スモールトーク (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.28
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本棚登録 : 308
レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043881017

作品紹介・あらすじ

ゆうこのもとをかつての男が訪れる。久しぶりの再会になんの感慨も湧かないゆうこだが、男の乗ってきたクルマに目を奪われてしまう。以来、男は毎回エキゾチックなクルマで現れるのだが――。珠玉の七篇。

感想・レビュー・書評

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  • 否、がキンキンに効く小説を書く絲山秋子。
    (ここにいない人、が効果的なのも否の力だ。)
    本作でも、車への興味がなくなった、という否が決定的。
    寂しく、心強い。

  • やっぱり絲山さんは変態だ!(超リスペクト!)

    車種は全く分からんし、「クルマの解説」なんか読んでたら白目剥いたっつーのに、この本が素晴らしいことだけはハッキリしてやがる……嫌になるぜぇ……

    元カレのカマキリが久々に主人公・ゆうこのところへTVRタスカンに乗って現れ、それからも車好きのゆうこの元に変態的に格好いい車に乗り換えてはやってくる話。

    ああでもないこうでもない、とぐちぐち言いながら、結局は流されてそこに落ち着いて、ずるずる運ばれるまま運ばれていくゆうこなんだが、彼女が以前は好きだったものも憧れも、触れてみるとしっくりこないことばかりで、これから先自分が気に入る車なんかないんじゃないか、一体何が変わってしまったのだ、と呆然となるところがやけに印象的だった。
    車は彼女の人生であり、その人生にくっついてきていた男そのものの比喩だと思うのだけれど本当だろうか……

    読み終えてみると、何かとてつもないことが起こって去っていったようで、ただ車がコロコロ変わっていただけのようでもあるのだった。
    全くもって気味の悪い小説だった!(超リスペクト!)

    しかし、この人は本当にロックだなあ。
    格好良すぎるぜよ。
    こんな女に会ってみたい! と惚れる台詞ばかり……(涎

    はあ。
    前に進むしかないんだなというか、勝手に前に進んでくんだよ、人生なんか。ギア入れっぱなしの車と一緒だ。
    絲山さんが車であんまり人生を描くんで、これから車乗るの怖くなったよ。

  • 正直私は車のことは詳しくはわからないのだが、このお話は車のことが詳しい人ならより楽しめるのかもしれない。しかも外車。

    見た目が派手?運転が難しい?とか、作中に登場するあまり一般向けではない外車に乗って「私」の前に現れる昔の恋人。その恋人と寄りを戻すでもなく、でも体の関係を持ったりして、はっきりしない男女関係。
    もちろん「私」もこの先どうなる、ということも考えず、何とも刹那的な感じがする。

    絲山秋子の別の作品と登場人物の属性とか設定とかが重なる部分も多々ある。もちろん全く別のお話だが、いずれも「私」の物寂しい感じの終わり方が余韻を残す。

  • とにかく車の見分けがつかない人間なので、プリウスすらどんな顔か思い浮かばない(よくある車らしいのは知っている)中読んでいてちんぷんかんぷんになる箇所もいっぱいあった。でも車のカッコよさは伝わる。
    車ってそんなに車種によっても個々によっても違うものだったのか!と驚いた。列車でも個々の編成で違った癖があって古いものは特に合わせるのも大変という話を聞くけど、もしかして飛行機とか船もそうなのかな?きっとそうなんだろう。一つ一つ違った個性の鉄の塊がそこらじゅうを走ったり飛んだりしていることを考えると楽しくなる。
    そんなことを考えつつ帰り道の駐車場を通りがかって、そういえばここにいつも一台だけピカピカの車いるよな、と思ってよく見てみたらヘッドマークに「Alfa Romeo」と書いてあってびっくり。やっぱり私には違いを見分ける力はないが、表紙の車に似ているような気がして、「スモールトーク」のラストでひっそり駐車場にうずくまるアルファを思った。

  • 1章ごとにカッコいい外車をモチーフに描かれる、画家ゆうことその元カレの音楽プロデューサーの関係。いや、どちらかというとクルマがメインなのかな。売れない時代に彼女を振っておいて、十五年もたって連絡してきて、はねつけようとしても、クルマ好きの血が騒いで断りきれず、やがて押し切られるように関係を復活させてしまい。あいだには、相手の近況を何でも話してしまう、共通の友人肇がいて、二人をつなぐ。ゆうこを驚かせるために次々と外車を買ったり借りたりしてくる男が、自分が本当に困った時にスッと身を引いたのに失望し、どこへともなく旅立つゆうこ。併録の作者の会社員時代のクルマにまつわるエッセイも興味深く。会社用のカローラバンを、急ブレーキ踏まず、渋滞を避け、こまめにオイル交換し、と5000kmほど丁寧にならし運転したあと、最強のクルマに育てたのに、転勤の辞令出て、陸送の費用は出すから転勤先に!と懇願するも経理に却下される話とか。クルマにこだわらない身からすると、クルマのそういう性能や外観にしびれ、喜びを感じるんだというところが面白かった。

  • 昔付き合っていた男女のお話。スーパーカーを中心に実際の車が比喩として登場し、物語の軸になる。面白いのは、車への思いが変わっていくところ。なんかグッときた。

  • 表紙のアルファ145に惹かれて読んでみたんだけど、ちょっと期待はずれというか。主人公のヒロインが少々鼻についてしまって(言葉遣いとかライフスタイルを含めた設定とか)、個人的にはちょっと残念な感じだった。

    だが、著者の車に対する愛は充分感じられたのでそこはとても良かったと思う。

  •  一番の嘘っぱちは作為的な愛とか恋だ。嘘っぱちの愛に死の影なんかない。それを言い訳に女を欲しがるのは下劣だ。(P.90)

  • 車のことをほとんど知らなくても楽しく読めた。
    別に初心者に優しいってわけじゃないんだけど。
    たぶん、車が与えてくれる「安心感」「個室感」が
    好きな人は、好きだと思う。

  • 「絲山さんは本当に車が好きなんだな」という作品。

    浜松IC、国道1号、中田島砂丘のくだりは地元民として親近感がわいた。『沖で待つ』にも浜松が出てきたし、絲山さん、浜松に何かゆかりでもあるのでしょうか。

    追記
    最後のエッセイ「馬には乗ってみよ」もよかった。
    “もしも、人間が馬に乗っていなかったら、自動車は手だけで操作するものになったのではないだろうか。”

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著者プロフィール

1966年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。住宅設備機器メーカーに入社し、営業職として福岡、名古屋、高崎などに赴任。2001年退職。03年に「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞、04年に「袋小路の男」で川端康成文学賞、05年に『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、06年に「沖で待つ」で芥川賞、16年に『薄情』で谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞。他の著書に、小説『逃亡くそたわけ』『エスケイプ/アブセント』『妻の超然』『末裔』『不愉快な本の続編』『離陸』『忘れられたワルツ』『夢も見ずに眠った。』、エッセイ『絲的メイソウ』『絲的サバイバル』『絲的ココロエ 「気持ちの持ちよう」では治せない』などがある。群馬県高崎市在住。

「2020年 『御社のチャラ男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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