秋の牢獄 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 147
  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043892037

作品紹介・あらすじ

十一月七日水曜日。女子大生の藍は秋のその一日を何度も繰り返している。何をしても、どこに行っても、朝になれば全てがリセットされ、再び十一月七日が始まる。悪夢のような日々の中、藍は自分と同じ「リプレイヤー」の隆一に出会うが…。世界は確実に変質した。この繰り返しに終わりは来るのか。表題作他二編を収録。名作『夜市』の著者が新たに紡ぐ、圧倒的に美しく切なく恐ろしい物語。

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな恒川光太郎の3冊目は「囚われた者たち」による3作品から成る短編集。表題作の『秋の牢獄』はおなじ1日を何度も繰り返し、そこに生きる人々の苦悩と葛藤というSF短編などで扱われるやすい題材が恒川の手になると見事に寓話に変化する力量を見せつけられる良作。充実した一日の意義に気づいた者は、例え明日にもその命が尽きようとも「人生」を意義あるものと出来るというメッセージはレヴィル・シュート著『渚にて』を彷彿とさせる。
    『神家没落』は高橋留美子著による漫画『うる星やつら』第14巻2話目の「カマクラ伝説」とダイアナ・ウィン・ジョーンズ原作による『魔法使いハウルと火の悪魔』のスチュエーションを融合させたような設定を怪談風味で仕上げた秀作。
    『幻は夜に成長する』は超能力(幻術)を使えるが故に、その力にに縛られ、囚われの身となる運命を辿る女性の儚くも恐ろしい悲話はスティーヴン・キング著『キャリー』筒井康隆『七瀬ふたたび』宮部みゆき著『鳩笛草』、『クロスファイア』に並ぶ、能力者の悲劇。
    優しい描写の中で、やがて訪れる残酷な運命に翻弄される人々の姿は儚く悲しい。しかし、読了感は殺伐とせず、何処か安らぎすら感じさせる文章はさすが恒川光太郎。

  • ◆「秋の牢獄」読了後、ゾッとした。藍と同じように朝起きるとまたうんざりする同じ一日が始まる感覚から逃れられない時があるから。そして、同じ囚われの感覚があるにも関わらず上書き更新はならず、日一日と老いていく時の流れは感じるから。現実はより過酷で恐ろしい。

  • *十一月七日水曜日、秋のその一日を何度も繰り返している女子大生。神の領域にある「家」に住まう人間。魔訶不思議な力に人生を絡め取られた女ーまるで童話のようなモチーフ、透明感あふれる文体、物語る力の凄まじさ。圧倒的な多幸感と究極の絶望とを同時に描き出す、新鋭・恒川光太郎の珠玉の作品集*
    本当に不思議な物語の数々。今までに読んだことのない類の別世界観。酸いも甘いも知り尽くした、大人の童話。

  • 毎年11/7に再読を繰り返しています。
    11/7は私にとって秋の牢獄デー。
    7日が今年も穏やかに過ぎていき、無事8日を迎えたことを感謝しつつ。

  • どの短編も情景が鮮やかで素敵でした。
    秋になるたびに再読する習慣をつけようと思うくらい好きです。秋じゃなくても読みたくなりそう。
    ホラー的には『神家没落』が好き。

  • 夜市でも感じましたが、やはり読後感が素晴らしいです。もの悲しいような、ぼんやりとした余韻が後を引きます。突然の囚われ、そしてそこからの解放へと進んでいく三編の物語。中でも「幻は夜に成長する」が印象的。ある意味では三編中一番希望に満ちた解放だと思うのですが、一番救われなさを感じる解放でもありました。恒川さんはこういう風なのも描くのかとちょっと驚きました。正直たまらなく好きです。

  • 何らかの牢獄に囚われた人たちの短編集.
    一度囚われるとそこにいるのも抜け出すのも困難を伴うと思えば,日常が小さな牢獄のようにも思えてくる.

  • 【昔読んだ本】
    ダ・ヴィンチのプラチナ本で紹介されてて、凄く気になったんだけどホラー文庫なので暫く躊躇してたんだよなあ。
    勇気を出して購入して、本当に良かった。
    『秋の牢獄』『神家没落』『幻は夜に成長する』全ての話が完璧で、甲乙つけ難い。牢獄(捕らわれる)という共通点があるけど、それぞれの魅力があり何度も読みたくなる。
    今となっては、あらすじも確認せずに発売日当日にハードで購入するのは恒川さんだけ、というくらい大好きな作家さんに。

  • 以前読書メーターで秋なので「秋の牢獄」を読もうという呼びかけで一斉に皆さんが読んでいて、私も読もうと読みたい本に登録して去年の秋はすっかり忘れていたのですが、今年は奇蹟的に思い出したので購入。表紙も素敵なうえ去年読みそこなったせいもあり、思いが募り過ぎてか「秋の牢獄」は身勝手にも想像とは違うし怖くもなくて評価減からスタートしてしまったのですが、残り2つの短篇は好き。初読み作家さんですが既に「夜市」も「無貌の神」も気が付けば読みたい本にポチっているところをみると、私読む前から感覚で好きだったみたいです。

  • ホラーなのに何故かハラハラではなくワクワクしてしまう。ホラーなのにその世界に自分も行ってみたくなる。でもやっぱ怖い。これは面白い。凄く不思議な完成された空間。例えば主人公以外の登場人物の目線で語られても、それはそれで一つの不思議な物語が完成する感じ。季節に合わせて読んでみたけど、もう一つは春のお話だった。もう一つの話はゾクッとした。他の著書もめっちゃ気になる。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年、『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。著書に『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』『南の子供が夜いくところ』『竜が最後に帰る場所』『金色の獣、彼方へ』『南の子供が夜いくところ 』『スタープレイヤー』『ヘヴンメイカー』などがある。

「2018年 『滅びの園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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