瑠璃の雫 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.51
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本棚登録 : 770
レビュー : 82
  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043897032

作品紹介・あらすじ

深い喪失感を抱える少女・美緒。謎めいた過去を持つ老人・丈太郎。世代を超えた二人は互いに何かを見いだそうとした……家族とは何か。赦しとは何か。感涙必至のミステリ巨編。

感想・レビュー・書評

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  • 3部作からなるミステリー。

    今日今現在、伊岡瞬作品でコレイチと言えるほど読み応えのある作品だった。

    誰かに傷つけられたとき、苦しめられたとき、怒と哀を抱く中で、相手を【許す】ことの難しさ、大切さを教えられ、しっかりと私の感情を揺さぶってくれた名作であった。

  • 第一部は母と弟の充と三人で暮らす、小学校6年生の杉原美緒目線。
    母はアルコール依存で、何度も入退院を繰り返していた。
    美緒には充以外にもう一人弟が居たが、乳幼児の時に死亡している。
    弟の充が誤って死亡させてしまったと、幼い記憶に刷り込まれていた。

    母が何度目かのアルコール依存症で入院した時、
    母の従妹である薫に美緒と充は引き取られる。
    そこで、元検事の永瀬丈太郎という初老の人物と出会う。
    この出会いが、美緒の心に火を灯す。


    第二部は永瀬丈太郎目線。
    永瀬は長野県勤務の時、ひとり娘を誘拐され、大きな傷を抱えていた。
    その時間軸で物語は語られる。
    検事は転勤があるが、永瀬の妻はひとり娘の誘拐から気持ちが塞ぎ、長野県に一人残ることになった。
    妻は画家である竹本多美雄という人物に出会い、少しずつ心を取り戻していった。

    永瀬も過去の事件を引きずったままだったが、もう一度長野へ飛び、事件について調査する。


    第三部は時間軸が進み、社会人になった美緒目線。
    丈太郎は火事に巻き込まれ瀕死の状態だった。

    美緒は丈太郎との過去を回想し、真実を追及する。



    このところ、伊岡先生の本には大嵌り♪
    ハズレが無い!
    この本も未来屋書店さんに、装丁を表にして、大量に積まれていた。
    私を伊岡さんに初めて出会わせてくれたのも、未来屋書店さんだったなぁ~と、期待大で読み始めた。


    一部は、何だろうなぁ~?
    この先どうなるのかなぁ~?
    ちょっと不安な(面白くないような予感www)がしたのだが、
    読み進めるとどんどん物語に嵌っていく。
    美緒の人となりが何となく好みではなかったので、一部はちょっと苦痛に感じられた。

    二部は、丈太郎目線。丈太郎の人となりは超好み。
    目が離せなくなり、後半は一気読み。

    そこからの第三部。
    後半は畳みかけて真実が明らかになってくる。
    丈太郎の過去の事件、そして現在の美緒。

    ワクワクドキドキ感、面白かった~。
    さすが伊岡先生。やっぱりハズレ無し♪

  • 伊岡瞬『瑠璃の雫』角川文庫。

    古本屋で偶然見付けた伊岡瞬の初期作品。三部構成のミステリー。『代償』や『痣』のレベルではないが、なかなか読ませる。但し、後味は悪い。

    冒頭からやりきれない雰囲気の中でストーリーが展開する。人間というのは産まれた時から大小様々な業を背負って生きているのかも知れない。同時に進行する2つのミステリー……どちらにも救いは無く……哀しみだけが……

    父親が家族を捨てて失踪して以来、母親と小学3年生の弟、充と3人で暮らす小学6年生の杉原美緒。母親が何度目かのアルコール依存症で入院して、叔母の薫に引き取られると、次第に追い詰められて行く美緒は頑なに心を閉ざし、行き場の無い怒りを弟の充に向ける。そんな充には赤ん坊の弟、穣を謝って殺した過去が……

    そんな中、薫の知人である元検事の永瀬丈太郎と知り合った美緒は少しずつ心を開いていく。そして、永瀬の娘、瑠璃は過去に叔母の薫の目の前で何者かに誘拐されており、以来、永瀬は心に大きな傷を負っていた。数年後、社会人になった美緒は瑠璃の誘拐事件について調べ始めるのだが……

    『七月のクリスマスカード』を改題。

    本体価格781円(古本515円)
    ★★★★

  • 通販サイトのレビューでは酷評もある様ですが、私は大いに引き込まれ、夢中になり、感動しました。第一部だけでも圧倒され、すごい小説だと思います。ほぼ終盤までずっと、あまりに不幸が多すぎて胸が苦しく、それでも読むことを止められませんでした。最終盤、過去の全てが明らかになった後がクライマックス。彼が隣の部屋から出て来て、それまで堪えて来た思いが爆発、涙が溢れました。私にとって素晴らしい小説でした。姉弟のこれからの幸せを祈ります。

  • 本屋さんで特集されていたことをきっかけに伊岡さん作品を始めて読みました。
    他の作品も読みたいと思いました。

    第一部は、身を切るような痛みと重苦しさでとても辛かったです。
    救われてほしいと切望していました。
    美緒をとりまく環境が苦しくて苦しくて。
    そのなかでも特に充への言動に恨みと愛情が混じりあい、いきかっている様子に、大人でも抱えきれないだろう感情を彼女が抱えていることがとても苦しかった。
    第三部で当時の言動の意味を知るに至って、そういうことだったのかとまた悲しくなりました。
    抱えなくてもいいものをたくさん抱えさせられていたんだなと改めて。
    (物語中を前後しますが)だから、永瀬氏の美緒への手紙の一文が目に入って堪らなくなりました。
    二人が出会った当時の美緒は、まだ絶望の只中だっただろうと思うけれど、永瀬氏の言葉で過去にも光が当たったような気持ちになりました。
    『私は、人生の終盤において美緒さんという光明に邂逅できたことを喜びます。』
    あと、美緒がダムの職員さんやタクシーの運転手さんに謝罪とお礼を素直に伝えていることがとても嬉しかったです。
    自分を傷つけるばかりが大人じゃないことを美緒が知っているということだと思えたから。
    永瀬氏と出会ったこと、一緒に過ごした時間が彼女にとってとてもかけがえのないものだったんだなあと思います。
    もちろん薫さんの存在も。薫さんもすごい人だなあ…と思います。
    もうひとつ、自分に誰かの面影を重ねられるのは少し悲しい。
    クリスマスカードは出会って一年だったからそのメッセージには、永瀬氏が美緒に(瑠璃に)許されたかったのかもしれないし、美緒の罪を美緒が許してほしいと願ったからなのかもしれないし、色んな意味合いがありそうだなあと想像します。
    それでも永瀬氏が美緒に付き添いをお願いしたのは、”美緒”を悲しませたくないからだろうな。

    それぞれの人が罪を負い、それに付随する苦しみを抱えながら、それぞれのやり方で生きているお話だと思いました。

  • 伊岡瞬さんにハマってしまいそうだ。
    虐待、誘拐、殺人、暴力、いじめ、殺意。
    事実だけ見るとつらくなる内容なのに、そこに伊岡さんが薄く暖かい布をふんわりとかけている。
    最後は何故かやさしい気持ちが残る。
    また他の本も読みたい。

    「過去を引きずり続けることは何も生産しないばかりでなく、新たな悲劇を次々に産み続ける。」

  • まともな人が薫さんしかいない、と思った。
    娘誘拐されて殺されて、アンタそれで「許す」ってどういうこと??
    どの人も感情が読めない、というか理解できなくて困惑。
    ただただ、薫さんがめちゃくちゃいい人でよかったね、という感じ。

  • いつもの伊岡先生の様にサクサクっと先に進めることが出来なかった。
    でも、点が繋がって来てからは一気に読めた。

  • 2021.05.30. 読了。
    第一部は話が暗く重たかった。二部中頃からペースがあがり最後は伊岡作品らしくのめり込んで見読めました。

    伏線回収は見事!けど何となく他の作品に比べると、読み終わった後の余韻というのかな、なんか残る物がないと感じた。

    救われたのか?救いのない物語なのか?よくわからなくなりました。うーむ。

  • 人の息吹を感じる
    会いたくなる
    いつもながら魅力ある登場人物

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著者プロフィール

伊岡瞬

一九六〇年、東京都生まれ。二〇〇五年に『いつか、虹の向こうへ』(「約束」を改題)で第二五回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をW受賞し、作家デビューした。代表作の『代償』四十万部を超える、『悪寒』は二十万部を超えるベストセラーとなった。近著に『不審者』がある。

「2020年 『冷たい檻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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