フリークス (角川文庫)

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  • KADOKAWA (2011年4月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784043855049

作品紹介・あらすじ

狂気の科学者J・Mは、五人の子供に人体改造を施し、”怪物”と呼んで責め苛む。ある日彼は惨殺体となって発見されたが!?――本格ミステリと恐怖、そして異形への真摯な愛が生みだした三つの物語。

感想・レビュー・書評

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  • ずっと読みたかった本でしたので、一気に読んでしまいました。
    私の想像では、畸形達(フリークス)系のホラー小説を想像していたのですが、それだけではなく「読者への挑戦」も存在する、本格ミステリー小説でした。
    さすが綾辻行人!
    精神病院の患者達の手記や独白がとても不気味で、夜中に読んでいてゾワッとしました。
    人間という存在自体が「畸形」である。というのは何だかわかる気がします。
    結末は自分の解釈で正解なのかが、気になるところです。

  • サラサラと読める3つの短編ミステリー。
    個人的には初めの「313号室の患者」の終わり方が1番シンプルでありながらストレートな衝撃を受けた。
    この作品を読みながら感じたことは、変わっている、頭がおかしいと思うのはお互い様であって、正常な思考ではない人の話と思って読んでいるこちらは果たして本当に正常なのか、おかしいと思うことが実は狂っているのではないか、と自分を疑いそうになった。
    しかし、、そもそもこれは精神病患者の話だった、と独りごちた。

  • 五、六年前に購入して積んでいたものをようやく消化。綾辻行人作品はミステリを手当たり次第に読んでいた時期にいくつか読んだことがあるような気もするが、何を読んだか覚えていない程度。
    最近翻訳小説ばかり読んでいたので文章があまりにも読みやすく少し感動した。言葉運びのテンポもいい。描写は比較的さっぱりしており、テーマに反して口当たりが軽く、短編ということも相まって(そして三作品集めても一冊が非常に薄いので)サッと読める。

    短編三作からなる連作集。いずれも舞台は同じだが各話に直接的な繋がりはない。
    本屋で表紙買いしたため事前情報なく、単なるサスペンス小説のつもりで読んでいたところ、まず一作目の叙述トリック的結末にパンチを食らう。そういえばこの人ミステリ作家だった。それもあり二作目、三作目はつい穿った見方をしてしまい、結末は予想通り。一作目のパンチが良かっただけに、短編という短いスパンで同じ手を繰り出されるとネタが読めてしまうのが辛いところ。
    ただ、ネタは割れつつも三作目「フリークス」ではきちんとした「解ける謎」が胡乱な舞台設定(乱暴な言い方をするなら単なる妄想)の中にあったところは大変良かった。舞台自体を「これは何か?」と考える線とは別に、その舞台の中に秩序立ったフーダニットが仕込まれており、面白かった。
    一点、フリークスの「探偵」の正体(本作において正体という言葉を使うのも野暮ではあるが)は、地の文の挙動の描写などから「(物理的に)鏡に映った主人公自身」だと思ったのだが、主人公も探偵も指の欠損箇所はどちらも左手である。鏡は作中作でも登場しており、特に拷問部屋で大鏡が粉々に壊されていた描写は意味深に感じたが、主人公が鏡と対話しているなら探偵の欠損は右手になるかと思うので、結局主人公は一作目の患者のように単なる幻覚と会話していただけなのだろうか。
    他人の考察を読み漁りたい作品である。面白かった。

  •  「ジャケ買い」という言い方が本にも通用するかどうかという問題は別にして、ジャケ買いした本。
     もちろん、綾辻行人さんのお名前や著作は知った上での「ジャケ買い」でした。

     他の方からもちらほら上がっている意見ではありますが、私もあらすじにさっとしか目を通さなかったもので、長篇なのだと勘違いしておりました。実際には三篇から成る短~中篇集です。

     個人的に好きだったのは、「夢魔の手――三一三号室の患者――」ですね。どんでん返しの感じやストーリーそのもののスピード感が心地よい作品です。
     次の「四〇九号室の患者」はトリックを考えながら読み進めているとくどいほど丁寧な説明台詞が出てくるので、仕掛けが分かってしまいました。
     最後の「フリークス――五六四号室の患者――」については、好みの問題だとは思うのですが、作家と探偵のやりとりが長すぎて中だるみを起こしてしまいました。

     最近はグロテスクな作品が世間的にも迎合されつつある雰囲気があるせいか、今となってこの作品を読むと少し見劣りしてしまうように感じました(それぞれの発表年は本書末にあるように、92年、89年、96年)。
     コンセプトに惹かれましたし、患者ごとのエピソードということで短~中篇集ながら読みやすい工夫がされていると感じました。ただ、想像していたようなエモーショナルな展開に劣ったので期待したものとは少し異なりました。

  • 世界のカタチはいつだって不定形。

  • 精神病棟のお話なのでなんとも言えぬ
    不気味さが漂っております。

    雰囲気はすごく良かったのだが
    いまひとつオチが弱かったように感じました。

    どうも綾辻さんの作品だと
    衝撃的などんでん返しを期待してしまうな(^_^;)

  • K※※総合病院の同じ精神科病棟を舞台にした短編集。発狂して父を殺した母の見舞いに来た青年の話。事故で大怪我をし記憶喪失で自分が誰なのか思い詰める患者の話。精神科病棟の患者が書いた奇妙なミステリ小説を考察する話。3つの中・短編からなる。
    綾辻氏の小説はどれも読みやすく本書にしても期待に違わない。正常と異常、真実と嘘、表裏一体の狭間を上手く表現しており、揺れ動く心理描写、歪んだ世界観に読み手もハラハラ、ゾクゾクし終盤に訪れるどんでん返しに驚愕し感嘆する。
    歪な世界が澱む、ミステリーホラー。
    ★★★✩✩ 3.0

  • 孤島の鬼オマージュと聞いて購入。
    著者のホラーもミステリーも好きなので大満足。ちょっとしたどんでん返しもあって面白かった。

  • 覚悟して読みましたが、想像以上の怖さでした。精神病と言うと、錯乱や暴走してしまうイメージでしたが、この本の静かに狂っている患者の様子は本当に怖いです。平然とみんな狂ってます。短編3話ですが、3話目を読む頃には、結局何が真実なのかよくわからなくなります。読後にモヤモヤ感が残る感じでした。

  • Anotherを読んで、綾辻作品が気になり、表紙買い。
    短編集なんで、あっさりと読み終わりました。
    綾辻さんの作品は気をつけないと引っ張られる感がありますね…この作品も然り。
    実際には90年代に書かれた作品にもかかわらず、それを感じさせないのは、精神病棟という設定だからかな。
    館シリーズも大好きだけど、こっち系のも大好きです。

  •  ホラーミステリーというよりは怪奇幻想小説といった方がしっくりくる短編集。不思議な事件や出来事が起こり、ラストで今まで見ていたものがひっくり返る構成が面白かった。

  • とある精神病棟を舞台とした、三作の短編集。
    舞台が舞台だけに、奇妙で、不可思議な話が展開されます。
    しかし、そこはしっかりミステリィでしたよ。
    面白かったです。

  • 一気読みでした!

  • 精神病院の患者たちの話

    彼らが見てるもの感じてるものは疑うことなくリアルなんだなと思った

  • ずっと気になってた1冊です。
    読んでいる間、ずっと背筋がゾクゾクしてました。安定の読みやすさでサクサク読めます。

    お化けの怖さとかはなくどちらかと言うと今の世界が、現実か妄想の世界なのか不安で仕方なくなる怖さがありました。途中で何度か寝落ちしながら読んだので尚更そう感じました。今の世界が完全に〝現実〟と言いきれないのがまたなんとも…。

    ただ、自分の理解力が乏しいのか最後のお話の解釈がいまいち分かりませんでした。難しい…。

    個人的には『四〇九号室の患者』が好き。

  • 3編の短編小説から成る、長編だと思ってたのでちょっとがっかり。
    どれも主人公=ヤバいやつっていうお決まりな感じで、読んでるうちにだんだんラストのオチが読めてしまって残念。

  • 最初の話が1番良かった。
    毎日、毎日同じようにお見舞いして、同じように贖罪をして、同じように記憶を無くすというのが世にも奇妙な物語感がある。

    終盤の若い看護婦の戸惑いと婦長の手慣れたドライ感の対比もよかった。

    2番目の話は園子と沙奈香のどちらなのか?というのが繰り返されて、逆に夫だけが生き残ってしまったのかも?と勘ぐる材料に。
    園子と沙奈香の言葉遊びは気づかなかった。

    3番目の話にはあまり魅力を感じなかった。
    密室とフリークスというのが現実と非現実という感じで、うまく結びつかずに終わってしまった。

  • 境目が無くなる怖さ 眠れないぞ

  • Anotherで著者の作品と出会い、読み進める中で本作と出会いました。

    著者の殺人鬼で感じた圧倒的な恐怖の世界とは違い、ガチンコのミステリーやスプラッター作品を期待していた方には違った世界観を感じることが出来る作品。

    患者シリーズとも言うべき三遍の中短編が納められ、物語はK※※総合病院の精神科病棟に入院する患者の思考を描き出す。

    タイトルでもある「フリークス」は一見すると非現実的な奇形も登場してくるが、その中にもしっかりとミステリーとしての要素も含まれている。

    本作を読み終えて思うのは著者の描写には一貫して読者は作品の主人公に置き換わることなく、どこか少し離れたところ(空気感や音、臭いなど感じられるる程度)から、あくまでも第三者の視点で作品(世界観)を見せてくれることだと感じた。

    その描写の巧さはこれからも私を虜にし続ける。

    説明
    内容紹介
    その歪みこそが、愛のしるし。

    狂気の科学者J・Mは、五人の子供に人体改造を施し、“怪物”と呼んで 責め苛む。
    ある日彼は惨殺体となって発見されたが!
    ――本格ミステリと恐怖、そして異形への真摯な愛が生みだした三つの物語。
    内容(「BOOK」データベースより)
    「J・Mを殺したのは誰か?」―巨大な才能と劣等感を抱えたマッドサイエンティストは、五人の子供に人体改造術を施し、“怪物”と呼んで責め苛む。ある日、惨殺死体となって発見されたJ・Mは、いったいどの子供に殺されたのか?小説家の「私」と探偵の「彼」が謎に挑めば、そこに異界への扉が開く!本格ミステリとホラー、そして異形への真摯な愛が生みだした、歪み真珠のような三つの物語。

  • 収録作品3編。
    「409号室の患者」感想
    乗っていた自動車が転落事故を起こした。
    同乗していた夫は死に、妻である自分はどうやら生き残ったらしい。
    らしいとしか言いようがないのは、記憶がまったくないからだ。
    自分の名前さえ覚えていない私は、本当は誰なのだろう・・・。
    思うように動くことも出来ない。自分の顔を見ることも出来ない。
    九死に一生を得た私は、事故によって記憶を失い自分が誰なのかさえわからなくなっていた。
    しかし、徐々に断片的によみがえってきた記憶が、私を追い詰めていく。
    私は誰かを殺したことがある・・・。
    殺人をおかした私は誰で、殺されたのは誰なのか?
    やがて記憶の底に眠っていた殺人をはっきりと思い出した私は、担当医にそのことを告げる。
    覚えていたとおりの場所から白骨死体が発見されたのだが、殺害時期がどうしてもあわない。
    「夢魔の手」を読んだあとだったので、かなり注意深く読んだつもりだった。
    なのに、また見事に裏切られてしまった。
    示された結末の可能性が少しも思い浮かばなかった時点で、完全に負けている・・・。
    いや、別に綾辻さんと勝負しているつもりはないのだけれど。

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著者プロフィール

1960年京都市生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年、大学院在学中に『十角館の殺人』でデビュー、新本格ミステリ・ムーヴメントの契機となる。92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2009年発表の『Another』は本格ミステリとホラーを融合した傑作として絶賛を浴び、TVアニメーション、実写映画のW映像化も好評を博した。他に『Another エピソードS』『霧越邸殺人事件』『深泥丘奇談』など著書多数。18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2023年 『Another 2001(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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