吾輩はシャーロック・ホームズである (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.11
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本棚登録 : 795
レビュー : 112
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043829033

感想・レビュー・書評

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  • 題名とあらすじからドタバタコメディー系ミステリーかと思いきや、読み進めるとそこに織り込まれたテーマはかなりディープで良い意味で期待を裏切られました。

    テンポよく殺人事件にせまりながらも、イギリスや中国とは違う日本特有の美を求め続けてもがき苦しむ漱石、大英帝国の他者への傲慢さと偏見を突きつけられるワトソンなど、隠れテーマがしっかりしていて読み応えある作品でした。

  • 本屋で面白そうだったので手にとってみました。
    柳広司さんという作家さんは初めて知ったのですが、いやー面白かった!

    まず夏目漱石が自分がホームズだと思い込むという設定がいかにも面白そうで。
    私自身あまり夏目漱石の作品をきちんと読んだことがないので分からないですが。
    ミステリー作品が多い作家さんということで、それこそ原作のシャーロック・ホームズシリーズのように話が一切矛盾せずに事件がすっと解決するのがいい。
    でもところどころ幻想的というか、不思議なシーンが入ったり、でもそれがあまり不愉快じゃないというのがまたいい。
    時々笑えるシーンもあるし、ミステリーと笑いのバランスがちょうどよかったですw

    夏目漱石ファンのための、シャーロック・ホームズ本としてもいいし。
    逆にシャーロック・ホームズのファンのための夏目漱石本としてもいいと思いました!
    私は後者でしたが、見事に夏目漱石読みたくなりましたね♪
    更に昔読んでいたシャーロック・ホームズシリーズも含めた探偵モノが読みたくなりました。

    私にとっては探偵モノにはまっていたちょっと懐かしい記憶も蘇らせてくれた、ステキな作品です★

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「夏目漱石ファンのための」
      柳広司は「ジョーカー・ゲーム」シリーズで、好きになった作家さんなのですが、次は漱石を主人公にしたシリーズ?を読む...
      「夏目漱石ファンのための」
      柳広司は「ジョーカー・ゲーム」シリーズで、好きになった作家さんなのですが、次は漱石を主人公にしたシリーズ?を読むつもり。その中でも、これは異色作になるのかな、、、
      2013/08/07
    • kao-ringさん
      >nyancomaruさん
      こちらでもお気に入り登録&コメントありがとうございます♪
      有名なのは「ジョーカーゲーム」ですよね。
      私逆にそちら...
      >nyancomaruさん
      こちらでもお気に入り登録&コメントありがとうございます♪
      有名なのは「ジョーカーゲーム」ですよね。
      私逆にそちらのシリーズにはまだ手を出せていないですが。。

      調べてみたら、本作の後に「漱石先生の事件簿」を出してるのですね!
      こちらもまだ未読なのですが、本作と繋がってるのか、気になるところですね。
      2013/08/09
  • 要素が満載でまとめきれないので、とりあえず面白かった要素をメモ。

    19C後半のイギリスのコスモポリタニズム、オリエンタリズム、漱石の文学論、信頼できない語り手。

    この時代を取り巻く様々な特徴をこんなにも盛り込んだ上、全てを繋げて一つのストーリーを作り上げてるのは流石としか言えない。面白かった。

    コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズと、漱石の倫敦塔、三四郎を読んだ後だと面白さが増す。

    ・コスモポリタニズム
    アイルランド、南アフリカ、中国、日本…様々なところから人や物が行き交っている。その「異なるもの」「今までのイギリスになかったもの」が物語の中核に絡んでいる。19Cのグローバル化の渦中にいるイギリスらしいな!ってときめく

    ・オリエンタリズム
    (オリエンタリズムについてふんわりとしか理解してないからズレたこと言ってるかも?)
    ナツメの描かれ方が滑稽で可哀想でイタい感じになってるのはワトソンの一人称を元に書かれてるからってのもあるだろうな。

    ナツメのいうところの「文明化とは己と他人を区別し、他者を見下す冷ややかさに他ならない」(うる覚え)っていうのも結構本質をついてる。

    日本、中国、南アフリカ、いずれもイギリスはそこからもたらされてる文物に興味を抱いて生活に取り込んでいる。それと同時にこれらの地域を文化的に見下しイギリス式の生活スタイルを広げてる。


    ・漱石の文学論
    「中国のものでも西洋のものでもない日本の美を見出さねば」っていうの、漱石の本で読んだことあると思うんだけどなんだっけ??彼岸過迄??違ったかも。なんだっけ……。ちゃんと反映されてる面白さある。

    作中度々に三四郎からとってきてるなってセリフがあった。「田舎から出てきた学生が、都会で自我をしっかり持った近代的な女に恋し、失恋する」ってストーリー構造はたしかに同じだな。二つを比較して読みなおしたら面白いかも。


    ・信頼できない語り手
    ワトソンがアヘンの幻想を見てる時「裏切ったのはあなた。親しい人に自分をワトソン先生と呼ばせていい気になって…サー・コナン・ドイル」(台詞引用じゃなくてざっくりしたまとめ)と糾弾される場面がある。

    ここで、ヘェ!ワトソン先生は実はコナンドイルだったんだ!と思ったんだけど、最後までそのフラグは回収されずじまいだった。あれは何だったんだ…?

    でもこれ、ワトソン先生は実はコナン・ドイルだけど、ドイルは最後までそれに気づかず自分がワトソンだと思い込んでるって読みも成り立つのでは…?

    ・アヘンの世界でワトソンが見ているものは、物事の本質、真実をついてるものが多い。

    ワトソンがナツメから文学論を聞き、日本からの留学生ナツメではなく文学者漱石として彼に触れたのもこの時のみ。オリエンタリズムと偏見に曇った目はアヘンの幻想の手を借りないと晴れない…?

    ・ナツメの教授に会いに行った時「サー」って嫌味言われたの、ワトソンはホームズのことかな?と思ってたけど、これはコナン・ドイルへの嫌味だったのでは?アヘンの夢でも「南ア戦争のパンフレットを書いて勲章をもらって」って非難されてるし。

    ・コナン・ドイルが軍医として従軍したのは南ア戦争、ワトソンが軍医として従軍したのはアフガン戦争。でも作中でアフガン戦争って名前出して言及することは一度も無くなかった…?(読み返して確認しよ)

    ・ワトソンくんをワトソンって呼んでる人物は先生の元々の知り合いか、知り合いに「ワトソン先生だよ」と紹介された人だけでは??ほかは皆「ドクター」じゃない?(要確認)

    ・ホームズが交流したり姿を現したりする相手はワトソンしかいないよね?ホームズは実在しているのか??

    文学者ナツメは最後に正気に戻ったけど、コナンドイルは依然狂気の中ってオチなのかも??

  • 夏目漱石が神経衰弱になったのは本とこんな感じなんじゃないかなと思っちゃう
    ワトソンとホームズもほんとにいるのかいないのか、ワトソン自体が怪しいっていうのも引き込まれたぜぇ
    アイリーンが殺された結末は嫌だなあ
    そうでないことを祈ったよー

  • パスティーシュもののご愛嬌~ということで。
    も、小ネタがガンガン出てきて、シャーロキアンはくすぐられっぱなしかと。

    漱石がロンドン留学時に迷い込んだ精神的袋小路については本人のも研究者のもたくさん記述がありますが、これはこれで面白かった。

    図書館で「これ全部読めないじゃんか」と本気で不安になるシーンがあって。・・・・・こういう思いって、本読みには共通なのね。 うんうん、わかるよ!

    ワトソンが阿片で酔ってるところで、取り留めもなく混乱し錯綜する情景が、妙にリアル ^^;;

    年末に「坂の上の雲」を見たせいか、ソーセキのお友達、シキについてちょこっと触れているのがやけに気がかり・・・・ちゃんと読もうかな。

  • 最後は、漱石ホームズに謎といてほしかったな!

  • イギリス留学中のナツメさんがシャーロック・ホームズになりきって珍道中!?を繰り広げる話。

    物語や推理を楽しむより、当時の世界観、日本と欧州の違いみたいなものを感じとる話って感じ。

  • 夏目漱石が自分をシャーロックホームズと妄想し、ワトソンと一緒に
    事件解決に扮装する話。
    設定だけならキワモノすぎて手を出さなかったけど、柳 広司はジョーカー
    ゲームがおもしろかったので、信頼して買ってみた。

    ホームズネタ満載でするする読めて面白い。

    そして終盤。
    「裏切り者はあなた」
    「身近な人間にドクター・ワトソンなどと及ばせになって・・・。さぞやお得意なのでしょうね、ドクター・・・いえ、サー・アーサー・コナン・ドイル」
    この台詞に衝撃!
    まさか、「ワトソン」も妄想の人物で、実はコナンドイルだったのか!?
    ホームズも実は存在していなかったのか!?
    (この時点ではホームズは登場していない)
    うおおおおおおおお!
    鳥肌!

    ・・・が、別にそんなことはなく事件解決。
    最後にはホームズも出てきて、そのまま終了。

    え?
    コナンドイルどこいっちゃったの?
    あれはワトソンが薬で朦朧としていた描写で、読者にも現実と夢の境目を
    混乱させるためにやったってこと?
    うーん。
    衝撃が大きかっただけにちょっとがっかり。

    面白かったけどね。

  • 漱石好きのミステリー好きにはたまらない設定。

    かなりボンクラ臭漂うけど、一読の価値はあります!

  • 滑稽な漱石像。
    ホームズを気取る道化という役回りを漱石が担う、斬新な配置。

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著者プロフィール

一九六七年生まれ。二○○一年『贋作『坊っちゃん』殺人事件』で朝日新人文学賞受賞。○九年『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編及び連作短編部門を受賞。同年刊行の『ダブル・ジョーカー』は、『ジョーカー・ゲーム』に続き二年連続で「このミステリーがすごい!」の二位に選ばれる。主著に「ジョーカーゲーム」シリーズ、『ロマンス』『楽園の蝶』『象は忘れない』などがある。

「2017年 『風神雷神 雷の章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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