- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043889013
作品紹介・あらすじ
帝の寵愛を一身に集めた桐壷の更衣が産んだ美しい皇子と、かかわる人々の姿を情感豊かに写し取った、世界最古の長編小説「源氏物語」。切なさといとおしさに満ちあふれた恋模様や、熾烈な権力闘争など、いつの世も変わらない人間の営みを描ききった日本文学の最高傑作が、與謝野晶子の優しく格調高い筆致で現在によみがえる、54帖全訳の決定版。第一巻には「桐壷」から「花散里」までを収録。
感想・レビュー・書評
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與謝野晶子の翻訳が激しく熱い。帯の著者紹介の写真が帽子を被っていて華麗で思わず見惚れた。漢で男前だけど、この華やかさよ。
光の君は「弱々しい女が私はいちばん好きだ。自分が賢くないせいか、あまり聡明で、人の感情に動かされない女はいやなものだ」「恋人になった男に全生命を任せているというような人が私は好きで~」というのを読んで、思わず眉を寄せてしまった。眉間にしわがピッと入った。
いやいや、都合が良過ぎでしょ…。ツッコミを入れずにはいられない。だけどついついページをめくってしまうこの面白さよ。
『紅楼夢』と並んで由緒正しい王朝物語だなぁ…と思う。
與謝野晶子(与謝野晶子)
旧姓…鳳(ほう)/本名…志よう(しよう)
大阪府堺の菓子商の三女として誕生する。
夫…與謝野鉄幹(寛)/『明星』を主宰する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一巻には桐壺から花散里まで収録。谷崎源氏を読み終えたあとに読み始めたのですが、文章の武骨さというか男前な感じにビックリしました。主語も明確で解りやすいです。谷崎源氏とはまた違って趣があるな〜と思います。ほかの訳と比べると惟光が何だか印象的。与謝野晶子は惟光好きだったんでしょうか。和歌の訳はありませんが、全帖の初めに必ず晶子作のオリジナル和歌が載っていてちょっとお得感があります。
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夏から少しずつ読み続けてやっと読了。たくさんの女性とお付き合いをして、それぞれに愛を、優しさや思いやりを注ぐ源氏の姿は、優美だとも粋だとも言えますが、やっぱり現代の感覚にはそぐわないとも思いました。結局誰がいちばん好きなのー!とついつい責めたくなります。続きもまた少しずつ読みます。
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源氏の節操の無さに思わず苦笑。
無理に押し入っておきながら「がっかりした」ってオイ。
みんな源氏を甘やかしすぎ。
でも全然古さを感じない話だった。
和歌がもう少し分かればなぁ・・・。 -
原作にほぼ近い訳です。
とっつきにくい感はあるので、はじめて<源氏物語>を読む方には注意が必要かと思います。 -
i文庫HDの電子書籍版で15年ぶりぐらいで読んで見ました。なんとなくですが、文庫版よりも読みやすく感じられてスイスイ読めるのが不思議な感じでした。電子書籍のインターフェースが物珍しいだけなのかもしれませんが。いずれにしても与謝野晶子源氏の魅力を再発見できてよかったと思っています。
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角川書店では二種類の与謝野晶子訳『源氏物語』を文庫で出しており、その二つは別々の作品。この角川文庫版『全訳 源氏物語 新装版』(全5巻)は、後から出版された『新新訳源氏物語』を文庫化したもの。こちらには、各帖の冒頭に与謝野晶子の歌が添えられている。
与謝野晶子が『源氏物語』の口語訳を生涯に三度行っており、最初の訳は1912年(明治45年)2月から翌1913年(大正2年)11月までの2年間に、『新訳源氏物語』(上・中・下一・下二巻)の全4巻として金尾文淵堂から出版された。この作品を文庫化したものが、角川ソフィア文庫版『与謝野晶子の源氏物語』(上・中・下巻)。しかし、この作品は北村季吟の『源氏物語 湖月抄』を典拠に書かれたものだから、『源氏物語』の現代語訳としては完訳版ではなかった。
そこで、完訳版として『新新訳源氏物語』を出すために二度目の翻訳に取り掛かったのだが、1923年(大正12年)9月の関東大震災に遭い、文化学院に預けてあった原稿が全て焼失。それから9年後の1972年(昭和7年)秋に三度目の現代語訳を思い立ち、1938年(昭和13年)10月より『新新訳源氏物語』第1巻を出して、翌1939 年(昭和14年)9月に全6巻が完結した。最初の訳を試みてから、「完全なものに書き変えたいと願っていた」著者の思いが27年の歳月を経て成就したのである。
訳者与謝野晶子のライフワークともいえる『新新訳源氏物語』を文庫化したものが、この角川文庫版『全訳 源氏物語 新装版』(全5巻)で、「決定版与謝野源氏」とも称される。同作品は電子図書館サイト「青空文庫」でも閲覧できるのだが、文庫という手軽さからも、やっぱり本のほうがというニーズも多いはず。 -
與謝野晶子の格調高く優しい筆致で現在によみがえりました。
54帖全訳の世界最古の長編小説の決定版です。
第一巻には「桐壷」から「花散里」までを収録しています。
帝の寵愛を一身に集めた桐壷の更衣が産んだ美しい皇子「光源氏」と、
彼にかかわる人々の姿を情感豊かに写し取った晶子流「源氏物語」です。
切なさといとおしさに満ちあふれた恋模様や、壮烈な権力闘争など、
いつの世も変わらない人間の営みを描ききった日本文学の最高傑作です。