鼻 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 137
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043873012

作品紹介・あらすじ

人間たちは、テングとブタに二分されている。鼻を持つテングはブタに迫害され、殺され続けている。外科医の「私」は、テングたちを救うべく、違法とされるブタへの転換手術を決意する。一方、自己臭症に悩む刑事の「俺」は、二人の少女の行方不明事件を捜査している。そのさなか、因縁の男と再会することになるが…。日本ホラー小説大賞短編賞受賞作「鼻」他二編を収録。大型新人の才気が迸る傑作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • いやーなんでこんなに面白いんだ!
    曽根作品!奇妙な世界に入り込んだ気分で、映像じゃない文字だけなのに どっぷり夢中になってしまった

    3つの中編からなる作品集だけど、2つ目を読み終わった時点で、夫に「なんで嬉しそうな顔してんの?」と言われたくらいニヤニヤしていたらしいw それくらい、もうこの作品を読んで興奮が抑えきれなかったんだと思う

    [暴落]
    凄い世界観(いや、3編ともすごい世界観なんだけど)こんな世の中になったら全く自由に動けなくなってしまう 全てに疑心暗鬼になってしまうよ〜 でもブラックユーモアなお話で、笑ってしまったwそのネーミングよw 面白すぎる
    [受難]
    まさに不条理…主人公以外の3人全てにイラつきを覚える
    [鼻]
    これこそとんでもストーリー
    凄い話を思いつくもんだ!曽根先生…
    ラスト近くまで意味がわからない世界が続く 文字のフォントによって私は完全に勘違いをしていた(勘の良い人は途中で気づくかも)先入観って恐ろしい
    前回読んでいた曽根先生の『腸詰小僧』で先入観によって騙されたはずなのに!今回もまんまと…

    もーとにかく面白すぎて鼻血出そうなくらい(出てないけどw)頭に血が昇った
    もう曽根圭介作品の虜だわ

  • 『暴落』『受難』『鼻』からなる三編の短編ホラー集。個人的に『受難』が面白かった。どれも独特な世界観があり、非日常感を味わえる。先が気になりあっという間に読み進めてしまった。

  • どの作品も素晴らしい完成度。
    この作品を読んでから本を読むことが好きになり、自分の好きなジャンルがわかるようになった。

    先日上司にも貸し、高評価だったのか上司の旦那さんにまで読まれた。。。

    • アンシロさん
      葦湯さん、はじめまして。
      いいね、フォローして頂き、ありがとうございました。

      本棚を拝見していて、知らない作家さん作品ばかり。葦湯さんの読...
      葦湯さん、はじめまして。
      いいね、フォローして頂き、ありがとうございました。

      本棚を拝見していて、知らない作家さん作品ばかり。葦湯さんの読書好きのきっかけの作品との事で「鼻」がとても気になっております。

      「黒い家」があまりに怖くてホラーに若干苦手意識を持ちましたが笑、色々な作品を読んでみたいと思いました。
      また本棚を参考にさせて頂きます、よろしくお願いします。
      2023/10/19
    • 葦湯♨️さん
      アンシロさん
      はじめまして
      コメントをいただくのが初めてなもので嬉しいです

      黒い家、かなり面白かったですね
      久しぶりに本を読んでて充足感を...
      アンシロさん
      はじめまして
      コメントをいただくのが初めてなもので嬉しいです

      黒い家、かなり面白かったですね
      久しぶりに本を読んでて充足感を得れました

      当方の本棚ですが、
      ホラー短編を中心に短編集ばかり買ってるので偏りがあるのなと思います。

      この「鼻」はかなりおすすめですので宜しければ読んでいただけると幸いです。

      今後よろしくお願いいたします
      2023/10/19
    • アンシロさん
      こんばんは、お返事ありがとうございます。こちらこそとても嬉しいです。

      「黒い家」の生々しい描写がすごくて、かえって映像よりも恐怖感があって...
      こんばんは、お返事ありがとうございます。こちらこそとても嬉しいです。

      「黒い家」の生々しい描写がすごくて、かえって映像よりも恐怖感があって貴志祐介さんの凄さが分かりました。臭いまで想像してしまいました汗。

      「鼻」を読んでみますね!自分はまだ読書を始めて日が浅いのでみなさんの本棚を参考に色々読んでます。ライト(?笑)なホラーから徐々に体を慣らして行きたいと思います(^^)
      2023/10/19
  • こう言ったもしかしたら実現できる?ような世界の中での人の怖さを存分に楽しめた。
    個人的には暴落が好きで鼻はあまり話がわからなかったがうとうとしながら読んだので2度読みして見てから再度本の評価をしたいと思う。

  • どす黒い物が読みたくて、手に取りました。
    ″恐怖″の深淵は″理不尽″にあると考えています。
    そういった意味で
    とても怖く、面白い作品です。

    表題の『鼻』
    面白かった。

  • ホラーというよりブラックな怖さでした。
    収録されている「暴落」「受難」「鼻」では、「受難」にゾッとしました。ピンチなのに、やってくる人誰一人まともに話が通じないの怖い。ひょこたんはこうやって霊騎士だと思った人を弱らせては埋めてるんだろうか……
    「暴落」は筋が通ったわかりやすさ読みやすさでしたが、その分?「鼻」の狂気が際立った気がします。「私」はずっと彼だけの世界に居るんだろうなと。。体臭恐怖症の刑事も彼だけの世界だったけど、「私」の見ている世界の方が歪でした。

  •  収録作品は3編。

    「暴落」はあらゆる人間の価値を株価で示すようになった世界が舞台。例えばいい会社に入ればその人の株価が上がり、逆に犯罪などを起こせば、株価が下落、さらには上場廃止となります。そして上場廃止された人間に待つ運命とは…

     なんともシニカルでブラックな展開となっています。社会的評価のない人間が地の底から這いあがることの難しさや、一度セーフティーネットからはみ出してしまうと、とことん落ちてしまう日本の現状を皮肉的にとらえた一編だとも思います。そういうわけで主人公の転落ぷりはなかなか笑えないところでもあったり…

    「受難」は目が覚めると手錠で腕をパイプでつながれていた男が主人公。
    こちらは不条理ものの作品。まったく理屈が通らない人間たちの理解不能さが不気味な短編でした。少し平山夢明さんの作品の雰囲気と似ているかも。

     そして表題作の「鼻」。人間がテングとブタという二つの種類に区別された世界。テングたちはブタに差別を受ける中、テングを救うため違法な転換手術を行おうとする医師と、連続幼女失踪事件を追う刑事の物語が交差する短編です。

     独特の世界観がしっかりと作品の中に落とし込まれていて、二つの話がつながる瞬間の驚きはかなりのものです! 真実と虚構、現実と幻想が読んでいる間ずっと自分の中でぐるぐるしているようで、読み終えるころにはそれが解決されるものなのかな、と思いきや、話を合理的に締められるのに、一方で読み終えた後も真実と虚構、現実と幻想が一緒くたとなった不思議な読み心地がずっと残ります。

     いずれもヒトクセのある個性的な作品ばかりで、楽しく読めました。

    第14回日本ホラー小説大賞短編賞「鼻」

  • 著者の『あげくの果て』が面白かったので連続で読んでみた。こちらも非常にブラックで面白い3本。星新一さんのようであり、筒井康隆さんのようであり、式貴士さんのようであり、そしてやはり藤子F先生的な要素もある。要するに私の好みド直球だということ。

    ■暴落
    家柄や学歴、財産、品性などの個人の価値が「株価」として公開され、就職や結婚などにその値段が大きく影響する……という社会を描いた作品。主人公は中流以下の家庭に育ったが、奨学金で大学まで出た上に一流企業に就職し、エリートとしての株価を手に入れていた。しかし、ある時急にその価値が少しずつ目減りしていることに気づく。調べてみると、実家の兄の音楽仲間が覚せい剤で逮捕されたことを知る。実家を訪れて兄の部屋にも覚せい剤を発見したため、株を完全に売り払って縁を切る。その直後に兄が銀行強盗事件を起こし、縁を切っていたことにほっとしたのも束の間、あまりに良いタイミングで絶縁したことから、インサイダー取引を疑われる。そこが転落の人生の始まりだった。

    現実世界でもよく「スペック」などという言い方をするが、それが目に見える形となり、公然とそれによって差別すら行われている。「法によって統治できなかった社会が、市場によって統治された」と表現されていたが、この設定がまず面白い。が、それだけではない。
    また、インサイダー取引や風説の流布など、実際に株式市場でも起こり得る犯罪を疑われたせいで追いつめられる主人公の転落人生が、身の丈以下に落ちるところで終わらないのもすごい。その部分が最大の謎になっている。「イン・タム」とは何なのか、という思わず吹き出す真相の後でやってくる、ダークすぎるオチ。しかし、格差社会の末路として、まったく絵空事とも思えないのがまた怖い。

    ■受難
    主人公が目を覚ますと、通りから離れた場所の扉の内側に手錠で繋がれている。声を出しても、外を歩く人に届かない。そこに3人の人間が入れ替わり立ち代わりやってくるが、三者三様の理由によって、なぜか主人公を助けてはくれない。

    ミックスナッツと水、というところで実は真相を読んでしまった。このネタは意外と結構、推理物や漫画に出てくる。この女も怖いが、ビルの上から眺めては主人公の元にやってきて、グチと説教だけして帰るオジサンも怖い。

    ■鼻
    「ブタ」と呼ばれる普通の人間が、見た目が少し違う「テング」と呼ばれる人間を差別する。主人公の医師は、かつて「テング」の妻と結婚していて、娘のために一度だけ、「テング」を「ブタ」に見せるための違法な手術をしていた。
    一方、自分の臭気に異様に敏感な刑事は、女児行方不明事件の重要参考人たる「マスク男」を探す。
    この二つの視点が交互に展開され、どちらもどこか現実でないような書き方をされるので、妙にふわふわした気持ちで読んでしまった。ラストのオチは完全に不意打ちで、本当にびっくりした。上記2編を先に読んでいたせいもあり、このパターンの叙述と思っていなかった。

  • 個人的には『受難』が面白かった!
    不思議な世界観があり、こういう内容の本を
    読み慣れていない私にはなかなか読み進めなかった。

    特に『鼻』は終わりの方で話が分かると
    一気に読めるけど途中の方で
    「テング?」「ブタ?」と
    訳分からなくなってしまうことがあった(笑)

  • 軽い文体なのでサクッと読める。読みやすいが構成は複雑なので読後感も満足。
    読んだ印象はテレビの「世にも奇妙な物語」的な感じ。不思議な世界で展開されるストーリー、どんでん返し。でも結末はブラックなのでそのままテレビ番組にはしづらい。

    ・暴落
    国民全員に株価評価がついてまわる世界で、評価が暴落していく男の転落劇。

    ・受難
    監禁された男の前に次々と現れる奇妙な人々。誰も男を解放しようとしない。監禁された理由は?助けてくれないのはなぜ?

    ・鼻
    豚と呼ばれる人々がテングと呼ばれる人々を差別する世界で、豚の医者がテングの親子を助けようとするが…。

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著者プロフィール

1967年、静岡県生まれ。早稲田大学商学部中退。漫画喫茶の店長などを経て執筆活動を開始。2007年「鼻」で日本ホラー小説大賞短編賞、同年『沈底魚』で江戸川乱歩賞を受賞。09年「熱帯夜」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2011年『藁にもすがる獣たち』で第2回山田風太郎賞の最終候補作となる。トリックの効いた異色の作風で注目されている。

「2017年 『暗殺競売』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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