夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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レビュー : 4089
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043878024

感想・レビュー・書評

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  • 森見登美彦作品の中で初めて読んだ本。
    最初は独特の言い回しについていけるか心配だったけど、すぐに慣れたし、とても心地良い文章だった。
    京大生としては知っている場所やイベントが目白押しで面白くないわけがないという感じ。
    文量が少なめで一気に読めるのも自分の中で評価が高い。でもそんな少ない中でもたくさんの情報や感情が伝わってくるのは本当にすごかった。
    大好きな作品になった。

  • 源ちゃんが先輩役をやる事になって知った本。
    これは得意不得意ある話、というか本かな。
    先輩と黒髪の乙女が交互に語る形なんだけど…
    「どこまでも暴走する己のロマンチック・エンジンをとどめようがなく、やがて私はあまりの恥ずかしさに鼻から血を噴いた。
    恥を知れ。しかるのち死ね。
    しかし私は、もはや内なる礼節の声に耳を傾けはしない・・・・」
    とか。
    文章がとても独特でムツカシイ字も多い。
    でもそこに慣れるととてもオモチロイ。
    (読んだ人なら分かる)
    私はこの世界観が大好きだった。
    乙女や先輩や樋口さんや李白さんの様子がありありと目に浮かぶし、一緒に不思議な体験をしているような、そんな楽しい気持ちになれる本だった。
    これがアニメとしてどんな風に映像化されるのかとても楽しみ。
    映画を観ようと思ってる人で時間のある人はぜひ原作を読んでから観に行ってほしいな。

  • 20170324

  • 詭弁だと割り切れるとツッコミを入れつつも割と抵抗なく読める。「詭弁」には純文学らしさがある一方で今風のおちょくりと筆者の愛(?)が感じられ、そのお陰か「ポップでキュート」という売り文句にも合点が行く。

    ちなみに酒が飲めなかった頃は「酒を求めて夜の街」的心境が理解できず挫折したが酒を飲めるようになってすらすら読めるようになった。酒は人間を変えますねぇ。

  • 古風でかしこまって使われがちな言葉や言い回しが、ちっともかしこまらずにはじけ飛んでいる感じ。
    ストーリーも京都を舞台に縦横無尽、生活臭たっぷりの冒険ファンタジーともいえそうに散らばり広がってゆく。
    ベースは恋心ではあるものの、アマアマやドロドロの恋愛物が苦手な方にもひと味違う世界が楽しんでもらえるかも…。

    「ナカメ作戦」が「なるべく彼女の目にとまる作戦」とは、ついDAIGOか!とつっこんでしまった(笑)
    コメディタッチの青春学園恋絵巻。

  • 現代の恋愛成就物なのだが、あえて大正の頃の言葉遣いをする事により「ロマンス」に昇華させている。お互いに男女の機微に頓着しない者が、いつのまにやら互いの心に住み着く。美しきかな青春。

  • 『読者諸賢におかれては、彼女の可愛さと私の間抜けぶりを二つながら熟読玩味し、杏仁豆腐の味にも似た人生の妙味を、心ゆくまで味われるがよろしかろう。
    願わくは彼女に声援を。』

    『「おともだちパンチ」をご存知であろうか。』

    「親指をひっそり内に隠して、堅く握ろうにも握られない。そのそっとひそませる親指こそが愛なのです」

    『私は太平洋の海水がラムであればよいのにと思うぐらいラムを愛しております。』

    『彼の立場を慮って、たかがお乳の一つや二つ、まあ、お乳は二つしかございませんが、ともかくそれぐらい平気で受け流しておくだけの器の大きさをなぜ私は持てないのでしょう。』

    『かくして私は呟いたのです。
    夜は短し、歩けよ乙女。』

    『恥を知れ!しかるのち死ね。』

    『古本市の神よ、我に知識ではなくまず潤いを与えよ。
    しかるのち、知識も与えよ。』

    「そうだ。ずんずん祈らねばならんぞ。なむなむ!」
    「なむなむ!」

    『これは世人に公平に与えられているはずの、好ましく思っている黒髪の乙女をやむを得ず追う権利の明白な侵害である。』

    『諸君、異論はあるか。あればことごとく却下だ。』

    「とにかく幕を引こう - ただしなるべく己に有利なかたちで」

    『今やなんとか彼女の眼中に入ろうと七転八倒している。私はその苦闘を「ナカメ作戦」と名付けた。これは、「なるべく彼女の目にとまる作戦」を省略したものである。』

    「君が来るなんて珍しい。当ててやろう、例のナカメ作戦だろ? - それで、あの子とは何か進展あったの?」
    「着実に外堀は埋めている」
    「外堀埋めすぎだろ? いつまで埋める気だ。林檎の木を植えて、小屋でも建てて住むつもりか?」

    『昼日中から校舎でお酒を飲むなんて…その背徳の悦びが、お酒をいっそう美味しくすることでしょう。』

    『ああ、神様、そんなにもパンツを穿き替えない向こう見ずな彼をお守り下さい、色々な下半身の病気から!』

    「ついに一念発起して吉田神社に願を掛けることにしたのだ。彼女にふたたび出逢えるその日まで、二度とパンツは脱がないと-」
    「そして彼はパンツ総番長の称号を手にしたのだ。じつに良い話だ。男の中の男だな」
    「人間として、力の入れどころを激しく間違っているよね」

    「ハッピーエンドだ。誰もが赤面することうけあいだ」

    「泣いておいでですか、先輩」
    「泣くものか。眼から、いささか塩水が出た」
    「恥ずかしがられることはありません。たいへん良い結末ですねえ」

    「乳の一つや二つ触ってみたいものだなぞと、卑猥なことで頭がいっぱいなのではないか?」
    「たしかに卑猥なことで頭がいっぱいだが、さすがにそれだけではないはずだ。もっと他にも色々あるはずだ! もっと美しいものが!」

    「性欲なり見栄なり流行なり妄想なり阿呆なり、何と言われても受け容れる。いずれも当たっていよう。だがしかし、あらゆるものを呑み込んで、たとえ行く手に待つのが失恋という奈落であっても、闇雲に跳躍すべき瞬間があるのではないか。今ここで跳ばなければ、未来永劫、薄暗い青春の片隅をくるくる回り続けるだけではないのか。諸君はそれで本望か。このまま彼女に想いを打ち明けることもなく、ひとりぼっちで明日死んでも悔いはないと言える者がいるか。もしいるならば一歩前へ!」

    「地に足をつけずに生きることだ。それなら飛べる」

    『こうして出逢ったのも、何かの御縁。』

  • 私が初めて読んだ森見登美彦作品です。
    この本で森見登美彦ワールドに引き込まれてしまいました。

    夜の京都で酒を飲み歩き、下鴨古本納涼まつりで熱い戦いを繰り広げ、大学の学園祭で暴れ周り、云々…という素晴らしい作品です。

    黒髪の乙女の『おともだちパンチ』が好きです。

  • 意中の黒髪の乙女の視界になるべく入る為に、夜の先斗町や学祭で必死に彼女を追う先輩の話。

    もう、すっごいかわいい!
    どこから読んでも、微笑ましく楽しく読めます。
    文章やセリフが独特で、リズムが良いです。

    おすすめしまくって、たくさん貸していたら本がぼろぼろになりました。。もう1冊買いたいくらい気に入っています。

    3回目ですが、まだまだ楽しめます!

  •  天然で行動力があってお酒が好きで周囲の人のみならず神様からも愛される「黒髪の乙女」と、真面目かと思えば阿呆で頼りなくて度胸がなくて格好悪くてでも憎めない、時々格好良いこともあるような気がする「先輩」の、周りで起こる様々な変わった事件の物語。

     作品名にも『夜は短し歩けよ乙女』とあるが、本当に黒髪の乙女は立ち止まらない。落ち着きがないとも言うのか、常にあちこち動いている。自分が物語の主役となっていることも知らずに。彼女の真っ直ぐさが、可愛らしく、大人になってしまった自分からはまぶしい。

     登場するキャラクターが脇役さえも魅力的、というか超個性的だ。彼らは夜の街や大人世界に憧れを持たせつつ、キャンパスライフとはこんなにも困難が待ち受けているものなのかと不安にもさせる。

     京都という古き歴史のある町は、この物語も受け入れてしまうほど懐が深いのだろう。森見ワールド、ぜひ他の話でも堪能したい。

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著者プロフィール

森見登美彦(もりみ とみひこ)
1979年奈良県生まれの作家で、京都を舞台にした作品が多い。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2006年に『夜は短し歩けよ乙女』で本屋大賞2位、山本周五郎賞などを受賞し注目を集める。2010年『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞、2014年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞、2017年『夜行』で第7回広島本大賞をそれぞれ受賞。2010年に『四畳半神話大系』がTVアニメ化、2018年8月に『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメ化された。2018年11月に『熱帯』を刊行し、第160回直木賞、2019年本屋大賞にノミネートし、第六回高校生直木賞受賞。

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