フリークス (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.40
  • (66)
  • (168)
  • (267)
  • (56)
  • (8)
本棚登録 : 1753
レビュー : 183
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043855049

作品紹介・あらすじ

「J・Mを殺したのは誰か?」-巨大な才能と劣等感を抱えたマッドサイエンティストは、五人の子供に人体改造術を施し、"怪物"と呼んで責め苛む。ある日、惨殺死体となって発見されたJ・Mは、いったいどの子供に殺されたのか?小説家の「私」と探偵の「彼」が謎に挑めば、そこに異界への扉が開く!本格ミステリとホラー、そして異形への真摯な愛が生みだした、歪み真珠のような三つの物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 覚悟して読みましたが、想像以上の怖さでした。精神病と言うと、錯乱や暴走してしまうイメージでしたが、この本の静かに狂っている患者の様子は本当に怖いです。平然とみんな狂ってます。短編3話ですが、3話目を読む頃には、結局何が真実なのかよくわからなくなります。読後にモヤモヤ感が残る感じでした。

  • ストーリーの進行は日常的であるのにその中に差し込まれる非日常と狂気が印象的でした。そして最後には綾辻先生らしくひっくり返してくれます笑。
    とても薄い本ですのでファンタジー専門の方にもミステリー入り口として面白いと思います。ただグロテスクな部分もあるのでご注意を!

  • Anotherで著者の作品と出会い、読み進める中で本作と出会いました。

    著者の殺人鬼で感じた圧倒的な恐怖の世界とは違い、ガチンコのミステリーやスプラッター作品を期待していた方には違った世界観を感じることが出来る作品。

    患者シリーズとも言うべき三遍の中短編が納められ、物語はK※※総合病院の精神科病棟に入院する患者の思考を描き出す。

    タイトルでもある「フリークス」は一見すると非現実的な奇形も登場してくるが、その中にもしっかりとミステリーとしての要素も含まれている。

    本作を読み終えて思うのは著者の描写には一貫して読者は作品の主人公に置き換わることなく、どこか少し離れたところ(空気感や音、臭いなど感じられるる程度)から、あくまでも第三者の視点で作品(世界観)を見せてくれることだと感じた。

    その描写の巧さはこれからも私を虜にし続ける。

    説明
    内容紹介
    その歪みこそが、愛のしるし。

    狂気の科学者J・Mは、五人の子供に人体改造を施し、“怪物”と呼んで 責め苛む。
    ある日彼は惨殺体となって発見されたが!
    ――本格ミステリと恐怖、そして異形への真摯な愛が生みだした三つの物語。
    内容(「BOOK」データベースより)
    「J・Mを殺したのは誰か?」―巨大な才能と劣等感を抱えたマッドサイエンティストは、五人の子供に人体改造術を施し、“怪物”と呼んで責め苛む。ある日、惨殺死体となって発見されたJ・Mは、いったいどの子供に殺されたのか?小説家の「私」と探偵の「彼」が謎に挑めば、そこに異界への扉が開く!本格ミステリとホラー、そして異形への真摯な愛が生みだした、歪み真珠のような三つの物語。

  • 正気と狂気の境目が曖昧。
    読んでいて、日常の境界線が溶けだしそう。
    ホラーであり、ミステリー。

  • 程よく狂った感じが丁度良く、面白いの一言に尽きる。

  • とある病院の精神科病棟をメインとした3つの作品.初めて読む作者だったが期待以上のものはなかった.2作目などは予想通りでしかない結末.かつ3作目辺りは推理の内容がこじつけの様で歯切れが悪い.

  • 表題作の『フリークス ―五六四号室の患者―』が一班ミステリ然としていた。『四〇九号室の患者』もオーソドックスで良い。『悪魔の手 ―三一三号室の患者―』は引き際が最高。
    解説が道尾秀介さんなのも良かった。

    ・悪魔の手 ―三一三号室の患者―
    浪人を繰り返す青年が、精神を病んで入院している母親の見舞いに訪れる……というていで話が始まる。
    母親は突然父親を刺し殺し、青年までも殺そうとした。警察に捕まるも、心神耗弱で不起訴になり、病院に入院。
    青年は母の病室に、鍵のかかった箱を持ち込む。鍵は母が持っていた。箱を開けると、中から日記のようなものが出てくる。どうやら青年が昔書いたもののようだが、青年地震には書いた記憶が全くない。日記の中で、少年時代の彼は何者かに何度も襲われかけ、苦しんでいる描写があった。
    母は、青年に双子の兄がいたと言い出す……。
    青年の心の奥底を覗く話と思ったら、最後の最後に「同じやり取りが何度も繰り返されていた」ことが分かり、驚愕。
    精神病棟に入院しているのは青年で、「お見舞い」は青年にとってのいわば「ルーティン」みたいなものだった。
    青年は日記を再び箱にしまい、病室へ戻っていく。

    ・四〇九号室の患者
    患者は事故で顔と身体にひどい怪我を負っており、病室で日記をつけている。
    ドライブの途中、夫と共に事故に遭い、自分だけ助かった。しかし、この記憶にはどこか違和感が残る。
    そうこうしているうちに、夫の妹や、同僚の男性の面会がある。夫の同僚は、夫が派手な女と浮気していたのではないかという。
    次第に、主人公は自分が妻ではなく、その浮気相手なのではないかと思うようになる。事故で顔が損傷し、医師も見分けがつかなくなってしまったのだ。本当の妻は、自分の手で殺してしまったのではないか……。
    真相は、浮気相手など存在しない。浮気相手ではなく、妻が変装していた(夫婦関係のマンネリを打破する、などの理由で)。
    浮気相手の名前だと思っていたのは、妻の名前のアナグラム。
    しかし、入院しているのは妻ではない。実は事故で死んだのは妻。夫は助かったが、顔を損傷したうえ、下半身
    切断になってしまった。
    男性のシンボルを失ってしまった夫が、自分を女性=妻だと思い込んでいる、という話。

    ・フリークス ―五六四号室の患者―
    作家の主人公の元に、精神科の女性医師から原稿が届く。ある病室の患者が書いた小説めいたものらしいが、結末まで書いていない。主人公はそれを「探偵」の友人に読ませる……という感じで話が始まる。
    小説の舞台は特殊な館。あるじはJMというマッド・サイエンティスト。彼は身寄りのない子供を引き取り、その身体に改造を施してしまう。
    一番上の姉は手足を切られ舌を抜かれた「芋虫」。他に、身体を屈められて小さくされた「傴僂」、目を一つ取られた「一つ目」、腕を余分に付け足された「三本腕」、身体を鱗で覆われた「鱗男」の5人が館にいる。
    この館の一室で、あるじであるJMが殺され、遺体を切り刻まれた状態で発見される。
    館の中にいたのはフリークスの五人。果たして犯人は誰か。
    原稿はここで終わっていた。
    探偵は作家の前で推理を語りはじめる。
    JMが死んだ部屋に脱出口は二つ。入り口のドアと、高いところにある窓。
    「芋虫」は部屋から出られないので除外。
    ここで探偵は、遺体の傍にあった部屋の鍵が綺麗に洗われていたことに注目する。
    血で汚れたくらいなら洗わなくてもいいはずなのに、何故洗ったか。答えは、鍵に「血以外の物」即ち胃液が付着していたから。
    JMは犯人に折檻を加えるために部屋に引き込み、鍵を掛けた。そこで犯人がJMに反旗を翻す。瀕死の犯人は、鍵を飲み込んでしまう。
    「傴僂」以外の者は、窓に手が届くので、ドアを締められてしまっても窓から逃げられる。
    しかし「傴僂」はドアからしか出られず、胃から鍵を取り出すためにJMの身体を切り刻んだ……。
    JM殺害についてはこれが真相。
    しかし探偵は、「芋虫」以外のフリークス4人が、「作家の分身」であることを指摘する。
    この原稿は、主人公である作家が父親を殺した時の事が描かれていた。
    その作家こそ犯人で、精神科に入院している患者だった。

  • 精神崩壊のような狂気的な本を探していたところ、この本に出会いました。
    綾辻行人は初めて読んだのですが、推理小説のイメージがあったので怪奇的で不思議な物語にまず驚きました。
    短篇集で内容的にはとある精神病院の入院患者たちの事件でしたが、統合失調とも取れる精神錯乱状態の入院患者たちの果たして何が真で何が嘘なのか?
    自分は誰なのか?という謎は、ドグラ・マグラ的な読者を錯乱させるミステリーで面白かったです。
    特に表題作「フリークス」は殺人事件に関しての謎解きもしっかりしていて、気持ち悪さや猟奇的な文章に加えて
    綾辻行人らしいトリックと推理も含まれているので、読み応えがあって面白かったです。

  • 表題作のフリークスが面白かった。個人的に乱歩の孤島の鬼には諸戸の存在といい奇形の存在といいそこはかとなくエロさが漂ってるなって思いながら読んでいたんだけど、こっちのフリークスは気持ち悪さの方を押してるなって感じ。

  • 三つの病室に収容されている患者たち。
    手記
    悪夢
    畸形
    精神病
    共通のモチーフをいくつも持って並んだ三作は綾辻行人の怪奇趣味の表出か。
    閉じ込められた空間で自分の形に懐疑を抱く人々の禁断の鏡のような。

全183件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

綾辻 行人(あやつじ ゆきと)
1960年京都市生まれ。京都大学教育学部在学中、京大推理小説研究会に所属。研究会同期に、後に結婚する小野不由美がいる。1982年、同大学大学院教育学研究科に進学。1987年、大学院在学中に『十角館の殺人』で作家デビュー。講談社ノベルス編集部が「新本格ミステリー」と名付け、その肩書きが広まった。1992年大学院を卒業後、専業作家に。
1990年『霧越邸殺人事件』で「週刊文春ミステリーベスト10」1位。1992年『時計館の殺人』で日本推理作家協会賞長編部門を受賞。2011年『Another』で「ミステリが読みたい!」1位。2018年第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。
主な代表作として、デビュー作『十角館の殺人』以来続刊されている、長編推理小説「館シリーズ」。

フリークス (角川文庫)のその他の作品

綾辻行人の作品

フリークス (角川文庫)に関連する談話室の質問

フリークス (角川文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする