もののはずみ (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.73
  • (10)
  • (27)
  • (25)
  • (1)
  • (0)
  • 本棚登録 :191
  • レビュー :25
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043908011

作品紹介・あらすじ

「もの」の「はずみ」とは、世界をひろげていくための大切な力でもあるのです-。パリの裏路地の古道具屋で出会った、作り手の顔が透けて見えるような実直な製品や、元の持ち主の生活の匂いまで感じ取れる、使いこまれたがらくたたち。パタパタ時計、木製トランク、鉛の玩具などなど。国境も時間も超えて愛されたものだけが持つ、秘めやかな物語にそっと耳を傾けた名エッセイ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 学生の頃に読んだフランシス・ポンジュの『物の味方』を想いだした。小説のように彫琢を凝らした文体ではないが、サラッとしていて、それでいてフランス風のエスプリを持った、ちょっと小粋なエッセイだ。「もの」は、あくまでも「物」であって、それ自体は生きてはいないのだが、ここでのそれらは何と生命感に溢れていることか。とりわけ2匹並んだ犬(本来は互いに無関係だったもの)のおもちゃのコンビの絶妙なこと。まさに「幼稚園の頃からの友だちみたいにたたずんで」いる。そして、ガラクタ市で売っている人たちとの掛け合いもまさにパリだ。

  • 堀江さん、初トライ本。好きだな、文章。

  • はたから見ればただのがらくたに過ぎない中途半端な物たちに惹かれる著者が、主にフランスで出会った物たちについてペンを走らせた好エッセイ。

    スライド映写機、珈琲ミル、陶製のペンギン、木製のトランク、ドアノブ、キッチンスケール、木靴、ビー玉etc.

    年代物の高価な骨董品ではなく、20年から100年くらい前の使われなくなったものたちである。

    「物心」という言葉があり著者はそれに心思いを馳せる。

    もののはずみで買ってしまったものたちは、著者と心を通わせ世界を広げるための力となっていく。

    堀江敏幸さんの文章は、小説にしてもエッセイにしても独特の静けさを持っていて大好きだ。

    芥川賞作家であり、明大教授の堀江さんは毎日多忙な生活を送ってらっしゃると思うのに、彼の描く世界はまるで時がゆっくりと再生しているようで、その静謐の中に贅沢な空間を見出す。

    劇的主題を持つわけでもなく、強烈な光を放散するでもなく、レトリックに凝るわけでもない。

    静かに時を流し、静かに独創的な世界を作り上げる。
    その白き静けさに堀江さんの文章を読んでいるとゆっくりと満たされていくのだ。

  • うまい。座布団お好きなだけ。

  • 最近要らないものを買うことを覚えました。つい目に入って衝動買いしたもの、他にも持っているけど欲しくなったもの。緊急性も機能もないけれど、ただ並べておいたり、気分で使い分けたり、それだけで幸せになれるという点では自分には必要なものです。
    堀江氏が好むのは、アンティークとするにはまだ歴史の浅い数十年から百年くらい前のもの。そのコレクションはキッチン道具から文房具、置物に家具と多岐にわたります。写真を見るだけでも楽しいし、文章から写ってない部分を想像するのも面白い。何より、ものに纏わる話に静かな興奮を覚えました。詩的な言葉を使う売り手に、堂々と「品質保証なし」と掲げるメーカー、著者が購入に至った経緯や活用法。それこそ詩的な言い回しや品のあるユーモア、偉ぶることのない表現で語られる逸話の数々に、もっと話を聞きたい、読み終わりたくないという気分になりました。
    一つのものが作られ、人の手に渡り、今ここに存在するに至るまで。その背景を感じる楽しみを教えてもらいました。

  • 物を選ぶ ということについて語るエッセイ。何を書いても堀江的世界に染まる。さらりさらりと流れる水のような感じ。

  • 同じ物欲と言っても、こだわる「もの」への思い入れが、あたりまえだけどわたしとは違う観点で、面白かった。軽いタッチのエッセイで、著者も楽しみながら書かれたんだろうなぁ、という雰囲気だけど、行間の奥深さはさすが。

  • あー、こりゃあ何度読んでもいいねー、まったく。。。(09/9/24)

  • 写真も素敵だった。
    できればカラーでみたいな、と思った。
    ───「もの」に出会って自分の生活に引き入れたら、あとはそれを育てる。
    ───「もの」を所有するのではなく、「もの」のある空間に自分を生かす。
    心に留めておきたいことばだ。

  • 作者の「もの」に対するこだわりや愛しさがおかしく少々せつない。作者の密やかな趣味をちょっとのぞいてみた、そんな雰囲気のエッセー。

全25件中 1 - 10件を表示

もののはずみ (角川文庫)のその他の作品

もののはずみ 単行本 もののはずみ 堀江敏幸

堀江敏幸の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

もののはずみ (角川文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする