村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043853014

感想・レビュー・書評

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  • 鸚鵡がいい味を出している。後半から狐が出てきて不思議な世界に(予想外でした)。

  • 舞台は1899年、イスタンブール。
    トルコ留学中の村田エフェンディ(学者)が主人公。
    過去は過去でもこの時代まで遡って題材にしているという作品は非常に珍しいのではないだろうか。
    切り口とは非常に面白く、当時の時代背景、イスタンブールという西洋と東洋とが絶妙に入り交じる中での登場人物それぞれの考え方、出来事等は興味深かった。
    こういった昔を題材とした作品を見ると、やはり今の時代がどれだけ恵まれているか、自由かということに改めて気付かされる。

  • 梨木香歩を読んだのはこれが初めて。読む前は旅行記+青春小説みたいな物を想像して期待してたけど、途中からスピリチュアル要素が入り込んできて正直読むのがつらかった…。そういうの興味ないのよ…。でもそれを乗り越えて読破して良かった。村田くんがイスタンブールを思い出すラストシーンに心を打たれます。

  • 梨木さんの本はどれも、最後に心のシーツに重しをストンと落とされたような気持ちになる。

    読み方によっては、青春小説、ファンタジー、色んな捉え方ができる。曖昧なカテゴリーって意味では幻想小説かな?

    村田君の夢の中で争う動物は、それぞれの国の『神』、言いかえれば『文化』がシンボライズされたもので、「滑稽だけどそれが歴史なんだなぁ」って興味深くもある。

    読んだ後、博物館に行きたくなるような作品。

  • 梨木香歩初読。ちょっとネタバレ有り。最近の長野まゆみ作品(『箪笥のなか』等)はこの人の作品に近いとまず思った。当たり前に怪異があって、それを受け止める人々が自然でユーモラス。曖昧なものと付き合っていく素地がある、素敵な人々。人種も性格も違う人と鸚鵡が下宿していた、思えばかけがえのないあの日々がカッコのない会話文で回想録のようにワンクッション置いて伝わってくる。遺跡に行ったり、おかしな神さまを招き入れたり、鸚鵡に翻弄されたり。あんなにも豊かな場所を、戦争は簡単に奪っていく。手紙越しのそのあっけなさがやるせない。しかし最後の鸚鵡がイイ!なくなっていないものもあるのだと、こみあげた。読み終わってまたあらすじを読み、そうかこれも青春小説なのかと思った。燦めくような日々が、青春なのだ。

  • PPを見送った後、成田空港で買った本。帰りの電車で読もうと思って。結局こんなに長くかかっちゃったよ。感想はまぁまぁ。トルコだからか、出てくる人種について知識が少ないからか、なーんか深く入り込むことができなくて、最後の章の感動もいまいち響いてこなかった。家守綺譚の綿貫さんが出てきたところは嬉しかったし、なんだかほっとしたけど。

  • 「西の魔女が死んだ」関連で。エキゾチック童話

  • 題名通りトルコの話なので家守綺譚と繋がっていて驚いた。
    最後に畳み掛けるように悲しい出来事の報告が来るので現実味がなかった。
    島国で暮らしていると、作中のような感覚は決して味わえないだろう。

  • たんたんと日常生活を語っていると思ったら、いつの間にか不可思議なものが顔をのぞかせている、という梨木香歩お得意のお話。異国の地で、お互い違う文化の中で育ってきた人たちと暮らすということを、耐え難いと感じる人もいるだろうが、村田エフェンディは自然体かつ前向き。こういうラストが用意されていたとは。もっと一つ一つの会話を大切に読んでおくんだった。静かな午後に再読しよう。

  • 今読むと、胸に刺さるラスト。

著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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