熱帯夜 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 326
レビュー : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043873029

作品紹介・あらすじ

猛署日が続く8月の夜、ボクたちは凶悪なヤクザ2人に監禁されている。友人の藤堂は、妻の美鈴とボクを人質にして金策に走った。2時間後のタイムリミットまでに藤堂は戻ってくるのか?ボクは愛する美鈴を守れるのか!?スリリングな展開、そして全読者の予想を覆す衝撃のラスト。新鋭の才気がほとばしる、ミステリとホラーが融合した奇跡の傑作。日本推理作家協会賞短編部門を受賞した表題作を含む3篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • ブラックユーモアなホラー小説。
    今まで読んだ本の中で本作が一番好き。
    熱帯夜のラストに向かって収束していくスピーディーさと最後の言い訳のオチがたまらなく好き。

    特に最後の言い訳は設定もさることながらそのうちの面白さにゾクゾクし、読み終わって爆笑してしまった。

  • 「熱帯夜」
    「鼻」に続く叙述ミステリー(時間とキャラクターの二重仕掛け)なのだが今回も見事に騙された。スピード感があってスリリング。あいかわらず人間に対する憎悪で満ち溢れている。ゲス野郎が三人出てきてその三人ともがきれいに破滅するラストはお見事。期待を裏切らない素晴らしい作品だった。

    「あげくの果て」
    老人問題もののディストピア小説。同じ家族の祖父・父・息子の三つの視点から書き分ける。

    「最後の言い訳」
    ゾンビ+淡い初恋の思い出もの。ゾンビの擡頭により激変していく社会の様子が新聞記事の体裁で説明され、そこに主人公の現状と子ども時代の回想が絡んでくる。しかしここでも時間の叙述トリックが。非常にうまい構成だ。オチは当然これしかないだろう。

  • たまにはホラーでも読むか、と表題に惹かれて借りてみたけど、ホラーというよりはブラックでした・・・短編にしては面白かったけど。もっとゾクゾクするようなホラーが読みたかったなーw

  • 曽根圭介作品を初めて読みました。3作品どれも確かにホラーなんですがしっかりミステリです。一見関係のなさそうな何人かの人物の視点がラストに上手く繋がって別の絵を見せてくれる手法はとても好みで、三作とも最後にいろいろな意味で衝撃が用意されていました。伏線もうまく張ってあったと思います。ブラックだったりシュールだったり、ホラーの背筋の寒くなるような怖さではなく、なんだか落ち着かない気持ち悪さを感じました。それなのにこの作家さんの別作品をすぐ読みたいほど、この世界観には不思議なことに惹かれます。

  • 笑窪(エクボ)ありますか?

    あばたも笑窪ってくらいだし
    やっぱ笑窪ってチャームポイント。

    この作品、わずか約60Pなのに負の連鎖盛り沢山。
    タ○リの世にも不思議な物語的で面白かった。

    読後、思い出したアメリカンジョーク。

    若い男女が深夜の公園でデートしていたら
    突然、大男が現れ「オイ、俺と付き合えよ」と凄む。
    彼氏は彼女に「逃げろ!」といい彼女を逃がす。
    大男はふふふ・・・と笑いながら
    彼氏を暗がりに連れて行きズボンを下ろす。

    これはこれで、怖いだろうなぁ

  • 相変わらず曽根さんは意表を突いてくるなぁ。そこに緊迫感とブラックユーモア、人間の滑稽さと悲しさが絶妙に同居。上野のパンダの名前には思わず笑いが漏れたw
    「あげくの果て」の結末はちょっと締まらなかったけど、「最後の言い訳」はオチもついてかなりの快作ならぬ怪作だと思う。

  • 表題作のみ読みました。

  • 2015年、23冊目。曽根圭介2冊目。途中GW入って1週間以上間が空いてしまった1冊。

    「日本推理作家協会賞短編部門」受賞の表題作を含む3篇収録。

    収録順に簡単に紹介&感想を……。

    「熱帯夜」
    主人公、「ボク」の友人、藤堂は闇金から金を借りている。その取り立てにボクと藤堂の妻、美鈴は人質となる。金策のタイムリミットは2時間。
    作りは「鼻」と同系統なので、何となく、途中で、オチの想像は付いていたが、やはり、「やられた」感はある。伏線の回収も良く出来てる。展開のテンポ感もイイ。ただし、完全にミステリー。

    「あげくの果て」
    超高齢化社会をむかえた日本は高齢者徴兵制を導入。戦地、最前線へと彼、彼女らを送るのであった。そんな近未来を、高齢者徴兵制のための検査を受ける老人、中年男性、高校進学を控えた若者、3人の視点で描いている。
    ディストピアSFとブラックの融合。敬老主義過激派組織「連合銀軍」、排老主義青年組織「青い旅団」、最新型戦闘スーツ「難局二号」等々、小ネタセンスが最高。コレもホラーではナイような……。

    「最後の言い訳」
    市役所職員の鵜飼京一はゴミ屋敷撤去の依頼を受ける。ソコは京一が幼い頃に住んでいた場所にほど近い所であった。人とゾンビが共生する世界の物語を現在と、ゾンビ暴動後の幼い過去、ソレ以前の初恋の思い出を重ねて綴っている。
    実にらしい展開。設定はゾンビが出てくるので、ホラー的ではあるが……。ブラック満載。そして、オーラス、タイトルがドカンとのしかかってくる。

    曽根圭介って作家は複数視点や、時間軸を使った、叙述トリック的なトコを得意としてるんだろうな……。と思う。ミステリーをソレほど読む方ではナイ自分だが、キーになるポイントは3篇ともほぼ予想通り。だが、ドレも大オチでさらに半回転ヒネりが加わってるトコも好き。

    ホラーを期待して読むと、少々肩透かし。しかし、ブラックなミステリーとして読むにはかなり楽しめる。

  • 曽根圭介得意の不条理な物語が三編。直球のホラーではなく変化球。ブラックユーモアが炸裂してます。きっとコーエン兄弟とか好きなんだろうな、曽根さん。

    『最後の言い訳』はゾンビファンには是非読んでほしい秀作です。

  • この短さでここまで秀逸なミステリー・ホラーはなかなかお目にかかれないのでは。
    不条理過ぎない設定が絶妙。

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著者プロフィール

1967年、静岡県生まれ。早稲田大学商学部中退。漫画喫茶の店長などを経て執筆活動を開始。2007年「鼻」で日本ホラー小説大賞短編賞、同年『沈底魚』で江戸川乱歩賞を受賞。09年「熱帯夜」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2011年『藁にもすがる獣たち』で第2回山田風太郎賞の最終候補作となる。トリックの効いた異色の作風で注目されている。

「2017年 『暗殺競売』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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