催眠 完全版 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 678
感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043836178

作品紹介・あらすじ

インチキ催眠術師の前に現れた不気味な女性。突然大声で笑い出しては、自分は宇宙人だと叫ぶ彼女が見せる予知能力は話題となり、日本中のメディアが殺到した。その頃、二億円もの横領事件の捜査線上には、ある女性が浮かび上がっていた。臨床心理士・嵯峨敏也が、催眠療法を駆使して見抜いた真実とは?衝撃のどんでん返しの後に感動が押し寄せる、松岡ワールドの原点が、最新の科学理論を盛り込んで完全版となって登場。

感想・レビュー・書評

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  • 大人しい女性が急に、自分は宇宙人だとか言い出したり、勝気な女性になったりとかするのをインチキ催眠術師が利用して金儲けをするが、銀行の金を着服したとの疑惑が持ち上がってくる。臨床心理士の嵯峨敏也は彼女を助けようと奮闘する。最初から、この女性は多重人格者ということはすぐ分かるのだが、一体どうやって彼女の精神疾患を治療するのか、着服の疑惑を晴らすのかと読み手の興味をぐいぐい引っ張っていく。最後にはどんでん返しがあって、結構面白いのだが、なんだろうなあ、文章がするすると読めてしまって、なんか空虚感が残る。松岡圭祐の小説はどれもそうなのだが、ときどき読んでしまう。シナリオ通りに話が進みすぎという感じも拭えない。

  • 殺人がないミステリー。練り込まれてるストーリーで後半は読んでいてスッキリの連続。最後のどんでん返しはお見事でした。大満足。

  • 多重人格障害もののミステリー。殺人はない。読みやすいので他の作品もよんでみようと思う。

  • 今でこそ、催眠(術?)って言葉が、心のケアに効果的ってのがわかるけど、この本が最初にでた1990年後半は、なんかばかばかしいイメージが確かにあったなと。。。 で?愛子が?!!! 犯罪者にされそうな入江由香を嵯峨さんが助けることができるのか??(できるんだろうけど、どうやって?) いそいそと読み進めたら、なかなか衝撃的! いろんな結果がちゃんと書かれてないのが、いいんだろうけど ちょっとだけ、物足りないかも((+_+))

  • 4月-14。4.0点。
    デビュー作の大幅な改稿。多重人格症の女性を救おうとする、臨床心理士。
    面白い。読みやすいし。
    ラストも、どんでん返しあり。

  • サイコパスが犯罪を犯していくというミステリーとは一線を画す、サイコパシーそのものの謎がミステリーになっている。科学的な知見に基づいて書かれていて、地味といえば地味なのに、面白く読ませるのはさすが千里眼シリーズの作者だなと思う。大幅改稿で変わったと呼ばれるラストのオチは、一瞬訳が分からなくなり、次の瞬間「え~!?」っとなるくらい予期できなかった。これを見抜いていた人がいたら凄いと思う。

  • 1997年に刊行された同タイトルのリメイク?修正版?と
    いうような位置付けらしい。
    原著は読んでいないので、どう修正されたかはわからないが、2019年に読んでも違和感がないので、大幅に加筆修正されていることが伺える。(似たようなことを解説でも述べられているが)

    本作はインチキ催眠術師の実相寺のもとへ入江と名乗る女性がやってくることから物語が始まる。
    「猿にかけられた催眠術を解いてほしい」という荒唐無稽な依頼を金銭目当てで引き受けるが、入江には込み入った事情がありそうで…という話。

    物語の主人公である嵯峨は非常に優秀なカウンセラーであり、物語の随所で現代で判明している科学や医学的な見地に基づいた心理学の理論を説明してくれる。
    胡散臭いエンターテイメントとしての催眠術、心理学ではなく、学術的、医学的な心理学をミステリーとして取り込んでいる作品は珍しく興味深く読めた。

  • 主人公である嵯峨敏也は、臨床心理士としての使命を強く持っているプロである。
    テレビで見かけたチャネラーの様子が気になり、つい自分で出かけて行ってしまうところは若さゆえといったところだろう。
    完全版しか読んでいないので、以前の物語とどこがどう違うのかはまったくわからない。
    内容的に大きく変更があったことだけは、あとがきから察せられたけれども。
    いくつもの名前を名乗り、それぞれの記憶は共有されることはない。
    入江由香という女性にとって、向き合うことも辛いほどの現実から逃げるための「緊急避難」的な症状だったのだろう。
    それでも、自分の知らない自分がいることはきっとものすごく怖いことだ。
    記憶がない間、いったい自分はどこで何をしていたのか。
    不安でたまらないに違いない。
    誰が見ても怪しげな自称催眠術師の実相寺に助けを求めたのは、彼女にしてみれば必死の覚悟があってのことだったのかもしれない。
    精神は目に見えるものではない。
    傷があっても確かめることはなかなか出来ないし、一般的にそれほど理解のある分野でもないだろう。
    普通の人と何かが違う。
    そのことを認めたくない家族や周囲の無理解が、傷をさらに深くしていくこともあるのかもしれない。
    何となくだけれど、精神医学というのはわかりにくい。
    わからないから余計に敷居が高くなる。
    相当に病状が進まなければ医療機関を頼ることは難しいだろう。
    この分野についての知識は欠片もなかったけれど、とても読みやすかった。
    残りのシリーズ2作品も続けて読んでみたい。

  • 騙されたなあ。でもそれだけかも。

  • 地の文の“小宮愛子は上司の嵯峨に〜”という表現が気になりました。

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著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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