設定と息詰まる展開・更に衝撃的なラストのインパクトを考えれば無問題です(笑)。

    戦時中の証言が、解釈の仕方によっては全く異なる様相を呈する、という前半部分の会話に戦慄。実際にこういう齟齬が戦争裁判では生じたりするかも…と思うと空恐ろしいですね…。
    誰に戦争責任の所在を見出せるか?という話の件も興味深かったんですが、読んでから大分間を置いてしまったので詳細は覚えてません←←←



  • 舞台は巣鴨プリズン。戦犯達を裁くための拘置所。
    現在池袋サンシャインの旧跡だ。
    戦時中に消息を絶った知人の情報を得るため巣鴨プリズンを訪れた私立探偵。
    調査交換条件に、囚人貴島の記憶を取り戻す任務を命じられる。
    貴島なる囚人は恐ろしく頭脳明晰だが、戦争中の記憶が失われており...
    拘置所内で立て続く服毒殺人事件の果てに...

    一冊のミステリとして面白いことは間違いないが、戦争における正義、責任、国による文化的差異、教育の脅威、その示唆は実に富む。
    本書の一節に、戦時中の日本における当時の国民性が実に端的に表されている。
    女:「誰?誰が私の子供を殺したの!」
    亡者達が女の周りに集まり、犯人探しが始まった。
    「豚を選んだのはこいつだ」亡者達が一人の男を指差した。
    「俺は選んだだけだ。こいつが豚に紐を結んだんだ」別の男を指差した。
    「俺は紐を結んだだけだ。こいつが紐を引っ張ってきた」別の男を指差した。
    「俺は引っ張ってきただけだ。こいつが豚を押さえていた」別の男を指差した。
    「俺は尻を押さえただけだ。こいつが豚の頭を押さえていた」別の男を指差した。
    「俺は頭を押さえただけだ。こいつが豚の喉を切った」別の男を指差した。
    「いいや、俺は豚の喉を切らなかった」最後に指さされた若い兵士が首を振った。
    「のどを切ったのは、この斧だ」
    -そうだ、この斧が豚を殺したんだ!
    正に御真影を仰ぐ天皇制が、敗戦直後の日本が、実によく表したものだ。

  • 結末はかなり面白かった!でも、そこに行き着くまでがなんとも言えないグダグダ感。。
    なんだかどっと疲れた(ー ー;)

  • 柳広司『トーキョー・プリズン』角川文庫。

    巣鴨プリズンを舞台にしたミステリー。

    探偵役を演じる記憶を失った捕虜のキジマの不思議な魅力と奇抜な設定。柳広司らしい作品だと思う。

    反面、策に溺れた感のあるスッキリしない結末は如何がなものか。

  • いったい誰が悪いのか。
    私立探偵・フェアフィールドは記憶を失った囚人・キジマとともにプリズン内で起こった毒殺事件を追う。探偵がワトソン役とは面白い。最後はちゃんと探偵も探偵するけど。
    推理小説だけど、反戦小説の色が強い気がした。
    二転三転もする展開。あの人が実は犯人では……という予想が実際そうだったときの悲しさは、予想通りだったつまらなさではなく、そうでなければ良かったのにという思いから。
    主人公がアメリカ人でも日本人でもなくニュージーランド人なので、客観的に当時の日本を見れた気がした。
    「ジョーカー・ゲーム」で興味を持った作家さんだけど、これも映像化してほしいな。ミステリとして楽しみながら、観たあと二度と戦争を起こしてはいけないと思う作品にしてほしい。

  • 戦時中の記憶が無い戦犯のキジマ。
    彼は優れた頭脳と観察力でトーキョープリズンで起こった事件を解決する。
    戦争によって狂った人々の物語。
    これはフィクションだが、実際にあったかもしれない。

  • 安楽椅子探偵キジマな物語かと思いきや、戦争で傷ついた人々のけじめをつけるための話。

    登場人物それぞれが、なんらかのけじめをつけないと、戦争を終わらせることができない。個人としての、けじめ。
    その結果が、どんな形として現れようと、です。

    キジマ・フェアフィールド・キョウコだけでなく、ドクタ・アシュレイも、クリスの母親も、オオバも、イツオも、個人個人でとりあえずの区切りつけるためのけじめ。
    とりあえず、なんですよ。くっきりはっきりしなくてもいい。
    自分が、むりやりでも納得できる区切りが欲しかったんだと。
    そう感じましたね。

    登場人物が、無理やり納得してたり、そう思い込もうとしてるわけで。本人達も、すっきりはしてないのでしょう。
    イツオみたいな結果迎える人間も、だからでてくるわけです。

    そりゃあ、読後すっきりとは、しませんよ。

  • 図書館でかりました。

    天皇が悪くない=国民は悪くない、と言う方程式はなるほど、と思うところがありました。なんでこんな他人事何だろう?と思ったのですがつまり責任は取りたくないってことなんですよね、簡単に言うと。
    確かに民間人が住む土地に爆撃を行うのは非道な行いですがでも日本も同じことを他の国の民間人に行った、と言う事実は忘れがちなんですよね。私たちは知りたい情報しか知ろうとしなかった、と言うような台詞が胸に刺さります。
    今現在不穏な空気が流れております。そのツケは結局国民が払うんだよ、と言うことを何か今の時代我等は忘れている気がします。恐ろしいことです、本当に。

  • 戦後の東京が舞台ということもあり、内容は重くて暗いものだと思っていたが、確かに重く受け止めなければならない部分もあったが、先が気になって読み進められた。誰がプリズン内で殺人を起こしたかという話と、キジマの失われた記憶を取り戻すという二つの話が軸になって物語は進んでいく。最後はすべてがハッピーエンドというわけではないが、ある部分では救いがあったおかげで読後感もそれほど悪くなくむしろ、その余韻を感じることができてよかった。

  • 世界大戦後の日本が舞台の戦争小説。

    至る所に散りばめられた伏線が見事に回収された上での結末にはただた驚くだけだった。

    また描写が豊かで読みやすく、戦争責任まで内包するクオリティは流石!

  • 登場人物の表記が全てカタカナなせい?
    妙に読みにくかった印象。間延びしていた感。

  • 解説:吉野仁

  • 柳さんが書く大戦前後のこの時代の日本がとても好きだ。
    スーツや軍服、燕尾服や着物と様々な身なりの人々が出てくるが、どれもきちんと着こなされその情景にきちんとはまっているように感じる。
    モノがなかった時代だからこそ、衣装は着る意味も含めて大切にさているように思える。
    もちろんストーリーも十分おもしろい。
    ところで、現在日本では安保法案に関して騒がしい。安倍総理を筆頭に政府が暴走していると言う意見もある。
    もしこの法案が通り、将来的に悪法と認められた時、安倍さんは別として、与党の他の面々は罪を自覚できるのであろうか?
    この小説の中にあるように『私は反対したのだが、決まってしまったものは仕方ない』と主張する人が大勢でてくるのでは?
    はっきりとは理解し切れていないけれど、なんとなく日本人・日本国の特性が解りかけたような気がする話であった。

  • ジョーカーゲーム、ダブルジョーカーが面白かっただけにがっかり。
    戦争色強すぎ。

  • 「ジョーカー・ゲーム」で見事このミス二位を獲得し一躍脚光を浴びた柳広司の意欲作「トーキョー・プリズン」は、その東京プリズンで密室変死事件にニュージーランド人の私立探偵エディと戦犯キジマのコンビが挑むミステリー。
    これはもー面白かった!!すごい面白かった!!もともと刑務所ものが好きでよく読むんですが戦後の、それも戦犯専用刑務所が舞台のミステリーは新境地。目新しい事実が色々発覚し勉強になりました。
    何よりキャラが立ってる!キジマが抜群にかっこいい!
    脱獄の常習犯にして頭脳明晰、ニヒルな笑みが似合う日本人にしては整いすぎた容姿の持ち主。戦時中に捕虜を残忍に虐待した容疑で投獄され、「悪魔じみたサディスト」と唾棄されるも、五年間の記憶を失っている。
    エディが房に入ってくるなりその出身地・経歴・考えてることを言い当てる洞察力観察力推理力、脱獄の為なら手段を選ばず錆びた釘を十数本とのみこむ強靭な精神力と人を食ったユーモアセンスをあわせもつ特異な人物造形に心を持ってかれます。
    しかし一方で記憶喪失故現実と夢の区別がつかず苦悩し、記憶を失った五年間の自分が本当に悪魔のようなサディストだったのか自問し続ける。孤独と高潔と野卑が綯い交ぜとなったキジマに徐徐に関心を持ち始めるエディ、二人の距離の縮まり方がすごくいい……!
    戦争問題を扱っていながら固くならず読めるエンターテイメントとしても完成度高いです。

    何が悪で善なのか。
    キジマは本当に捕虜を虐待したのか。

    「捕虜を虐待するのが悪なら女子供の頭の上に爆弾を落とすのは悪じゃないのか?」
    「戦時中だから人殺しは許される?そんなことはない、人殺しは許されるか許されないか二択だ」

    重い命題。責任の不在。本当に責任をとるべき人間は誰か?
    敗戦国の日本人が天皇を変わらず仰ぐ一方マッカーサーに熱狂的な声援を送る心理が鋭く解剖されていて唸らされました。

  • 読みやすくて面白かった!!第二次世界大戦の話も絡めつつ、推理ものとして出来上がっていた。
    日本で習った歴史と考え方が、他国から見たら気味悪かったり感情が無いようにみえたりするんだなと感じた。(確かに昔の戦争の考え方はひどかったけど)

  • P412

  • 戦後間もない日本
    東京裁判にかけられる戦犯
    巣鴨拘置所内の殺人事件
    なかなか良し

  • 伊勢谷友介ぽい

  • 戦争の模写があるので若干残酷な表現も随所に見られるが、基本的には読みやすいので、どんどん読み進んでしまったナリ。

  • 面白い。
    スガモプリズンを舞台にしたミステリー。
    細かい布線も最後には回収されて、スッキリする。

  • 導入部分はすごく面白いが、途中から戦争の悲惨さを語るストーリーに変貌してしまった。個人的には悪いほうに予想を裏切られる型になりちょっとしんどかった。

  • ジョーカーシリーズ程はのめりこめなかった。
    戦時中という特殊な環境下だと人は変わってしまうこともあるかもしれない。謎を追ってる途中までは楽しく読めたけど、真相含めなんだか後味が悪いままだった。だけど、やはり女は強いなぁ。
    表紙の男は、キジマかな?

  • 読み応えあった。
    「時代劇は大した内容じゃなくてもそれなりに面白くなる」と映画関係の誰かが言っていたけど、終戦直後の日本という背景だけでも面白い。disっているわけでは無いです。
    エドワードの相棒も、キジマもイツオも救われなかったけど、後味の悪さは感じなかった。様々な人の思惑が交錯して複雑になった事件の真相の扉が一枚一枚開いていく爽快感が上回ったのかも。
    「キジマにとっての真実」は、5年前の自分では思いもよらないようなサディストの一面が戦争によって引き出されたということ。戦争とは恐ろしいものですね。

  • 戦争によっていろいろな物が変わるけど変わり方は様々なんだなあと思った。

  • 謎解きが楽しかった。

  • 舞台は、戦後間もない東京・スガモプリズン。
    戦時中に行方不明になった同郷人を探しにやってきたニュージーランド人フェアフィールドが主人公です。

    行方不明のニュージーランド人、プリズン内で起こる密室殺人、戦中の記憶を失ったキジマの戦犯容疑。

    ページを追うごとに、それぞれの登場人物の戦中戦後の出来事が、悪夢のようにずるずると語られ、その中に事件に関する暗示的な言葉がちりばめられています。

    様々な思いを胸に刻むようにタバコを吸うフェアフィールドの姿が、印象に残りました。

    図書館スタッフ(学園前):スケルツォ

  • 12/8読了
    初めての柳広司作品だった
    あまりミステリは読まないけれど、たまに読むと面白いものだなあと思った
    キジマとフェアフィールドとの距離感がすごくかっこよかったです。

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著者プロフィール

一九六七年生まれ。二○○一年『贋作『坊っちゃん』殺人事件』で朝日新人文学賞受賞。○九年『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編及び連作短編部門を受賞。同年刊行の『ダブル・ジョーカー』は、『ジョーカー・ゲーム』に続き二年連続で「このミステリーがすごい!」の二位に選ばれる。主著に「ジョーカーゲーム」シリーズ、『ロマンス』『楽園の蝶』『象は忘れない』などがある。

「2017年 『風神雷神 雷の章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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