- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043878024
作品紹介・あらすじ
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する"偶然の出逢い"にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。
感想・レビュー・書評
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とても個性的な作品でした。
好きな人はとことん好きな作品なのだろうなと思います。
私はもう、この1冊でお腹いっぱいな感じでした。
普段は、常に行間を読みながら、登場人物たちの心の奥底を自分に投影して「書かれていないもの」を読み取るよう努めてページを捲るのですが、
本作では、途中から行間を読むのを止めました。
作者の独特な表現による説明が、懇切丁寧に、のべつ幕無しに書かれているからです。
私には、本作に「行間」などないと感じられましました。
なので本作は、
その場その場の勢いで読むべき作品だと思います。
実際に、そう読んだ方が楽しかったです。
特に第3章が面白かったです。
鼻毛の男とか、象の尻とか、思わず笑いました。
大学生って、こんなに変人ばかりなのですかね。
本作に登場する人たちは、
なんだかみんな「愛すべきバカ」という感じでした。
私は間違ってもバカにはなりたくないですが、バカになれる人ではありたいなと感じました。 -
山本周五郎賞受賞作。
有名なタイトルですので、もちろん知っていましたが、名取佐和子さんの『金曜日の本屋さん』で紹介されていたので読みました。
「お友だちパンチ」の意味はよくわかりました。
黒髪の乙女である彼女の横顔の表紙はとってもキュートです。
第一章はひたすらお酒を飲み続ける話。
私はアルコールは一滴も飲めないので、飲みたいとは思わなかったけれど「偽電気ブラン」とか奇妙なお酒が出てきます。
第二章の古本市の話はビブリオミステリーや、ブックガイドともまた一味違って、一番面白かったです。
第三章の学園祭は、昔、京都に住んでいた時、京大に友人が通っていたので、呼んでもらったのを思い出しました。
この話は京都という特定の街が舞台だからいいのかなと思いました。
でも180ページを過ぎたあたりで「この本は、ストーリーがあんまりない感じだけど、このまま、だら~っとしながらそのまま終わってしまうの?」と心配になりました。
第四章は気になる言葉と竹久夢二の詩がありました。
恋に恋する乙女は可愛いこともあろう。
だがしかし、恋に恋する男たちの、分けへだてない不気味さよ!
いったい私に彼女の何が分かっているというのか。
焼け焦げるほど見つめ続けた後頭部のほか、何一つ分かってないと言って過言ではない。
それなのに、なにゆえ惚れたというのか。ー本文より
竹久夢二の詩
人をまつ身はつらいもの
またれてあるはなほつらし
されどまたれもまちもせず
ひとりある身はなんとせう。
恋っておかしなものなのかと思いました。
それを、やさしく、面白くかいたのがこの作品なのかなと思いました。
本屋大賞2位の人気作ですが、読む人を選ぶ作品ではないでしょうか。
はっきり言って、私はこの作品の真の面白さがわかったとはいいがたいと思いました。
面白さのツボが私とはちょっと違うような気が…。
『熱帯』とか『夜行』は凄く面白かったのですが。
星を減らしたのは自分がわからない作品のせいですので、作品に罪はありません。ごめんなさい。 -
いや~最高に面白かった。
「腐れ大学生モノ」の傑作。
さすが山本周五郎賞受賞作品。
モリミ~先生の著書は『夜行』と本書と同じ「腐れ大学生モノ」である『四畳半神話大系』しか読んだことはないけど、僕は断然こっちの「腐れ大学生モノ」が好きだ。
もう、あまりにもバカバカしすぎて読むのがやめられない。
そしてモリミ~先生の古臭いような特殊な文体も好きだな~。
読んでいて、
あれ?昭和?大正時代かな?
なんて描写があるのだけれど、そこにいきなり「携帯電話」なんてハイカラな単語が飛び込んでくるものだから、自分の脳内でのタイムトラベル回数がもう半端ない。
そして今回もモリミ~先生が描く「黒髪の乙女」がもう最高である。
本書に登場するヒロインの「黒髪の乙女」は、男の妄想を
もう、これでもか!!
というくらいオーバーに描きまくった美少女。
今回の「黒髪の乙女」はなんてったって、そりゃもう、ただの美少女ではない。
どんな男でも彼女と一度ふれ合ったら
彼女は良い子だ。ああ、良い子だ。
と100パーセント恋に落ちてしまうような超天然ほんわか系の女子大生なのだ。
この「黒髪の乙女」視線で描かれるシーン(本書は恋愛小説には珍しく「先輩」視線と「黒髪の乙女」視線で交互に描かれる)はまさに絵に描いたようなというか、ページの間から、なんかそこはかとなく良い匂いがしてきそうな感じといえば分かりやすいだろうか(分かるわけないかw)。
本書を読んだ女性読者からは、
絶対こんな女子、いねえから!
男は女に妄想抱きすぎ!!
という怨嗟に似た怒号が聞こえてきそうだが、そういった世知辛い世間の声を華麗にスルーし、この絵に描いたような美少女を自分の思い思いの方法で愛でる(←あくまでも法に触れない方法でね☆)のが正しい男子読書人の在り方だろう。
しかしながら、極めて個人的な現状をあえて言わせていただいてよいのならば、僕はいまだに前作『四畳半神話大系』の「黒髪の乙女」であるクールビューティーな明石さんの「ぎょええええ」に心を鷲掴みされたままであることをここに報告しておきたい。
という訳で、本書はその内容も素晴らしいのだが、末尾の解説がまた凄いということをお伝えせねばならないだろう。
漫画『3月のライオン』や『ハチミツとクローバー』の作者・羽海野チカ氏による解説(というかイラスト)が素晴らしいのだ。
もう、本書に登場するヒロイン「黒髪の乙女」の姿が完璧というか、それそのものが描かれている(笑)。
この解説(イラスト)を読むだけでも、この文庫本を手に取る価値はあるだろう。
このバカバカしいながらも、一服の爽やかな風が胸の中を通り抜けていくようなこの物語。ぜひ、一読していただきたい小説である。 -
2006年(平成18年)。
堪能いたしました。古の都・京都を、かくもアヤしく甘酸っぱいスラップスティックコメディ的青春恋愛ファンタジーの舞台に仕立てあげてしまうとは。感服しました。往年の名作漫画に例えるならば、さしずめ「めぞん一刻」或いは「グリーンウッド」といったところでしょうか。ファンタジーであるのだからして、「そんな奴ぁいねぇよっ」的突っ込みは無粋と申せましょう。エセ近代文学めいた胡散臭い語り口も、また楽しからずや。願わくは、若き2人の未来に幸あらんことを。青春万歳。京都万歳。なむなむ! -
久しぶりに個人的に大好きな一冊に出会えた。センスの塊みたいな小説。何より終わり方が良すぎる!
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名もなき2人の語手が織りなすなんともピュアなラブストーリーが癖になる作品でした。
浸し見やすい一面もありながら、文芸的な魅力もあり読書初心者、中級者、上級者の全ての方にお勧めできる一冊です。
また、文庫本の表紙も楽しめる要素があります。表紙には様々なイラストが描かれていますが、読む前はなんのことか分かりませんでした。しかし、読み終わった後に見てみると全てのイラストの意味がわかるのでストーリー以外にも楽しめる要素があるのは嬉しかったです。
大どんでん返しがあるわけでもなく、とんでもない感動があるわけでもありませんが、読み終わった後に極上の「少しのほっこり感」を味わえます。この「少しのほっこり感」こそが本書の最大の魅力だと私は感じます。 -
これが森見ワールドかぁ!
京都が舞台の恋愛ファンタジー。
個性豊かなキャラクターたち。
特に黒髪の乙女の純真さよ。
独特な文体と世界観に初めは戸惑っていたものの、
気づけばハマり、先輩を応援していた。
まさに、オモチロイ。
読み終えた今、すべてが愛おしい。 -
忙しい合間に少しずつ読んでたので、不思議な世界観に翻弄されたまま読み終わってしまいました(汗)
きっと一気に読んだらもっと楽しかったんだろーなぁ...
不思議で可愛らしくオモチロイお話でした。
なむなむ・・・ -
いやぁ〜まんまとハマりました(笑)(^_^;)
本当に愛しくて、
胸がキュイ〜ンとする
ザッツ・エンターテイメント小説です(o^-^o)
同じ場所の同じ時間を、
先輩目線で語られる
ダメ男の妄想全開な視点と、
黒髪の乙女からの
純真無垢な視点と
交互に語り手が変わる構成で
魅力的な物語は
サクサク進んでいきます。
告白などできるハズのないアホウな先輩は
外堀を埋めるため
黒髪の乙女を終始追いかけるが
その先々でトラブルに巻き込まれ、
なかなかうまく会えない様や、
そんなアホウの想いに気付かない故に
ちぐはぐな、
天然乙女との会話が
また面白い(笑)
まるで大正ロマンを思わせる
ハイカラでノスタルジックで
奇妙キテレツな世界観と、
森見節炸裂の
文語調の独特な文体と
(ここは好き嫌いあるかなぁ〜)
そして
想像力を掻き立てる
数限りない素敵な言葉に、
終始映像が浮かんできて
ドキドキワクワクしながら
読み終わるのが勿体無いくらい
幸福感に満ち満ちた作品です♪
京都を舞台に
実際の地名や
四季を彩る風景描写が
これでもかと風情豊かに描かれているので
京都のはんなりした空気感が好きなら
たまらないと思います。
『諸君、異論があるか。
あればことごとく却下だ!』
『恥を知れ。しかるのち死ね!』
『なむなむ!』
『偽電気ブラン』
『学園祭とは青春の押し売り叩き売り、
いわば青春闇市なり!』
『ハッピーエンドだ!!誰もが赤面することうけあいだ!!』
『ビスコを食べれば良いのです!』
など
名言に迷言、
印象的な言葉のオンパレードに
思わず声に出して
読みたくなってしまうこと間違いナシ(笑)(^O^)
読んでいると自然とニヤケてしまうので
外で読むには
それなりの覚悟がいります(笑)♪
さて、『先輩』の
届かぬ想いは
成就するのか?
黒髪の乙女の可愛さと
先輩の間抜けぶりに
杏仁豆腐の味にも似た人生の妙味を
とくと御賞味あれ〜(^_^)
なお文庫版に収録された
漫画家・羽海野チカによる
イラスト入り解説は必見!
高橋留美子の
『めぞん一刻』
『うる星やつら』の世界観や、
『ハチクロ』の漫画が好きな人、
そして大正や昭和ロマン、
文学やお酒が好きなら
必ずハマる作品です♪
(個人的には
羽海野チカ監修で
アニメ化を希望!)-
円軌道の外さん
はじめまして。pantookomeと申します。
ご報告遅くなりましたがフォローさせていただきました。
フォローとコメント...円軌道の外さん
はじめまして。pantookomeと申します。
ご報告遅くなりましたがフォローさせていただきました。
フォローとコメントをありがとうございます。
森見作品よいですよね!
主人公がいつもネガでぐるぐると考えているのに、決して湿っぽくならずクスリと笑わせてしまうところが流石!と思います。
円軌道の外さんが的確なことばで森見作品のよさを書いており、共感してしまいました。
これからもレビューを読書等の参考にさせてください。
よろしくお願いします。
2013/01/03 -
ご丁寧なコメントとフォロー
感謝感激です(^O^)
あっ、分かります!
どちらかと言えば
ネガティブな主人公ばか...
ご丁寧なコメントとフォロー
感謝感激です(^O^)
あっ、分かります!
どちらかと言えば
ネガティブな主人公ばかりなのに、
なぜか読後感は爽やかやし(笑)
この作品も
文語調の語り口はちょっとクセはあるけど、
ファンタジーでいてロマンチックやし、
妄想狂の先輩が笑えるし、
ヒロインが無性に可愛いし、
京都の町の雰囲気に浸れるし、
ホンマハマる要素
てんこ盛りですもんね(笑)
アホアホな先輩は
なんか自分を見るようで…
どうにもこうにも
痒くて痛かったけど(汗)(^_^;)
こちらこそ
末永くよろしくお願いします!
2013/01/19 -
iii76385さん、フォロー&沢山の花丸ありがとうございます!
そしてそして
こんなに熱いコメントまで頂けるなんて、
...
iii76385さん、フォロー&沢山の花丸ありがとうございます!
そしてそして
こんなに熱いコメントまで頂けるなんて、
感謝感激でございます(笑)(≧∇≦)
レトロでエロティシズムが匂う
中村佑介さんのイラストは
自分も大好きなので、
ああ~
確かにそっちのアニメも
見てみたいなぁ~っと
激しく共感した次第です(笑)
とっつきやすく可愛い
羽海野さんの手によるアニメは
夕方か朝の時間帯に放送して、
中村佑介さんの
官能的で
大人なイラストでのアニメは
深夜枠に流すという
アニメ界発の試みもいいんじゃないでしょうか?(笑)
良かったら自分も
「Blue-中村佑介画集」に
熱いレビューを書いてるので、
また読んでみてくださいね(笑)
これからも末永く
ヨロシクお願いします!(^_^)v
あとでフォローに伺います!
2013/12/12
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著者プロフィール
森見登美彦の作品






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