万能鑑定士Qの事件簿X (角川文庫)

著者 :
制作 : 清原 紘 
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.81
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本棚登録 : 1752
レビュー : 172
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043836512

作品紹介・あらすじ

凛田莉子は3年前のことを思い出していた。「万能鑑定士Q」を開業したものの、人を疑わない天然の莉子は騙されてばかり。身につけた知識を活かせず、経営も惨憺たる有様だった。見かねた恩人・瀬戸内陸は、門外不出の思考法を莉子に授ける。それは莉子の知性を飛躍的に高め、比類なき推理力を獲得させる重要なキーだった。莉子はなぜ、難事件を解決できるほど賢くなったのか。いま全貌があきらかになる。書き下ろし「Qシリーズ」第10弾。

感想・レビュー・書評

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  • 過去にタイムスリップした感じ。瀬戸内さんの助言もあって莉子を鑑定士というか経営者になっていくストーリーはとても面白かった。

  • 凛田莉子は3年前のことを思い出していた。「万能鑑定士Q」を開業したものの、人を疑わない天然の莉子は騙されてばかり。身につけた知識を活かせず、経営も惨憺たる有様だった。見かねた恩人・瀬戸内陸は、門外不出の思考法を莉子に授ける。それは莉子の知性を飛躍的に高め、比類なき推理力を獲得させる重要なキーだった。莉子はなぜ、難事件を解決できるほど賢くなったのか。いま全貌があきらかになる。

  • 凜田莉子の過去編ということでまだ鑑定士としても半人前な彼女を見ることができた。
    冒頭の頼りなさぶりから一転、ロジカルシンキングを身に着けてからの怒涛の展開に先が気になり、一気に読んでしまった。
    瀬戸内の葛藤もよく描写できていた。

  • 読書録「万能鑑定士Qの事件簿10」3

    著者 松岡圭祐
    出版 角川文庫

    p9より引用
    “そもそも電子マネーは、企業の提供する決
    済サービスに過ぎず、法的な通貨ではない。
    通貨価値に基づいたデジタルマネーである以
    上、インフレの影響からは逃れられない。”

    目次から抜粋引用
    “終焉
     出戻り
     打ち上げ
     証拠隠滅
     無謀なる航海”

     多方面に対する膨大な知識を駆使する美人
    鑑定家を主人公とした、長編ミステリ小説。
     日本を混乱に陥れたハイパーインフレ、そ
    の原因となった重要参考人が確保された。平
    穏に戻るであろう世間にあって、しかし、主
    人公・凜田莉子は複雑な気持ちでその様子を
    見送っていた…。

     上記の引用は、ハイパーインフレ時に資産
    を電子マネーに逃がそうとしたことに対して
    の一節。管理する側がやろうと思えば、いく
    らでも数字がいじれるであろう電子マネーは、
    資産の運用先としていかがなものだろうと思
    うのですが…。今は宣伝も多く流されていま
    すが、便利な物に頼りすぎないようにしてお
    いたほうが、いいこともあるのではないかと
    思います。
     主人公が明晰な思考力を身につける、成長
    段階の話が描かれています。主人公への思い
    入れを深めるためには、読んでおきたい一話
    ではないでしょうか。主人公の師とも言える
    人物が、その思考法のコツについ解説する場
    面も書かれているので、何かの参考になるか
    も知れません。

    ーーーーー

  • 過去を振り返りつつ進められていくところが新鮮.ここから始まった! というような.

  • 2015/12/24

  • 瀬戸内陸って莉子の中で大きな存在なんだなと、改めて感じさせる一冊です。親が子を導くように、自分の詐術を見破る存在にならないだろうかひやひやしつつも導く瀬戸内店長に、罪人だけど人間味をすごく感じました。

  • 〇 総合評価
     10作目に,最初のエピソードの後日談と,凜田莉子が初めて解決した事件についてのエピソードを持ってくるという設定は,面白い。有機的自問自答と無機的検証というシンプルな思考法で,莉子が論理的な考え方を身に着けていく様も描かれている。
     作品としては,レシティアという美容院の経営譲渡をめぐる裁判と,エメラルドの密輸という二つの事件が描かれており,いずれもトリックは小粒。長編というより短編のネタ。しかし,その軽いネタを扱いながら,ハイパーインフレ騒動を起こす前の瀬戸内陸の内面の様子を描き,ハイパーインフレ騒動の後日談がさらっと描かれている。
     10作目として,莉子が探偵としての能力を開花していく様子と,1作目の後日談を描く総括的な作品。個々の謎とトリックの弱さはあるが,全体的な話の完成度は高いと思う。★4で。

    〇 サプライズ ★★☆☆☆
     レティシアという美容院をめぐる事件の真相は,顧問弁護士が長い時間を掛けて2つの社印を用意していたというもの。ミスディレクション的な解決がなく,これ以外に存在しないという真相なので,意外性は低い。エメラルドの密輸事件の方は,金庫をミスディレクションとして,一度捜査させた緑色の液体の中にエメラルドを隠すというもので,これも隠し場所としては面白いがサプライズはない。サプライズは低め。

    〇 熱中度 ★★★★☆
     有機的自問自答と無機的検証という考え方で,いくつもの論理パズルを解きながら莉子が成長していく様子はとても面白い。前半のレティシア事件と,後半のエメラルド密輸事件と,2つのちょっとしたエピソードをスピーディーに捜査・解決していく展開は飽きさせない。小粒ながらなかなかのデキ。熱中度は高い。

    〇 インパクト ★★★★☆
     凜田莉子が独立後,急激に成長していく様子はインパクトがある。莉子が最初に解決した事件について描かれているのもインパクトがある。また,最初のハイパーインフレ騒動の後日談がさらっと描かれているのもいい。総合的に見てインパクトはある。

    〇 キャラクター ★★★★☆
     笹宮麻莉亜と朋季の二人がいいキャラクターである。ほかのキャラクターも相変わらず,生き生きと描かれている。ハイパーインフレ騒動を起こそうと思っている,瀬戸内陸が,莉子を育てながら,自分の計画の実現のための最大の障害を育てようとしていると葛藤している内心が描かれているのもいい。

    〇 読後感 ★★★☆☆
     ハイパーインフレ騒動の後日談や,莉子の成長の軌跡が描かれており,ラストは10作目としてこれまでの総括みたいになっている。読後感は悪くない。

    〇 希少価値 ☆☆☆☆☆
     人気シリーズ。希少価値はない。

    〇 メモ
    〇 プロローグは,ハイパーインフレ騒ぎの終焉,2巻の直後。瀬戸内陸が重要参考人として確保されるシーン。莉子と工芸官の藤堂とのやり取りが描かれる。
    〇 3年前,万能鑑定士として独立したばかりのシーンが描かれる。壺を割ってしまったり,清掃の契約を結ばするなどの失敗が続く。
    〇 瀬戸内陸は莉子に有機的自問自答と,無機的検証を教える。
    〇 美容室チェーンのレティシアの笹宮麻莉亜と朋季が警察を訪れる。ダルメという会社が,レティシアの全店舗を無償で譲るという契約書を持っているという話。既にワイドショーなどで取り上げられ,民事訴訟の最高裁での判断が間近な状態である。
    〇 有機的自問自答と無機的検証の具体的なレクチャー。有機的自問自答は,理由を一つに絞ること。無機的検証は,それが終われば全てが終わりか否かを検証することである。物事は聞いてすぐに書くのではなく,要点を絞って図式化して書く。
     =は同列,VSは対立,→は前を受けて順当に導き出される結論
     有機的自問自答VS無機的検証。この二つはいずれも大切なことである。
    〇 レティシアとダルメの裁判。レティシアの顧問弁護士は神条康仁。争点は押印が真正。裁判はレティシア側が不利な状況である。
    〇 A,B,Cがいて,本当のことを言うのは一人。Aは,Bがウソつきだと言っている。このことから導き出される結論は?
     A=本当 → B=嘘つき C=嘘つき
     A=嘘つき → B=本当 C=嘘つき
     Cが嘘つき
    〇 笹宮麻莉亜と朋季がかつてレティシア水道橋店があった莉子の店に来る。鑑定の依頼
    〇 莉子と笹宮親子の出会い。印鑑の鑑定では役に立てなかったが,店で打ち上げを行い,親しくなる。
    〇 莉子による捜査。情報を集め,氷室に協力を依頼する(氷室との出会い)。莉子は,弁護士の神条が,印鑑をすり替え,同じ癖のある印鑑を2つ用意していたのではないかという推理をする。しかし,過労で倒れ,裁判には出頭できない。判決は,レティシアの敗訴
    〇 莉子による再度の捜査。捜査対象は神条。神条が残したメモから横浜大桟橋で積み込みがされることを知る。豪華客船を利用したエメラルドの闇取引をしている暴力団と関係があることが分かる。
    〇 神条の悪だくみを暴くために,瀬戸内の力を借り,莉子と朋季はアレクサンドリーヌ号に乗り込む。
    〇 アレクサンドリーヌ号内でのエメラルドの取引きの現場がある。捜査の結果,怪しげな金庫が見つかる。この金庫が開けられるか。日本の領海を出る3日後までが捜査のデッドライン
    〇 ギリギリのところで莉子が真相に気付く。金庫がダミー。エメラルドは,メロンソーダだと思っていた液体の中に隠されていた。
    〇 ダルメと暴力団の関係が明らかになり,笹宮麻莉亜はレティシアを取り戻すべく,係争を続ける。朋季は美容師の仕事をするために海外へ。
    〇 3年後,ハイパーインフレ騒動の解決直後の時制へ。瀬戸内陸,楓と莉子の会話
    〇 西園寺事件の回想,雨森花蓮の視点からのハイパーインフレ騒動が描かれ,最後は,モナ・リザ展の後のシーン。朋季に髪を切ってもらっている莉子のシーンでエンド

  • 高校時代ずっと落ちこぼれだった莉子がどうやって万能鑑定士としてのスキルを身につけたのか。
    その過程が描かれている物語である。
    思考方法を変えるだけで莉子のように誰でもなれるとは思えない。
    きっとある程度の素質がもともと備わっていたということだろう。
    莉子が成長していくにつれ、瀬戸内は複雑な思いになる。
    万能鑑定士として優秀になっていけばいくほど、これから起こそうとしている瀬戸内の目論見が失敗する確立が増えていくだけなのだ。
    自分の手で対抗勢力を育てている・・・莉子のことは娘のように思っている。
    だからこそ、瀬戸内は莉子の成長を喜びながらも暗い気分になるのを止めることができない。
    社印をめぐって詐欺にあった美容室。
    そこで知り合った朋李に莉子は淡い思いを抱く。
    事件が解決し、日本での就職が難しいと感じた朋李は海外へと旅立っていく。
    推理していく過程も面白かったけれど、小笠原の存在を知っている身としては微妙な感じもした。
    雨森華蓮が始めて莉子の名前を知る場面も登場する。
    ハイパーインフレ騒動を治めた人物を調べさせた結果、凛田莉子の名前があがってきたのだ。
    そして、西園寺の騒動にも莉子が絡んでいることを知る。
    最大のライバルは、こうして莉子の知らない間に「万能鑑定士」の名前を記憶することになったのか・・・と納得する思いがした。
    「万能贋作者」に対抗しうる「万能鑑定士」の存在。
    華蓮が気にかけないはずはない。
    ラストに登場する朋李との再会場面。
    髪を切ってもらう莉子に「彼氏ができた?」と尋ねる朋李。
    うろたえながらも、「わかんない」と答える莉子。
    けれど、その姿は落ち着いている。
    安定した精神状態にあるのは、もしかしたら小笠原の存在が少しだけ関係しているのでは?とほほえましくなった。

  • 劇的でハラハラする展開だった。
    1巻から読み進めての10巻。この過程があっての今があると思うと面白い。
    有機的、無機的~の思考は役に立ちそう。

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著者プロフィール

松岡 圭祐(まつおか けいすけ)
1968年生まれの作家。1997年に出した小説デビュー作『催眠』がヒット作となりシリーズ化される。1999年の『千里眼』も人気を博し、シリーズ化。
一番著名なのは『万能鑑定士Qの事件簿』をはじめとした「Qシリーズ」で、「面白くて知恵がつく 人の死なないミステリ」というキャッチコピーで人気を博し、映画化された。

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