サウスバウンド 下 (角川文庫)

  • 角川書店 (2007年8月31日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784043860029

作品紹介・あらすじ

僕たち家族は東京を離れ、沖縄の西表島に移住した。ここでも父は問題を起こして……。傑作ビルドゥングスロマン、完結編。

みんなの感想まとめ

家族の絆と自由をテーマにした物語が展開され、東京から沖縄の西表島へ移住した一家の奮闘が描かれます。元活動家の父は、時にハチャメチャな行動を取りながらも、家族に影響を与え、彼自身の成長も見せます。特に、...

感想・レビュー・書評

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  • 上巻につづき、元活動家のハチャメチャな父に振り回される一家。舞台は東京から沖縄・西表島へ。
    南の島での自給自足生活の中で芽生える島民との絆、特に家族の絆が際立った人情コメディ。

    前作から間髪入れずの連読、レビュー連投。

    上巻ではダメ父親だったが、下巻では途端ヒーローに。背中で語る親父の姿に、私も襟を正せねばと、本を持つ手に力が入った。

    特に本作の見どころは、ロケーションが変わっても全く思想の軸がブレない両親と、ロケーションが変わったことで逞しく変身していく子どもたちの、上原一家の在り方だろう。

    母語る「人のものを盗まない、騙さない、嫉妬しない、威張らない、悪に加担しない、そういうの、すべて守ってきたつもり。唯一常識から外れたことがあるとしたら、それは、世間と合わせなかったってことだけ」

    父語る「これはちがうと思ったらとことん戦え。負けてもいいから戦え。人と違っていてもいい。孤独を恐れるな。理解者は必ずいる」

    私は過激派的な思考の持ち合わせてはいないが、親として男として共感出来たその言葉たちに、巡り合えて良かった。

    ありがとう。奧田英朗。

  • 西表島ではリゾート開発会社と地元の土建屋議員との戦いを描く。

    時代に取り残された?革命家??の二郎父だが、人間として《自由》に生きることを望んでいるだけ。
    そこには《義務を果たした上での自己責任による自由》などではなく、
    《何人からも、国家でさえも社会からのシステムや支配を受けない自由》というなんとも生き物としての本質のみの生き方。

    〜平等は心優しい権力者が与えたものではない。人民が戦って勝ち得たものだ〜

    二郎父は全て分かってやっている。

    「おとうさんを見習わなくていい。お前の考えで生きていけばいい。おとうさんの中にはな、自分でもどうしようもない腹の虫がいるんだ。それに従わないと、自分が自分じゃなくなる。要するに馬鹿なんだ」

    母も子どもたちにいう。
    「おとうさんとおかあさんは、人間としては何ひとつ間違ったことはしていないんだから
    〜中略
    人の物を盗まない、騙さない、嫉妬しない、威張らない、悪に加担しない〜中略
    唯一常識から外れたことがあるとしたら、それは、世間と合わせなかったってことだけでしょう」

    すごい。
    波照間の先のパイパティローマで、今日も元気に漁に出かける夫婦が目に浮かぶ。

    身内にいると大変だろうけど他人の目には面白い。

    雪が散らつく東京から二郎たち上原ファミリーを応援してるよ!

  • 元過激派の父が起こす破天荒な振る舞いを息子二郎の目線で語るストーリー。東京ではだめんずだったのが沖縄ではたくましい父に。
    心にとまったフレーズ
    「おまえはおとうさんを見習わなくていい。おとうさんの中には自分でもどうしようもない腹の虫がいる。それに従わないと自分が自分じゃなくなる。要するに馬鹿なんだ」

    自分の価値感を確立できれば周りに振り回されず生きていける。周りを振り回してばかりになればやりすぎだけど。

  • 突拍子もないけれど、愛と自由がきちんと表現されたおはなし。
    前半、二郎には理解できない思想上の難解な言葉を読み手は先読みして、二郎の理解が追いつくのを待つ。後半、読み手は二郎と同じように八重山ことばを理解できずに、その先二郎と一緒に理解を深めていく。そんな並走感がある。

  • はぁー!面白かった!
    上巻は都会でのスカッと人情面白さ、下巻はコメディ要素の多い(というか大真面目なのに結果コメディぽくなる)人情に厚い面白さがある。

    映像化したものを見た覚えがあるので、どうしてもお父さんがトヨエツで再生される。笑
    なんとハマリ役なことか!もっかい見たくなっちゃうなぁ。

    上巻でも下巻でもお父さんは全く主義主張も生き方も変わってないんだよね。(東京ではゴロゴロしてたけど)
    なのに舞台が変わるだけでこんなにも迷惑な人が生き生きとするものなのか!
    この辺の書ききり方が作者の腕の見せ所なのかなぁー。

    上巻は都会らしい殺伐とした、でも子供の純粋さとかあったかさとかもあって、スピード感もあってとっても面白い。
    下巻は西表島ののどかな風景と温かい島の人達、真面目なのになんか抜けてる、その感じがとても面白い。
    (何回面白い言うんや)

    右翼とか左翼とか環境保護とか開発繁栄とか過激派とか保守派とか、全部取っ払って。
    国民だから三大義務があるのも重々承知で、別に屈してる訳ではなくて。
    人間は自由に生きる権利があるんだよね。
    お父さんのセリフもじんわりと来たけど、西表島の校長先生の対決の日の生徒に向けてのお話がとてもじんわりきました。

    とにかく上巻と下巻のギャップがすごい!
    面白い!
    (だから何回言うんや)




    @手持ち本

  • 考えが正しいか誤りかは別として、一人の人間として意見を持ち、人と違うことを恐れず、戦う父の姿を素直に格好良いと思った。東京では散々文句を垂れていた子供達が、皆父を認め始めたのも、そうだからだろう。父の意見や行動はかなり極端ではあるが。

    豊かな自然と人々の温かさを携えた西表の気風が、とても羨ましく感じた。自然の前では、富も地位も意味を為さなくなる。忙しなく生きる現代人に必要なのは、二郎や桃子のように、吹っ切れることなのかもしれない。

  • 2018.8.11
    面白かったー!一郎さん最高!
    欠点を一発で打ち消す魅力にホレボレしました。
    負けや孤独を恐れず、自分の気持ちに正直に戦い続けると人としての魅力を磨けるのだろうか…
    成長する二郎を通して、様々な感情になれるとても良い本でした!!ありがとう!

  • 2006年 本屋大賞 2位作品

    青春小説のよう、少年漫画っぽい「おもしろい!」
    ではなく
    読んで、心があらわれるような
    なんだかそんな作品

    良かった

  • 痛快!爽快!
    こんなに楽しい物語を読んだのはいつ以来かな?
    上下巻合わせて600p超のボリュームを一切感じさせない傑作。
    物語のスピード感、展開の意外さ、スケール感、そしてムチャクチャながらも愛すべき登場人物たち。
    紆余曲折を経てたどり着いた地で改めて問われる家族の絆。
    父親に振り回される少年が逞しく成長してゆく過程は「北の国から」を彷彿とさせ、タッチは軽いながらも色々と考えさせられる、実に奥深い物語でした。オススメ!

  • 下巻です。
    そう、下巻を読んだんだよねー。
    上巻と場所の設定が違うので、別の本を読んでた気になってた。でも、上巻から続いている長編。
    普通の長編よりも何だかお得な感じ。(笑)

    西表島には行ったことないけど、沖縄には3年住んでたことがあるので、読んでてあの沖縄の感じをいっぱい思い出して、幽体離脱したような感覚で読めた~。
    ああ、ちょっと帰りたくなったな~。

    どこの国にいても、その国の法律の元で生活をするのは義務であるのだけど、その前にその土地の歴史や仕来り、言い伝えを大事に、型に染まらない人間になることを忘れちゃいけないのね。
    二郎のおとうさんは、ホント極端だけど、人間がいかに人間らしく生きていくか。そんなことを考えないさせてくれた。

    二郎の両親が自分の子供たちを残して去ってしまうとこは、ちょっと信じがたかったけど、おとうさんとおかあさんの生き方は正にアカハチの生まれ変わりみたいだと最後納得した。

    この本を読んで、自分に羽が生え、自分も西表島の住人になったような感覚で読めた。
    読み終った今、自分が現実の自分の世界に戻ってきた感じ。

    面白かったー。

    それよりも、御嶽どうなったのかな~。

  • 主人公は小学6年生の長男「二郎」。
    元過激派の父が繰り広げる様々な騒動が描かれてる。
    この父親、言っていること・やっていること、すべて滅茶苦茶・・・
    でも、すごくカッコイイ!!
    何故かって言うと、一本図太い筋が通っているから。
    僕がとても共感した父の台詞、
    「革命は運動では起きない。個人が心の中で起こすものだ。」
    「集団は所詮、集団だ。ブルジョアジーもプロレタリアートも、集団になれば同じだ。権力を欲しがり、それを守ろうとする。」
    「個人単位で考えられる人間だけが、本当の幸福と自由を手にできるんだ。」
    映画を観に行きたくなった

  • 下巻がとても面白かった。西表島の甘い描写が素敵だった。上巻を読み進めていたときは東京の小学生特有の悩みが切なくて痛々しかった。貧乏だから金持ちの家庭を羨んだり、年上の不良にビクビクしたり、性に目覚めたり、「なんかわかるわ〜。」と共感ばかりしていた。しかし、下巻の舞台が西表に変わると、子供たちの愛嬌を感じたり、お裾分けをもらって地元住民と食卓を囲んだり、自然が美しかったりと、南の島特有ののんびりした感覚と人々の距離感に心が癒された。自分が内地に住んでいるから島の生活に惹かれるだけなのかもしれないけど。

    この小説のテーマはいくつもあって、少年の成長と家族愛、資本主義からの脱却、自然保護、恋愛など色々だ。多少過激な部分もあるかもしれないけど、笑い飛ばしながら読めるから爽快である。読み終えた後はこの家族が少しだけ羨ましくなっているのが悔しい。変人の父親なんて、最後はかっこよく見えるから不思議だ。そんなお父さんみたいに自分も間違いを指摘できるかっこいい男になれたらな、と思ったのでした。


  • 上巻は★3だったのだけれど、下巻は★4
    西表島の生活が活き活きと描かれていて、登場する人物も全員キャラが立っているように感じた。
    おそらく東京の生活との比較を明確にしたいという制作側の意図なのだろうが、やはり読み手としては南の島で飛び跳ねるように楽しく過ごす様を読むのは楽しいものですね。
    一郎さんも東京でのグズグズした様子は一変し、その大きな体を生かして畑作業や漁を頑張ります。またその頑張りを見たお姉ちゃんとの距離が自然と近くなっていくところが良い。
    クライマックスのシーンは迫力があり、家族の絆を存分に楽しませてもらった。
    面白い作品ですね。

  •  西表島に移り住んだ二郎は、妹の桃子と小学校へ転入する。
     ふたりを入れても全校生徒7名の学校は穏やかでのんびりしている。
     
     父親は相変わらずだが、その破天荒ぶりにも筋が通っている事に気付いた。
     二郎たち家族は全員で食卓を囲んだり、釣りに出かけたり、家族としての温もりを取り戻していく。

     東京の南先生の手紙や、西表島の校長先生の話には考えさせられた。
     大人は決して正しいとは限らない。
    損得勘定で物事を動かしたり、癒着を認めたり。
     パイパティローマにはロマンを感じてしまった。

  • 両親が元過激派、というテーマながらも実は家族愛とか人としての本質といったものについて考えさせられる作品。
    切り口の斬新さは、奥田氏の魅力の1つだと感じました。

    西表島に移住した一家の生活描写が巧みで是非一度行ってみたくなります。
    都心に住んでいると忘れてしまう、温かなものに触れることができます。

    次郎少年の視点で描かれているはずが徐々に少年らしくない、というか奥田氏の心情では?と思えるような表現に変わっていくことに、違和感があったかな。
    その点だけ、残念です。

  • 反国家主義の父を持つ客観力が富んだ小6が主人公

    小6の客観力が面白い

    ほんとなぁ、年金と健康保険高すぎると思ってしまう

    欲を感じなければ争いは起きない
    立場に溺れない
    人は正義をふりかざしたくなる

    • turlincoさん
      おっきなわ~!!!
      おっきなわ~!!!
      2022/10/09
  • 上巻に続く沖縄編。離島の田舎、電気水道なしの廃屋で暮らし始めた家族の珍生活。ヤワな都会生活が恥ずかしく感じられるほどワイルド!

  • なんと過激な‼︎なんと波瀾万丈な‼︎
    とても正義を感じる幸せ。
    逞しく育っていくんだろうな。素敵な家族に元気をもらえた!

  • お父さん芯通っててさすがやった

  • 2006年本屋大賞2位

    奥田英朗が三年かけて構想した小説であり、直木賞受賞後の第一作
    あらすじ
    元過激派の父が起こす大騒動に翻弄されながらも、東京から沖縄への移住を通して家族の絆、息子二郎の成長していく過程を描いている。
    学生運動時代が複雑に絡み合い、駆け落ちした女性と三人の子を作るが最後は西表島に帰るというファミリードラマである。
    感想
    読んでて楽しかった。

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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