村田エフェンディ滞土録 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043853014

感想・レビュー・書評

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  • 梨木さんの筆力をたっぷりと堪能させて頂きました。名文とはこういうものを言うのだと思う。

  • 2018.10.15 読書会のため

    梨木果歩さんは「西の魔女が死んだ」以来。
    正直、「西の魔女~」の内容を全く覚えていない。微塵も覚えてないしなんの印象もないってことは、読んだ当時全く心に響かなかったんだと思う。
    そういうわけであまり気の進まないまま、とりあえず読書会の為に読むか・・・というかんじで読み始めた。

    読み切った感想としては、とてもよかった!
    想像していたのとまったく違った。もっと男女や人間のドロドロを女性らしい目線で文章を書く人(江國香織や沼田まほかる的な)だと勝手に想像していたが、
    しっかりした文章で女性特有のかんじは全くなかった。
    特に本作は古い文章の書き方だったので最初はとても読みにくく、これは相当昔に出版されたのか?と思ったが割と最近の本だった。
    時代背景に合わせた文章だった。慣れるまで読み進めるのが大変ではあった。
    しかし、本自体がかなり薄く、内容が二転三転、展開がスピーディーだったのでさくさく読めた。
    ラストは切なく感動もあった。

    前知識が全くなかったので、裏表紙のあらすじを読んで第一次世界大戦がメインの話なのだと思っていたが、終盤になっても全く戦争が始まる気配がなかったので大丈夫か・・?と思いながら読んだ。
    結局戦争はエピローグ的な扱いで、トルコでの生活がメインであった。この点も読書前の想像と違い、重い話だとおもっていたが、ラスト戦争が絡む数ページまでは軽妙で爽やかな印象で、全体的にそれほど重い印象は受けなかった。
    上記2点でいい方に想像を上回ったので、とても良い読後感であった。

    また、本の薄さのわりには宗教観、革命、日本人の異文化での生活など、重いテーマが深いところまで書かれていたように思う。
    終始一人称、手記のような体裁でいて、各登場人物の微妙なニュアンスの心情がよく伝わってきた。

    あと、ちょくちょくSF?神の可視化みたいな描写がところどころに挟まってきて戸惑った。
    最初はどう受け止めたらよいかわからなかったが、後半は梨木氏はこういうニュアンスを含む作家なのかなってことにした。
    なくても良い描写(むしろこれによってわけわかんなくなる)だが、梨木氏のアイデンティティであり、本作の雰囲気付けであるのだと思った。

    結局。
    友情素晴らしい。多文化に寛容な心大事。楽しむことを忘れない。

    本作で梨木果歩氏のイメージが大きく変わった。
    「西の魔女~」も今読めば印象が変わる気がする。近々再読したい。
    本作とリンクした作品もあるそうなので、そちらも早々に読みたい。

    茂木氏のあとがきは何言ってるのかわからなかった。(浅いことろをいろんな言いまわしで語ってた)

  • 時は1899年。トルコの首都スタンブールに留学中の村田君は、毎日下宿の仲間と議論したり、拾った鸚鵡に翻弄されたり、神様同士の喧嘩に巻き込まれたり…それは、かけがえのない時間だった。だがある日、村田君に突然の帰還命令が。そして緊迫する政情と続いて起きた第一次世界大戦に友たちの運命は引き裂かれてゆく…爽やかな笑いと真摯な祈りに満ちた、

  • 随筆なのか小説なのか・・・、梨木香歩さんの感性、共鳴できるときも、共鳴を超えてるときも、・・・、ございます。「雪の日」、国際的な垣根を取り払う「雪の結晶」「雪合戦」、無邪気な子供の世界とやるせない戦争の悲しみが交錯しました。

  • 2009年2月8日~8日。
     あの「家守綺譚」にも登場した村田の物語である。
    「滞土録」の「土」とは「土耳古」つまり「トルコ」である。
     書籍として発売されたのは「家守綺譚」の方が先のようだが、執筆時期は同時期、あるいは「家守綺譚」よりも前かも知れない。
     最後には「綿貫」「高堂」「ゴロー」も登場する。
     では、「家守綺譚」のように「あっち」と「こっち」がごく自然に交わり合っている物語なのか?
     全然違う。
     確かに不思議な事件は発生する。
     しかし、ここにあるのは、哀しいくらいの「現実」だ。
    「……国とは、一体何なのだろう、と思う」から続く最後の段落、これが一番言いたかったことではないのだろうか。
     今一度執筆時期を確認してみる。
    「初出「本の旅人」2002年10月号~2003年10月号連載」(Wikipediayより)。
     その一年前の「9.11」に何が起こったか。
     そしてその後に何が起こったか。
     作者はエッセイ集「ぐるりのこと」でも「それ」に触れている。

    「私は人間だ。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない」
     最後に鸚鵡がこう叫ぶ。
    「友よ」

     泣ける……。

  • 2017.12.16
    とても良かった。

  • 号泣するやつ

  • 国とは何か。
    戦争とは何か。
    とても考えさせられ、深く心に残る作品です。
    トルコという異国の地で出会い、民族、宗教、考え方など全く異なった人たちなのだけれども、心で感じるものは一つで、理解しようとすることが何よりも大切なこと。そしてそこに生まれたものは何のボーダーもないのだと感じました。

  • 『家守綺譚』に時折登場した「村田」を主人公にした物語。

    今からほんの百年前、東西の文明の交錯する土耳古(トルコ)に考古学研究のためやって来た村田。
    初めは心細い思いをした村田も、同居人達や鸚鵡(オウム)と共に楽しく暮らす。
    やがて日本に帰国し綿貫の元に転がり込む…。

    あの時代に単身異文化の国に住み、国とか民族とか主義主張等を越えた、かけがえのない友情を育んだ村田の想いがとても切ない。

    ラスト、年老いて何も喋らなくなった皆の大切な鸚鵡が村田に向かって言いはなった言葉に泣けた。
    友よ!
    ディスケ・ガウデーレ!
    楽しむことを学べ!

  • p.39
    とりとめのない色彩を、最初は目の錯覚かと疑ったが、だんだんにまとまってきて、ああ、これらビザンティンの衛兵、と思いついたら、また、徐に散っていってしまった。成程、ああいうものか、と感心した。

    1900年くらい(明治30年代)の、トルコの下宿先での若者達の、考古学で発掘したり雪合戦をしたりと、のどかな会話や出来事。たまに怪異が出てきたりして、梨木さんは昔の情緒とファンタジーを合わせるのが上手いなぁとほのぼのしていたら、だんだん話が不可抗力にきな臭くなっていった。
    争いというものは、いつでも悲しい。

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著者プロフィール

梨木 香歩(なしき かほ)
1959年、鹿児島県生まれの小説家、児童文学作家、絵本作家。
『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。映画化もされたこの受賞作が最も著名な代表作となる。
ほかに新美南吉児童文学賞、小学館文学賞を、『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞、『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門をそれぞれ受賞。
受賞作以外の代表作として、『家守綺譚』、『沼地のある森を抜けて』、『ぐるりのこと』などがある。

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