最後の記憶 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 905
感想 : 91
  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043855018

作品紹介・あらすじ

脳の病を患い、ほとんどすべての記憶を失いつつある母・千鶴。彼女の心に残されたのは、幼い頃に経験したという「凄まじい恐怖の記憶」だけだった。突然の白い閃光、ショウリョウバッタの飛ぶ音、そして大勢の子供たちの悲鳴-。死を目前にした母を今なお苦しめる「最後の記憶」の正体とは何なのか?波多野森吾は、母の記憶の謎を探り始める…。名手・綾辻行人が奇蹟的な美しさで紡ぎ出す、切なく幻想的な物語の迷宮。

感想・レビュー・書評

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  • 「蓑浦=レマート症候群(白髪痴呆)」を患ってしまった母。自分にも遺伝している可能性がある為、日々追い込まれてゆく主人公、森吾。
    近所で起きた殺人事件と、母の幼少時に起きた大量殺人、母が怖がる腕の傷、閃光、ショウリョウバッタの音。
    過去と現在に起きている事件の関係と、母の出生の秘密が鍵を握っているサスペンスです。

    「記憶が失われてゆく」ことが題材で、新しい記憶から徐々に失われてゆくが、特に強い記憶が「最後の記憶」となる。
    記憶がなくなるということは「死」と同義ではないかと思います。
    最後の記憶が楽しいものであればまだよいのですが、怖いのは、嫌ですね。

    いなくなってしまった者の世界が、過去も現在も未来もない現実逃避の世界という表現をされていました。
    その世界に逃げ込めば、恐怖を感じる事も我慢することもなく、生きているより居心地がいい。
    現実世界にから「いなくなっちゃえばいいんだよ」と何度も声をかけられる森吾。

    失踪してゆく子供達が自らそこに迷い込んだのか、誘拐されてしまったのか、曖昧な表現で読み取る事が困難でした。
    唯は結局、森吾のことをどう思っていたのかも。

    フワフワした現実味のない表現が印象的な綾辻行人がとても好きですが、ラストに解明される謎のインパクトが弱かったかなという気がします。
    ラスト、なんだか急に主人公の性格が変わってしまったようにも思えました。


    個人的にですが、2020年に入って記念すべき100冊目の本です。
    目標が今年100冊超えでしたので。
    大好きな綾辻行人の小説をと思ってこの本を手に取りました。
    本を読んでいると、部屋にいるのに頭の中が旅をしているようで、没頭している間は違う自分になっている気がして気持ちがいいです。
    就寝前に読むと夢にも見ますので、ホラーやミステリー漬けの私には寝覚めがキツくなる事もしばしば。
    読みたい本がどんどん増えていき、以前より読むようになり、集中力が上がったようにも感じます。感じてると思っているだけかもですが。
    映画も大好きなのですが、原作の方が感情が分かるので気持ちが入っていきやすいし、情景の描写の美しい表現が身に染み込んでくるかのようです。
    脳内でのイメージが自由なのも、読書の魅力です。
    誰かと好みのジャンルが一緒だったり、感想を読んで共感できたりするととても嬉しくて、生きてるのもいいかなって思えてきます。いつも生きててもいいなを探しています。たくさんは容量オーバーなので、いくつか。
    現在の、嘘偽りない気持ちです。

    • たけさん
      Kaniさん、こんにちは!
      今年の目標達成、おめでとうございます。

      読書は自由で楽しいですよね。
      「いつも生きててもいいなを探して...
      Kaniさん、こんにちは!
      今年の目標達成、おめでとうございます。

      読書は自由で楽しいですよね。
      「いつも生きててもいいなを探しています」に共感です。今後も見つけた「生きててもいいな」を紹介してくださいね。
      2020/08/15
    • Kaniさん
      たけさん、ありがとうございます。
      共感していただけるなんて、とても嬉しい。
      残虐なホラーやミステリーばかり読んでいますが、これらの真髄はどれ...
      たけさん、ありがとうございます。
      共感していただけるなんて、とても嬉しい。
      残虐なホラーやミステリーばかり読んでいますが、これらの真髄はどれも生あってのもの。
      いろんな作者が思い思いの生きる意味を教えてくれているようで、面白くてやめられません。
      これからも大好物ばかり読んでいきたいと思っております。
      たけさんの本棚にも共通の本があるということがとても嬉しいです。
      2020/08/15
    • たけさん
      深いですね!
      新たな視点を与えていただいた気がします。
      ありがとうございます!
      深いですね!
      新たな視点を与えていただいた気がします。
      ありがとうございます!
      2020/08/15
  • 再読。ファンタジーホラー?
    家族性遺伝って怖いけど、その運命を受け入れられないと森吾のようになるのかな。

  • 特殊な認知症になった母親は、近い記憶からどんどん記憶を失っていきます。
    最後に残るのは子供のときの強い記憶で、幼少期に母は恐ろしい体験をしていたため、徐々に恐怖の記憶のみを思い出すようになっていきます。
    母の病気が遺伝性ではないか、つまり自分も発症するのではないか、と異常に怯える息子は、母の幼少期の謎を解明するため、母の過去を辿り始めます。
    わりとオチは途中から察しがついてしまいますが、主人公の妄想なのか現実なのかわからなくなっていく、狂気の狭間の描き方は作者ならではで非常に上手いです。
    母親の本名が別作品の謎の女性とリンクしているのも気になりました。

  • 主人公波多野森吾の母千鶴は白髪痴呆という特殊な痴呆症によって徐々に記憶を無くしつつあった。
    そんな千鶴に最後まで残った記憶-それは幼少時代に体験した恐怖だった。

    バッタの飛ぶ音、突然の閃光、顔のない黒い殺戮者

    森吾は幼なじみの唯とともに母の過去を探りだす。そして訪れた出生の地、迷いこんだその"場所"で彼は遂に真実にたどり着く。

    *************

    心がざわつくようなホラー。
    森吾が別の"場所"で真実を悟る過程が特に怖い。じわじわと追い詰められる逼迫感、異様な情景と子ども達のリアルな描写が想像力を掻き立てて更に恐怖は増していく。思わず一気読みしてしまう作品だった。

    それにしても、
    『生きているのは楽しいかい?』
    随所に散りばめられたその問に迷いなく答えられる人はどれ程いるだろう…
    子どもだけじゃなく大人こそがあの"場所"を求めてるんじゃないか、ふとそんな気がした。

  • 主人公・森吾の母親は認知症(白髪痴呆)を患ってしまい、その病気が
    遺伝的要素が強いことを知る。

    母が元気な時から恐れていたショウリョウバッタの羽音、稲光、顔のない者や自分の幼い頃の記憶にあるキツネ面を付けた何者かなどの謎を解明していく。

    母親の母親、自分の実の祖母は母親と同じ病気になったのかを
    調べる事を決意し母親の出自を調べる事になる。
    そして冥界か幻想か解らない世界へと入っていく。
    そして謎が解明していき、最後に母親の出自がドンデン返しのような
    感じで描かれている。

    解決というかこの結末へと導かれる過程はほとんどホラーというか
    ファンタジーという形で現実的ではないのだが、帳尻は現実に則した
    形で迎えられていると思う。

  • あ、へぇ……。そうなのね。
    っていうラスト。
    よく考えたら予想がつくんだろうけど、そうさせないところが良い。

  • 母を苦しめる「最後の記憶」とは何か?

    記憶の謎、という言葉に惹かれましたが、私がイメージしていた話とは違いました。
    ある程度現実的で、精神的な恐怖がもっとあるのかと思った。

    ただ、個人的に最後の終わり方は好きです。

  • 意外な犯人、意外な真相、という意味ではミステリではあるのだがちょっとファンタジーというか幻想的すぎて受け付け難がった。主人公の葛藤についても気持ちはわかるものの「そこまで思い悩むか?」という感じで感情移入も難しく。色々な要素が含まれていてそこらへんの意欲作ではあると思うが、どうにも全体的に中途半端な印象を拭えなかった。

  • 綾辻さんらしい?気持ち悪く幻想的なお話。
    世界観に引きずられるところに、少し恐ろしさを感じる。
    最後のBAD感あるENDは良い。

  • 母を蝕む奇病「白髪痴呆」それは母の記憶を奪い去る。彼女の幼い頃の恐怖の体験、白い閃光、ショウリョウバッタの飛ぶ音、子供達の悲鳴、脳裏に残る「最後の記憶」が母を苦しめる。森吾はこの奇病が遺伝するのではと怯えるが幼なじみの唯の助けで「最後の記憶」の謎を探り始める。
    現実世界から異世界へ母と森吾の記憶が哀愁と恐怖を呼ぶ。
    伏線の回収は巻末の引用文献にまで及ぶ、「白髪痴呆と日本の昔話」白毛社、あの有名な日本昔話だ。
    「眼球奇譚」の咲谷由伊の名が登場する。
    ノスタルジック・ファンタジー・ホラー。
    ★★★★✩ 4.0

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著者プロフィール

綾辻 行人(あやつじ・ゆきと)
1960年京都府生まれ。京都大学教育学部卒業。同大学院修了。’87年9月『十角館の殺人』で作家デビュー。「新本格ムーヴメント」の嚆矢となる。「館」シリーズで本格ミステリシーンを牽引する一方、ホラー小説にも意欲的に取り組む。’92年『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2018年度第22回ミステリー文学大賞を受賞。464

「2021年 『黄昏の囁き 〈新装改訂版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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