ひまわりの祝祭 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043847020

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに読んだハードボイルド小説。読み始めて早々、序盤から読むのが苦痛で何度も挫折しかけた。読むぞと意気込んでみても1日数ページしか進まない。毎日その数ページを繰り返しやっとのことで中盤を乗り越えた辺りから物語は動き出す。これぞハードボイルド小説。総評としは、面白かったです。

  • 妻の死後、なにもかも捨てたような暮らしをしていた主人公

    かつての同僚が訪ねてきたところから時間が動き出す。

    妻の死の謎
    8枚目のゴッホの「ひまわり」は本当にあったのか

    ミステリとしてが、ちょっと無理やり感はあるけれど
    ハードボイルドとしては登場人物が魅力的。

  • 文章はきれいでした。前半の割には最後の展開が激しすぎかな?

  • 高校時代からの付き合いの最愛の妻に自殺され、唯一の才能であった絵画やデザインをやめて、銀座の済のボロ家で貯金を食いつぶす秋山。そこへ元上司の村木が「この金を今すぐスってほしい」と500万円を持ち込む。向かった先のカジノで出会った女性から、妻の死についての情報の断片が持ち込まれる。妻はファン・ゴッホの『ひまわり』の秘密を知っていた…?

    藤原伊織のハードボイルドにつきものの超人主人公ではない、ちょっと変わった38歳の男である。もちろん、ギャンブルの才能が超人的で、射撃の腕も有る。しかしそれらをそれほど活かすこともないのが珍しい。

    ファン・ゴッホ(作中で、"ゴッホ"とかくなということなので)の『ひまわり』は、現存する7枚だけでなく、たくさん描かれていた可能性を描いていくわけだが、絵画に対する知識や調べたこと以上に、作者の好みが描かれているのは、この手の作品には珍しいであろう。参考文献も多数で、きちんと調べられているので、美術系に詳しい人ほど楽しいかもしれない。

    一方で、主人公秋山の生活にこれと行った目的もなく、身寄りがないために人質に取られたりということもほとんどないことから、ストーリーの展開が遅い。特に後半で、原田たちとの会話中心の部分はわかったようなわからんようなという話が続く。多分執筆の集中力が切れてたんじゃないかな。こちらも寝不足で読んだので頭に入ってこなかった。

    ハードボイルド作品であるので、謎解きや結末はまああんまり気にするほどではないが、ただ思わせぶりな話になってしまった後半はイマイチだな。

  • 個人的には今一歩のハードボイルドミステリー

    ハードボイルドだからかもしれませんが、会話がくどい。
    さらに、前半では何がなんだかわからない状態で物事が進んでいくのが耐えらず、かなり退屈してしまいます。これ以上続いたら、読むのやめようと思うぐらい..しかし、後半戦はようやく話が盛り上がって、話の全貌が見えてきて、どんどん読み進めることができました。
    前半なくていいのに(笑)

    基本的にストーリとしてては、ゴッホの8枚目のひまわりの行方と、主人公の奥さんの自殺の真相といったところかなと思います。そして、衝撃的な結末。

    これに出てくる登場人物がまたまた個性的!、もちろん、くたびれた主人公、ゲイの知的格闘家、好奇心旺盛な娘、やくざ、義理の弟、新聞配達の青年などなど。
    登場人物の人間関係がこれまた、こんがらがりそう

    前半はまだしも、後半のスリリングな展開は2時間ドラマでみてみたいところ。
    ということで、前半の退屈さで★減点。

    やっぱり、さくさくっとストーリが展開する物語系が好き(笑)
    ハードボイルドの独特の言い回しは自分には不向きかな。

  • 妻が自殺してからデザインの仕事をやめて隠居状態だった僕は
    かつての上司である村林から五百万をギャンブルですってくれという
    風変わりな頼みを受けた。
    連れて行かれたカジノには村林の顔見知りである老人と
    死んだ妻にそっくりの女がいた。
    女は僕を追って来たので妻のことやなぜそこにいたのか尋ねたが
    彼女は何も知らされずに老人につきそってきただけのようだった。
    そうして家に帰ってみれば自宅の戸口が破壊され
    監視の車がうろうろしている。
    さらにカジノのマネージャーであった男が接触してきた。
    彼らは別々の組織だが狙いはどうやら妻が見つけた八枚目のひまわりらしい。
    しかし僕はそのことについて何も聞かされていないのだ。
    カバーデザイン:片岡忠彦The Bridgeman Art Library/AFLO

    ファン・ゴッホの八枚目のひまわりを巡るサスペンスです。
    前半はなんとなく村上春樹っぽい印象でした。
    主人公の何事にも関心を抱かない感じとか謎の女の登場とか。
    でもストーリー展開がはっきりしているから純文学ではないのかな。
    後半はいろいろな人間関係が明らかとなって
    だんだんこんがらがってきましたが落ち着くべきところに着地しています。
    英子がいい女すぎるのが現実味にかけるかも。

  • 藤原伊織の作品には絵画・絵の話がよく出てくる(ダナエ・シリウスの道)

  • 気に入った作家さんの作品は古本屋で見つけるととりあえずまとめて買っておく癖があります。そして気が向いたときに読むのですがふと気づいたら同じタイトルが2冊ありました…。しかも同じ日に買ったらしい。アホじゃないか、私。

    それはさておき。
    この方の書く主人公は本当に独特ですね。厭世感に満ちているというか…でも決して無関心・無感動なわけではなく。今の世の中で一番信仰されている「カネ」と言う神を無視出来るなかなか凄い主人公です。
    ラストはちょっと納得できかねたので残念です。

    絵画を投資に使うということについてどうなんだろう…と思ってましたがまあこういう考え方もあるんだなあと思いました。

  • 前作程サクサク読めるわけでも、スリルが味わえるわけでもないのですが、落ちついて読める感じの作品でした。
    主人公の幼稚さがいろいろな人にやたら指摘されてて、若干違和感が・・・
    ラストはえー・・・って感じでした(笑)
    まああのラストも、主人公の幼稚さゆえなのかな。
    世界的な文化遺産なのに・・・
    テロリストのパラソルと設定が似すぎているような気がしました。

著者プロフィール

1948年大阪府生まれ。東京大学仏文科卒。85年「ダックスフントのワープ」ですばる文学賞を受賞。95年「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞、同作品で翌年直木賞を受賞。洗練されたハードボイルドの書き手として多くの読者を惹きつけた。2007年5月17日逝去。

「2023年 『ダナエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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