秋の牢獄 (角川ホラー文庫)

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 165
  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043892037

作品紹介・あらすじ

十一月七日水曜日。女子大生の藍は秋のその一日を何度も繰り返している。何をしても、どこに行っても、朝になれば全てがリセットされ、再び十一月七日が始まる。悪夢のような日々の中、藍は自分と同じ「リプレイヤー」の隆一に出会うが…。世界は確実に変質した。この繰り返しに終わりは来るのか。表題作他二編を収録。名作『夜市』の著者が新たに紡ぐ、圧倒的に美しく切なく恐ろしい物語。

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな恒川光太郎の3冊目は「囚われた者たち」による3作品から成る短編集。表題作の『秋の牢獄』はおなじ1日を何度も繰り返し、そこに生きる人々の苦悩と葛藤というSF短編などで扱われるやすい題材が恒川の手になると見事に寓話に変化する力量を見せつけられる良作。充実した一日の意義に気づいた者は、例え明日にもその命が尽きようとも「人生」を意義あるものと出来るというメッセージはレヴィル・シュート著『渚にて』を彷彿とさせる。
    『神家没落』は高橋留美子著による漫画『うる星やつら』第14巻2話目の「カマクラ伝説」とダイアナ・ウィン・ジョーンズ原作による『魔法使いハウルと火の悪魔』のスチュエーションを融合させたような設定を怪談風味で仕上げた秀作。
    『幻は夜に成長する』は超能力(幻術)を使えるが故に、その力にに縛られ、囚われの身となる運命を辿る女性の儚くも恐ろしい悲話はスティーヴン・キング著『キャリー』筒井康隆『七瀬ふたたび』宮部みゆき著『鳩笛草』、『クロスファイア』に並ぶ、能力者の悲劇。
    優しい描写の中で、やがて訪れる残酷な運命に翻弄される人々の姿は儚く悲しい。しかし、読了感は殺伐とせず、何処か安らぎすら感じさせる文章はさすが恒川光太郎。

  • ◆「秋の牢獄」読了後、ゾッとした。藍と同じように朝起きるとまたうんざりする同じ一日が始まる感覚から逃れられない時があるから。そして、同じ囚われの感覚があるにも関わらず上書き更新はならず、日一日と老いていく時の流れは感じるから。現実はより過酷で恐ろしい。

  • *十一月七日水曜日、秋のその一日を何度も繰り返している女子大生。神の領域にある「家」に住まう人間。魔訶不思議な力に人生を絡め取られた女ーまるで童話のようなモチーフ、透明感あふれる文体、物語る力の凄まじさ。圧倒的な多幸感と究極の絶望とを同時に描き出す、新鋭・恒川光太郎の珠玉の作品集*
    本当に不思議な物語の数々。今までに読んだことのない類の別世界観。酸いも甘いも知り尽くした、大人の童話。

  • 毎年11/7に再読を繰り返しています。
    11/7は私にとって秋の牢獄デー。
    7日が今年も穏やかに過ぎていき、無事8日を迎えたことを感謝しつつ。

  • どの短編も情景が鮮やかで素敵でした。
    秋になるたびに再読する習慣をつけようと思うくらい好きです。秋じゃなくても読みたくなりそう。
    ホラー的には『神家没落』が好き。

  • 夜市でも感じましたが、やはり読後感が素晴らしいです。もの悲しいような、ぼんやりとした余韻が後を引きます。突然の囚われ、そしてそこからの解放へと進んでいく三編の物語。中でも「幻は夜に成長する」が印象的。ある意味では三編中一番希望に満ちた解放だと思うのですが、一番救われなさを感じる解放でもありました。恒川さんはこういう風なのも描くのかとちょっと驚きました。正直たまらなく好きです。

  • 囚われた人々が登場するサクッとゾクッと読める短編集。
    とある秋の一日、移動式古民家、幻を操る能力とそれを利用する教団。

    移動する藁葺きの家は使い方によっては相当便利。
    狂人にしか出来ないけど。
    この話を掘り下げた、もっと狂気に満ちたホラーはなかなか読み応えありそう。

  • 成る程!!出口の無いループに囚われる恐ろしさか。。この人の物語は奇想天外なんだけど、人間の心の闇を物語と上手く融合させていていてジワりとくる怖さが良い。中々面白い本でした。さらりと読めるし。

    「秋の牢獄」やり直しはきいても、やりきれない思いは残るのか…

    「神家没落」こんな事があったら私は毎日、本を読んでいる笑笑

    「幻は夜に成長する」特殊な能力を上手く利用する輩は最低。最後の主人公は怖いが、

  • 今年は11/7の水曜で、その前にと思い読み切った。
    生死の観念が牢獄だったり北風だったりとメタで綺麗に表されていた。
    深く考えなくても面白くサラッと読めてしまえたので何度も読めそう。また来年の11月7日頃に思い返して読みたい。

  • 時間に、場所に、自らの精神に囚われた者たちを描いた3つの短編は、ホラーというより、幻想奇譚と呼びたい、美しくて切なくて恐ろしい物語。

    11月7日を待って読み始めた標題作「秋の牢獄」
    雨の音で目を覚ますと、昨日と同じ雨の朝だった。秋のその一日を何度も繰り返している女子大生の藍。何をしても朝にはリセットされ、再び11月7日が始まる。
    世界は確実に変質した。カレンダーの日付はすべて11月7日に塗り替えられた。

    ある日絶望のうちに、藍は自分と同じ「リプレイヤー」に出会い、行動を共にするようになる。どうせリセットされるのだからとある者は人を殺し、またある者はやりたかった暴走行為の果てに死亡する。
    明日がない一日を生きることは、なんと寄る辺ないことなのだろう。希望とは明日があると考えることだ。

    しばらくすると、仲間が一人また一人といなくなっていく。「お迎え」がくるとどこかに行ってしまうのだ。
    最初は怖がっていた藍も何百回もの11月7日を繰り返し、いつしか「お迎え」を待つようになる。
    連れていかれる先が11月8日であると信じ、最後まで希望をもって。ラストの一行がとても印象的でした。

    今日が11月8日でよかった(^^♪

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年、『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。著書に『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』『南の子供が夜いくところ』『竜が最後に帰る場所』『金色の獣、彼方へ』『南の子供が夜いくところ 』『スタープレイヤー』『ヘヴンメイカー』などがある。

「2019年 『白昼夢の森の少女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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