最後の記憶 (角川文庫)

  • 角川書店 (2007年6月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784043855018

作品紹介・あらすじ

脳の病を患い、ほとんどすべての記憶を失いつつある母・千鶴。彼女に残されたのは、幼い頃に経験したというすさまじい恐怖の記憶だけだった。死に瀕した彼女を今なお苦しめる、「最後の記憶」の正体とは?

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

脳の病に苦しむ母が抱える恐怖の記憶を探求する物語は、ファンタジーとホラーが融合した独特の世界観を描き出しています。作品は、記憶を失いつつある千鶴の視点から展開され、彼女の心に秘められた恐怖の正体を解き...

感想・レビュー・書評

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  • 久々の綾辻行人作品♪

    体力的にキツく、ちょっと読み終えるのに時間ががかりました^^;

    まさかこんな作品だったとは…(°○°...)

    まぁ、でもよくよく考えるとこれも綾辻行人作品だなぁって思えた(笑)

    疲れすぎてるので、逆にガチのミステリーでなくてよかったのかもしれないなぁ…


    (´ρ`*)コホン
    では、本書の内容を含めて。

    綾辻行人が「新本格ミステリの旗手」として築いてきた論理的な構造美に、幻想と恐怖が巧みに融合された世界観の新鮮さだ。
    館シリーズのような密室トリックや論理的な構成とは異なり、本作では“記憶”という曖昧で不確かな要素を核に据えることで、読者に思考の迷宮を体験させる。
    これはミステリーでありながら、論理だけでは解けない“心の謎”に向き合う物語だ。

    母の「最後の記憶」に引きずられるように主人公・森吾がたどる過去の探索は、まるで現実が少しずつ剥がれていくような感覚を与える。
    雷鳴や虫の羽音という、日常に潜む些細な音が恐怖と結びついた時、そこには理屈では説明できない深層心理の闇が見えてくる。
    それはホラー的演出でありながら、記憶の断片を拾い集めていく過程がミステリーの探偵行為にもなっている。
    綾辻作品においては常に「見えないものを見抜く力」が問われるが、本作ではそれが“記憶を紐解くこと”になっているのが面白い。

    さらに特筆すべきは、作品全体に漂うファンタジー的な雰囲気だ。
    現実と幻想の境界が曖昧になっていく展開は、まるで夢の中を歩いているような没入感をもたらす。
    だがそのファンタジーは甘美な逃避ではなく、「最後に残るのが恐怖だったら」という問いに集約されるように、人間の本質に迫るための装置でもある。
    その問いが繰り返されることで読者もまた、自分の記憶の奥にある“何か”を呼び覚まされるような気持ちになる。

    綾辻行人がホラーやファンタジーの要素を取り込んだことで、彼の作風がさらに多層的になり、「人間とは何か」という問いがより深く掘り下げられているように感じた。
    新本格の冷徹さとは対極にある、揺れ動く心の描写や痛みを伴う記憶の表現は、読後に静かで長い余韻を残す。
    論理と幻想、記憶と恐怖。
    その混ざり合いが、『最後の記憶』を唯一無二の作品にしているのだと思う。

    まるで夢と現の間をさまようような感覚――読んでいる間、ずっと自分も“記憶の中にいる存在”になっていた。
    そんな不思議な読書体験を与えてくれる一冊だった。

    <あらすじ>
    綾辻行人による幻想的なホラーミステリーで、記憶と恐怖が交錯する物語です。

    あらすじ概要
    - 主人公・森吾は、若年性認知症を患う母・千鶴の「最後の記憶」に苦しむ姿を目の当たりにする。
    - 千鶴は、雷やショウリョウバッタの羽音に異常な恐怖を示し、幼少期の凄惨な体験が記憶の底にこびりついている。
    - 病が遺伝する可能性に怯える森吾は、母の過去を探るため、幼馴染の唯とともに母の故郷を訪れる。
    - 物語は、現実と幻想の境界が曖昧になっていく中で、母の記憶の正体と、森吾自身の存在に関わる衝撃的な真実へと迫っていく。

    作品の特徴
    - ホラーとミステリーが融合した作風で、綾辻作品らしい心理描写と幻想的な展開が魅力。
    - 認知症という現実的なテーマを軸に、記憶の深層に潜む恐怖を描く。
    - 読者の感情を揺さぶる「生きているのは楽しいかい?」という問いが繰り返され、物語の核心に迫る。

    記憶が失われていく中で、最後に残るのが「恐怖」だったら…という設定が、じわじわと心に染みる一冊です。読後に静かな余韻が残るタイプの作品ですね。


    本の概要
    脳の病を患い、ほとんどすべての記憶を失いつつある母・千鶴。彼女に残されたのは、幼い頃に経験したというすさまじい恐怖の記憶だけだった。死に瀕した彼女を今なお苦しめる、「最後の記憶」の正体とは?

    著者について
    1969年京都生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。1987年に『十角館の殺人』で作家デビュー。1992年に『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞受賞。著書に『暗黒館の殺人』『霧越邸殺人事件』等。

    • かなさん
      うわぁ~
      見事に全然覚えてない(゚д゚)!
      以前、綾辻行人さんにハマってたんです…
      ブクログ始めてから再読しようと思っていたのに
      な...
      うわぁ~
      見事に全然覚えてない(゚д゚)!
      以前、綾辻行人さんにハマってたんです…
      ブクログ始めてから再読しようと思っていたのに
      なかなか再読できないまま、今に至っています(^-^;
      2025/07/17
    • ヒボさん
      覚えてる本なんて数える程しかないですよ
      σ(・ω・`)
      覚えてる本なんて数える程しかないですよ
      σ(・ω・`)
      2025/07/17
  • 「蓑浦=レマート症候群(白髪痴呆)」を患ってしまった母。自分にも遺伝している可能性がある為、日々追い込まれてゆく主人公、森吾。
    近所で起きた殺人事件と、母の幼少時に起きた大量殺人、母が怖がる腕の傷、閃光、ショウリョウバッタの音。
    過去と現在に起きている事件の関係と、母の出生の秘密が鍵を握っているサスペンスです。

    「記憶が失われてゆく」ことが題材で、新しい記憶から徐々に失われてゆくが、特に強い記憶が「最後の記憶」となる。
    記憶がなくなるということは「死」と同義ではないかと思います。
    最後の記憶が楽しいものであればまだよいのですが、怖いのは、嫌ですね。

    いなくなってしまった者の世界が、過去も現在も未来もない現実逃避の世界という表現をされていました。
    その世界に逃げ込めば、恐怖を感じる事も我慢することもなく、生きているより居心地がいい。
    現実世界にから「いなくなっちゃえばいいんだよ」と何度も声をかけられる森吾。

    失踪してゆく子供達が自らそこに迷い込んだのか、誘拐されてしまったのか、曖昧な表現で読み取る事が困難でした。
    唯は結局、森吾のことをどう思っていたのかも。

    フワフワした現実味のない表現が印象的な綾辻行人がとても好きですが、ラストに解明される謎のインパクトが弱かったかなという気がします。
    ラスト、なんだか急に主人公の性格が変わってしまったようにも思えました。


    個人的にですが、2020年に入って記念すべき100冊目の本です。
    目標が今年100冊超えでしたので。
    大好きな綾辻行人の小説をと思ってこの本を手に取りました。
    本を読んでいると、部屋にいるのに頭の中が旅をしているようで、没頭している間は違う自分になっている気がして気持ちがいいです。
    就寝前に読むと夢にも見ますので、ホラーやミステリー漬けの私には寝覚めがキツくなる事もしばしば。
    読みたい本がどんどん増えていき、以前より読むようになり、集中力が上がったようにも感じます。感じてると思っているだけかもですが。
    映画も大好きなのですが、原作の方が感情が分かるので気持ちが入っていきやすいし、情景の描写の美しい表現が身に染み込んでくるかのようです。
    脳内でのイメージが自由なのも、読書の魅力です。
    誰かと好みのジャンルが一緒だったり、感想を読んで共感できたりするととても嬉しくて、生きてるのもいいかなって思えてきます。いつも生きててもいいなを探しています。たくさんは容量オーバーなので、いくつか。
    現在の、嘘偽りない気持ちです。

    • たけさん
      Kaniさん、こんにちは!
      今年の目標達成、おめでとうございます。

      読書は自由で楽しいですよね。
      「いつも生きててもいいなを探して...
      Kaniさん、こんにちは!
      今年の目標達成、おめでとうございます。

      読書は自由で楽しいですよね。
      「いつも生きててもいいなを探しています」に共感です。今後も見つけた「生きててもいいな」を紹介してくださいね。
      2020/08/15
    • Kaniさん
      たけさん、ありがとうございます。
      共感していただけるなんて、とても嬉しい。
      残虐なホラーやミステリーばかり読んでいますが、これらの真髄はどれ...
      たけさん、ありがとうございます。
      共感していただけるなんて、とても嬉しい。
      残虐なホラーやミステリーばかり読んでいますが、これらの真髄はどれも生あってのもの。
      いろんな作者が思い思いの生きる意味を教えてくれているようで、面白くてやめられません。
      これからも大好物ばかり読んでいきたいと思っております。
      たけさんの本棚にも共通の本があるということがとても嬉しいです。
      2020/08/15
    • たけさん
      深いですね!
      新たな視点を与えていただいた気がします。
      ありがとうございます!
      深いですね!
      新たな視点を与えていただいた気がします。
      ありがとうございます!
      2020/08/15
  • 館シリーズとは全く違うファンタジー感が強い作品。

    館シリーズと同じ期待感を持って読むと失敗するかも。

    文章の心地良さは綾辻先生そのものなのだが、
    展開のスピード感が何となく前半はずいぶんモタモタしていたような気がした。

    後半、バイクに跨ってからのスピードは速かったが(笑)

  •  脳の病を患いほとんどの記憶を失いつつある母に秘められた『凄まじい恐怖の記憶』の正体を探っていく怪奇幻想小説で、突然の白い閃光やショウリョウバッタの飛ぶ音、大勢の子供達の悲鳴を紐解いていく話が『Another』に通ずるものがあって面白かった。

  • 15年ほど積読だった本書をやっと読んだ。巻末の解説ではジャンルにとらわれない読み方について書かれていたが、私としては、きっちり収めるところに収めてくれる方が好きだ。唯とのバディで最後まで行ってほしかった。

  • 再読。ファンタジーホラー?
    家族性遺伝って怖いけど、その運命を受け入れられないと森吾のようになるのかな。

  • 特殊な認知症になった母親は、近い記憶からどんどん記憶を失っていきます。
    最後に残るのは子供のときの強い記憶で、幼少期に母は恐ろしい体験をしていたため、徐々に恐怖の記憶のみを思い出すようになっていきます。
    母の病気が遺伝性ではないか、つまり自分も発症するのではないか、と異常に怯える息子は、母の幼少期の謎を解明するため、母の過去を辿り始めます。
    わりとオチは途中から察しがついてしまいますが、主人公の妄想なのか現実なのかわからなくなっていく、狂気の狭間の描き方は作者ならではで非常に上手いです。
    母親の本名が別作品の謎の女性とリンクしているのも気になりました。

  • 主人公波多野森吾の母千鶴は白髪痴呆という特殊な痴呆症によって徐々に記憶を無くしつつあった。
    そんな千鶴に最後まで残った記憶-それは幼少時代に体験した恐怖だった。

    バッタの飛ぶ音、突然の閃光、顔のない黒い殺戮者

    森吾は幼なじみの唯とともに母の過去を探りだす。そして訪れた出生の地、迷いこんだその"場所"で彼は遂に真実にたどり着く。

    *************

    心がざわつくようなホラー。
    森吾が別の"場所"で真実を悟る過程が特に怖い。じわじわと追い詰められる逼迫感、異様な情景と子ども達のリアルな描写が想像力を掻き立てて更に恐怖は増していく。思わず一気読みしてしまう作品だった。

    それにしても、
    『生きているのは楽しいかい?』
    随所に散りばめられたその問に迷いなく答えられる人はどれ程いるだろう…
    子どもだけじゃなく大人こそがあの"場所"を求めてるんじゃないか、ふとそんな気がした。

  • 主人公・森吾の母親は認知症(白髪痴呆)を患ってしまい、その病気が
    遺伝的要素が強いことを知る。

    母が元気な時から恐れていたショウリョウバッタの羽音、稲光、顔のない者や自分の幼い頃の記憶にあるキツネ面を付けた何者かなどの謎を解明していく。

    母親の母親、自分の実の祖母は母親と同じ病気になったのかを
    調べる事を決意し母親の出自を調べる事になる。
    そして冥界か幻想か解らない世界へと入っていく。
    そして謎が解明していき、最後に母親の出自がドンデン返しのような
    感じで描かれている。

    解決というかこの結末へと導かれる過程はほとんどホラーというか
    ファンタジーという形で現実的ではないのだが、帳尻は現実に則した
    形で迎えられていると思う。

  • あ、へぇ……。そうなのね。
    っていうラスト。
    よく考えたら予想がつくんだろうけど、そうさせないところが良い。

  • 母を苦しめる「最後の記憶」とは何か?

    記憶の謎、という言葉に惹かれましたが、私がイメージしていた話とは違いました。
    ある程度現実的で、精神的な恐怖がもっとあるのかと思った。

    ただ、個人的に最後の終わり方は好きです。

  • 解説が好き

  • 3.4

  • 何もしらず読んでみたら、ミステリーではなくホラーだった。
    館シリーズは震えるほど好きなんだけど、ホラーテイストはちょっとよくわからない。
    囁きシリーズみたいに夢うつつでふわふわした主人公からの視点。現実か妄想かわからないところで起こる惨劇。

    ミステリーじゃないからそりゃそうなんだけど、なんとなくぱっとしない読了感でした。
    好みの問題ですね。

  • 初の綾辻作品…だと思う。若年性アルツハイマーを患った母の、恐ろしい記憶を辿る物語…なんだけど、前半は精神的な問題もあって、主人公のモタモタする感じがあまり楽しくない。中盤あたりから幼馴染が尻を叩いてくれたから謎解きも進んでいくものの、ホラーというよりかはファンタジー的なオチで終わってしまったのが何とも言えない感じだった。色々引っ張った結果がこれなのがちょっと残念。文章は読みやすくてとても良かったので、他の作品を読んでみたい。

  • 個人的・夏のホラー特集。とはいえ、別に『これはホラーじゃない』みたいな見方をしたい訳じゃなく、面白きゃオッケー。でもこれは、ちょっとう~ん…って感じ。先だって読んだ角川ホラー短編集収載の、原浩作品と結構が似ているように思えてしまい、だったら短編で味わえてしまう同作の方が良いじゃん、って感じてしまった。

  • 綾辻さんは「十角館の殺人」しか読んだことなかった。それとはまた趣の違う作品。

    後半が結構夢かうつつか、みたいな感じになるので前半の方が好きだったかな。
    病気のこととか詳しく出てきて。理系脳の主人公ほどじゃないと思うけど、科学的に説明がつく方が安心はする。
    オチ?はなるほど面白いとは思ったけど、現実的に考えてしまうとハテナも残るので、、。

    解説が結構自分には刺さったかも。
    何せ自分も本や映画をジャンル分けして楽しんじゃうようなところがあるので…。
    この作品も期待してたものと少し違ったので拍子抜けしてしまったというのが本音。

    中盤のパートの、柳の家や咲谷の家で過去を探っていくところが特に面白かったかな。
    「愚行録」や「傲慢と善良」でも思ったけど、本人不在でその人のことが少しずつわかっていくのが面白い。よりリアルな姿が浮き出てくると思う。
    ただ、これも小説のジャンルこそバラバラなだけで、パターンに当てはめているという点では上に書いたようなことと変わらないのかも…。

  • 病に侵され急激に認知機能を失いつつある母の、最後の記憶の源を探し出す旅。

    綾辻行人さんを初めて読んだ。
    虚実のあわい、という言葉がすっとよぎるほど境目のない空間を旅できる。

    どちらの世界も、つい次の行を追ってしまい慌てて戻るくらいに面白かった。

  • 全体を通して幻想的、と思いきや、現実的。なんて思いきや、やっぱり違う。全く予想もつかない記憶の正体とラストに寒気を感じた。繊細に揺れ動く描写がどこまでも美しい、心ゆくまでこれでもか!とくどい程に人間の心理を味わえる作品でした。

  • 主人公は仮に母親と同じ病を患ったとして、最後の記憶は将来の道を決めるきっかけとなった思い出が残ることを望んでいた。しかし一読者としては、母親と同じく、ただし自身が加害者側としての凄惨な記憶が居座り続け悶え苦しむ様を予期してしまった。

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著者プロフィール

1960年京都市生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年、大学院在学中に『十角館の殺人』でデビュー、新本格ミステリ・ムーヴメントの契機となる。92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2009年発表の『Another』は本格ミステリとホラーを融合した傑作として絶賛を浴び、TVアニメーション、実写映画のW映像化も好評を博した。他に『Another エピソードS』『霧越邸殺人事件』『深泥丘奇談』など著書多数。18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2023年 『Another 2001(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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