夜市 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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レビュー : 642
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043892013

感想・レビュー・書評

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  • R1.8.3 読了。

     ミステリーというよりダークファンタジー的な感じがした。表題作の夜市も良かったが、風の古道のほうが好き。レンの出生の秘密とかレンとコモリの関係とか展開が気になり、一気読みしてしまった。

    ・「遠い未来、その肉体は大樹となり、その魂は古道を越えて世界を渡る風となろう。」
    ・「道は交差し、分岐し続ける。1つを選べば他の風景を見ることは叶わない。私は永遠の迷子のごとく独り歩いている。私だけではない。誰もが際限ない迷路のただなかにいるのだ。」

  • 普段あんまりホラー小説は読まないけれど、夏だしホラーでも読んでみようかみたいな安易な感じでセレクト。笑
    表題作は2005年の日本ホラー小説大賞受賞作。

    妖怪たちが開く“夜市”では、何でも望むものが手に入る。
    小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに野球の才能を買った。そして実際野球のヒーローにはなれたが、弟を売ってしまったという罪悪感に苛まれ続けた裕司に、再び夜市を訪れる機会がやってきて…

    ホラーだけど、怖いというよりもファンタジックで哀しかった。
    読み手を怖がらせるような、無意味に人が死ぬなどという仕掛けはなくて、後悔とか罪悪感とか心理描写もしっかりしているから哀しいし、ぎょっとするような怖さではなく、こんな世界がもしもこの世に実在したら?と考えてじわじわと恐ろしさを感じた。

    表題作よりもやや長い「風の古道」という中編も収録されているのだけど、個人的にはそちらの方が強く印象に残った。
    異世界に迷い込んでしまった二人の少年と、その世界の住人である青年の物語。

    両方に共通するキーワードは“異世界”なのだけど、「風の古道」の方が、そこに入ってしまったきっかけがとても自然だから恐ろしさが強かった。
    自分も幼かった頃、友だちとよく知らない道を歩いて、またそこに行こうとしたのに結局道を見つけられなかった思い出があって、それは単純に子どもだったから道順を覚えられなかっただけかもしれないけれど、記憶には奇妙な経験として色濃く残ってる。
    そういう感覚がまさに小説になっていて、もしかしたら現実世界と並行してこういう異世界があるのではないかと考えたりした。神隠しと呼ばれるものの不思議、とか。

    とにかく、続きが気になってあっという間に読んだ。
    深層心理に恐ろしさを与えるようなホラー小説でした。

  • 大分前に、表紙の金魚に惹かれた一冊。
    題名の通りに、秋祭りの雰囲気の中の夜市が舞台。

    一つかわっているのは、その夜市が開かれるのは、
    現世ではない異世界、幽世とも言うべき、トコロ。

    そこには、様々な世界からの稀人が集まってきます。
    何かを買うために、何かを売るために、、そして。

    主人公は一組の男女と、そして二人の道先案内人となる老人。

    男は過去に、この夜市を訪れたことがあり、
    “弟”を対価として、とある才能を手に入れました。

    10年振りの来訪となる今回は、その弟を取り戻すことが目的です。
    さて弟を取り戻すために、今度は“何を”対価とするのでしょうか。

    日本に古来からある、神隠しと帰り(返り)人の物語ですが、
    このパターンはなかなかに面白く、さらっと読めました。

    どこか秋の気配を感じさせる、夜の市の物語、
    立秋を過ぎたとはいえ、まだまだ暑いこの時期に、

    ささやかながらも“涼”を感じさせてくれる、そんな一冊でした。

  • 一気に読んでしまった。
    ファンタジーとホラーの狭間にある小説。
    2つの話の背骨のテーマは大事なもののために自分を犠牲にできるかという究極の選択にあると思う。
    田舎の小さな夏祭りを感じさせる、とてもノスタルジックな空気をまとった不思議な傑作。

  • 活字と言えば
    ハリーポッターとホビットしか
    読まなかった私を
    本の世界に引きずり込んだ一冊

    夜市よりも
    風の古道のほうが好きでした
    日本の古き良き田舎の風景に
    溶け込むような怪しく切ないストーリーに
    ちょっと涙腺が危なかったです

    風の古道は又時が経ってから
    読み直したくなるような
    世界が存在していました。

    心の中のスクリーンに
    鮮明に映し出される情景には
    どこか懐かしい気持ちになります。
    恒川さんには、
    これでどハマりしました。

  • 中学生だかの頃に新聞の書評を見て図書館に予約しに行った本。本に限らず同じ作品を複数回読むことはほとんどない中でこの本は読み終わった直後にあまりの興奮にもう一度読んだことを覚えている。
    図書館の棚で平置きでもないのに何故か目に留まり10年ほど経った今もう一度読んだ。改めて読むと、描写自体はめちゃくちゃにうまいわけではない、のにありありと情景が浮かんでくる。ぶっ飛んだ設定のはずなのにすぐ後ろに一ツ目が立ち尽くしているんでは、とぞわぞわしながら一気に読んだ、ほんとに面白い

  • 180226読了
    今年11冊目今月5冊目。

    夜市も良かったが、風の古道はもっと良かった。
    初読みの作家さんだが、この人は当たりだぁ。

    この雰囲気、人恋しくなる。

  • 他の方のレビューを拝見して興味が湧いた作品です。ホラーというよりは、もっとこう神がかっていて、大きな渦の中で立ちつくしているちっぽけな人間 というものをイメージさせられました。
    夜市で手に入れた欲の代償は計りしきれないものでした。主人公が再び夜市に出向きどうしても買いたかったものは…。そして、すべてが終わった時、夜市は遠い秋の夢となって消えました。何ともいえないやるせなさを残し・・。
    ストーリーの面白さもさることながら、読み進めていくうちに暗闇の中で光放つ鮮やかな夜市が浮かんできて、たくさんの異世界の息ずく生の生々しさを感じることができました。自分がこの神聖な領域にに足を踏み入れてしまった感覚でした。私は嫌いではなかった、この作品。もう一つの『風の古道』もおすすめ。

  • 現実と妖怪の住む異世界への交わる空間に読者を誘う2話からなる短編集。読んでいてあたかも自分が不思議な世界に入り込んだかのようなリアリティーは独特な文体とテンポの成せる『技』。「ホラー文庫」としてカテゴライズされてはいるものの、どのストーリーも非常に丁寧で優しさすら感じる語り口は恐ろしさよりも『寓話』や『ダーク・ファンタジー』と表す方が正解だろう。表題の『夜市』は子どもの頃に祭りの夜店の華やかさと楽しさの陰に感じた夜の闇のあの「不気味さ」を再体験させられた感覚が心地よかった。まさに和製ファンタジーの良作。

  • 56

    ホラーというよりは、ほんのり切なくて仄暗いファンタジー。グロくてこわい!とかじゃなくて、背筋を冷たいものが這うような、そんな怖さ。
    夜市は弟と引き換えにしてまで欲しかった才能も、
    年をとったり、誰かの一言で急にいらなくなってしまうものなんだなーとしみじみ。夜市も、一度行ったら忘れられるくらいならいいのに、3回までならまた来てオッケーでしかも開催されたらわかるっていう妙なやさしさ?が逆にすごく残酷。忘れさせてあげないんだ。。

    風の古道の方がわたしは好みだった。
    あの道ってもしかして、って思うところが数カ所あるな~。その道で死んだり生まれた人は、二度と外に出られないっていうのがぞわってきた。
    面白かった!

    20190730

著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年、『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。著書に『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』『南の子供が夜いくところ』『竜が最後に帰る場所』『金色の獣、彼方へ』『南の子供が夜いくところ 』『スタープレイヤー』『ヘヴンメイカー』などがある。

「2019年 『白昼夢の森の少女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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