風の歌、星の口笛 (角川文庫 む 10-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043864010

感想・レビュー・書評

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  • 評価は好みの問題ということで。

    自分の感覚としては、変なところでリアリティにこだわったが故に、SF感の作り物っぽさが余計に出てしまっている気がする。SFの良さ?は、ある意味なんでもアリというところなわけだが、そのなんでもアリ感をうまくコントロールしないと、雰囲気としての秩序が保たれない。

    ご都合主義は嫌いじゃないけども、ミステリーのカテゴリーではちょっとなぁという。

    ただ、3つの物語を平行で走らせて、最終的にはそれらを回収するプロットはすごく練られたものであることに間違いない。

  • 最後になってようやくつながりました。しかし、納得感というのがあまりない。

  • ディックやホーガンのような、どこか海外SFを思わせる作品。
    世界観に目新しいものはなく、SFの定番のような設定だけれど
    そんな事は気にならず、素直に楽しく読めた。

    確かに面白い、けれど何か、惜しい。
    世界観も登場人物もストーリーも悪くないぶん
    何かが少し足りない気がして、口惜しい。

    ミステリーを謳わずにSF作品としてなら良い完成度なのにな、と思いました。
    SFミステリという先入観無く読みたかった、なあ…

  • 第24回横溝正史ミステリ大賞受賞作

    スケールがでかく、どことなく今後の現実に起こりうるストーリー。
    ミステリの分類に、入るかといわれると疑問符がついてしまう。
    ただ、その枠を超えたところで、引き込ませてくれる面白さがある。内容もすべてではないが、各分野の最新の研究を取り入れて書かれている点も評価できる。


    ただ・・・、私自身が研究を携わっている人間でもあることから、小説内の疑問など、私的な考えが頭をよぎる事が多かったのが悔やまれる。

  • 《ちょいネタバレあり》

    第24回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

    ①スーパーコンピューター<マム>に全てを制御された人工惑星・プシュケに暮らす探偵トッド。彼は隣人(少女ビビ)から、ロペット(ロボットのペット)の不具合の調査を依頼され・・・。

    ②地質学者のジョーは、地球の滅亡を防ぐヒントを得るために、宇宙船<クピド>の中での長き眠りから覚めた後、かつて地球人が作り出した人口惑星へと降り立った。しかしそこに広がるのは広大な砂漠と奇妙な建物のみで・・・。

    ③交通事故から生還したセンマ。恋人のスゥへの想いを再確認し、彼女にプロポーズしようと彼女に会いに行くが、彼女は姿を消していた。周囲の記憶の中からもスゥは消えていて・・・。

    ①②③の話が交互に語られ、だんだんとつながっていきます。
    SFでもありミステリでもあり。
    どちらかというとSFに重きあり?
    奇想天外な死体を作り上げるために考え出されたトリックには、つっこみたいところが色々あるのですが、SF部分は面白かったので評価はプラスです。
    <クピド>と<プシュケ>という、ギリシャ神話をモチーフにしたネーミングもよいですね。
    離れ離れになり、再びめぐり合うスゥとセンマを象徴しているようです。
    悲しみが星を滅ぼすって、すごいオチだなぁと思ったけれど、こういうのがロマンチック☆って思う人には面白いのかも。

  • 第24回横溝正史ミステリ大賞。
    違う星で起こったまったく次元の違う話。その星は“マム”と呼ばれる存在に支配されているが、星が死に直面しているらしく、他の星への移住計画が進んでいる。第一の主人公は“マム”に近づこうとする。
    話は変わって、かつて人類が作った人工惑星へ探査に向かう第二の主人公。しかし星はすっかり荒れ果てている。
    またまた話は変わって第三の主人公は、事故から退院してきて以降、恋人スウがいないことに気づく。というか周囲にとってはスウなんて人はもともと存在しなかったかのよう。
    これら3つの話が最後にはひとつになってクライマックス。全編通して、その世界観を把握するのが大変。

  • …うーん…?ミステリ…?トリック…?
    トリックは二番煎じだし、スケールもリアリティがないからいま一つ広がりを感じられないし…この方はなにか女性にコンプレックスでもあるんでしょうか。女性の書き方が面白いくらい、ステレオタイプ。
    ~~賞受賞作品に当たりなし、という信念をより強めてくれる一作。

  • 珍しいSFミステリ。密室で死んだ人々の謎。星が滅びた理由。
    宇宙船のメインコンピュータ名は「ティキ」。
    地球のコピー星であるプシュケに探索にきたジョー。その星は滅びていた。
    そして、センマという青年とスウと言う女性の恋の物語。
    彼女は人類の希望を背負って旅立たなくてはならない。
    そしてマムという絶対的な存在がいる星での子供の物語。
    3つの物語が同時進行で描かれていて、中々良かった。

  • SFファンタジーミステリってことで、そういうのにあまり馴染まない私はいまいち食わず嫌い気味。それでも横溝正史ミステリ大賞ってことで読んでみたのだけど……うーん、どうだろうなあ。たしかに雰囲気はけっこう好きだけど、「横溝正史ミステリ大賞」と思っていた印象とはちょっと違った。レーベルに捉われた先入観を持って読むと失敗しそうな一作。
    でもまああのトリックは大仕掛けそのもの。SFってことで危惧していたとおり、私には到底思いつかないものだったので、びっくり仰天。その点ではしっかり満足。動機は坂東さんが選評で書かれたように(なのでこっちを先に読んじゃうとネタバレ注意!)「そんなのありかっ?」と思わないでもないけれど、この世界観の中でなら許せるなあ。

  • 3人の主人公による多視点SFミステリー。
    滅びる星って言うのは好きなモチーフ。
    プシュケ滅亡の謎解きがミステリーぽい部分かな?

  •  人間は死ぬ、誰でも。それは至極当たり前の常識。それがこんなに残念で、悔しいことだったとは……。<br>
     ミステリとしてもSFとしてもちょっと中途半端なのと、3つのエピソードの密度がバラバラなのがちょっと気になった。すまん。密室のトリックはわかってしまった。<br>
     まあ、だけど、なんだかんだで結構じーんと来たのでそんなことはどうでもいいか。

  • 遠未来「マム」と呼ばれるコンピュータによって司られている星で探偵がコンピュータのほころびを見つける。 地球が滅びかけたとある時代、救いの手がかりを求めて人工惑星へと旅立った科学者二人。 そして交通事故で半年入院していた男が退院してくると恋人の存在自体が忽然と消えていた。 ハードボイルドとSFとミステリが渾然一体になってある到達点へと向かって集約していくのだけれど、途中からなんとなくその「地点」がちらほらと見え隠れしてくる。 多分こういうことだろうなぁと思うところへ寄り道しながらもちゃんとたどり着いてくれる。 最初分かりにくくて図示しようかと思ったけど図示しておくと早い段階でその「地点」が見つけられてしまうのでぼんやり読む方がいいかも

  • 未読

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著者プロフィール

1973年京都府生まれ。成城大学文学部卒業。2004年に『風の歌、星の口笛』で、第24回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。他、著作に『修学旅行は終わらない』、『校庭には誰もいない』、『フェイバリット・シングス』などがある。

「2022年 『風琴密室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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