図書館危機 図書館戦争シリーズ (3) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043898077

作品紹介・あらすじ

思いもよらぬ形で憧れの"王子様"の正体を知ってしまった郁は完全にぎこちない態度。そんな中、ある人気俳優のインタビューが、図書隊そして世間を巻き込む大問題に発展。加えて、地方の美術展で最優秀作品となった"自由"をテーマにした絵画が検閲・没収の危機に。郁の所属する特殊部隊も警護作戦に参加することになったが!?表現の自由をめぐる攻防がますますヒートアップ、ついでも恋も…!?危機また危機のシリーズ第3弾。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館戦争シリーズ3作目。
    笠原郁は長身の活発な女子で、図書隊の防衛員。
    2作目の最後に、憧れの王子様がほかならぬ堂上教官だとやっと気づき‥?

    気づいたことを堂上本人に教えるわけにはいかないが、どんな顔をして会ったらいいかもわからない。
    おくての郁ならではの大混乱を楽しく描きます。
    まっすぐにではないけど、二人の間柄は少ぅしずつ近づいていくのですね。

    高校生の毬江が盗撮され、犯人探しに結集する図書隊。
    感情を表に出すことの少ない小巻の怒りはもちろんのこと。

    図書隊の昇任試験の時期が近づき、筆記が苦手な郁は大慌て。
    だが本当に危ないのは、優等生の手塚のほうだった。
    実技が「子供への読み聞かせ」という課題だったのだ。子供が苦手な手塚は柴崎に相談を持ちかける。
    情報通でクールな美人の柴崎と、真面目すぎるほどの優等生だが兄への葛藤を抱えた手塚が微妙な距離感で付き合うのが面白いですよ。

    「週間新世相」で人気俳優のムック本を出すことになったが、思いも寄らないことで暗礁に乗り上げる。
    差別用語に設定されてしまった言葉を使うと良化隊に狙い撃ちされるという難しさ。
    「床屋」が差別語とはね‥
    玄田隊長の出したアイデアは?

    地方の美術館で賞をとった作品が良化隊に没収されそうな危機に。
    特殊部隊が警護に出向するが、そこは郁の出身地。戦闘職種であることが母親にばれて、ひと騒動。これも課題の一つでしたね。ようやく母親と向き合い、これまで知らなかった事情も知ることに。

    事なかれ主義の図書館長の方針で、防衛隊は無力化されていて、一人だけ女子寮に泊まる郁は嫌がらせに遭う。防衛隊は一番下のカースト扱いだったのだ。
    戦闘もこれまで以上に大規模でリアルに描かれ、こういう理由での闘いが今さらながらショッキング。

    いくつものカップルの微妙な関係を巧みに織り込みながら、面白おかしく展開するストーリー。
    大事なことは誰かがきっぱり言うのが、小気味いい。
    骨のある内容なんですよね。
    それをいろんな味付けでぐいぐい読ませるのには、感心します。

  • “禁止用語“ってあまり深く考えた事なかったけど…。あとがきで、毱江ちゃんが地上波アニメで登場できなかった事を知って少し残念。次は最終刊。登場人物達の恋模様も楽しみ。

  • 「ちょっと背伸びをした少女マンガ」だとか「私は小説でマンガを読みたくない」だとか、このシリーズに対して悪口を言いまくっているのを反省して、今回は褒めてみようと努力してみた。

    そもそも面白くなければいくらなんでも買ってまで読みはしない。設定は「図書館戦争」のときに書いたので繰返さない。たとえそれが荒唐無稽のお話だとしても図書館が舞台の小説なんて、本好きには堪らない設定なのは間違いない。バックヤードの作業とか、レファレンスの基本とか、さりげなく出てくるのが面白いのですね。しかも、主人公たちは本の検閲から身体を張って表現の自由を守ろうとしているのだから、それだけでもう無条件に彼らに肩入れをする自分がいるわけです。

    一方彼等は特殊部隊(タスクフォース)ですから、基本的に自衛隊の日常を描いているようなものです。これも今までの小説に無かった設定です。そういう知的好奇心をくすぐるところがあるわけですね。

    今回は「言葉狩り」が大きなテーマとして出てきています。所謂「差別語」として規制されている言葉はどうして規制されているのか、という問題です。ここでは、「床屋」という言葉が差別語として入っていて、それを逆手に裁判を起こしてメディア良化委員会に一矢報いようとする展開です。

    後であとがき見てびっくりしたのは現在でも「床屋」は自主規制語に入っているということ。多くの床屋さんは自分の職業の名前に誇りを持っている人も多いと思うだが、メディアというものは一旦誰かが「自主規制」をしだしたらその内容にはかまわずに「差別語」となっていく法則があるらしい。

    恐ろしいことに、これは「いまそこにある危機」なんです。
    みんなが、大震災や原発に心奪われ、TVが菅が辞めるか否かでどたばたしているときに、6月16日知らないうちに「コンピュータ監視法」なるものが参院法務委を通過した。ジャーナリストの堤美果さんは言っている。「9.11の教訓として、国民全体がパニックに陥っているときおかしな法律が通る。」

  • 前作の内乱で笠原が堂上が王子様だと分かったから、どうなるんだろう?と思って読み進めた本作。

    そうなるのか〜!!!!! なるほど!!
    内容は詳しくは言えないけど、うん。いい。こういう関係性、見ててニヤニヤしてしまいますね。

    小牧×まりえちゃんだったり、手塚×柴崎だったり、それぞれの進展を楽しさともどかしさの両方で読み進めました。次の革命がラストということで、どうなるんだろうとワクワクしてます。(怖さもある)

    ずっと読みたいなぁ〜と思っていた図書館戦争シリーズも、もう時期読み終わってしまうと思うととても寂しい。番外編とかもあるのでまだ図書隊の物語は続くけど、今回の話では色んな「うそ!?」って思うところがあって中々に悲しい気持ちにさせられました。

    その分とっても素敵なシーンもあって、戦争、内乱よりも好きだなぁと思いました。さあ、最後の革命、ちょっと1回他の本で休憩してから読み進めてしまおう。
    ちょっと覚悟がいるのでね、寄り道します

  • 『疑わしきものは』
    『収蔵しなければいい。疑わしきものは収蔵しなければいい。疑わしきものは収蔵しなければいい』
    そうでなければ
    『私の経歴が。私の経歴が。私の経歴が』

    もう、このシーンの映像が4K並みの鮮やかさで脳裏に浮かびました。
    下らないちっぽけなプライドを貫こうとしてとんでもないことをしでかす人。
    あなたの身近にも、いませんか?
    私の身近には、ひとり、います(笑)

  • いきなり王子様に大外刈りを華麗に決め込む
    郁ちゃんの飛ばしっぷりで始まる第三巻[笑]

    じれったく甘い2人や、お互いをとっても大切にする
    小牧さんと毬江ちゃんに、でれ~っとしながら
    のんびりと読んでると、今まで以上にハードで
    ディープな問題がどんどん山積していく展開に。

    必要以上に過敏な言葉の規制によって
    知らずのうちに1つ1つこっそり刈られていく言葉たち。
    気がついたら一語一語の問題では済まない
    もっと大きな何かが刈られている。

    現実に横たわっているたくさんの問題と重なる
    テーマを含んでいて、とても重くすごく戦っている今作。

    言葉や体裁へのいきすぎた微細で過敏な対応。
    政治やテレビの巧妙な情操作。
    問題を問題として意識を持つ国民の少なさを
    上手く使ってこっそりとルールを成立・改定していく組織。

    間違った歴史・思想は正されていくべきだけれど、
    間違った方向に過敏になりすぎて、結局は
    問題点の立場が逆転しただけにすぎない結果に
    なっていることが多い今の歪みや世相に重なり
    物語に含まれたメッセージの深さ、やり過ごしては
    いけない問題を喚起させつつも、説教臭くならない
    キャラ配置の絶妙さに改めて感嘆。

    巻末の児玉清さんとの対談も、今まで以上に
    深く面白く、児玉さんの思慮深さと知識の深さ、
    人柄の素晴らしさに、図書館での稲嶺指令が
    完全に重なり涙が止まらなくなった。

    児玉さんの著書も何度も何度も読んでみよう。

  • シリーズ三作目。
    読み進めるのもここら辺でいいかなあ、ちょっと飽きてきちゃった。
    とりあえず堂上・郁カップルと手塚・柴崎カップルは幸せになってください、図書隊は頑張ってください、以上!

  • 読書記録 2023.03

    #図書館危機
    #有川ひろ

    今だとこの上官・部下の関係はありえないよなと、執筆当時との時代の変遷も感じつつも、県展の攻防戦ではやはり図書隊の皆の想いの強さに、グッと来てしまう。
    何か大切なものを守りたいとか、大切な人を想う気持ちの強さは、時代に関わらず胸に刺さるよね。
    だからこのシリーズはずっと愛され続けてるんだな。

    #図書館戦争
    #読書好きな人と繋がりたい 
    #読了

  • 電子書籍で

    泣ける

  • 人の善意での自己規制について考えさせられた。
    登場人物達の人間模様、恋愛模様にニヤニヤしつつ、政治についても無関心でいないようにしなくてはと改めて考えさせられた。

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著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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