海の底 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2009年4月25日発売)
4.14
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  • 本 ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043898022

作品紹介・あらすじ

四月。桜祭りでわく米軍横須賀基地を赤い巨大な甲殻類が襲った! 次々と人が食われる中、潜水艦へ逃げ込んだ自衛官と少年少女の運命は!? ジャンルの垣根を飛び越えたスーパーエンタテインメント!

感想・レビュー・書評

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  • 自衛隊三部作の第三弾!
    三部作の中では一番好きな物語。
    本作は海上自衛隊ですね。

    またまた設定がすごい。
    米軍横須賀基地に突如現れた巨大ザリガニ?エビ?の大群。レガリス。人を食べる怪獣です。
    そてにどう対峙するかの物語。

    子供たち15人と一緒に潜水艦内に避難した夏木と冬原。
    救出までの艦内の生活では、子供たちのいびつな関係とその子供たちの子守りをする二人の姿が描かれます。
    この二人、よく我慢できるな(笑)
    自分なら無理!!!

    そして、レガリスと戦うことになる機動隊と自衛隊。
    機動隊と自衛隊の関係がこれまた厳しい。
    無力な機動隊に対して、自衛隊の出動がもどかしい。
    これ、有事の際に自衛隊を出動してもらうには本当に大変なことになるのでは?と思います。
    日本政府にはしっかりしてもらいたい。
    この地政学的なリスクを抱えている日本で、しっかり・そして速やかに自衛隊に防衛出動が出せる様にしてほしい。

    さらに、閉鎖された空間での子供たちの関係。
    結果、子供たちの成長にもつながった物語と思います。

    最後は、ラブコメタッチでほんわかです。
    エンターテイメントストーリとして楽しめました。

    三部作だけど、なんの関連性もないので、どれから読んでもよいと思います。

    お勧め!

  • 自衛隊三部作 第3弾!

    「エビラ」や!「エビラ」!それの小さいヤツ!
    (昔のゴジラシリーズ「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」とかに登場!古い〜!(^^;;)
    なんぼ国民守る為とは言え、そんなヤツら、警察ではムリやろ!
    何か、まだ、根性論が蔓延してそうな感じの組織。警察とか、自衛隊とかの縄張り意識とか、埃とかを捨てて〜〜!
    決断力のない政府(何かマジな気もする)もなぁ〜!
    結局、お尻叩かれて、やっと…

    有事の人材は、平時はいびつ。
    そういうのを育てんとあかん訳やね。
    おった!
    警察にも、自衛隊にも、そんないびつなヤツらが!
    動かん組織を分かった上で、何とか色々と画策。やっとや〜
    今回は、自衛隊よりも、警察の曲者の方が活躍したな。

    最近、ロシアの辺がヤバそうなんで、こういう人材の活躍が必要にならない事を祈ってはいるけど、やはり、いざという時に必要なんやな。
    過去の英雄と言われる人らも、それは、群雄割拠の時代だからこそ!平時では、ただの変人とかかもしれん。
    怪獣はないと思うけど、な〜んか怪しい世の中…
    守って下さい〜
    よろしくお願いしますm(_ _)m

  • ☆3.5

  • 自衛隊の三部作の一つ。読む前、私の頭の中は、潜水艦という言葉につられて、ビートルズのイエローサブマリンの音楽が旋回していた。

    読もうと思った理由は「クジラの彼」で登場した冬原と夏木が登場しているから。潜水艦での生活と、ふたりの出会いなどが記載されているかと思いきや、アメリカ版GODZILLAならぬ巨大レガリス(赤ザリガニのような甲殻類)の大群が食料を探し上陸、襲撃してくるというSF怪獣小説。「クジラの彼」と全く異にするカテゴリーのものではあったが、有り得ないこの作品をの中に引きずり込まれてしまった。

    本作は冬原と夏木がまだ、実習幹部で入隊したての若かりし頃のお話し。「クジラの彼」で、彼らの未来に起こる恋愛を知っているだけに、食べられることはないとわかっている、微かな安心感を持ち、それでもふたりのの母のように生還を願う。

    巨大甲殻類の大群に人間が食べられているなんて、あり得ないストーリーとわかりながらも、GODZILLAを観た時のような感覚に制覇される。巨大生物の前のちっぽけな人間、食べられるという恐怖、阻止する警察の焦り、征服されるかもしれないという不安、潜水艦に閉じ込められた少年たちの運命はいかに!と映画さながらの臨場感があった。そして、そんなストーリーに森生兄弟の生い立ちと森生弟の奇跡、高校生・森生姉の夏木への淡い想い、生意気な中3・圭介の成長などのドラマも加えられている。

    レガリスから逃げる子供たちを「きりしお」に避難させる夏木、冬原であったが、レガリスの速さについていけず、子供たちを救援していた艦長は肘から切断された腕を残し、レガリスに食べられてしまう。

    尊敬する上司の死を悲しむ余裕もなく、艦内に閉じ込められた子供たちの面倒を冬原と夏木が見ることになる。子供たちの幼さが目立って、なんとふたりが大人に見えることか。確かに夏木は口言葉が荒く、すぐに手が出る方だが、生意気な子供たちを相手にこらえながら世話をする。また、冬原は終始冷静に子供たちの世話をする。そんなふたりの誠実さな言葉、対応に心を開いていく子供たちがいる。「間違ってることまで圭介の肩持たなきゃ仲間外れにされるなんて友達じゃないだろう。オレは圭介より夏木さんのほうが筋が通っていると思うから夏木さんに味方するだけ」と変わっていった中学3年生は吉田茂久。

    子供たちの中に遠藤圭介という性格の歪んだ中学3年生がいる。
    とにかく性格が歪んでいて、彼が主悪の根源である。恩のある夏木、冬原に艦内で虐待されているとテレビ局に電話をしたり、森生弟・森生翔が喋れないのをいいことにガムテープでぐるぐる巻きにして閉じ込めたりと、行うことが何から何まで卑劣極まりない。にもかかわらず、圭介の母親が地域で持つ絶対的な権力と、それに便乗する圭介の力の前に、中3の高津雅之、中2の坂本達也は、排除されないように圭介にひれ伏している。

    そんな圭介が、艦内で閉じ込められている時に森生望への憧れを認める。そして、すでに望の気持ちが自分への嫌悪感しかないと解り、今までの自分の行動を振り返る。
    母親の勝手な言い分を理解し、望と敵意しかない接し方しかできないこと、夏木たちへの反発に取り返しがつかなくなるまで加速させてしまったこと、雅之を蹴って怪我をさせてしまったこと、茂久を今までバカにしていたこと、翔に酷いことをしてしまったこと、自分が間違っていることを認められないこと、自分の行動に疲れてもまだ折れることができないことが、自分が母親と同じ価値観になることで楽になろうしていたことに気がつく。

    それがこのタイミングではあったとしても気がついた圭介は元来、頭がいい。あるいはもしかしたらこれが圭介の思春期で母親への反抗として気がついたのかもしれない。

    レガリスの撃退に当初、機動隊が対応をしていた。防衛省管轄の自衛隊の出動には時間がかかった。
    本作では6日となっているが、警察省と防衛省との管轄の違いにもかかわらず迅速な出動だと記載されている。本当にもしレガリス侵略の危機に瀕したとき、6日は早いのか?と、考えると日本の各省の隔たりの改善を願わずには入れない。

    そして、自衛隊出動で形勢が一気に逆転し、撃退してしまうほど自衛隊の力はすごいのであろうか?本作では、有能かつ警察省で力がある烏丸参事官と伝説の警備 明石警部の存在があったからこのスピードのように説明されているが、実際にこのような緊急事態に陥った時、国はこのスピードで動くのだろうか、と同時に、警察と自衛隊の力のギャップは著者の想いであるのか、あるいは事実であるのかなど不安と疑問が残る。

    夏木と望の恋は、夏木の不器用さにより、民間人の「きりしお」救出をもって、失敗に終わる。
    が、「くじらの彼(有能な彼女)」で、夏木のことを望が高校生の頃から好きだったと書いていたので、「ああ、この時のことね」と、自分の理解の中において繋げてしまい、30歳を過ぎてふたりが結婚するまで、一途な恋心と不器用な性格も継続していることが、微笑ましく感じた。

     他の自衛隊2作品も読んでみたい。

  • 今回の海の底は海上自衛隊。
    今回の話も設定はやや突飛で、大型化した海老?ザリガニ?が人間を食べてしまうというもの。
    潜水艦に閉じ込められた自衛官と子供たち。
    その中での人間模様がとても面白い。
    また、警察組織と自衛隊の在り方も描かれています。
    とても面白かったので、次はもう一つの「塩の街」を読むつもりです

  • 巨大化したエビ(レガリス)の大群が突如横須賀に現れ人を襲う。
    13人の子ども達が海上自衛隊の実習幹部(夏木、冬原)とともに、潜水艦に逃げ込む。
    レガリス対策をする粋な警察幹部と自衛隊との連携、潜水艦内に閉じ込められた子ども社会の複雑な事情や唯一の女子高生である望と弟のドラマが同時に進んでいきます。
    レガリスをやっつけるというより、子ども達の変化がメインテーマで、ラストの夏木と望の関係はラブコメっぽい感じで、おもしろかったかな。

  • 家族が毎年のライフワークとしている某テーマパーク訪問の際、「上の子アトラクション行くとしたら赤子と私は待機だな……」と予感してずっと積読してたこの本を鞄にしのばせた。その時行ったのがシーの方だったので、という安易なこじつけで選択したけれど大正解だった。
    シリーズの『空の中』『塩の街』と比べて、冒頭から凄まじい脅威にさらされる。あんな大きくて凶暴なザリガニ、現実では出会いたくない……。どこかシン・ゴジラ感というか、そんなミッションに向かっていく感じが映画っぽさもあり。映像で観てみたい印象が強く残った。
    視点としては潜水艦内と対策本部と、閉じ込められた内側と外側から描かれる。外界から閉ざされ動きが制限される潜水艦の内側だけれど、感情の振り幅が大きく最後まで目が離せなかった。
    特に、夏木と冬原。魅力的でずるいよなあ……。毎度思うが、有川先生のキャラクター造形は本当にずるい。タイプの違うバディなんて。そして、その2人が直面する子どもたちも、中々にリアルで視野の狭い典型的な「子ども特有の社会」で、身に覚えがあるような苦しいような思いもした。毒親なんだろうなあ、と初手から臭っていた圭介、最後に気付きという光がさして、救いがあったのが良かったと思う。
    そしてやっぱりというか、イイ感じの中年がストライクになりがちなので、個人的に明石警部がとても大好物です。

  • 有川さんの自衛隊シリーズ3部作、読了。

    塩、空、海と続いた3部作。
    各々、陸、空、海の自衛隊を舞台に話は進みます。
    読み終わると、自衛隊や警察関係のお仕事をされている方々には感謝してもしきれない思いになります。
    ちなみに3部作ですが、話は繋がってないので、
    どの本から読んでも大丈夫です!

    「海の底」は、これまた特殊な一冊でした!
    特撮映画の原作を読んでいる感覚に陥る、非現実的かつ非日常的な物語のベースの中に、
    現実的な問題、
    警察と自衛隊の管轄、仕事、役割の違いや、
    生きるため、集団で生き抜くためのルール、
    子ども達の生活環境による性格や問題などがたくさん織り交ぜられ、しっかりめな一冊ながら、あっという間に読了しました。

    森生姉弟、圭介くん、茂久くんはじめ、団地に暮らす子ども達。
    有川さんの本では、家庭が、親が
    子どもに与える影響をブレずに書かれていると
    メッセージのように感じます。

    思春期世代、反抗期世代になる前に
    親の育て方により、心の歪みを正せぬままだった圭介くん。
    気づけた、気づいていたけど、素直になれなかった葛藤。
    だけど、有川さんが作中で、
    数年後の圭介くんの成長した姿を描いてくれたこと。
    私はとても嬉しかったです。
    圭介くんのしてきたことは戻らないし、消えないけど、人はやり直せることを、
    この本を通じて、この本を読む子ども達が心に留めてくれたらいいなぁ。

    それにしても、夏木さんですよ。笑
    「塩の街」の秋庭さん然り、
    優しくも不器用な男性が有川さんはお好きなのかなぁ。と感じてしまう。。。
    最後の2人の「初めまして」も素敵!
    個人的には、冬原さんの振る舞いも好きです。
    ライバルでありながら、最も信頼できる仲間。
    素敵な関係です。
    そんな人々の成長と変わらぬ気持ちにも注目です!

  • 「クジラの彼」を先に読んでしまったから、どうしても冬原さんが気になり、図書館でも500件以上の予約のために購入。
    【余談だが、買った次の日に図書館からの予約到着メールが…(+o+)】

    舞台は、桜祭りでにぎわう横須賀の米軍基地。そして、海自。
    そのようなときに、赤い巨大な甲殻類が襲った! 次々と人が食われる中、潜水艦へ逃げ込んだ自衛官と少年少女の運命は!?

    簡単に言うと、15少年漂流記に似てる?
    地上と潜水艦内で行われる事件。

    とにかく、この作品は面白い。
    地上での警察や軍事マニアの討論や、潜水艦内での少年少女がたくましく生きていく。でも、ヒロインの望が高校生!その年齢設定には驚きましたが、それがまたいい♪

    奮闘する海自の自衛官の青春・恋が素敵ですね。

    ※追記
    この後に、自衛隊三部作「塩の街」「空の中」「海の底」文庫版を一気に購入。
    ・・・後悔などしていません!!だって、面白いし素敵な人ばかりだもの♪


    別れのシーンの夏木さんと望ちゃんが大人過ぎて少し切なかった。

    「私のことは忘れてください。」←(うる覚えです(*_*;)


    有川さんが書く人間ってどのような立場に立たされてもそこで懸命に生きていく姿が本当に好きです。
    だから、はまってしまったのかも・・・。

    • しをん。さん
      カタクリさん
      ありがとうございます(●^o^●)
      ロード&ゴーお読みになられましたか!
      中々、スリル満点で面白かったと思いますが。
      ...
      カタクリさん
      ありがとうございます(●^o^●)
      ロード&ゴーお読みになられましたか!
      中々、スリル満点で面白かったと思いますが。
      「一瞬の風になれ」や「ランナー」は実は読んだことあるのですが、自分に合わないと思い途中で放棄してしまいまして…。
      また、機会があれば読んでみたいと思います♪

      ありがとうございました(^^♪
      2012/11/03
    • honno-遊民さん
      紫苑さんお勧め「海の底」読みましたよっ!SF的パニック仕立サスペンス小説、単純に面白いし、自衛隊の問題点も浮かび上がらせる社会派の面もあり一...
      紫苑さんお勧め「海の底」読みましたよっ!SF的パニック仕立サスペンス小説、単純に面白いし、自衛隊の問題点も浮かび上がらせる社会派の面もあり一流のエンターテイメントですね。
      2012/12/20
    • しをん。さん
      hongoh-遊民さん
      お読みになられましたか!!
      hongoh-遊民さんの元に、「海の底」がいらっしゃってよかったです♪

      面白いですよね...
      hongoh-遊民さん
      お読みになられましたか!!
      hongoh-遊民さんの元に、「海の底」がいらっしゃってよかったです♪

      面白いですよねヽ(^o^)丿
      夏木さんと望ちゃんの恋のお話もそうですし、
      自衛官の役割、かっこよさもにじみでて惚れ惚れしました(*^_^*)

      あ!
      余談ですが、「クジラの彼」という本にも、
      冬原・夏木と望が出ているので、そちらも読まれては・・・?
      続きみたいなので、ベタ甘で切なかったですが(゜゜)~
      2012/12/20
  • 自衛隊三部作読了〜!
    これからクジラの彼を再読します!
    私は断然冬原派ですな笑笑

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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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