ナラタージュ (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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レビュー : 713
  • Amazon.co.jp ・本 (411ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043885015

作品紹介・あらすじ

お願いだから私を壊して、帰れないところまで連れていって見捨てて、あなたにはそうする義務がある-大学二年の春、母校の演劇部顧問で、思いを寄せていた葉山先生から電話がかかってきた。泉はときめきと同時に、卒業前のある出来事を思い出す。後輩たちの舞台に客演を頼まれた彼女は、先生への思いを再認識する。そして彼の中にも、消せない炎がまぎれもなくあることを知った泉は-。早熟の天才少女小説家、若き日の絶唱ともいえる恋愛文学。

感想・レビュー・書評

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  • 『それならどうして卒業式の日にキスなんてしたんですか』

    “同じクラスにKっていたの覚えてる?T先生と結婚したんだってさ”。久々に会った高校時代の友人Sとの会話の中から、思いがけず知ったかつてのクラスメイト、そしてよく知る教師のそれからのこと。Kのことはうっすらと顔が浮かぶくらい。一方、当時20代後半でよく話を聞いてくれた、というより私の担任教師だったT先生。あの当時から付き合っていたのか、それとも…。教師だって男である以上、いや人間である以上、誰かを好きになり、結婚もする、でもその相手がかつての教え子というだけで、何か不思議な感情が押し寄せるのはなぜだろう。男と女が出会った先に生まれる恋愛感情。それが成就した先に訪れる結婚というゴール。それは、教師と教え子という関係であっても何ら問題のあることでもないはずです。一方で、生徒の側からはどう見えるのでしょうか。年齢が離れている場合の方が多いその関係。そもそも同年代の異性がたくさんいる学校という環境の中で、数限られた教師を好きになってしまうというその感情はどんな瞬間に生まれるのでしょうか。卒業後も続くその感情の継続の理由はどこにあるのでしょうか。そして『卒業式の日にキス』、燃え上がった気持ちに、さらに油を注ぐというような行為があったとしたら、その感情はどこへ向かうのでしょうか。

    『まだ少し風の冷たい春の夜、仕事の後で合鍵と巻尺をジャケットに入れ、もうじき結婚する男性と一緒に新居を見に行った』というのは主人公の工藤泉。川べりの道を仲良く会話しながら歩く二人。『ずっと、川のそばに住みたかったの』、そして『高校生のときには近くの川沿いの道が好きで、よく歩いた』と言う泉に『君は今でも俺と一緒にいるときに、あの人のことを思い出しているのか』と聞く彼。『そんなふうに見える?』と聞き返す泉。『見えるよ。君に彼の話を聞いた夜から、俺は君を見ていてずっと思っていた』と返す彼。思わず泉は『それならどうして私と結婚しようと思ったの』と聞きます。しばらく黙っていた彼が口を開きました。『きっと君は、この先、誰と一緒にいてもその人のことを思い出すだろう。だったら、君といるのが自分でもいいと思ったんだ』と落ち着いて答える彼。『今でも彼に触れた夜を昨日のことのように感じてしまう』という泉。でも『実際は二人がまた顔を合わせることはおそらく一生ないだろう』、そして『私と彼の人生は完全に分かれ、ふたたび交差する可能性はおそらくゼロに近い』という泉は大学時代を振り返ります。父の転勤に同行した母、そして一人暮らしになった泉。そんなある日、『テレビを見ていると携帯電話が鳴った』、電話に出ると『ひさしぶり。元気にしていましたか』という懐かしい声。『しばらく言葉を失っていると彼も戸惑ったように黙り込んだ』という気まずい瞬間。『こちらこそおひさしぶりです、葉山先生』と答える泉。『じつは演劇部のことで相談があるんだ』と語る『葉山先生は私が所属していた演劇部の顧問だった』というあの頃。部員が三人になって劇が成り立たない部の活動を手伝って欲しいという葉山に、『本当にそれだけの理由ですか』と聞く泉。『ひさしぶりに君とゆっくり話がしたいと思ったんだ』と答える葉山。『一年前には四六時中ずっと胸の中を浸していた甘い気持ちがよみがえりそうになった』という泉。深夜に目覚めて寝付けなくなった泉は手帳を開きます。『手紙を挟むのは私の癖』という手帳には『もうずっと前から、葉山先生に宛てた手紙が挟んである』という状況。『最初に廊下ですれ違ったときから、私はおそらく葉山先生のことが好きだった』と記憶を辿る泉は『告白するつもりだった』とあの瞬間のことを思い出します。『葉山先生には恋人がいますか』と聞く泉に黙り込む葉山。そして『僕は誰よりも君を信用している』と静かに告げた葉山は『だから本当のことを言う。その代わりこのことは誰にも言わないでほしい』と続けます。そんな葉山が語ったこと、そして泉の中に燃え上がる思い。高校時代と大学時代の二つの想い出が交錯しながら物語は静かに進んでいきます。

    「ナラタージュ」とは”ある人物の語りや回想によって過去を再現する手法”のことを指すようですが、この作品では、主人公の工藤泉が自らの過去、そして葉山先生との想い出を語っていきます。とても美しい表現に満ち溢れたこの作品。その中で、私は『月』の描写に魅了されました。冒頭で川べりを歩く二人が見る『流れていく水面に落ちた月明かりは真っ白に輝く糸のようにどこまでも伸びていて、水の行く先を映していた』という表現。一見とても静かな情景が思い起こされますが、それは今も葉山との過去に思いが繋がったままの泉の心の内を暗示します。そしてこの作品では全編に渡ってこの『月』が、要所要所で印象的に描かれていきます。例えば、演劇部の打ち合わせで久しぶりに葉山と再開した日、手帳に挟んだ手紙を見る場面では『いつの間にか透明な月が夜空に浮かんでいた』と、かつての気持ちがいつの間にか再び湧き上がってこようとする泉の心境を予感させます。そして、そんな泉は成り行きから赴いた小野の実家で再び月を目にします。『何度かまばたきして月を探した。たなびく雲が重なって上弦の月を抱いているようだった』というその表現。たなびく雲が重なって、月を抱いているという絶妙な表現、そしてこれから満ちていく上弦の月が今の泉の前向きな心境を感じさせます。さらには葉山と赴いた神社の境内から仰ぎ見た月は『ふと見上げると細い月が浮かんでいる。柔らかい光が降っていた』、と細い月ながらもそこから降り注ぐのは柔らかく包まれるような光であると感じる泉。この情景を『辺りは静まり返り、私たちはベンチに腰掛けて、同じ高さから月を仰いだ』と描き、さらに『静かですね』、『そうだな』と最低限のセリフで繋げます。そして、そんな”静”の表現の後に『あれから恋人をつくったりはしなかったんですか』、『結局あなたにとって私は一体なんだったのか』、さらに『それならどうして卒業式の日にキスなんてしたんですか』と畳みかけるように泉の感情の高ぶりを描いていく島本さん。”静から動”へと切り替わっていく絶妙な情景描写とセリフが引っ張る感情の動きがとても上手く描かれているように思いました。そして、この先も『月』が物語の行く末を照らし続けます。これ以上はネタバレになるのでここまでとしたいと思いますが、この作品では『月』というその時々によって見え方が変化する印象的な対象物を物語の進行に上手く用いていると思いました。そして、この作品では後で触れますが、もう一つ特徴的なものが登場します。

    教師と教え子の関係、そして、それからを描いていくこの作品。思えば高校時代というのは、その関係が双方ともに、より男と女を意識する時代でもあります。『生徒の中には卒業が近くなると感傷や昂揚感からさほど好きでもない人間を好きだと思い込んでしまう子も多い』というある意味での一般論。でも、この卒業というイベントは関係する者の感情など考えずに、それまでの日常をまったく違うものに変えてしまう大きな力を持った人生の一大イベントです。小、中、高と数を重ねて、次第にそんな感情の整理の仕方を覚えて大人になっていく私たち。でも、そんな運命のイベントの最中に『それならどうして卒業式の日にキスなんてしたんですか』というような想い出が刻まれると『あの日から私はずっと同じ場所にいます』、とその後に続く泉の人生が影響を受けるのは当然のことだとも言えます。『あなたから連絡が来るのを待っていた。それでもあなたは思い込みだって言うんですか』と葉山に訴える泉。その一方で抗うことのできない事情が二人の前に立ち塞がる現実。このシーンを『私の言葉に葉山先生は黙り込んだ。彼のほうに向き直ると、靴の下で砂が鳴った。乾いた頬の上をぬるい風が通り過ぎていく』と描く島本さん。この『風』も先程の『月』と同様に作品の要所要所で印象的に描かれています。このシーンで『ぬるい風』だったものが『新しい風に吹かれたような気がした』と変化していく結末。何が泉を前に進めていくのか、何が泉を前に進めたのか、という物語を巧みに演出する『月』と『風』。情景描写と感情の動きの表現がとても上手く描かれた作品だと改めて感じました。

    葉山先生のこと、そして葉山先生との想い出が寄せては返す波のように、泉の心の中で凪と時化を繰り返すこの作品。『君は今でも俺と一緒にいるときに、あの人のことを思い出しているのか』と、泉に出会う男性は皆、泉の心の奥深くにまで刻まれたその想い出の深さを感じざるを得ません。抗うことのできなかった想い出にいつまでも心囚われる泉、そしてそんな泉を現在進行形で愛する男たち。

    『ゼロに戻ろう、と思った。マイナス1でもプラス1でもなく、ましてや0.1すら残さず、完璧なゼロに戻ろう』という泉。『新しく始めるために、葉山先生を忘れる必要が無いぐらい思い出さなくなるために』と葉山との想い出を『記憶の中に留め、それを過去だと意識することで現実から切り離して』生きていこうとする泉。でも、それを感じてしまう今の泉に繋がる男たち。『きっと君は、この先、誰と一緒にいてもその人のことを思い出すだろう』と感じざるを得ない泉のこれまでとこれからが、これでもかと執拗に描かれたこの作品。

    なんとも言えない鬱屈とした、持って行き場のない感情がいつまでも心の中に尾を引き、胸がはちきれそうになる切ない思いに囚われる、そんな作品でした。

  • 平たく言ってしまえば身勝手な大人の狡さを身につけた教師と、純粋で傷つきやすく未熟だけれど芯の強い、成長過程にある教え子との恋愛の物語である。

    物語は一貫して主人公である工藤泉の視点で進んでいく。
    高校時代、理不尽ないじめにあっていた泉。
    教科担当の教師は見て見ないふりをしていた。
    それどころか、泉の方にこそ問題があるかのような考え方をする教師だった。
    そんな状況から救ってくれたのが葉山先生だった。
    彼女を気遣い、守り、助けてくれた。
    二人の距離は少しずつではあるが縮まっていく。
    だが、葉山には複雑な事情があった。
    信頼関係を築きながらも、どこか泉に対して壁を作っているような距離感。
    中途半端な状態に置かれた泉は、意を決して卒業式に告白しようとしていた。
    卒業式当日、唐突に葉山が壁を乗り越えて泉を翻弄する。
    ほろ苦い恋の思い出として、そのまま過去は過去として泉の中で落ち着くはずだった。
    けれど、卒業式の出来事が、いつまでも泉を過去につなぎとめる鎖となって過去から抜け出せなくなってしまうのだ。
    泉側に寄り添った読み方をしてしまったせいか、どうしても男の身勝手さが目についてしまった。
    さりげなく泉に対してSOSを出し続ける葉山。
    辛い過去の傷跡を泉にだけだと見せるくせに、一番重要な、一番伝えなければいけない、大切なことは隠し通す。
    泉が離れていきそうな気配を感じとると、まるで自分のもとに引き戻すかのようにとんでもない時間に連絡してきたりする。
    本当に泉の幸せを祈っているのか、疑問に思ってしまう。
    葉山先生も小野君も泉に甘えすぎだと思う。
    自分の大切なものは二人とも譲らないのに、言葉にしないまま泉に多くのことを望む。
    優しさで、弱さで、暴力で、泉を引き止めようとする二人を狡いと感じてしまった。
    一方、泉の想いは純粋だ。
    一途な想いは、いつも最後のところで自分よりも葉山先生を優先してしまう。
    葉山先生の心に寄り添い、話を聞いて、ただ傍にいる。
    それだけのために、泉は葉山先生から離れることができない。
    見返りがあるわけではない。
    もともと、泉自身見返りを求めてるわけではない。
    だからこそ、葉山先生のついた嘘は泉に衝撃を与えたのだろう。
    二人が別れたあと、何を思って泉とのツーショット写真を友人に見せたのか。
    葉山先生という人間のいやらしさを見せ付けられたようで、「どうして今さら…」と思ってしまった。
    自分の知らないところで、二人で写っている唯一の大切な写真を不用意に友人に見せる。
    そのことひとつとっても、葉山先生にとっては最初から泉は人生を変えるほどの存在ではなかったように感じた。
    辛くて切なくて、思い出すことさえ苦しい思いをしていないから、安易に写真を見せられたのでは?と思ってしまう。
    柚子のエピソードは読んでいて胸が痛くなった。
    新堂君はこれからずっと自分を責めて生きていくのだろうか。
    いつか彼が前を向いて歩き出せればいいと思う。
    どんな形でも幸せだと実感できればいい。
    泉には今日も幸せな一日だった…そんなふうに思える人生を送ってほしい。
    いつか遠い過去のほろ苦い思い出として、若き日の恋を懐かしむことができるような。
    泉を理解し、ありのままの泉を受け入れてくれる人が傍にいるのだから。

    とても上質な恋愛小説だった。
    切なさも、哀しさも、痛みも、苦しさも、すべては好きだという感情ゆえだ。
    どんな思いをしても捨てることの出来ない感情。
    それこそが恋なのだろう。

  • 大学二年の春、片思いし続けていた葉山先生から電話がかかってくる。泉はときめくと同時に、卒業前に打ち明けられた先生の過去の秘密を思い出す。

    うん、これはザ、青春小説 というジャンルになるのだろうか。
    でも島本先生の本は、単なる軽い恋愛小説とはジャンルが異なるような気がする。


    恋人が出来ても、ある瞬間にまた同じ場所へ引き戻されてしまう・・・。
    ここまでお互いに惹かれ合っているのに・・・
    何故かもどかしい。。。


    自分の人生に置き換えてみても、何となく似たような経験してきているのか・・・所々に誰かの顔が浮かんだり。。。でも葉山先生と泉のような、そんな恋は無かったかな。。。


    切ないだけではない、何か心にぽっかり穴があくというのか・・・そんな物語。

  • 久しぶりの恋愛小説。

    青春時代を過ごした人には、
    その人それぞれのナラタージュがあると思う。

    漠然と年上の人に憧れたり、
    相手にとって自分だけが特別だと思ったり。
    お互い好きなのに離れたり。

    若い頃の甘苦い恋愛を思い出しました。

  • 物語が進んでいくうちに、どんどん葉山先生のベールが剥がされていくことに、ワクワクドキドキしながら読み進めることができた。面白かった。

  • 葉山先生はずるい人だ。奥さんのことを想っていながら、泉のことも愛していて。どちらもきっと本物の愛で。だからずるい。そのもろい優しさも、不意に見せる寂しそうな顔も。
    文章がとても上手で、その情景も、先生の表情も、泉の気持ちも、まるで自分の記憶なんじゃないかってくらい感情を揺さぶられる。ずるい先生は、一生泉の心の中にいるんだろうな。時に甘く、時に切なく、時にはトゲのように痛く苦しい思い出として。
    最後に友人から先生は自分のことを想っていたと知って終わるけれど、その事実が人目も憚らず涙が出てしまうほど嬉しくて切なくて苦しくて憎くて、泉の中で先生とのことは終わってなんかいないんだ、ってことが言いたいのかなって思った。幸せになりたいのに過去が邪魔をする感じ。きっとそれは泉だけじゃなくて、葉山先生も同じだと思う。

  • 恋愛小説が読みたくて手に取ったのですが・・・評判と違って面白くない。
    常に併読してるので、ついつい他の本と比べて優先順位が低くなり、読み切るのにすごい時間がかかってしまった・・・

    女子学生と教師の恋愛を描いた作品です。

    主人公の泉ちゃんが先生に、捧げるだけの無償の愛を貫きつつ、でも時々自分の気持ちにこたえてもらいたくなったりして、若さゆえのその気持ちの揺れは上手に描けてるなと思いました(上からすいません)
    が。それだけ。
    何がダメって、相手の先生にとにかく魅力がない。私にはいつも逃げ腰、優柔不断でだらしない、としか映らなかった。
    加えて、女子高生に頼る頼る(苦笑)。あなた30代の大人なのに寄りかかりすぎでしょう。
    そのくせ彼女ではなく、他の女を選ぶんだから意味が分からない。事情があるとはいえ他の女を選びながら彼女に頼るっていう構図、嫌悪感しかなかったよ。
    キャラに魅力がないと小説はこうもつまらないものなのか、と再確認してしまいました。

    ついでに言うと、著者は文章力に定評のある方みたいですが、情景の描き方とか雰囲気あるし悪くはないと思うけど、それゆえ?無駄に長い話になってる気がする。
    たとえばドイツ旅行の場面なんて全部いらないんじゃないかと・・・
    その分、葉山先生と親しくなるきっかけとなったいじめのこと、もうちょっとリアルに描けば?なんて思っちゃった。
    だってさー、あの程度の嫌がらせで死にたくなるかなあ、とぜんぜん説得力ないんだもん。
    それとか、後輩の自殺の件もなんだか唐突だし・・・
    著者の書き込みたいところと、読者の納得感を求めるところの温度差を感じてしまったのは私だけでしょうか。

    なんだかこの作品、来年映画化されるらしい・・・10代にはウケるのかしらね。

  • なんでかわからないけど、
    とにかくこの本はだいすき。
    島本理生は”文章を楽しむ“ということに気づかせてくれたひとで、大体すきだけど、最初の出会いだったこの本はやっぱり特別。


    静かだけど激しさを持った文章のなかに、核心をついた台詞がいきなり出てきて、これでもかってくらいせつなくなる。

    一番共感しちゃうのは小野くんで、彼のことはどうしても嫌いになれない。
    自分から電話を切れなくて「そっちから切って」とか
    別れる間際に「一瞬でもいいからあの先生より好きだったときがあったか教えてほしい」とか
    ほんとに好きなのに、ものすごく苦しそう。


    泉も葉山先生も苦しそうだったけど、好きな人と共有できる苦しさはきっと至福の苦しみなのでしょう。

    改めて読むと、葉山先生はほんとずるいんだよね。受け入れられないくせに、手放すこともできなくて泉を檻に入れてる。
    でも、捕らえられてることも、檻の鍵があいていることもわかっているのに出て行かないのは、ほかでもない泉本人で。
    きっと泉にとっては極上の檻なんだ。


    ずっと先生と生徒だったし
    体の関係も一度しかなかった
    キスすら数えるほどで
    でも、なぜかわかりあえてしまう

    「なにか私にできることはありますか。なんでもします」
    「僕が一緒に死んでくれと言ったら」
    「一緒に死にます」

    何も与えていないのにここまで愛が大きくなってしまうことなんてあるんだろうか。
    不思議だけど素敵です。

  • 大学2年の春、母校の演劇部顧問で、思いを寄せていた葉山先生から電話がかかってきた。泉はときめきと同時に、卒業前のある出来事を思い出す。

    究極の恋愛小説、リアルでもどかしく切ない。
    面白かった。
    (図書館)

  • 梅雨時になると読みたくなる一冊。
    周りの風景や人の動き、泉が考えている事がスッと入ってきてすごく読みやすい。
    だから泉が周りの人達からぼやっとしてる的な事を言われていると、「こんなに色々考えてるのに周りから見るとぼやっとしてる様に見えるんだなあ」と思った。
    逆に泉から見た周りの人達もきっと色々考えて行動しているだろうから、泉視点以外でこの話が読んでみたい。
    個人的にはきっと読んでて辛いだろうけど小野視点が読んでみたい。

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著者プロフィール

一九八三年、東京都生まれ。一五歳の時に「ヨル」が「鳩よ!」掌編小説コンクール年間MVPを受賞。二〇〇一年「シルエット」が群像新人文学賞優秀作に。〇三年『リトル・バイ・リトル』で野間文芸新人賞、一五年『Red』で島清恋愛文学賞受賞。一八年『ファーストラヴ』で第一五九回直木賞を受賞。

「2020年 『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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