夜市 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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本棚登録 : 4223
レビュー : 647
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043892013

作品紹介・あらすじ

妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは望むものが何でも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。野球部のヒーローとして成長した裕司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。そして今夜、弟を買い戻すため、裕司は再び夜市を訪れた-。奇跡的な美しさに満ちた感動のエンディング!魂を揺さぶる、日本ホラー小説大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 夜市の雰囲気はよく伝わってきました。
    妖怪がうようよしているような世界。
    子供の頃夜市に行った裕司が、友人のいずみを連れて夜市に再び行きます。
    この世界にいきなり入り込んでも、初めて行ったいずみが、驚いていないのも自然な感じで読めました。

    ここに迷い込んだら買い物をするまで、出ることができない夜市の仕組み。
    野球の才能と引き換えに、子供の頃、弟を売った裕司。
    「なぜ、青空に吸い込まれる、自分が打ったホームランを見て泣きたくなるんだ?」
    「なんにせよ、買いさえすれば、帰りたいと思った瞬間、帰れます」
    人攫いの店に、果たして、裕司が売った弟はいるのか?
    完結している異世界。
    異世界なのに、すべて納得してしまう。
    なんてよくできたお話しかと思いました。
    日本ホラー小説大賞受賞作。

    同時収録の「風の古道」もホラーというより大人向けの童話のような感じがしました。

  • R1.8.3 読了。

     ミステリーというよりダークファンタジー的な感じがした。表題作の夜市も良かったが、風の古道のほうが好き。レンの出生の秘密とかレンとコモリの関係とか展開が気になり、一気読みしてしまった。

    ・「遠い未来、その肉体は大樹となり、その魂は古道を越えて世界を渡る風となろう。」
    ・「道は交差し、分岐し続ける。1つを選べば他の風景を見ることは叶わない。私は永遠の迷子のごとく独り歩いている。私だけではない。誰もが際限ない迷路のただなかにいるのだ。」

  • ホラー大賞を受賞した小説ですね。
    ホラーというと、リングとかそういうのを思い浮かべる人も多いと思います。
    でもこの作品の特徴はは、不思議な異世界の住人が出てきたり、日本の情緒を感じられる雰囲気づくりだったり、おとぎ話的な怖さというんでしょうか。
    幼少の頃に夜市に迷い込んだ主人公は、弟と引き換えに野球の才能を買います。
    大人になった主人公はそのことが心に残っており、再度夜市に迷い込むというのがあらすじです。
    怖さというより、悲しさや寂しさが特に心に響く作品でした。
    同時収録の「風の古道」もとてもいい作品でした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「日本の情緒を感じられる雰囲気づくり」
      うんうん
      ジャケ買いしそうになって、ホラーだと判ってパスしてから、ブクログのレヴューを読んで決心して...
      「日本の情緒を感じられる雰囲気づくり」
      うんうん
      ジャケ買いしそうになって、ホラーだと判ってパスしてから、ブクログのレヴューを読んで決心して読みました。とっても切なかったです。。。読んで良かった!
      2013/03/19
  • 普段あんまりホラー小説は読まないけれど、夏だしホラーでも読んでみようかみたいな安易な感じでセレクト。笑
    表題作は2005年の日本ホラー小説大賞受賞作。

    妖怪たちが開く“夜市”では、何でも望むものが手に入る。
    小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに野球の才能を買った。そして実際野球のヒーローにはなれたが、弟を売ってしまったという罪悪感に苛まれ続けた裕司に、再び夜市を訪れる機会がやってきて…

    ホラーだけど、怖いというよりもファンタジックで哀しかった。
    読み手を怖がらせるような、無意味に人が死ぬなどという仕掛けはなくて、後悔とか罪悪感とか心理描写もしっかりしているから哀しいし、ぎょっとするような怖さではなく、こんな世界がもしもこの世に実在したら?と考えてじわじわと恐ろしさを感じた。

    表題作よりもやや長い「風の古道」という中編も収録されているのだけど、個人的にはそちらの方が強く印象に残った。
    異世界に迷い込んでしまった二人の少年と、その世界の住人である青年の物語。

    両方に共通するキーワードは“異世界”なのだけど、「風の古道」の方が、そこに入ってしまったきっかけがとても自然だから恐ろしさが強かった。
    自分も幼かった頃、友だちとよく知らない道を歩いて、またそこに行こうとしたのに結局道を見つけられなかった思い出があって、それは単純に子どもだったから道順を覚えられなかっただけかもしれないけれど、記憶には奇妙な経験として色濃く残ってる。
    そういう感覚がまさに小説になっていて、もしかしたら現実世界と並行してこういう異世界があるのではないかと考えたりした。神隠しと呼ばれるものの不思議、とか。

    とにかく、続きが気になってあっという間に読んだ。
    深層心理に恐ろしさを与えるようなホラー小説でした。

  • 大分前に、表紙の金魚に惹かれた一冊。
    題名の通りに、秋祭りの雰囲気の中の夜市が舞台。

    一つかわっているのは、その夜市が開かれるのは、
    現世ではない異世界、幽世とも言うべき、トコロ。

    そこには、様々な世界からの稀人が集まってきます。
    何かを買うために、何かを売るために、、そして。

    主人公は一組の男女と、そして二人の道先案内人となる老人。

    男は過去に、この夜市を訪れたことがあり、
    “弟”を対価として、とある才能を手に入れました。

    10年振りの来訪となる今回は、その弟を取り戻すことが目的です。
    さて弟を取り戻すために、今度は“何を”対価とするのでしょうか。

    日本に古来からある、神隠しと帰り(返り)人の物語ですが、
    このパターンはなかなかに面白く、さらっと読めました。

    どこか秋の気配を感じさせる、夜の市の物語、
    立秋を過ぎたとはいえ、まだまだ暑いこの時期に、

    ささやかながらも“涼”を感じさせてくれる、そんな一冊でした。

  • 一気に読んでしまった。
    ファンタジーとホラーの狭間にある小説。
    2つの話の背骨のテーマは大事なもののために自分を犠牲にできるかという究極の選択にあると思う。
    田舎の小さな夏祭りを感じさせる、とてもノスタルジックな空気をまとった不思議な傑作。

  • 幼い頃に見た恐ろしい記憶、
    を、言葉にする事ができない。

    なぜならそれは、
    本当にこの目で見たのか?
    それとも、誰かから聞いた、ただのお伽話だったのではないか?
    もしくは夢ではなかったか。

    あの恐ろしさって一体・・・?

    実は、あまりにもあやふやすぎて、
    形にすらなっていないのに、

    とにかく記憶の隅に、今も消えずに残っている。
    暗い影の様な、遥か遠い昔に感じた恐怖・・・

    本書にて、
    『夜市』に、初めて踏み入った私は、
    (こ、ここだったかも…!?)

    まさか、あるわけない、そんな空恐ろしさに身震いしてしまった。
    人の心の奥底に潜んでいる不安をステージに、
    読了までこの世界から逃れる術は無い、
    まるで束縛されるかのような恐怖。

    ただ、見ているだけでは、
    この空間に永遠縛られたままになってしまう。

    恐怖から、逃れる術。
    子供の私に、それが無かったわけを、
    ここで知った様な気がした。

    他 『風の古道』も秀逸。

  • 独特の世界観が最高。
    どんどんこの不思議な世界に引きずり込まれる。
    久しぶりにヤバいこの本、と思わずニヤニヤしてしまった。

  • ホラーのような、ファンタジーのような不思議な話だった。
    どこかノスタルジックな感じがあり、全てが幻のようだった。

  • これは面白い!新年いい滑り出しした!とホクホクしている。
    某書店の閉店時の店員さんおすすめコーナーで買ったんだよなぁ。いい出会いしたなぁ。
    世界の狭間にある市場。そこではあらゆるものが手に入る。なんでも切れる刀、人より遅く年を取る薬、野球の才能。再びその場に訪れた青年の目的は…。
    そこは魑魅魍魎、選ばれた人間だけが歩むことの出来る道。そこに迷いこんだ少年二人の物語。
    夜市と風の古道2編からなる一冊。
    何かのホラー小説大賞を受賞しているらしい。おどろおどろしい雰囲気、非現実的な不条理さ、とホラー小説の要素は揃ってる。
    でもそれだけではなくて、幻想的な文体が引き立てる。不条理なルールが突きつけられ、登場人物はそれにもちろん怯えるのだけども、怯まず最善の道を模索するのがいい。必ずしもハッピーエンドではないけれど、最善手を打とうとしつづけるから、後味の悪さも残らない。ストーリーもコンパクトに、かつ想像力を震わせるくらいの余剰をもってまとめられる。
    こんないい作家さんがいたのかぁ。他のも読んでみたいな!

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年、『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。著書に『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』『南の子供が夜いくところ』『竜が最後に帰る場所』『金色の獣、彼方へ』『南の子供が夜いくところ 』『スタープレイヤー』『ヘヴンメイカー』などがある。

「2019年 『白昼夢の森の少女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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