ラス・マンチャス通信 (角川文庫)

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  • 角川書店 (2008年8月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784043905010

作品紹介・あらすじ

少年時代の終わりの日、僕は姉を犯そうとする「アレ」を撲殺した。執着と断絶を繰り返す異形の家族のサーガを既存の枠組みを踏み越え、ガルシア・マルケスにも擬えられるマジックリアリズム的手法で描く壮大な物語。

みんなの感想まとめ

異形の家族を描いた壮大な物語は、マジックリアリズムの手法を駆使し、ジャンルを超えた独特な魅力を放っています。ファンタジーやホラーの要素が織り交ぜられ、読者を飽きさせない奇矯な事象が続出します。特に印象...

感想・レビュー・書評

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  • 先だって氏の手になる新書を読み、本作は是非と思っていたもの。ファンタジー大賞受賞作ってことで気になってはいて、もともと手元にあったものを読了。乱暴にくくればファンタジーってことになるかもだけど、ジャンル不詳な雰囲気が〇。ホラーな味わいも良い塩梅。恒川や飴村あたりが脳裏をよぎりました。インパクトは、語り起こしにとどめを刺すんだけど、終始飽きさせられることのない種々の奇矯な事象もいずれ捨て難い出来。でも件の新書を紐解くと、スタンスとしては飽くまで純文学、とのこと。エンタメ感たっぷりだけど、そう言われてみれば、村上文学に通じるところもあるような気が。まあ面白ければいいので、本作はバッチリです。

  • 自分の血肉となった作品や、琴線に触れる作品を改めて選び直しています。そんな折、手にした1冊。
    「次の奴」に朧げな記憶があるだけでしたが、それも結局は森見登美彦『きつねのはなし』とゴッチャになっていたりで、ほとんど初読状態。
    でも「畳の兄」の箇所だけは、やはり鮮明に記憶に残っていました。
    次の奴から鬼やら無毛の覇者やらが出てきて、グロテスクなのに帰巣本能が刺激されてもぅ…人には奨められないけど(^^;;、ほんっと面白かった!(笑)
    小嶋さんの山荘に、間取りフリークの血が騒ぎます。
    おなじく記憶にべっちょりと残る作品、桜庭一樹『ファミリーポートレート』も購入して読み返したくなっちゃった。
    マイ本の有栖川有栖『赤い月、廃駅の上に』も。
    カフカ+マルケス…と評されているのも嬉しい♡
    平山瑞穂さん作品はコンプリートしていませんが、ダントツこれが好き!
    ダークファンタジー好きにはオススメできるであろう1冊♪

  • ある少年の不思議な生涯を記した短編集。
    としか紹介できませんw

    わけのわからない物体が出て来て、抽象的な表現、謎が謎のまま物語が進むんだけど、そこに不思議な吸引力がある。
    読みやすいし理解しやすいのに、わけがわからないという奇妙な感覚に陥りました。
    この話はどこに向かってるのだろう?みたいな。
    この不安定感はちょっと他の作品では味わえません。おすすめです!
    第一章から引き込まれること間違いなし!!

    ところで、目的買い以外でこのタイトルで手に取る人はいるのか?w

  • 仕事が忙しくなって来たのに、睡眠時間を削って読んでしまった。
    ものすごい吸引力だ。
    わけのわからないものがたくさん出てきて、私はたぶん全ては想像できていないのに、何と言えばいいのか、そこから目が離せない。
    タイトルをどこかで見かけた時にちょっと気になっていた本だったけど、こんなことならもっと早く読めば良かった。

  • 「SFだったのか!」と最後に分かるけど、拍子抜け。

  • こいつは……、久々に……、

    病んでる文章に出会ってしまった。 ←褒めてる

    特に第一章「畳の兄」のパンチ力がスゴイ。
    二章くらいまではぞわぞわが止まらない。

    終盤、主人公が成長するにつれて
    行き場のない不安感は影をひそめますが
    不気味さは根底に流れ続けます。

    ぞわわ、ぞわわ(違)

  • 文体、世界観と衝撃を受けた作品。ザ・マジックリアリズム。
    物語は「僕」の実家時代から始まって、家を出されどこかの町で仕事についたり施設に入ったりと舞台はぽんぽん変わるが、歪なおぞましい世界はどこまでも広がる。
    どこまでも救いようのない陰鬱で痛ましい世界だが、くせになってひきこまれる小説。

  • 絵面が合わなく、挫折。話の面白さを味わうまで行きませんでした。

  • 姉の体の上に息荒くのしかかる「アレ」に手を下した瞬間から、僕の人生の歯車は大きく狂い始めた。
    施設に収容され、理不尽な仕事でこき使われ、刻印された黒い染みに翻弄される、切なくも数奇な運命。
    ついに流れ着いた山荘で見た衝撃のものとは…。
    無垢な魂がさまようカフカ的幻想世界を、圧倒的なマジックリアリズムで描く異形のビルドゥングスロマン。
    第16回日本ファンタジーノベル大賞、大賞受賞作、待望の文庫化。

  • 表紙イラスト:榎本耕一

    単行本はだれ?

  • ガルシア・マルケスのようだとか言われてたけど私はチュツオーラやカフカ(城)を思い浮かべた。

    日本ファンタジーノベル大賞は本当に外れがない!

    どれもファンタジーの枠にとらわれすぎていないし、ぎりぎりの線で現実と手を結んでいるような感覚を覚えてとても好きです。

  • 2010.08.15

  • 森見登美彦氏 推薦!
    真っ黒な宝石のように美しい。─この小説は好きです。

  • 主人公の自己主張の無さや、周りの人間の悪意にいらいらしたが気づいたら最後まで読んでいた。

  • 5章まであって主人公は「僕」であるが、5つの別の話だと言われても読めそうな気がする。5つの話のどれもが底が見えなくて怖い。何がどうなっているのかがわからなくて、漫然としていてそれでいて恐ろしい結末がありそうな・・・。取り立てて読まなくてもいい気もするのにいつの間にかじっとりとしたものに巻きつかれて読み終わるまで囚われてしまうような話である。

  • 読後感は良いとは言えない。
    しかし妙にトリップ感のある独特の世界観にシビれて★5つ。

  • 日本ファンタジーノベル大賞受賞作。<br />ガルシア・マルケスを代表としてた、いわゆるマジック・リアリズムといわれるジャンルに類する作品らしい。確かにリアルなんだが夢なんだか、此岸と彼岸の合間を行き来しているような、浮き足立った物語である。<br />よって非常にあらすじが書きにくい。長編作品なのだが、ひとつひとつの章の独立性が高く、連作短編としても成立している。全体をものすごくざっくりまとめると、主人公とその家族の転落を描いたファンタジー作品である。だがこれだとものすごく誤解を招くと思われるので、一応章ごとに簡単にまとめておく。<br /><br />第一章 畳の兄<br />主人公は、父母姉兄との五人家族であるが、兄は"アレ"と呼ばれるいわゆるキチガイ。異臭を放つ"陸魚"を日夜もてあそび、家中を散らかしていくが、一家は見てみぬ振りを決め込んでいる。そんなある日、アレが性的興奮をもって姉にのしかかった瞬間、主人公は我慢の限界を超え、アレを撲殺してしまう。「我慢」は父に刷り込まれ続けた倫理であり、主人公の座右の銘となっている。<br /><br />第二章 混血劇場<br />施設(おそらく少年院)に入れられた主人公は、出所後、教室を改装して作られたレストラン、リトル・ホープで働き始める。ある日、リトル・ホープを訪れたチンピラ二人に、ウェイトレスが悪質な嫌がらせを受け、我慢ならなかった主人公は、ちょっとした口撃に出てしまう。すると、それまで黙っていた客たちが一斉に賛同し始め、気づくと狂気的な暴動状態になっていた。嫌われていた主人公はその責任を取らされ、職を失う。父の知りあいである芸術家の小嶋さんのツテで、遠方の職を紹介してもらったが、そこへ行くついでに家族でフェリーに乗って、映画を見ることになった。その映画の名は『ラス・マンチャス』。ラ・マンチャの複数形であり、身体に黒い染みが浮き出る呪われた一族の話だという。<br /><br />第三章 次の奴が棲む町<br />越してきたのは灰が降り止まない町だった。主人公の勤める「有限会社・株式会社イナガワ」は家屋の通気構からその灰を取り除く清掃業者で、従業員は社長の稲垣さんと、先輩の箕浦さんと三人しかいなかった。童貞であることが露見した主人公は、稲垣に女を紹介されるが、それは箕浦の彼女由紀子であった。稲垣は由紀子の父の弱みを握り、由紀子を良いようにしていたのだ。その事情を知りながら由紀子を抱いた主人公は、やり場のない怒りに駆られ、稲垣を叱責した後、行く当てもなく走り出す。そして辿りついたのが四つ辻の先、森の端、"次の奴"が棲む中澤家だった。次の奴は俗に言う吸血鬼だが、糸を巻きつけ、仮死状態のまま餌付けし、何十年も血液タンクとして獲物を生かしておくという。主人公は気づいた時には"次の奴"に襲われ、血を吸い取られていたが、稲垣さんの猟銃に助けられるのだった。<br /><br />第四章 鬼たちの黄昏<br />あの町から稲垣、由紀子と三人で逃げ出した主人公は、町を転々としながら稲垣の指示で投資詐欺の営業を行っていた。アパートの一室に三人で同居しているため、稲垣は主人公の真横で由紀子を貪り続け(主人公はこっそり布団の中で手淫して我慢)、由紀子は昼に主人公を罵倒しながら犯すことでその鬱屈を発散していた。そんなある日、主人公は稲垣に、小嶋さんの個展に行ってついでにその周辺で営業をしてくるよう言われる。姉のくれたネクタイを締め、一張羅で個展に向かうが、稲垣本人でないということで取りつく島もなく追い返され、主人公は不本意ながら営業に向かう。そしてその一軒目で偶然にも嫁いだと風の便りに聞いていた姉と遭遇するが、どうも姉は薄幸である。話を聞くと、前の旦那とは別れ、今の男とは結婚もしていないという。なぜならその男は、人と姿は変わらないが、人とでは繁殖のできない食人鬼で、それゆえに戸籍も国籍もないからだった。姉はその男のために、月に一度だけ子供を誘拐し、男に差し出していることを聞き、主人公は「逃げよう」と持ちかけるが、鬼の帰還を察知した姉に急かされ、鬼の顔も見ないまま逃げ帰る。<br /><br />第五章 無毛の覇者<br />由紀子を寝取っていたことが発覚した罰なのか、主人公は小嶋のアトリエに詰めるよう稲垣に命じられる。断食儀式中の小嶋は全く姿を現さず、その弟子である越智に仕事を与えられて生活することになる。その仕事とは、肥料槽の中の滋養液を毎日一回取り替えるというだけのものだった。当然暇をもてあましていた主人公は、小嶋のコレクションが並ぶ不気味な人形部屋を避けながら、図書室に通って時間を潰していた。ある夜、ふと館の一回に飾ってあった絵の少女が、幼き頃の姉であったことに気づく。越智を問い詰めると、少女時代の姉は小嶋の憧れそのものであったことを告白する。そして人形部屋に案内され、人形の一体の顔をこちらへ向けると、それはまさしく"生きた"姉であった。姉は手足をもがれ、胃腸も切除されながら、人形の身体をつけられ、チューブに流れる滋養液によって自失状態で生かされていた。すべてを理解した主人公は、我慢の余地もなく、小嶋をゴルフクラブで滅多打ちに撲殺したあと、つながったチューブを切断し、姉と一緒に逃げる決意をするのだった。<br /><br />最後の場面、主人公は車の中で姉の遺骨を抱え、小嶋の屋敷を後にする。屋敷から見える後始末の煙は、いつまでもどこまでも消えそうになかった。<br /><br />以上。<br /><br /><br />物語全体を通して、というか終盤特にだが「帰る」という言葉に重きを置いている。というのも、「帰る」べき場所、つまり家族を失ってしまっているからである。これはタイトルにもあるとおり、呪われた一族、一家の物語だからだろう。<br />とにかく幻想的でグロテスクで素敵な小説であった。パーフェクト。

  • アウトサイダー達の物語。タイトル買いだったが、予想外の面白さだった。

  • 森見登美彦先生大絶賛と書いてあったので。「アレ」としか書かれていない兄、確かにカフカ的幻想世界。オトナのようなコドモのような、ノーマルなようなアブノーマルなような。不思議、不思議。そして黒いよ、真っ黒で真っ暗。

  • 11/10/08

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著者プロフィール

平山瑞穂(ひらやま・みずほ)
小説家。1968年、東京都生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年に『ラス・マンチャス通信』(角川文庫)が第16回日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー。著作には、『忘れないと誓ったぼくがいた』(新潮文庫)、『あの日の僕らにさよなら』(新潮文庫)、『シュガーな俺』(世界文化社)、『プロトコル』(実業之日本社文庫)、『マザー』(小学館文庫)、『四月、不浄の塔の下で二人は』(中央公論新社)、『午前四時の殺意』(幻冬舎文庫)、『ドクダミと桜』(新潮文庫)、『さもなくば黙れ』(論創社)など多数。評論に『愛ゆえの反ハルキスト宣言』(皓星社)、エッセイに『エンタメ小説家の失敗学』(光文社新書)など。

「2023年 『近くて遠いままの国 極私的日韓関係史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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