秋の牢獄 (角川ホラー文庫)

  • 角川書店 (2010年9月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784043892037

作品紹介・あらすじ

11月7日水曜日。女子大生の藍は秋のその一日を何度も繰り返している。朝になれば全てがリセットされる日々。この繰り返しに終わりは来るのか──。圧倒的な切なさと美しさに満ちた傑作中編集。

みんなの感想まとめ

繰り返される一日や特定の空間に囚われた人々の物語が描かれ、切なさと美しさが融合した作品です。11月7日を何度も体験する女子大生や、家や幻に閉じ込められたキャラクターたちが、それぞれの拘束された世界で生...

感想・レビュー・書評

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  • 「夜市」が とても好みでしたので
    恒川さんの小説を読みたいと思っておりまして

    「秋の牢獄」
    ある年の11月7日を繰り返す人々
    どんな変化をつけても11月7日の朝がやってくる
    時間による拘束世界

    「神家没落」
    ある山中の民家から 翁の代わりとなって出られなくなってしまう男
    そこは神域 場所による拘束世界

    「幼は夜にに成長する」
    幼児期ある教団に誘拐され監禁生活を強いられた少女 解放されてからも幼術にとらわれる

    拘束される世界だけれど
    当事者達には そこが生きる場所となりつつあり

    恒川さんの 古民家ホラーやっぱり好きです

    • おびのりさん
      ビマキさん
      ほんと周囲に本読んでる人多くて羨ましい

      この辺の古い本なら BOOK OFFで充分に見つかりそうですけど
      あと浜松市なら 電子...
      ビマキさん
      ほんと周囲に本読んでる人多くて羨ましい

      この辺の古い本なら BOOK OFFで充分に見つかりそうですけど
      あと浜松市なら 電子図書館充実していそう
      一度図書館のカード作ったら
      電子書籍は 貸借りは 何か端末でできるから
      行かなくていいし 多少は読めるのではないかしら?

      と思ったら 今浜松市の電子書籍見てきたら
      日本文学100冊もありませんでした
      残念ながら まだ使えませんね
      メルカリでしょうか
      2024/12/24
    • bmakiさん
      色々調べて下さりありがとうございますm(_ _)m
      おびのりさん優しい(*´∀`*)

      はい、退職するまでは、メルカリかBOOKOFFかAm...
      色々調べて下さりありがとうございますm(_ _)m
      おびのりさん優しい(*´∀`*)

      はい、退職するまでは、メルカリかBOOKOFFかAmazonで乗り切ろうと思います。
      人が死ぬヤツを優先的に( ̄▽ ̄)
      2024/12/24
    • ultraman719さん
      あの!
      山は、言葉の比喩ですよ!

      ちゃんと、サイドボードとクローゼットの中に、キチンと並べて入ってます!…?
      あの!
      山は、言葉の比喩ですよ!

      ちゃんと、サイドボードとクローゼットの中に、キチンと並べて入ってます!…?
      2024/12/24
  • あっ!もう11月8日やわ!
    良かった〜
    もう一回というか、何度も同じ日の繰り返しって精神的にキツい。
    何しても、元に戻るってのは、魅力的やけど、無限ループなんか嫌や。
    3つの短編集やけど、どれも牢獄というか囚われてる。

     11月7日という時、

     家という空間、

     幻術という力。

    いずれの作品も最終的には、解放に向かうんやけど、そこは、違った形で。

    ホラーというより、民話というか、世にも奇妙な物語というか…
    こういう、何か身近にあるような恐怖。

    「ないわ〜こんなん〜」って思って後ろ向いたら…
    「あれ???」みたいな…

  • ★3の中。

    ホラー&SF&ファンタジー。

    短編3作。

    ・秋の牢獄
      時に囚われる。

    ・神家没落
      家に囚われる。

    ・幻は夜に成長する
      幻に囚われる。

    薄暗くて寂しい感じが持ち味。
    きっと同じアイディアを持った誰かが書いてもこんなふうにはならないんだろうな。
    それが個性か?
    この書きっぷり。そこはかとなく美味でした。

    • 1Q84O1さん
      土瓶師匠の代わり言い直します!
      ★3の上です
      土瓶師匠の代わり言い直します!
      ★3の上です
      2025/02/01
    • 土瓶さん
      いやQさん。
      それはアカンがな。
      「金色機械」が★3の上だから、こっちはそれより一段下の★3の中です。

      師匠でもなーーーい!
      ((((((...
      いやQさん。
      それはアカンがな。
      「金色機械」が★3の上だから、こっちはそれより一段下の★3の中です。

      師匠でもなーーーい!
      (((((((((((っ・ω・)っ ブーン
      2025/02/01
    • 1Q84O1さん
      師匠っ!
      んじゃあ、★3の中の上ぐらいでどうですか?w
      師匠っ!
      んじゃあ、★3の中の上ぐらいでどうですか?w
      2025/02/01
  • 『夜市』の世界よりまだ少し、ひと側に寄った物語だなと思った。
    それは、ひとの意思や所為というものが未だ形を持っていて、こちら側から完全に抜け出そうとしない(したくない)、言うなれば執念、執着などといった人間臭さを持ったまま、異界へと誘われたひとたちだったように感じたから。
    だからなのか、『夜市』のような精錬された幽玄さや艶やかさ妖しさというものに到達するまでの、まだ濾されきれていない泥臭いものが描かれていたように思う。

    『秋の牢獄』では、先に進みたいとの希望を何度も打ち砕かれる朝を迎えるうちに、自分が消えることを待ち望むようになった主人公。
    生が繋ぎ止められた時間の「牢」から解放されることは、精神的な安楽を意味しているようであり、その先が死か、それとも未来かということはとうに大切なことではなくなっている、そんな印象を受けた。

    『神家没落』では、どこにも自分の拠り所がない、その「自由」さに恐ろしさを感じ、もう一度「家」に執着する主人公。
    家という「牢」へもう一度入りたいと願った主人公にとって不意に訪れた「牢」の消失とは、決して自分を解放させるものではなく、よりいっそう孤独を深めることになったのであったろうと想像する。ある意味、「牢」の幻像に囚われたまま生きていくことになったのではないだろうか。

    『神家没落』とは逆に「牢」からの解放を望んだのは『幻は夜に成長する』。
    主人公は生への喜びや自由への渇望というような、希望に満ちた明るいものを決して望んだわけではないのだろう。もっとどろどろした人間の業や欲といった、どす黒い塊をもマグマのようなエネルギーとして生きることへの喜びへと解放させる、そんな印象を受ける。鍵の開いた「牢」から、自分は生かされているのではない、この幻で覆われた現実で生きてやるのだという主人公の力強い声が聞こえるようだった。

    「牢」に対して自分がどのように願い、あるいは対峙するのか。それによって「牢」はどのような試練、もしくは褒美を与えるのか。
    その果てに迎える結末。「牢」から解放された先にあるのは消失なのだろうか、それとも生成なのだろうか。
    誰にもわからないなかで、ただひとつ確かなこと、それは様々なものにひとは囚われながら生きているということだった。

  • 『夜市』に次いで2作目の恒川光太郎。
    この方の本、読み尽くしたい。やはり好きだ。文が。表現が。世界観が。
    表題作含めて短編3作なのだけど、どれも好きなので一番が決められない。
    何度も同じ日を繰り返す「秋の牢獄」、突然現れる神の家に、たまたま閉じ込められてしまう男の話「神家没落」、幻を見せる力を持った祖母に育てられた女の子の行く末を描いた「幻は夜に成長する」。
    どれも不思議なことが起こっているのに、この世のどこかではあるかもしれない気がしてくる。いや少し昔に戻ればあったかも…?なんて。
    読みながら不穏な雰囲気を背中に感じているのに、もっと知りたくなってしまうような、少し先から手招きされてるような。
    恒川光太郎が生み出す世界に、もっと迷い込みたい。

  • 表題作の「秋の牢獄」を再読したくて図書館で借りた。
    内容は作品紹介通りだが、リプレイ関係の物語に惹かれる気持ちってなんだろう?と考えてしまう。
    自分の人生に悔いがあるのか?無い奴は居ないと思うけど。
    やり直しは出来ないからこそ、そこに夢とか物語を紡いだり、それを読んだり観たりして共感するのだろうか。
    いつかまた再読する日が来ると思う。その時は何を思うのだろう?

    作品紹介・あらすじ
    十一月七日水曜日。女子大生の藍は秋のその一日を何度も繰り返している。何をしても、どこに行っても、朝になれば全てがリセットされ、再び十一月七日が始まる。悪夢のような日々の中、藍は自分と同じ「リプレイヤー」の隆一に出会うが…。世界は確実に変質した。この繰り返しに終わりは来るのか。表題作他二編を収録。名作『夜市』の著者が新たに紡ぐ、圧倒的に美しく切なく恐ろしい物語。

  • 11月7日水曜日を何度も何度も繰り返す女子大生の話。

    面白かった。時間ってなんだろうなと考えた。
    もしかして日常生活に紛れ込んでいるかもしれない【リプレイヤー】。
    この、日常と並行して不思議な世界がすすんでいる感じの物語が好き。

    特に何も起こらなかった日が繰り返されるぶんには良いけど、たしかにテロとか事件とか、身近な誰かが亡くなった日が繰り返されてしまうとしたらつらいなと思った。

    “北風伯爵”が不気味・・・ぞわっとする怖さが良い。
    文章だけでも、得体のしれない恐怖を表現できるのがさすが。


    「ぼくたちの本体はとっくに先に進んでいて、ぼくたちは本体が、十一月七日に脱ぎ捨てていった影みたいなものじゃないのか。世界は毎日、先へ進むたびに、その時間に影を捨てていくのかもしれない。」

  • 恒川光太郎さんの作品は「夜市」が好きで、フォローさせてもらってる方の感想でこちらも手にとりました。

    結論から言うと『良い』。

    読んでホラー感は薄いけれども、いざその境遇になることになったらもちろんゾッとする。

    不思議は不思議なまま置いておきながら、納得してしまうお話が心地よく感じてしまう。

    つかみどころのない出来事で終わりが想像に任せる感じだが、それがバチッとはまった作品で大好きになりました。

  • 秋真っ盛りのこの時期に読むことをずっと前から計画していたので、銀杏並木の木の下で読んでみた。
    11/7から一日も進まなくなってしまった世界線での生活の中に、どこか青春めいたものを感じる「秋の牢獄」
    1人では出ることができない家を舞台に、予想としない角度からの急展開が繰り広げられる「神家没落」
    祖母から受け継いだ魔法を持った少女の絶望を描く「幻は夜に成長する」
    ホラー小説としてよく名の挙がる「夜市」も読みましたが、その時と同様に恒川光太郎さんはただ怖いだけで終わらない物語を描く作家だな思いました。
    3つは全く違う内容ですが、それぞれにある種の”切なさ”を内包されているため、怖くてゾッとしつつもノスタルジックな気持ちになるという、不思議な読書体験ができました。

  • 恒川さん、初読み。読み友さんから表題作をお薦めされる。秋の牢獄、11月7日を繰り返す主人公。得体の知れない北風伯爵。で?結局正体何だったのか?乾くるみ・リピートではなぜリピートするのか?それは時空を操る奴が「暇つぶし」「楽しむ」ため。この徹底的な主張が読者の緊張感を増す。この本はある意味、幻想的。でもうやむや感を超える主張を感じたかった。もしかして自分のバカさ加減の問題か??全体的に幻想的な内容で、森見さんに似たモヤモヤ感。もっとファンタジー感・ホラー感を突き詰めて欲しかったな。中途半端な感じで読了。

    • ポプラ並木さん
      ゆうママさん、どう?ペネロペの冬バージョンにしてみたよ。絵本で一番一番好きかも!ご意見聞かせて~出張は東京都心で授業収録をしてきましたよ。疲...
      ゆうママさん、どう?ペネロペの冬バージョンにしてみたよ。絵本で一番一番好きかも!ご意見聞かせて~出張は東京都心で授業収録をしてきましたよ。疲れた~
      2021/11/08
    • アールグレイさん
      お疲れさま(*^-^)ノ

      授業収録というと大学ですね!ついでに、講義してきたりして
      ヽ(゚ロ゚;)ノ
      アイコン、なんだ~⁉ 水色のマるぅ?...
      お疲れさま(*^-^)ノ

      授業収録というと大学ですね!ついでに、講義してきたりして
      ヽ(゚ロ゚;)ノ
      アイコン、なんだ~⁉ 水色のマるぅ?と思い虫メガネで見たら、ペネロペ、肉眼で見ることができないのが残念・・・可愛いけど・・・・
      ごめん(>_<)私の性格ははっきり言ってしまうこと。水色の玉っころにしか見えない。
      申し訳ない!老眼の私を笑って下さいませ。
      (+_+)
      2021/11/08
    • ポプラ並木さん
      疲れた・・・でも楽しかったよ。

      (⌒▽⌒)アハハ!アイコン小さかったね。すんません。老眼?でも読書てきているんだから大丈夫でしょう~(...
      疲れた・・・でも楽しかったよ。

      (⌒▽⌒)アハハ!アイコン小さかったね。すんません。老眼?でも読書てきているんだから大丈夫でしょう~(笑)
      授業収録は、がんに関する学会の講師として毎年呼ばれています。意外と頑張っていますよ。ペネロペは可愛いよね~
      新幹線で坊ちゃんを初めて読んだよ。面白かった!!
      ではでは。
      2021/11/08
  • 【収録作品】秋の牢獄/神家没落/幻は夜に成長する

    いずれも「囚われた」人の話。
    「秋の牢獄」は、同じ一日を繰り返す。何をしても目覚めると同じ日。主人公たちは現象は理解するが、解決策はない。まさにホラー。
    「神家没落」は、移動する「家」から出られない。こちらは主人公がルールに従って出る方法がある。
    「幻は…」は、主人公が力を蓄えれば出られそう。

    「秋の牢獄」と「神家」は、人によっては救いかもしれないと思えてしまうのがまたホラー。

  • 『秋の牢獄』は11月7日という日にちに、
    『神家没落』は空間を移動する民家の中に、
    『幻は夜に成長する』は特殊な能力を持つ女性が宗教団体の施設の中に、
    それぞれ囚われてしまうお話。
    一番好きなのは、一話目の『秋の牢獄』。
    大学に通う藍という女の子が11月7日から出られない話。
    11月7日を過ごし、眠りについて朝目覚めるとまた11月7日に日付が戻ってしまう。何度目かの11月7日を過ごした頃、自分も同じ境遇だという男性に声をかけられる。他にもそういう人たちがいるから、その集まりに顔を出してみないかと。彼らは自らをリプレイヤーと称し、11月7日という1日を繰り返し繰り返し生きている。

    ・・・ふと11月7日という日付に意味はあるのだろうかと思い、調べてみたらその日は立冬だった。
    秋が極まり冬の気配が立ち始める日。
    つまり秋が一番濃い日だ。

    7日を何度も繰り返すということは、7日の夜に時間が巻き戻るということなのだろうか。
    ということは、このリプレイは人類全体に起きていることなんだけど、それに気づいた人がリプレイヤーということ?
    それとも7日が終わった時点で、パラレルワールドの7日に移動するということなのだろうか。
    たくさんお金を使っても、どんな怪我をしても(極端な話、死んでしまっても)、もちろん誰かを殺したって、何もなかったことになるんだからやりたい放題だ。ある意味うらやましいともいえる。

    角川ホラー文庫なので怖い話ではあるんだけど、幽霊とかお化けとかそういう直接的な怖さではない。ここからずっと抜けられないかもしれないという絶望に近い恐怖を抱えながらも、いつかこれが終わってしまうかもしれないと思う矛盾した思いが、まるで腐った落ち葉の上をぬらぬらと歩くような妙な感覚を呼び起こす。
    それが終わった後、果たして自分はどこに流されるのか。永遠に消えてしまうのか、それとも8日に運ばれるのか。そのとき、自分を捉えにくるものとその瞬間。そういうのがじわじわと怖い。

    もしわたしがリプレイヤーに選ばれ、同じ日を繰り返すとして。
    毎日湯水のようにお金を使い、殺したいほど憎んでいる人(そんな人いないけど)をありえないくらい残酷な方法で殺害し、なんてことはとてもじゃないけど出来ない。
    だって、翌朝起きて11月8日になってたら目も当てられない。それこそが本当の恐怖だと思う。

  • 独特の世界観、読みやすい構成はそのままだった。
    「夜市」のような誘われるような陶酔感は薄かったが、大変面白かった。
    恒川ファンとして、彼の作品中では星3だが、全体のレベルでは星4。

  • 世界は幻に満ちている。
    それはどこか曖昧で不確かなもの。

    3つの独立した物語からなる短編集。
    重なりは全くないけれど、どの主人公も各々の「牢獄」に閉じ込められる物語。
    ある者は同じ一日に、またある者は家に、そしてある者は自己に芽生えた不思議な力に。
    どうにかして逃げようと模索するが簡単には逃れられない。
    そうしている内に逃げることを止め、徐々にそこを「安楽の地」と錯覚してしまう。

    恒川さんの描く世界観はいつも静かに、でも確実に読み手を追い込む。
    追い込められてしまった私は、どうすることも出来ずただジタバタするだけ。

    暑い夏が終わり寒々とした冬になる前の、しんと静まり返った「すき間」のような季節がもうじき私の所にもやって来る。
    ひっそりと潜む曖昧で不確かな「すき間」に閉じ込められてしまわないよう、私も気を付けなければ。

  • 面白かった!読みやすいのに雰囲気が圧倒的だし、どれも異世界や非現実的な設定の話なのにそこに現れる苦悩は私たちの世界の風刺であるようなドキりとする言葉がたくさん出てくる。
    2話目の神家没落が1番好き。
    だいぶ昔に読んだ夜市をもう一度読み返したくなった。

  • 表題作「秋の牢獄」

    ラスト1行がとても素晴らしいです。

    思わず涙してしまいました。

  • 大好きな恒川光太郎の3冊目は「囚われた者たち」による3作品から成る短編集。表題作の『秋の牢獄』はおなじ1日を何度も繰り返し、そこに生きる人々の苦悩と葛藤というSF短編などで扱われるやすい題材が恒川の手になると見事に寓話に変化する力量を見せつけられる良作。充実した一日の意義に気づいた者は、例え明日にもその命が尽きようとも「人生」を意義あるものと出来るというメッセージはレヴィル・シュート著『渚にて』を彷彿とさせる。
    『神家没落』は高橋留美子著による漫画『うる星やつら』第14巻2話目の「カマクラ伝説」とダイアナ・ウィン・ジョーンズ原作による『魔法使いハウルと火の悪魔』のスチュエーションを融合させたような設定を怪談風味で仕上げた秀作。
    『幻は夜に成長する』は超能力(幻術)を使えるが故に、その力にに縛られ、囚われの身となる運命を辿る女性の儚くも恐ろしい悲話はスティーヴン・キング著『キャリー』筒井康隆『七瀬ふたたび』宮部みゆき著『鳩笛草』、『クロスファイア』に並ぶ、能力者の悲劇。
    優しい描写の中で、やがて訪れる残酷な運命に翻弄される人々の姿は儚く悲しい。しかし、読了感は殺伐とせず、何処か安らぎすら感じさせる文章はさすが恒川光太郎。

  • 当たり前のように語られる非現実が癖になる

  • 同じ秋の1日を繰り返す秋の牢獄。
    前半は割と呑気に1日を繰り返していた。
    天気も良くてのほほんとした感じ。その日に使ったお金も寝て起きたら戻っているなんてちょっと羨ましいような。
    でもその1日が例えば体調不良の日なら、夜寝て朝起きてもずっと体調不良の繰り返し。
    割と洒落にならない日を過ごしている人や、嫌なことを知ってしまう人も。
    表題作以外の2作、家が移動する話は人がつくづく怖い話だった。

  • 閉じ込められたものやことに対して人がどう思い行動するかを題材をとした三つの短編。それぞれ、最終的に諦めて達観する、愛着を抱く、力をつけて出ていくという結論に達しており、それぞれの結論に至る過程に納得できるストーリーでした。世界観の設定がとても面白いものの、どれも理不尽なものとして描かれており、人がそれに対し抗いはするものの結局できずに利用したりするしかないという流れが共通していて途中から展開が読めてしまうのが難点でした。また、文体があっさりしていることもあり激しい感情の変化が見えづらく、主人公が淡々としているようにも感じられてしまいまだまだ恒川さんの世界観に慣れていないことを感じました。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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