サウスバウンド 下 (角川文庫 お 56-2)

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レビュー : 350
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043860029

感想・レビュー・書評

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  • 痛快!爽快!
    こんなに楽しい物語を読んだのはいつ以来かな?
    上下巻合わせて600p超のボリュームを一切感じさせない傑作。
    物語のスピード感、展開の意外さ、スケール感、そしてムチャクチャながらも愛すべき登場人物たち。
    紆余曲折を経てたどり着いた地で改めて問われる家族の絆。
    父親に振り回される少年が逞しく成長してゆく過程は「北の国から」を彷彿とさせ、タッチは軽いながらも色々と考えさせられる、実に奥深い物語でした。オススメ!

  • 下巻です。
    そう、下巻を読んだんだよねー。
    上巻と場所の設定が違うので、別の本を読んでた気になってた。でも、上巻から続いている長編。
    普通の長編よりも何だかお得な感じ。(笑)

    西表島には行ったことないけど、沖縄には3年住んでたことがあるので、読んでてあの沖縄の感じをいっぱい思い出して、幽体離脱したような感覚で読めた~。
    ああ、ちょっと帰りたくなったな~。

    どこの国にいても、その国の法律の元で生活をするのは義務であるのだけど、その前にその土地の歴史や仕来り、言い伝えを大事に、型に染まらない人間になることを忘れちゃいけないのね。
    二郎のおとうさんは、ホント極端だけど、人間がいかに人間らしく生きていくか。そんなことを考えないさせてくれた。

    二郎の両親が自分の子供たちを残して去ってしまうとこは、ちょっと信じがたかったけど、おとうさんとおかあさんの生き方は正にアカハチの生まれ変わりみたいだと最後納得した。

    この本を読んで、自分に羽が生え、自分も西表島の住人になったような感覚で読めた。
    読み終った今、自分が現実の自分の世界に戻ってきた感じ。

    面白かったー。

    それよりも、御嶽どうなったのかな~。

  • 主人公は小学6年生の長男「二郎」。
    元過激派の父が繰り広げる様々な騒動が描かれてる。
    この父親、言っていること・やっていること、すべて滅茶苦茶・・・
    でも、すごくカッコイイ!!
    何故かって言うと、一本図太い筋が通っているから。
    僕がとても共感した父の台詞、
    「革命は運動では起きない。個人が心の中で起こすものだ。」
    「集団は所詮、集団だ。ブルジョアジーもプロレタリアートも、集団になれば同じだ。権力を欲しがり、それを守ろうとする。」
    「個人単位で考えられる人間だけが、本当の幸福と自由を手にできるんだ。」
    映画を観に行きたくなった

  • この一家の父ちゃんは、いち保護者としてはほんとにどうしようもないんだけど、こんなセリフを言って実際に行動を起こしちゃうから許せてしまうんだなー。

    奥田さんの小説に出てくる人たちは、みんな真っ直ぐに自分自身に人生をかけてるって感じがする。
    人間として懸命に生きる。
    やっていることや状況は違えど、みんな生の輝きを熟知しているようにみえる。
    バカボンのパパ的な「これでいいのだ!」っていういい意味での開き直りが心地よい。

    今、いじめや暴力を受けた時、子どもがまっさきに親や先生に頼るなんて言語道断というようなお話って溢れている。結局死にそうになるまで誰にも言えなかった……みたいな。

    チクったら倍にして返される、大人に頼ったら卑怯という、なんでしょう子ども界の了解のようなものが世の中にまかり通っているからだよね。
    この小説はそれを覆したのが良かった。
    卑劣なことをされたら少々卑怯な仕返しをしたって大丈夫なんだぞ!と子どもに教えておく父親なんてそうそういない。でもこの一家の「おとうさん」は闇討ちしちまえなんて助言をする。
    しまいには、優しいおじさんが、ヤンキー(敵)の腕をボキッとやっちゃってくれる。

    まあそれが正義なんてことにはならないので、手段は別として、もっと子どもに逃げ場があることを教えた方がいいのかな、なんて思う。
    圧倒的強者に直面した時は大人を頼りなさい。自殺なんかするまえに一緒に地の果てまで逃げちまおうぜと。

    ほんとに二進も三進もいかなくなったら逃げたっていいと思うし、それが負けではないんだと思う。


    このおとうさんも、結局革命は諦めて、孤独に自分の信念に従うを決めている。
    自分勝手な生き方だけれど、こんなふうに生きることができればどんなにすがすがしいだろう。

    物語は無政府主義、反国家、自由を求める超過激なおとうさんを持つ息子の話(主に)。
    自由ってなんなのだろう?と考えると、とどのつまりそれは国家に屈しないことでもなく、税金を払わないことでもなく、心の在り方なんだと思った。

    理想っていうのはハナから現実的ではないことなんだから、結果的に現実にならなくても悔やんだり蔑まれたりすることではない。
    価値は結果ではなく、いかに素直に理想を語り、自分の正義に見合った行動をできるかで決まるのではないかとも思う。

    最終的にこの一家は自由と結束を手に入れる。
    うん、素晴らしい。それでいいんだよね。

    私は自分の考え方が右翼に属するのか、左翼に属するのか思案することがあるけれど、
    この本を読んだらそれがバカバカしくなった。
    ゼミのおかげで首尾一貫した姿勢を持たなくては!って肩を張ってたけど、よく考えると常にどちらか一方の意見に賛成していくのなんておかしいや。
    好きなものは好き、嫌いなものは嫌いでいいじゃないか!精神的な話ぐらい!と開き直ることができた。

    思想とか国家とか体制とか共産主義とか、いろいろ突っ込んではいけなそーなシリアスな内容を
    扱いながら、ここまで朗らかに後味良く終わらせる奥田さん、やっぱりすごい!
    とっても考えさせられたし、とにかく西表島に移住したいと思わせる小説でした!

    ちなみに一番この小説の中で強い精神の持ち主は二郎くんだと。
    だって私、あんなお父さん持ったら早々にオルグされてるわ☆(笑)

  • 奥田英朗「サウスバウンド 下巻」読了。反国家、国などいらぬというユートピア思想を私は全く受け入れないのですが、右も左も「結局、本気なん?」と呆れてしまう連中が多い中、この主人公はどこか憎めない。

  • ぶれないお父さん。

  • 一気に読まされた。

    そして、いろいろと考えさせられた。

    国って何だろう
    自由って何だろう
    強さってなんだろう

    自由は孤独

    という言葉を最近よく聞く

    だから強さや支えてくれる理解者が必要

    その二つを持ったお父さんは、一本気でかっこいい!

    ほんとに自分の親だったらやっぱ困るかもだけど。。

    東京の暮らしと沖縄の暮らし
    東京の学校、先生と沖縄のそれ
    東京の友達と沖縄のそれ
    東京の年の違う子との交流と沖縄のそれ

    対立が鮮やかだった

    お父さんみたいに、自分の納得のいく行き方ってなかなかできないから、かっこいいし憧れる

  • 『パイパティローマ』

    久しぶりに良い本を読んだ。とても良いことばがあって、引用したいけれど是非読んでもらいたいのでここにはかかない。幼い頃の疑問にフィクションとはいえ全力でぶつかってくれて嬉しかった。パイパティローマは僕らが帰る場所である筈だ。

  • これ良いなー。ホント面白い。

    アカハチの乱っていう実際に石垣島で起きた事件を基に作られている話だからウソみたいな話だけど、どこかホントっぽくて好きだわ。

    下巻になって都会から沖縄に移り住んで、家族の絆が深まったり、島の人たちの優しさに触れたり、国とか政治ってどうなんだろ?って考えるようになったりして面白かった。

    お父さんがカッコいい!

    手紙で『人間は、欲張りじゃなければ法律も武器もいらないと思います』っていうのが心に残った。

    最後の夕読みで気になったのがあったけど、
    アカハチの母親は気を失っている内に外人に犯されちゃったってこと?
    なんかやーね。

    ストーリー
    元過激派の父は、どうやら国が嫌いらしい。税金など払わない、無理して学校に行く必要なんかないとかよく言っている。そんな父の考えなのか、僕たち家族は東京の家を捨てて、南の島に移住することになってしまった。行き着いた先は沖縄の西表島。案の定、父はここでも大騒動をひき起こして…。―型破りな父に翻弄される家族を、少年の視点から描いた、新時代の大傑作ビルドゥングスロマン、完結編。

  • [購入] 上巻から続いて、どんどん物語に引き込まれてあっという間に読み終えてしまった。物語の前半では単に破天荒だった主人公の父の人間味溢れる部分が垣間見えたり、物語の主軸である家族の絆が醸成されていく下巻は特に面白い。

    暖かい西表島の人々や家族の姿を描く下巻は読後感が清々しい。先日読了した『八日目の蝉』と(偶然)続いて離島ものに触れ、島での暮らしも良さそうだなと思い始める。

著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2019年 『ヴァラエティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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