GO (角川文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043852017

作品紹介・あらすじ

広い世界を見るんだ-。僕は"在日朝鮮人"から"在日韓国人"に国籍を変え、民族学校ではなく都内の男子高に入学した。小さな円から脱け出て、『広い世界』へと飛び込む選択をしたのだ。でも、それはなかなか厳しい選択でもあったのだが。ある日、友人の誕生パーティーで一人の女の子と出会った。彼女はとても可愛かった-。感動の青春恋愛小説、待望の新装完全版登場!第123回直木賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 「円の外には手強いヤツがいっぱいいる。」
    「ぶち破れ、そんなもん。」

    10代でこのフレーズを聞いた。

    仕事をしていく中でこの言葉の
    意味に気付いた気がする。

    自分を高めようと思えば、
    チャレンジが必要であり、
    最初はやっぱり勝てなくて、
    悔しくてバカらしく感じて、
    円の中に閉じこもろうとしてしまう。

    けどぶち破ってチャレンジを繰り返すことで、
    また新しい自分に出会えることを知った。

    部下への共有のメールで、この文章を
    送ったことがある。

    今は異動して上司部下の関係じゃなくなったけど、
    彼ら彼女らが、円をぶち破って、成長することに
    期待している。

  • 在日外国人が恋愛をする物語。
    主人公の杉原がとにかく愛おしい。真っ直ぐで、正直で、でもどこか不器用で。
    日本で生まれ育ったのに国籍が違うからと差別されても、自分が好きなものは好きと貫き通して周りの目は気にしない杉原。カッコイイです。

  • カッコイイ‼︎

    僕が今まで観た、読んだ、ラブストーリーの中では一番。

    ケンカのシーンも多いが、スカッとする。

    でも、この作品の一番のテーマは、

    「アイデンティティ」

    「正一」が巻き込まれるシーンや、「杉原」の葛藤は全てそこから。

    娯楽作品でもありながら、かなり深さも感じる。

    「杉原」、「オヤジ」もカッコイイし、「桜井」役の柴咲コウもぴったり。

    原作も映画も両方いい。文句なし。

  • 青春恋愛小説ですが、民族差別などのテーマが描かれています。
    国籍にこだわることがいかに無意味なことかと思いました。
    (確かに困った国や団体はありますが・・)
    国籍や宗教によって 大勢で少数を排除するような世の中はよくなるはずがないと思います。
    世界中の一人一人に平等に人権が認められる世の中になって欲しいと思います。

    大切な事は 自分は自分。
    大きな世界の中で生きていくことが大切だと感じました。

  • 私は本当にこういう事に無知だから、日本ではない国籍の方たちが日本でどういう状況にあるか想像すらした事がない。

    そういえば学生の時に一緒に遊んでいた友達が僕と同じく朝鮮から韓国に国籍を変えていた。理由を聞かなかった事が良かったのか悪かったのか…一緒に遊ぶのに国籍なんか気にしなかったから。

    杉原と桜井に明るい未来がひらけますように。

  • 最後の 行きましょう って部分で、この人は1人ではなくなったんだと感じました。
    登場人物がみんな弱く強い人たちで素敵です。

  • 僕もお父さんも不器用だけど、情に厚くて、どこかキュートで、魅力的な人物だった。
    語り口がとても読みやすくて面白くてスイスイと進んでしまった…!

    今でこそ色々な場所と行き来が増えて、色んな人との繋がれるようになって、それはそれでまた新しい問題が出てきたりしているけど(問題がゼロになることなんてないんだろうけど)、この頃はとにかく自分たちが正しくて、他を受け入れると色々な不都合が出てくるから、差別が存在して、巻き込まれて苦しむ人がたくさんいたんだなあと思う。

    友達の正一と僕の会話は賢くもあり、温かさを感じることもあり、ずっと見ていたいなと思った。
    お父さんも息子が大好きで、守ろうとしている気持ちが伝わってきたし、僕も反抗しながらも父のかっこよさを感じていることかあつかった…。

    僕の恋も、どこかで通じ合っている2人がとても素敵だった!
    読んだのは学生の時だったから10年以上も前になるけど、今回もとっても面白かった〜!

  • 済州島で生まれたオヤジが、貧乏人にやさしい(はずの)マルクス主義を掲げる朝鮮籍を選択、辛酸を嘗め紆余曲折を経て<在日韓国人>となり、オフクロとの間で日本で生まれ育った<僕>の波乱と感動の青春グラフィティ。民族学校の小中一貫教育のなかで「偉大なる首領様」は、民族団結のための教祖様として、盲目的な忠誠心を押付けられた。「なんかおかしい」と思いながらも、それが当たり前のこととして受け入れてきたが、友人の誕生パーティで出会った日本人女子学生との恋情を交え、国籍に囚われず広い世界へ飛び込む、感動の直木賞受賞作品。

  • 『在日』を扱った作品も、金城一紀作品も、初読。
    登場人物は全員個性的で、特に、杉原の父ちゃんの突き抜けた感が爽快ですらある。
    苦労してきた人ならではの諦観と凄みというんでしょうか。

    半自伝的な作品とのことなので、『在日』の苦悩は書いてある通りなのだろう。マイノリティであることがどういうことかは、その立場になってみないと決して分からないと思う。(自分は、海外に外国人として住んでいたときに感じた程度に過ぎないが。)

    人種の話と民族(国籍はこちら)の話は当然別物と思っているが、『ルーツ』に関する議論は、両者を混同させがちだ。多分、『ルーツ』は人種とも民族とも直接は関係なく、過去どういう種類の淘汰圧があったかというプロセスに関する情報を提供するだけだろうと思う。(アフリカ人がアメリカ大陸に『輸出』された際、劣悪な船倉環境に適したひとが生き残った結果、アフリカ系アメリカ人には、高血圧の発症率が少しだけ高い、とか)

    ユダヤ人の定義にDNA情報が含まれないのと(逆の意味で)同じように、ミトコンドリア•イブの存在を以って、『人類皆兄弟』『国籍は相対的なもの』と主張するのは、何か違うかなと思う。

    その一方で、「自分を何人と思っているか」よりも、「相手が自分を何人と思っているか」の方が、実際問題、インパクトが大きいことが、この本でのく分かった。

  • 杉原がかっこいい!
    何度も読み返しています。

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著者プロフィール

1968年埼玉生まれ。慶應義塾大学法学部卒。1988年「レヴォリューションNo.3」で第66回小説現代」新人賞を受賞。2000年『GO』で第123回直木賞を受賞。

「2020年 『映画篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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