ライオンの冬 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.74
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本棚登録 : 186
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043832040

作品紹介・あらすじ

伊沢吾郎、82歳。旧日本陸軍狙撃手。現在は軍人恩給で暮らしながら、狩猟解禁期間には猟をし、静かに暮らしていたが、ある少年の失踪事件をきっかけに再び立ち上がることを決心する……。

感想・レビュー・書評

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  • 大好きなので評価甘いですよ悪いか! 開き直ります(^_^) でも小説としての完成度は償いの椅子を超えていると思う。主人公じいちゃんと孫、舞台は雪しかないような寒村、なのに猛烈にドラマティック! 正直、ある程度読み進んだところで展開は読めます。でもいいの、このお話は想像したとおりに進んでくれるからむしろそれがいいの。
    この作者のいちばん好きなところは、登場人物をすごく大切にしてくれるところです。それに尽きると思います。結構たくさん出てきますが、良くも悪くもほったらかしになる人はいない。ちゃんと振られた役割をこなしている。最近本当にそういう小説が少ないので、それだけでも私には十分価値がありますが…
    この本に関しては人も話もタイトルも本当にいい。なに書いてもネタバレになりそうで書けない(笑)のでとにかく読んでくださいとしか言えないのが悔しいくらいです。冬の夜に読むといいと思います。

  • かつてのフィリピンの森の中での激戦の物語と日本の殺人事件を巧みに組み合わせた。物語の構想は突飛に思えるが、登場人物のキャラをうまく立てて、複雑だが分かりやすい物語に仕立てた作者の力量はたしかだ。

  • フィリピン大統領の隠匿したい過去、戦時中の秘密を巡って、日本東北地方の山奥で繰り広げられる壮絶な死闘…

    背景はそういう話なんだが、この本の核心部は旧日本軍兵士のじいちゃん達とクズチンピラたちの死闘シーンと、じいちゃんの孫の愛情物語である。

    後期高齢者の伊沢と猫田のカッコ良さ、伊沢の孫娘結の健気さとツンデレ感。彼らの敵として現れる連中のクズっぷりとこいつらが狩られていくシーンのスッキリ感。

    沢木冬吾の文章は少々個性的で好みがわかれるが、タメが映える文章が、じいちゃんたちの粘りの戦闘シーンにはしっくり合っていて俺は好きやなぁ。

    孫のために死力を尽くす、俺もそういうじいちゃんになろうと思う。

  • 沢木冬吾に出会ったのは「愛こそすべて、と愚か者は言った」である。第3回新潮ミステリー倶楽部賞、高見浩特別賞を受賞のこの作品を17年ほど前に読んだときなんて男気のあるキュンキュンする作品だろうと思い、又この著者を見つけたら読んでやろう!と張り切っていたのに時間が経つとすっかり忘れてしまってました。

    結構薄情なもので入れ込んでいたこともその作品の中身もすっかり忘れておりましたところ、「償いの椅子」「約束の森」と順々に読める機会に見舞われ、十分に沢木冬吾を堪能することが出来ました。

    今回は「ライオンの冬」
    伊沢吾郎。82歳。旧日本陸軍狙撃手。現在は軍人恩給で暮らしながら狩猟解禁期間には猟をし、静かに孫娘と暮らしていたが・・・

    ある事件をきっかけに次々と闘いの火が巻き起こる!読み始めて半分ほどはクライマックスを盛り上げるための伏線。闘いが始まれば倍のスピードで読みまくりました。盛り上がるまでの話が淡々としているためか少し退屈な気がしますがそれこそ沢木節。これを見逃さずきちんと読まないと最後の感動が薄まります。

    う~読者泣かせです。何冊か読むうちにわかってきました。この端折りたい場面があるからこそのクライマックスなんて映像にするのが難しそうです。本ならではの楽しみ方ですよ。これ。

    特に82歳のお年寄りが主人公。負けるなじいちゃん!負けるな結(孫娘)!等と応援する事しきり。またお年寄りが活躍するのが痛快なんですよね~。そんな年寄りになりたいと思いますね~~。

    さて、そのためには~~ん~~ウォーキングから始めないとですか?(笑)

  • 登場人物たくさん、フィリピン系の名前がたくさん、で大変だったけど、ストーリーは面白かった、と思う。
    最後に髭に現れたのは杷木さん?
    ーーー
    伊沢吾郎、82歳。かつて日本陸軍の狙撃主としてフィリピン戦線で戦った男は、軍人恩給をもらいながら、孫娘の結と山奥でひっそり暮らしていた。しかし、ひとりの少年の失踪事件をきっかけに、雪山は緊迫感に包まれる。伊沢の動向を監視する謎の男たち。複雑に絡み合う思惑……。とらわれた過去を背負いながら、老兵は愛する人を守るため、再び立ち上がった! ベストセラー『約束の森』の著者が描く、強く優しい絆の物語。

  • 期待してたけど特筆するほどのものはなかった。ハードボイルドなのかシリアスでやてるのか微妙。襲ってくる側が甘すぎ。最後の3ページぐらいは面白い。

  • 82才の伊沢吾郎は、孫娘の結と2人でひっそりと暮らしてた。吾郎は元日本陸軍の狙撃兵で、今は猟師として生計を立てている。
    かつてのフィリピンの戦場での出来事をきっかけに、吾郎は謎の男達に監視される。そして彼を守ろうとする組織の男たちも・・・。
    吾郎は大事な物を守る為に、狙撃銃を携え立ち上がったのであった。
    吾郎は温厚な老人で腰も45°に曲がっているが、山で生活している為足腰は強く、元々はひりつく現実の死の匂いの中で命のやり取りをしていた人間、しかも猟師として現役なので、若い者に引けを取らないどころか、ことごとく相手の上手を行き狙撃して行く。学校に行っている孫が帰ってくるまでに何とかしなければ・・・。

    登場人物が非常に多い上に文章(特に会話)がが整理されていないのでとても読みにくく感じる。文章の手触りは嫌いではない為非常に残念。評判になった「償いの椅子」でも感じたがコンセプトを考え出すのはA級。文章は残念ながら僕の中ではB級。
    しかしながら吾郎、孫の女子高生の結、同じ山に住む陸軍時代の部下猫田等のキャラクターがとても良く、ある程度読める展開とはいえぐっと引き寄せられる魅力が有った。

    さてさて固い話は置いといて、吾郎は本当に普通のじいさんで、笑うっと顔がしわしわになって可愛らしく、孫が来てくれた事で胸の中ではウキウキのワクワク。孫の為になら死んでもいいと思っている。孫がくれた手作りクッキーで幸福のあまり泣いてしまうんです。可愛いでしょう。こんなじいさんが最強の狙撃手だというのだから男の中二病をちくちく刺激する事この上なしなのです。

    あー僕はこの文章さえなんとかなれば5点なんですけど。。。

  • 時代背景、描写が想像し辛かったかな。。
    自分のコンディションの問題かも知れませんが。

  • 猫田が痛快。ただ彼の最期があっけない。じいさんが若者やっつける構図はみんなきっと好き。ただ抗争の火種の設定に凝り過ぎてるきらいがある。戦闘シーンの描写がいまいち迫力に欠ける気がした。

  • 2015/2/26
    めっちゃ興奮した。
    ドキドキして早く早くとページをめくった。
    爺さまたちのかっこいいこと!
    おもしろかっただけに最後絵に描いたようなハッピーエンドでもよかったのに。
    結かわいそうやん。
    この後もどんだけ過酷やったか。
    生きて爺さまたちと再会して話をさせてあげたかったよ。
    一人で強くなってかわいそうやん。
    一応最後の最後で杷木と会えたようではあったけど頑張りに対してささやかなごほうびだなぁ

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著者プロフィール

1970年、岩手県花巻市生まれ。99年、『愛こそすべて、と愚か者は言った』で第三回新潮ミステリー倶楽部賞・高見浩特別賞を受賞。他の著書に『償いの椅子』『天国の扉』『ライオンの冬』などがある。

「2012年 『握りしめた欠片』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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