きみが見つける物語 十代のための新名作 オトナの話編 (角川文庫)
- KADOKAWA (2010年3月25日発売)
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感想 : 36件
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784043894093
作品紹介・あらすじ
大人になったきみの姿がきっとみつかる、がんばる大人の物語。読者と選んだ好評アンソロジーシリーズ。オトナの話編には、大崎善生、奥田英朗、原田宗典、森絵都、山本文緒の傑作短編を収録。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
多様な視点から「オトナ」の姿を描く短編が集められた本作は、仕事を軸にした物語が織りなす深い感動を提供します。大人の男性像を静かに描いた作品や、営業職での奮闘を通じて自己肯定感を探る女性の物語など、さま...
感想・レビュー・書評
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例によって
「十代からはるかに遠ざかってるけど、ごめんなさい!」
とつぶやきつつ、また買ってしまったこのシリーズ。
十代から見た「オトナ」ということで、
やはり仕事を軸にした作品で纏められているのですが。。。
最初の作品に、バリバリ仕事をしている大人ではなく
雑誌の新鮮さを保つために、就任したときから覚悟を決め
10年勤めた将棋雑誌の編集長の椅子を
自ら降りた男性の物語『ケンジントンに捧げる花束』を
持ってくるあたり、さすがのセンスです♪
遠いイギリスで、亡くなる直前まで、唯一日本に繋がるものとして
彼が作っていた雑誌を心待ちにしていた老人の足跡を辿ることで
自ら期限を決めた10年が報われたと感謝し、老人の墓に捧げる花束。
雨に煙るロンドンの風景と共に、
静かで自信に満ちた「大人の男性像」が深く心に刻まれる作品です。
この物語の後に、一転して、
希望部署に配属されて張り切り、「がんばってる自分」を肯定しすぎて
空回りしてしまう女性営業職を描いた『話を聞かせて』
仕事をしながら通い始めた大学の二部で、謎の代筆屋によって
否定し封じ込めてきた文学への愛情の根深さに気付かされ、
まさに目からウロコの心境で、
仕事と勉強に取り組むエネルギーを取り戻す『守護者』
新人時代のキラキラした高揚感と、そこに初めて立ち塞がった
ラグジュアリーなベンツ(?!)という形をとった試練を
テンポよく楽しげに描いた『アシスタントというお仕事』
シングルマザーという境遇に甘んじることなく
仕事も子育ても妥協せずにやり遂げる!と意気込んでいた孝子が
気遣ってくれる同僚達の配慮を素直に受け入れ
肩の力を抜いてやわらかい視点でこれからを見つめ始める
『ワーキング・マザー』
と、性別、仕事、目標と、さまざまな角度から
「オトナ」を感じさせてくれる作品が並べられていて
十代も、( )十代も、楽しめる1冊になっています。
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どれも良い話だった。
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未感想
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主人公が大人なのが小学生には共感難しいかもしれないが、どの話も良かった。
「ケンジントンに捧げる花束」大崎善生
将棋の編集長していた主人公が10年で辞めてイギリスのある人物の奥さんに会いに行く。家人との合意もうやむやでの渡航だったが、その日本人の生き様により、自分を見つめ直す
「話を聞かせて」山本文緒
営業で行く酒屋のオヤジとどうしても一人上手く行かない。前向きに頑張って壁を突き破る様。
「守護神」森絵都
働きながら夜学に通っている裕介。レポート間に合わず伝説の代筆家を探しに行くが、まずそこで噂がたくさんあって見つけるとこも面白いのと、レポートを頼むエピソードも盛り込みある。タイトルにもネタが一つ盛られてる。
「アシスタントというお仕事」原田宗典
変人有能者がたくさんいるようなデザイン系事務で働いてるハラダ青年の楽しい仕事模様。
「ワーキング・マザー」奥田秀朗
シングルマザーで小一息子いる孝子は営業に復帰、周りの気遣いを、感じながら問題にも立ち向かいながら、爽やかに頑張る様子。 -
大人の世界の普通にありそうな仕事の話満載、
仕事に生きる大人の世界、いいものです。 -
学生の頃読んだらどう感じただろう。
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4年ぶりに再読したのですが、前回読んだ時に何とも思わなかった「ケンジントンに捧げる花束」で泣きました…。年をとると、また感じ方が変わるものだなと思いました。
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『きみが見つける物語』シリーズに新鮮な「オトナ」をテーマにした内容が集結した。この本には、悩める大人たちが それでも明日をがんばって 歩いて行こう──と、それぞれの主人公が、頑張るための糧を見出だしていることに感心できる。
◇大崎善生の『ケンジントンに捧げる花束』は、雑誌「将棋ファン」の編集長だった主人公が、あるイギリスで亡くなった日本人男性の墓参りに旅立つお話。現地にて。亡くなった夫の話をするイギリス人の妻。彼女の話を聞き終えたあとの、うまくいっていなかった彼女に対する想いが強まる主人公。この物語に登場した彼らは、愛の素晴らしさや 生きている上での楽しみや 喜びの大切さを 思い出させてくれたのだ。
◇山本文緒の『話を聞かせて』。これには驚いた。僅か16頁で、生きている内でとても重要なことを教えてくれた。営業を頑張る女性が主人公。自信はあるのに、とあるお店の親父だけ主人公を嫌った。彼氏に愚痴を零し励ましてもらい、やり方を変えてみた主人公。すると、思いがけないことになり……。僕が感動したことは、その後の主人公の今まで見えてなかった部分に気づいたことである。自分語りや愚痴は、誰でも零したくなるものだ。しかし、本当に大事なことは、ひとに「話を聞いてもらう」という以上に「その人の話を聞こうという気持ち」だったのだ。たったそれだけの気配りで、世界は一変するのだと思えた。
◇その他、名作が三部収録されている。森絵都の『守護神』では、多忙な社会人兼大学生である主人公が 秀才な社会人兼大学生の女性に悩みを打ち明ける物語。 原田宗典の『アシスタントというお仕事』は、この作品集の中でほっこりさせてくれる存在だ。 そして最後に奥田英朗の『ワーキング・マザー』は、仕事と子育ての両立を頑張るシングルマザーのお話。
この小さな本は、僕たちが生きて行く中で大事で大きな糧となる存在(それは人であったり物であったり)が、必ず自分のすぐ近くにあるのだということを 教えてくれるのだ。 -
高校の図書館で。
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いい話ばかり。ワーキングマザーのはなしはいかにも頑張る大人・・・と思うのは大人だからか。
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あまり普段は短編集は読まないのですが、山本文緒さんが好きなので手にしました。総じて、楽しめました。
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・大崎善生「ケンジントンに捧げる花束」
しんみり感動した。
・山本文緒「話を聞かせて」
前に読んだことあり。
・森絵都「守護神」
森さんの話は惹き込まれる(読みやすい)のが多い。
・原田宗典「アシスタントとういお仕事」
ベンツの運転はそりゃ嫌だろうなぁ・・;
私なら絶対無理。
・奥田英朗「ワーキング・マザー」 -
社会で生きていく人々の日常。
確かにありそうな話が共感。 -
奥田さんの作品が個人的に一番好き。
終わりのさらっと爽やかに終わる感じがよかったかな。 -
これもついに9シリーズ目ですね
★★★ -
「ケンジントンに花束を/大崎善生」
初・大崎善生作品。
戦時下の描写は、キツかった。
それが現実だったんだ、と言われても、痛くて辛いものを読むのはしんどいもの。
でも全体的には、さらりとした印象。
「話を聞かせて/山本文緒」
人の話を聞くのは大切だな、っていうこと。
私もともすれば自分の話をしがちだからなぁ…
気をつけよう、うん。
「守護神/森絵都」
あらら、最後にこんなどんでん返し?(笑
やっぱりこの人の作品、好きだな。
「アシスタントというお仕事/原田宗典」
あわあわ、せかせかした、若さ(幼さ?)があふれる文章。
アシスタントは大変、でも楽しいよ!って言ってる気がする。
「ワーキング・マザー/奥田英朗」
肩肘張りすぎて、痛々しいな。
頑張りすぎなくていいのにね。
周囲にもっと、助けを求めていいんだよ。 -
■ 1156.
<読破期間>
H23/6/15~H23/6/15 -
森絵都さん以外読んだことのない作家さんでしたが、どれも面白い作品ばかりでした!普段図書館に行っても、なかなか新しい作家さんの本に手を出せなかったりするので、新たな作家さんとの出会いに最適だなぁと思いました。他のシリーズも読んでみようと思います。
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“「へええ。そんな事情があったのかあ」
恋人は私の話を聞いて、感心した声を出した。
「そうなのよ。まだまだ私、修行が足りないみたい」
彼はにこりと笑ってサワーに口をつける。
「じゃあもう、転職なんて考えてないんだろう」
「もちろん。ねえ、それより最近どう?仕事は大変?」
私は隣に座る恋人にそう聞いた。彼は少し驚いた顔で私を見る。
「今日は何か変わったことあった?」
長く隣に座っていた彼に、私はそう質問したことが今まであっただろうか。自分のことばかり喋っていて、彼の話を聞こうとしたことがあっただろうか。
「うん。最近上司が変わってね。その人大阪から来た人なんだけど」
私はカウンターに肘をついて、彼の横顔を眺めた。
気がついてよかった。気がつかなければ、私はもしかして一番大切な人を失っていたかもしれない。
酔いでぼんやりした頭に、恋人の声が心地よく響く。
プロポーズは私からしようと、その晩私は決心した。”
「ケンジントンに捧げる花束」 大崎善生 「九月の四分の一」所収
「話を聞かせて」 山本文緒 「絶対泣かない」所収
「守護神」 森絵都 「風に舞いあがるビニールシート」所収
「アシスタントというお仕事」 原田宗典 「新人だった!」所収
「ワーキング・マザー」 奥田英朗 「ガール」所収
どれも良かった。
展開的には「守護神」が一番。
“「おかあさん、何を考えているの?」潜水艦のオモチャで遊んでいた祐平が言った。
「べつに。何も考えてないけど」
「今度のホゴシャサンカン日、来れる?」
「もちろん。行くわよ」笑顔を作って答えた。祐平の、最初の授業参観だ。
今は「父兄参観」ではなく「保護者参観」という。祐平が小学校に上がって始めて知った。「父兄」は差別語なのだそうだ。
気の回し過ぎだ、言葉狩りだ、と人は思うかもしれないが、母子家庭の孝子には結構ありがたかった。弱い側はささいなことで傷つく。弱者救済を声高に叫ぶつもりはなくても、気づいてくれるとうれしい。デリカシーとは、小さなやさしさのことだ。”
著者プロフィール
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