愛こそすべて、と愚か者は言った (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.37
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本棚登録 : 215
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043832026

作品紹介・あらすじ

始まりは深夜の電話だった-。七年前に別れた久瀬の息子の慶太が誘拐された。犯人から身代金の運搬係に指定されたのは探偵の久瀬だった。現場に向かった久瀬は犯人側のトラブルに乗じて慶太を助けることに成功するが、事件の解決を待たずに別れた妻・恭子が失踪してしまう。久瀬は恭子の行方と事件の真相を追いながら、再会を果たした慶太との共同生活を始めるが…。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルに惹かれた

  • 償いの椅子が素晴らしかったので早速こちらも読んでみました。でも、これの次がもうあれ? 間に10冊くらい書いてないの? というくらいこっちはまだ文章がヘタ…(笑)ヘタって言っても悪い意味ではなくて、書きたいことが多すぎてまとまらなかったんだねという感じ。やはり章立てが短く、ぶちぶち切れるのでページの変わるところにちょうど当たったりして小さく混乱することもしばしば。話はかなりまとまってないし主人公かっこよくないし(そこがかわいいけど)、でもなんでしょう? 作者のこのお話や人物たちへの愛情みたいなものがもうおなかいっぱい、というくらいあふれていてどうしても嫌いになれない。本当は3つかなと思いつつ第1章のできがすごくよかったので☆1個プラス。きっと、ここで初実を書ききれなくて、梢になったんじゃないですかね。

  • 人は存外不器用にしか生きられないのでしょう。

    たとえ器用に生きていると思われても
    その方法はイレギュラーだった挙句に
    最終的には存在概念を
    消し去ってしまった人もいるのです。

    その人にとって、
    人生はなんだったのでしょうね。
    優しく手を伸ばそうとした人はいたけど
    全部その人は払いのけました。

    そしてそう思った復讐の大本の人の前で
    その歪んだ持論は砕け散るわけで。

    ちなみにタイトルは最後まで読めばわかるでしょう。
    なぜあの人物が「どことなく感情がないか」
    の答えがここにあるのです。

  • 読み進めるうちに、マイケル・コルレオーネが浮かんでしまう。何故だろう。

  • 「約束の森」が良かったので、沢木冬吾の過去作読んでみようと、まずはデビュー作を手に取ってみた。さすがに荒っぽい部分も目立つが、熱い小説である。ハードボイルドであり、冒険小説であり、家族小説。

    時に家族小説としての側面が興味深い。「約束の森」では疑似家族が大きなテーマとなるのだが、その兆候はこのデビュー作でもちょっと複雑な過程を経て萌芽している。主人公と息子慶太の親子愛再生の物語がその主軸になるのだが、それだけではなく、引きこもりの従妹との関係や、探偵会社の同僚とも家族同然の付き合いをしているし、敵役の街の顔役とその息子、誘拐事件を追う警察官の家族や同僚との関係、殺人鬼とその相棒…、どこを切り取っても「家族」というテーマがうかがえるのである。

    ハードボイルドに生きようとする主人公の滑稽さ、息をのむアクションシーン。それらもデビュー作にしてはリズムやための技術も、情熱や勢いも含めて読みごたえ満載で見事なのだが、そんなシーンが終わるごと…後半に至っては幕間にすら「家族とは?」テーマの断片がうかがえるようになる。

    ハードボイルドって、しぶく孤独を感じる主人公に共感する小説というイメージがあるが、実は家族小説としての楽しみ方ができる作品が多い。スペンサーシリーズや清水辰夫諸作を例に出せば分かりやすいか。本作も「約束の森」も系譜のハードボイルドなんだと思うし、系譜の中で恥じないオモろい小説である。

    沢木冬吾…、この小説家を今まで知らなかったのはちょっと恥ずかしいが、これから未読策を読むのが非常に楽しみである。

  • この方は一作毎の進化が半端ないので未読の最後が
    処女作とか怖いな、とか思ったのですが読んだら
    何のことはなく面白すぎワロタwwwwwwwwww

  • 沢木冬吾のデビュー作。

    先に「償いの椅子」、最新作「約束の森」と読んできたためか、今作品は随分荒削りな印象。文章も最初は読み辛かった。物語の展開が進んでくると、気分も乗ってきて、最後まで一気読みでした。デビュー作からハードボイルドだったんですね。後半のアクションシーンがお約束のように派手です。何よりも、それと平行して語られる家族ドラマが、先に読んできた2作品同様、魅力的。沢木版ハードボイルドに嵌ってます。

  • 「現代のハードボイルド」ってこんな感じかなあと思いながら読みました。
    昔別れた妻が引き取って育てている息子を誘拐された男が身代金を持って行く、という入りから物語はどんどん思わぬ速度で膨らんでいき、構想力には唸るものの、やや詰め込みすぎて、整理しきれていないんじゃないかと思ってしまったり。
    「すごい話だったな」という印象が、細部を打ち消してしまいそう。
    ある程度の人情味にはあふれているので、プチハードボイルドがお好きな方には良いかもしれません。

  • ハードボイルドだがとにかく長い。

    また、物語の筋が解りづらい。
    もう少し明確にして欲しいです。

    ただ、登場人物たちはハードボイルドで行動的、そして不器用で格好良いです。

  • やっぱりハードボイルド。登場人物多くて若干こんがらがるけど、ラストまでぐいぐい引っ張ってくれます。

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著者プロフィール

1970年、岩手県花巻市生まれ。99年、『愛こそすべて、と愚か者は言った』で第三回新潮ミステリー倶楽部賞・高見浩特別賞を受賞。他の著書に『償いの椅子』『天国の扉』『ライオンの冬』などがある。

「2012年 『握りしめた欠片』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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