塩の街 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043898039

作品紹介・あらすじ

塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女、秋庭と真奈。世界の片隅で生きる2人の前には、様々な人が現れ、消えていく。だが-「世界とか、救ってみたくない?」。ある日、そそのかすように囁く者が運命を連れてやってくる。『空の中』『海の底』と並ぶ3部作の第1作にして、有川浩のデビュー作!番外編も完全収録。

感想・レビュー・書評

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  • ついに自衛隊三部作を読み終えた。
    買ってからどれだけ経ったのかと振り返ると気が遠くなる。
    買う本、借りる本、もらう本を合わせたものに
    読むスピードは当然追いつかない。

    有川さんらしく、とてもよかった。
    満足して読み終えた。
    けれど思う。
    もしもこの作品をはじめて読んだとしたら
    次の作品を待ち遠しく思っただろうか。
    もちろん今の気持ちは何冊もの有川作品を読了しているからあるもので
    その気持ちとおなじものはデビュー作一冊読了後には生まれはしない。

    わたしは自分にとってとてもいい順番で有川作品を読んでいった気がする。


    塩害がリアルに肌で感じられた。
    こんな風景が気が遠くなるほど遠くない日に
    やってくるのではないのかと思った。
    (塩害はさておき)
    まっすぐな気持ちの女の子とぶれない芯の強い男の人。
    そんなふたりのような人が増えるといい。
    わたしもそうありたいと思いながら、願う。

  • この作者にかかったら、ありがちなストーリーでも何故かチープな話にならない不思議さがある。言葉の選び方、文章の組み立てなど非常に繊細で好きな作者です。

  • 有川浩さんのデビュー作。
    夢中で読んだ。

    空から飛来した塩の巨大な結晶。
    それが来てから人は塩の柱になって死んでいく。

    無秩序なゴーストタウンになった東京で
    身寄りを亡くした高校生、真奈と自衛官の秋庭が
    ともに暮らしていた。

    恋。

    ただそのひとつに命を賭けて、二人は生き残ろうと
    するのだが…。

    というお話。

    で…もう。読んでいて胸が痛くて。
    限界値のある世界でないと、何故人は素直に
    なれないのか。

    私の愛している人が、塩の柱になると
    言われたら。どんなに貶められても
    どんなに困難でも、そのひとといる。

    きっと相手は私と同じには、してくれないと
    解っていても。きっと私は。

    だからこのお話は…。

    ほんとうの最愛だからこそ、成り立ったお話。

    素晴らしい恋物語だけど、同時にすごく優れた
    パニック小説、サバイバルSFでもあって。

    入江という秋庭の友人が、悪辣だけど
    すごく良かった。塩害という事態をどうする?

    という事や、起きた事態に対して架空の中での
    リアリティをしっかり持たせてくれたので。

    明日も知れない中で、どの人物も
    ああ、こういうことあるなと思わせるのがいいし
    やはり組織の中での作戦遂行というものを
    この人が書くとうまい。

    有川浩はこうじゃなきゃ!って思う作品だった。

    ちなみに、電撃文庫や角川の単行本より
    角川文庫をお読みになるのが、今からなら
    いいと思う。

    後日譚などもちゃんと収めてあるし
    これが完成版のよう。

  • 人々が少しずつ、狂気に踏み入っていくなか、かろうじて、正気に留まろうとするのは、大切な人の為…
    でも、その境界を越えてしまったのも、やはり大切な人がいたから…
    そんな、足下があやふやになってしまった世界でも、大切な人についていきたいっていう、健気なラブが溢れてるお話です。

    なんとなく、新井素子さんの『ひとめあなたに…』を思い出したのはアタシだけかな?

  • よくよく自分の本棚を眺めてみたら、コテコテの恋愛ものって読んだ事がなかったな、と思った。

    このコテコテ感は好きだ。泣けた。秋庭さん好きだ。
    ウキウキした。ドキドキした。ニヤニヤした。グフグフした。
    電車の中で完全にイカレタ人だった。
    入江が若干お気に入り。

    世界が終る瞬間まで、人々は恋をしていた。

    美しい。

  • 初めて見る敵です。まさか塩とは。しかも強い!そんな中での有川恋愛節炸裂です。敵は塩だけど、甘いお話に仕上がっています。ライトノベルといいながら、角川文庫版の方が一般寄りの作品に調整されていて、大人および一般人には読みやすいと思われます。。自衛隊3部作の1つ。

  • いつ読んだか忘れたくらいの再読。

    デビュー作ということを思うと、やっぱりオソロシイ。
    少し大人になった自分が再び読んでも、ふわふわ出来る。
    若くないからこそ、文章の端々から感じる、作家の「感じて欲しい意思」みたいなものが、甘酸っぱさを含んでスゴク伝わってくる。
    だから、いつまでも好きなんだろうと思う。


    自分の関わった人さえ不幸にならなければそれでいい。
    自分の見る部分さえ綺麗ならそれで。
    知らないところにどれほど汚く、醜く、残酷な部分があったとしても、それを直視することがなければ知らなかったことに対して穏やかでいられる。

    世界が美しいなんて嘘を信じたままで。

    -P184-

    この容赦のない入江という登場人物が大好きだ。
    理不尽で耳を塞ぎたくなるセリフを言い続ける入江という人を書いている、そんな有川さんを想像するだけで、もうそれだけで楽しくなってくる。

    この塩対応するキャラのお陰で、この一冊は完成していると思った。

  • 流石、有川浩さん。
    塩害なんて(このレベルの)起こるわけ無いのに、何故か体験したことがある気がした。
    何故わたしはこんなに感動したのだろう。

    真奈ちゃんも秋庭さんも芯があってかっこいい人たちだ。環境の変化って人への影響が凄い。

    この本の何が良いって、塩害にフューチャー(確かにこんなにディテールの作り込まれた世界観も凄いが)というよりも、それに伴う人、感情がフューチャーされているところだとわたしは思う。
    だからこそ突飛な世界観でも感動したりドキドキしたりハラハラしたりできたのだと思う。
    世界観の同じ短編集を読んだような気分になれた

  • 「塩が世界を埋め尽くす塩害の時代」の話ではなく、「誰かを本気で好きになること」の話。
    誰かを本気で好きになるって素敵なことだと思った。
    どんな時代でも、どんな状況でも、誰かを好きになるという感情は永遠に人が生きている限り受け継がれて行くのだろう。

  • 登場人物がそれぞれ濃いので、読後はお話の内容よりその人物の印象の方が残る。物語の中の人間だなあと冷ややかに見てしまうことも多い中、有川さんの作品だけは、まるで実在した人物を描いているような感じがする。
    それは多分、心の中の小さな動きを、飾らない言葉で表現しているからだと思う。
    この作品に限って言えば、この未知の事態に遭遇した際の、人間の醜くて勝手できたないけど、でもそれは当然の気持ちであるということを、ありのままの言葉で表現しているところだ。
    有川さんの作品に触れるとき、わたしはお話の内容よりそこに登場する様々な人物たちとの出会いを重視する。たしかにおもしろいストーリーではあるのだけど、それ以上に、その中で一生懸命に生きている彼らと出会えたことを、いつも嬉しく感じる。
    本を閉じたあと胸に残るのは、彼らの生き様なのだ。

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著者プロフィール

有川 浩(ありかわ ひろ)
1972年高知県生まれ。PN由来として、「有川」は書店に本が並んだ時に「あ」から始まる名前として、著者五十音順で棚の最初のほうにくるから。「浩」は本名から。
2003年『塩の街 wish on my precious』で第10回電撃ゲーム小説大賞を受賞。2006年『図書館戦争』で「本の雑誌」が選ぶ2006年上半期エンターテインメントで第1位を獲得し、さらに2008年には同シリーズで第39回星雲賞日本長編作品部門を受賞。映画化もされた代表作となる。
『植物図鑑』で第1回ブクログ大賞小説部門大賞、『キケン』で第2回ブクログ大賞小説部門大賞を2年連続で受賞。2011年には『県庁おもてなし課』で「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2011」で総合1位と恋愛小説1位、第3回ブクログ大賞小説部門大賞を3年連続で受賞。2012年『空飛ぶ広報室』が「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2012」で小説部門第1位。
その他、ドラマ化作『フリーター、家を買う。』、映画化された『阪急電車』『県庁おもてなし課』『植物図鑑』などが代表作。

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