霧笛荘夜話 (角川文庫)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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レビュー : 104
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043865017

感想・レビュー・書評

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  • 無敵荘の住人それぞれの個性的な生き方がオーナーである纏足の老婆から語られていく。地面を削り込んだ半地下とはんぱな高さの中二階でできている無敵荘を読みながら常に想像してしまう。最後は纏足の老婆の人生も知りたくなる悲しくて楽しい不思議な物語だ。

  • 霧笛荘とは、一見洋館風の風変りなアパート。本書はこのアパートの住人がそれぞれ主役の短編物語集である。
     複雑な人生を背負ったホステス2人、オナベ、元やくざ、ロックバンドのギタリスト、自称元船乗り、このアパートを地上げのために買い取ろうとする不動産屋、そしてこのアパートの管理人兼所持者。それぞれが独特の人生観の中で、独特の物語を持っている。彼らの人生がこのアパートで複雑に交差し、シンクロする。
     読み進めていくと、ある種の焦燥感が湧き出てきて、気が重くなった。とはいえ読む速度が鈍るわけでもなく逆にこの焦燥感に押されて一気に読み終わった。
     読み終わって見て、この焦燥感が澱のようなものへと変化し、自分の中になにか沈澱していく様を感じた。 成熟したワインには澱はつきものである。きっと自分が精神が一歩成熟に近づいたのだろうと思った。

  • 久々に浅田次郎の人情モノを読んだが、うーん…。心が荒んだのかサビたのか乗り切れない部分があって、煮え切らない読後感。
    特にオナベのカオルの部屋あたりから伏線も解釈回収に手間取ってしまい、集中力が足りないのか物語に入り切れてないのか。

    解説によると前半3話後半3話に10年以上のブランクが空いたのだとか。とすると丁度そこらあたりが俺の煮え切らなさが出てきている。浅田ワールドの成長進化に俺がついていけなくなっているのかも知れないなぁ。あるいは久々すぎて間合いを測りそびれているのかも。

    ちょっと期待外れな残念感があった。浅田ワールドもうちょい追いかけ治してから再読するのもありかな

  • 【最終レビュー】

    図書館貸出。

    オフィスキュー・公式サイト:スタッフダイアリーより

    〈I本部長(12/20付:男性・今年最後の更新内容=最近発刊された『新装版の表紙』)〉

    http://cue.digiadv.net/pip/129580/pp1/SNB20171220/index.html

    を通しての一押し紹介著書。

    浅田さん作品は、以下のオムニバスエッセイ以来。

    《うっとり、チョコレート:オムニバスエッセイ》

    ◆既読レビュー 17.5.31

    http://booklog.jp/users/sapphire913/archives/1/4309025374

    ―目次―

    *第一話:港のある部屋

    *第二話:鏡のある部屋

    *第三話:朝日のあたる部屋

    *第四話:瑠璃色の部屋

    *第五話:花の咲く部屋

    *第六話:マドロスの部屋

    *第七話:ぬくもりの部屋

    〈複雑な環境下、それぞれの境遇を生きてきた、それぞれが訳ありながら、人間味は合わせ持っている、霧笛荘に住みついている男女達〉

    〈霧笛荘の管理人の老婆〉を軸にした

    ありふれている、ささやかで小さなひとつひとつひとつの出来事。

    展開が流れていく中

    《ゆっくり、少しずつ、じんわり、溶け込みながら》

    『不思議と、いつの間にやら包み込まれていく「優しさと心情」に寄り添う、目には決して見えない「互いの拠り所」』

    を通しての

    〈程よい距離感のある人間模様〉

    昭和のレトロな光景をバックに、深い情緒さと共に絡まり合っていく。

    例えるなら

    〈朝ドラ・ひよっこ〉

    後半の舞台のひとつだった

    『あかね荘』だったり

    〈映画:DESTINY 鎌倉ものがたり〉

    『黄泉の国の光景を通しての「中国の古式の装飾」』

    両方が上手く折り混ざっている世界観が漂っている。

    『自分自身と重なる場面』や

    『相身互い』という『深みあるメッセージ』

    『北海道出身者のエピソード(札幌の場面等…)』

    『究極に心底から花が大好きな人(北海道出身)の部屋での「花々に囲まれた微笑ましい光景」』

    『戦争における見解…』

    『馬鹿力』

    これらひとつひとつの

    重要度の高い要素も、極めて印象深いものがありました。

    《普段、忘れ去られている何か》

    をふっと、先入観なく、思い起こしていくかのような作風。

    今を生きる、我々、現代人にも、何かしら、言葉にはできないメッセージが込められた

    『素敵で心温まる、今宵の季節に抜群の著書』

    でありました。

    I本部長さん、改めて、本当にありがとうございました。

  • 運河のほとりの立地の悪い倉庫街にある、
    共同住宅の6人の住人たちの話。
    おそらく、横浜か神戸かが舞台。

    10年近く前に読んだのを再読。

    それぞれが理由は異なれど、
    どうにもならない前の自分を捨てるために
    自分のなりたい別のものを演じようとする。

    皆暮らし向きは良くないはずなのに、
    生活を変えられるほどのお金を貰える状況になっても、
    自らこの建物を去ろうとしない。

    他者の施しや好意だけでは解決できない問題を抱えた、
    器用じゃない人たちの話。

    前読んだときは節々で
    感情移入できなかったのを思い出したけど、
    今回読んだら登場人物を
    そんなに嫌いにはならなかった。

  • 港が見える奇妙な意匠のアパート、霧笛荘。酔狂な男が建てたというそのアパートの管理人は、チャイナドレスを着た纏足の老婆。そんなアパートにやってきた人物に、老婆が空室を一部屋ずつ紹介する形で物語は進みます。

    自殺願望があるのに死ねない女、社長夫人だった強烈な美貌の女、お人好しでおつむの足りないチンピラ、ミュージシャン志望の青年、レズのふりをして生きる自称オナベの女、特攻するはずが終戦で死にそびれた男。そして最後に老婆自身のことも明かされます。他人から見れば不幸でも、霧笛荘の住人はみんな幸せだった。

    およそ現実とはかけ離れた光景だと思われるのに、老婆が語る住人たちの様子が目に浮かぶよう。湿った空気まで伝わってくるのが凄いです。みんなが幸せに暮らしていた夏のこと。切なさ満載で、もろに好み。

  •  幸せとか不幸とかをうっちゃった人間の優しさが、きりりと光る心の温まる小品集でした。決して大作品ではありません、そしていつもの浅田さんのような涙を誘う場面もありません。でも一つひとつの作品から漏れ出す優しさが、何とも言えない良い後味を残してくれます。
     いつもこの人にはやられます。

  • 言わずと知れた浅田次郎先生♡読ますわ〜

    何が良いかと問われれば、(問うてないですが)
    「霧笛荘」の建物の感じがいい。理想的。住みたい。
    私の頭の中ではなんとなく、道路より低い位置に建つ
    中国風の建物で、赤い柱が石畳の苔むした前庭(広場?)を囲んで
    外から見るよりも複雑な廊下や階段が有る様な古い屋敷。
    各部屋もそれぞれ住人の雰囲気に合って、壁なんかはべたっと
    ビビットな色調で塗ってある。
    何かそんな感じ(わかりづらい)。

    霧にむせんだ運河のほとりで、湿った風が吹いたりなんかして幻想的。

    おもしろいわ〜。世界観が好き。

  • 2016年12月3日読了

  • 独特の世界観。
    変人なんだろうなあ。
    違うかな?
    自衛隊にも行ってたっていうし。
    て、また怒られそう。

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プロフィール

浅田 次郎(あさだ じろう)
1951年、東京都出身。
1995年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、1997年『鉄道員』で直木三十五賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、2006年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、2008年『中原の虹』で吉川英治文学賞を、2010年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞、2016年『帰郷』で第43回大佛次郎賞それぞれ受賞。2015年には紫綬褒章も授与されている。
2018年現在、日本ペンクラブ会長、直木賞、柴田錬三郎賞、山本周五郎賞の選考委員を務める。

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