テロリストのパラソル (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
3.80
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本棚登録 : 1100
レビュー : 163
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043847013

作品紹介・あらすじ

新宿に店を構えるバーテンの島村。ある日、島村の目の前で犠牲者19人の爆弾テロが起こる。現場から逃げ出した島村だったが、その時置き忘れてきたウイスキー瓶には、彼の指紋がくっきりと残されていた……。

感想・レビュー・書評

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  • 面白いんやけど、読むの時間かかる…たまにあるな。こんな感じ。
    ミステリー要素もあるけど、ハードボイルドって感じやな。

     主人公:アル中のバーテンダー
    紅一点:ツンデレ(元同士の娘)
    もと警察官のヤクザ
    学生運動からの同士の爆弾魔
      その他色々…

    それぞれ個性的な登場人物。
    解説ではキャラ立ちしてるって。

    学生運動って言っても、今の人は分からんな。という私もあんまり分かってないけど。

    その頃にやってもうた事で、姿を隠して20年、酒飲んで、のんびり公園で寝てたら、爆弾がボ〜ン!
    爆弾テロやん!犠牲者には、昔の馴染みが何人も!
    おかしい!犯人探すで!物語スタート!
    ヤクザとは思えん浅井。主人公島村との会話は知的な感じで良い。この2人のタッグはなかなかでした。
    でも、直木賞と江戸川乱歩賞の同時受賞の作品なんで、少し期待値高過ぎたかもしれん…

  • この『テロリストのパラソル』の冒頭数ページを読んだだけで「ああ、これは好きな小説だ」となりました。

    アル中の中年バーテンダーの島村は朝起きると、いつも通り公園に行きウイスキーをいれたカップを傾ける。そんな島村を見つめる一人の女の子。会話の流れから、女の子がバイオリニストを目指していることが分かり「わたし、バイオリニストになれると思う?」とその子は問う。「なれるかもしれない。ツキに恵まれたなら」と島村は返し、そして女の子は……

    昼間からアルコールの臭いを漂わせているため、世間の人からは白い目で見られることの多い島村。そんな島村が無垢な女の子との会話から思った世界のこと。そして淡々と無骨ながら、どこか色気やリズム感のある島村の語り口と、彼の視点から描かれる日常世界。そして最初の少女とのやり取りで浮かんでくる、彼の人間性や人生観。

    派手ではないけれど、文章や場面、人のやり取りや会話、思考、すべてがいいふうに自分の中で受け入れられた最初の場面。後は流れに任せて、一気に読むだけだった気がします。

    女の子との会話は静かなシーンでしたが、そこから一転、物語は一気にギアがかかります。その直後、公園で起こった死者19名の爆破事件。そして島村の元に現われるヤクザに、元交際相手の娘。そして死者の中にいたのは、大学時代の島村の友人。そして警察は島村の過去から、爆破事件と島村の関係を疑い……

    爆弾事件の犯人捜しの物語の本筋はもちろん、そこにヤクザや警察からの逃走劇というサスペンスも加わります。そして事件の展開も読ませる。事件は徐々に闇社会の奥深くに入っていく一方で、島村個人の過去とも密接に関わってきます。

    島村以外の登場人物たちも魅力的です。なぜか島村を気に入り、事件に入れ込むヤクザの浅井。事情があり、カタギからヤクザへ鞍替えした彼の矜持。一方で島村との関係性は、立場や損得関係を越えたバディものの雰囲気があって、しかし一方でこの浅井もまた事件と密接に関わってきて、この関係性はもちろん、先が読めない展開も面白かった。

    作中に登場し、島村に協力するホームレスたちもよかったなあ。それぞれ詳しく書かれるわけではないけど、会話などのやり取り、そして事件や物語の展開で、彼らにもそれぞれの人生、プライド、矜持といったものを抱えて、泥臭く生きていること、そして人生の哀愁も感じさせます。

    島村と友人の桑野の回想の場面も良かったです。時代背景もあって、彼らの青春はかなり特殊なのですが、お互いがお互いに一目を置き、そして構築された唯一無二の友人関係が魅力的。完全に理解しきれるか、といえば微妙なのですが、その描写のみずみずしさは、なにか懐かしい気持ちにさせる力があるような気がします。

    そして真犯人もなんだか憎み切れない。カリスマ性というか、彼の抱えた闇と空白、社会の不合理や矛盾、そして嫉妬。改めて設定を考えると、なかなかのとんでも設定ですが、それを無理と感じさせない、スケールの大きなキャラでした。それがなんだか惹かれる理由なのかもしれません。

    粋な会話や文章、なかば世間から隔絶しているような男主人公、ヤクザや闇社会、男の友情、そしてなぜか主人公はモテる(笑)と話や設定、キャラは今から見ると古さを感じます。ただその古さは、アンティークのようなもので、古さを感じるからといって、まったく出来に影響するものではないと思います。

    そして良い意味で男くさい、男のロマンが詰まったハードボイルドだった気もします。本格ミステリや最近のキャラミステリも面白いけど、こういう良い古さと、男くさいロマンが詰まった話も面白いのだなあ、と改めて感じました。

    第114回直木賞
    第41回江戸川乱歩賞
    1996年版このミステリーがすごい! 6位

  • 面白かった。アル中でバーテンダーの主人公島村と奇妙なヤクザ浅井のキャラクターと関係性が魅力的。読み応えのあるハードボイルドミステリー。

  • 図書館で借りて読んだのはかなり昔のこと。
    こんなにおもしろそうで、直木賞と江戸川乱歩賞の両方を獲っていて、でも、印象に残っていない?
    なぜだ……自分に問いたい。
     
    最近読んだ本の中では「犯罪者」に似てるかな。

  • 2016.0214
    最後まで楽しめたが、中盤位までが特に面白かった!
    たくさんの登場人物で若干混乱したが、人物を書くのが上手いのでよい。

    主人公とヤクザの浅井のキャラが秀逸!

    しかし、乱歩賞と直樹賞のW受賞はサービス良すぎる気がした。

  • いわゆる日陰者…。
    理由あって名を捨てて生きてきた
    古いタイプの男が
    巻き込まれた事件の真相に迫る。
    頭は切れるは、腕も立つ。
    女ゴゴロがわからない鈍感さは
    何とも微笑ましいが
    こんな男に、少し憧れる。
    はねっかえりの娘キャラが
    愛おしく思うのは
    自分も歳を取ったからなのだろう…。

  • アル中のバーテン・島村圭介はある土曜の朝、新宿の公園で爆弾テロに遭遇する。容疑者として指名手配されながら真相を追うことに









    地の文が若干重いきらいはあるものの、会話文が軽快かつインテリで読みやすく、なによりキャラが立っていて引き込まれる。アル中の指名手配中の中年が主人公って中々見かけない。

  • <あらすじ>
    ある土曜の朝、アル中のバーテン・島村は、新宿の公園で一日の最初のウイスキーを口にしていた。その時、公園に爆音が響き渡り、爆弾テロ事件が発生。死傷者五十人以上。島村は現場から逃げ出すが、指紋の付いたウイスキー瓶を残してしまう。テロの犠牲者の中には、二十二年も音信不通の大学時代の友人が含まれていた。島村は容疑者として追われながらも、事件の真相に迫ろうとする――。小説史上に燦然と輝く、唯一の乱歩賞&直木賞ダブル受賞作!

  • 史上唯一の、直木賞&江戸川乱歩賞ダブル受賞作!
    新宿に店を構えるバーテンの島村。ある日、島崎の目の前で犠牲者55人の爆弾テロが起こる。現場から逃げ出した島村だったが、その時置き忘れてきたウイスキー瓶には彼の指紋がくっきりと残されていた……。

    エンターテイメント性が強い作品。キャラクターがそれぞれ個性があって面白い。多少ご都合主義ではあるかなと思うけれどそれがまた良い。テンポが良いのでスラスラ読めました。
    島村はアル中でのらりくらり生きているが、かっこいいおっさん。頭のキレはずば抜けている。浅井も仁義を大切にするかっこいいおっさん。この二人のタッグが何とも言えないくらいスカッとする。
    番外編で浅井の警察官時代と菊池、桑野、園堂の1969年時代の話を書いてほしいなと思う。
    著者の方は早くに亡くなられているので非常に残念です。

  • 登場人物達がとても密接に絡み合い、様々な偶然と思惑、嘘が物語を構成していて、面白いハードボイルド作品でした。
    まあ、オチというか犯人と結末は当初の予想通りだったかなぁと。

    学生運動に関わる当時の主義、熱気なんてものは当事者でないとわからないだろうと思うけど、この作品を読んで改めてその辺を勉強したいとも思った。

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著者プロフィール

1948年大阪府生まれ。1973年東京大学文学部仏文科卒業。1995年『テロリストのパラソル』で第41回江戸川乱歩賞を受賞。『テロリストのパラソル』は1996年、第114回直木賞も受賞した。

「2007年 『テロリストのパラソル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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