螺鈿迷宮 上 (角川文庫 か 52-1)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043909018

作品紹介・あらすじ

医療界を震撼させたバチスタ・スキャンダルから1年半。東城大学の劣等医学生・天馬大吉はある日、幼なじみの記者・別宮葉子から奇妙な依頼を受けた。「碧翠院桜宮病院に潜入してほしい」。この病院は、終末医療の先端施設として注目を集めていた。だが、経営者一族には黒い噂が絶えなかったのだ。やがて、看護ボランティアとして潜入した天馬の前で、患者が次々と不自然な死を遂げた!彼らは本当に病死か、それとも…。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズものは別著者を何作か挟んでから。
    登場人物や関係性を忘れず、飽きず、シリーズものを読み込みたい私なりのルールである。

    主人公は登場大学医学部落ちこぼれ医学生、天馬大吉。なんともめでたい名前の持ち主。しかし天馬の人生はアンラッキートルネードと異名をつけられるほど不運続き。
    記者である幼馴染・別宮葉子から、碧翠院桜宮病院へボランティアと扮して潜入捜査を行なってほしいと依頼を受ける。
    桜宮病院の経営は、院長の巌雄、妻の華緒、双子の小百合とすみれの一族で行われている。
    外観からでんでん虫と称されていた同病院には黒い噂が絶えなかった。夜な夜な砂浜を歩き回るというウワサ。死体をむさぼり喰うというウワサ。雨の夜に海に向かって泣き声を上げているというウワサ。そして、でんでん虫の触覚が虹色に光るというウワサ。

    潜入した天馬は、例に漏れずアンラッキートルネードへ巻き込まれていた。骨折、打撲、切り傷、熱傷…全ての原因は看護師の姫宮。とにかく、トロいのだ。
    そうして天馬は患者という立場に変えて調査を再開することとなった。
    ここでは患者も社員として業務を行うこと、厳雄から聞く桜宮病院の歴史、薔薇の知らせが来た患者は次の日に死ぬことを知る。
    前日まで元気だった患者が、次々と死んでいくのだ。
    桜宮で死を迎えた患者には必ず解剖をするという。その後葬式を終え、火葬まで半日も経たずに行ってしまう。気味の悪い手際の良さ。おかしい。ここには何かある。

    そんな中、例の白鳥が現れる。今作では皮膚科医としてご登場だ。
    白鳥姫宮コンビ、アンバランスに見えて実は相性がいいんだろうなぁ。姫宮、見ている分には楽しいので非常に好きだが実際いたら絶えられない…

    下巻へ進む。

    今回白鳥は出てくるものの相棒・田口は出てこず、代わりに待望の氷姫・姫宮が登場する。
    個人的には田口白鳥コンビ(欲を言えば田口速水も推したい)が好きなので、バチスタシリーズだけを読むことも選択できたが桜宮市の全てを知っていたほうが絶対に面白い。
    桜宮サーガ全体としては刊行順=時系列というわけではないので、読む順番は非常に迷うシリーズなのだが今回は刊行順で進めてく。

  •  落ちこぼれ医学生・天馬大吉が、借金返済のため桜宮病院にボランティアとして潜入捜査へ乗り出す。終末期医療を行う桜宮病院だが、院長の妻から薔薇が届くと翌日には死ぬという何ともホラーな設定。末期癌患者はともかくリストカット癖の若者の死は腑に落ちない。初読時は白鳥の軽妙さとミスマッチな設定の重々しさがしっくりこずあまり好きになれなかったが、海堂節にもすっかり慣れた今ではまったく気にならない。三婆トリオが可愛らしい。

  • バチスタ・スキャンダルから1年半。主人公は東城大医学生の天馬大吉。借金返済のために終末期医療を手掛けている碧院翠桜宮病院の調査をするはめに。そんなところに皮膚科医の白鳥とかいう人物が乱入してくる。この人が現れた時点で何もないわけがない。現に東城大との全面戦争なんて危なっかしい言葉も出てきてるし。ドラマとは違う視点で描かれる螺鈿迷宮。まぁこっちがオリジナルなんだけど。下巻へ

  • 東城大学が舞台の作品の中で、度々登場する碧翠院桜宮病院が舞台です。主人公の天馬大吉君を始め、白鳥・姫宮パワーが全開です。桜宮病院をめぐる、なんとなく不可解でグレーな出来事が続きます。地域医療や終末期医療も絡み、この後どう展開して行くか楽しみです。下巻に続く。

  • 最後まで何が起こるかわからない作品なので、最後の最後まで楽しめると思います。

    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 海堂尊さん「螺鈿迷宮」上巻、読了。バチスタから1年半後、東城大学の落ちこぼれ医学生「天馬大吉」は幼なじみの記者「別宮葉子」から奇妙な依頼を受ける。「碧翠院(へきすいいん)桜宮病院に潜入してほしい」終末医療の先端施設での調査とは。。いつもの田口、白鳥シリーズと思いきや、初めての天馬さんのお話。ただ、記者の別宮さんは他の作品でも登場していたので、感情移入出来て良かった。上巻はやっと、碧翠院のメンバー紹介が終わったばかり。果たして、謎の女性と螺鈿迷宮の関係とは?下巻に突入します。

  • 今回のテーマは、終末期医療、自殺サークル、病院ビジネス、などなど。
    なんだか全編に殺人臭がぷんぷんするのですが、ほえ〜・・・という結末でしたね。作者が現職の「医者」という人物が作り出す物語とは、あまりにリアルで病院というものが怖くも感じました。
    さらに、病院の経営をたてなおすためのプランが巧妙で、え?実際できそうじゃない?てゆーか、あるんじゃない?と思ってしまいました。(実際のところは調べてないのでわかりませんが)海堂さんが世間に問題提起したいものは、彼の作品を読めばある意味「くどいほど」出てきますが、読んでるこちらもいいかげんげんなりするくらい日本の行政中心の医療制度はダメダメなんですね。きっと。

    ところで、今回はめずらしく主人公が成長するという軸がありました。彼はまだ医学生ですが、いつかまた海堂ワールドでさらに成長した姿で登場してもらいたいものです。

  •  日本の終末期医療を題材にした作品。新装版は1冊になっているが、旧版は上下巻に分冊されている。本巻はその上巻。
     上巻では、昨日まで元気だった患者が突然死を迎えるという事例が起きるが、まだ真相は明らかにされていない。いろいろなムーブメントが起きるのは下巻なので、面白みのある展開はそちらに期待。
     本作も舞台は桜宮市。位置付けとしては、バチスタシリーズのサイドストーリーといった感じ。1年前にバチスタスキャンダルが起きたという設定。

  • 氷姫がたくさん出て大変満足です。

  • 2021.12.5〜

  • すみれ

  • あ~、何となく昔?
    ドラマで観た記憶があるなぁ。。。
    と思いながら読んでいました。
    でも、こんなんだったっけ?
    という微かな記憶だけで
    上巻を読み終えました。

    これまでのシリーズで
    碧翠院とか桜宮病院が
    出てきていたので
    同時進行的にここで
    こういう事が起きていたんだ
    と思いながら読んでましたが
    明かな「事件」というのが
    ないもんですから
    特に何の感情も無く
    だ~~~~~~っと
    読み終えてしまいました。

    下巻かな・・・
    これは。

  • 桜宮サーガの一部だが、田口・白鳥シリーズではなく、別の主人公。登場人物含め、そこそこ関連性はある。実際どうかは別として、どこか陸の孤島的な環境の病院が舞台。絶対君主的として位置する院長がいて、その目をかいくぐりながら真相に迫っていく。

  • 白鳥でも敵わない闇の世界がある。だが、何が悪で何が善なのか、その境目はとても曖昧なのかもしれない。

  • 読みやすい。あとの感想は下巻読後に…。

  • 再読。

    主に人間関係で痛い目を見た時に、「あぁ痛かった」と思いながら再読する本になっています。

    シリーズの中では東城大学ではなく碧翠院桜宮病院が舞台になっており、番外編的な位置づけ。雰囲気もとにかくダーク。だけど、一連の桜宮サーガの中では一番好きかも。

    普段、レビューは下巻の方でまとめてしているのだけど好きなセリフをメモするためもあって、上巻の方でもレビューを書くことにしました。

    「人は誰でも知らないうちに他人を傷つけている。存在するということは、誰かを傷つける、ということと同じだ。だから、無意識の鈍感さよりは、意図された悪意の方がまだマシなのかもしれない。このことがわからないうちは、そいつはまだガキだ」(桜宮巌雄)

    このセリフは下巻で明かされる、落第医学生である主人公・伝馬大吉と桜宮一族の因縁の伏線になっているのだけど、一般的な意味に捉えても深いなぁ、と思う次第。

  • 螺鈿迷宮 上 (角川文庫)

  • 白鳥がやられるのでバチスタほど褒める気にならない、変人は強烈な方がいい、ナイチンゲールと裏表

  • 海堂さんの作品ふハズレがない。

  • 医療界を震撼させたバチスタ・スキャンダルから1年半。東城大学の劣等医学生・天馬大吉はある日、幼なじみの記者・別宮葉子から奇妙な依頼を受けた。「碧翠院桜宮病院に潜入してほしい」。この病院は、終末医療の先端施設として注目を集めていた。だが、経営者一族には黒い噂が絶えなかったのだ。やがて、看護ボランティアとして潜入した天馬の前で、患者が次々と不自然な死を遂げた!彼らは本当に病死か、それとも…。

  • 先に「イノセントゲリラ」を読んでしまったのですが、順番的にはこっちの方が先だったらしい。
    本編のシリーズにも時々名前が出てきていた「でんでん虫」こと碧翠院桜宮病院が舞台。闇を抱えていそうな桜宮病院と碧翠院、それに東城大が絡んで何やら不穏な空気です。テーマは終末期医療問題。末期の患者たちを従業員として働かせるという碧翠院のような取り組みって本当にあるんだろうか?確かに、ベッドに縛り付けられて死ぬのを待つよりかはずっといいのかもしれない。さすがに病院の食事が素人の当番制っていうのはまずいでしょうとは思うけど。
    それにしても天馬くんはアンラッキーにもほどがある。白鳥が元気そうでなによりでした。姫宮は最初に出てきた時抱いた南海キャンディーズのしずちゃんというビジュアルイメージがどうしても脳内から去りません。美人なんだ…?
    下巻に続く。

  • これまでの宝島社ではなく角川からの出版が少し気になる。桜宮サーガの新たな役者が登場=天馬と碧翠院桜宮病院の個性的な女医達。怪しさが漂う桜宮病院だが、一人ひとりは至極真っ当なように見える。姫宮と白鳥は『ジェネラル・ルージュの凱旋』で宣言したとおり、そして天馬は彼の不運から桜宮病院に潜入した。さて下巻での展開が楽しみだ。

  • 医療界を震撼させたバチスタ・スキャンダルから1年半。東城大学の劣等医学生・天馬大吉はある日、幼なじみの記者・別宮葉子から奇妙な依頼を受けた。「碧翠院桜宮病院に潜入してほしい」。この病院は、終末医療の先端施設として注目を集めていた。だが、経営者一族には黒い噂が絶えなかったのだ。やがて、看護ボランティアとして潜入した天馬の前で、患者が次々と不自然な死を遂げた!彼らは本当に病死か、それとも…。,"3月27日
    東京いく前に電車電車の中で読もうとして駅で買った本本

    上下巻本


    白鳥さんはまぁ、おいといて



    とりあえず、氷姫が大活躍だった。



    やっぱり、この人の話はおもしろすぎる。



    賢すぎる。




    あと、小百合。

  • バチスタの病院シリーズとはちょっと違った、でも白鳥と姫宮が出てくる、お隣の桜ノ宮病院の話。
    正直、主人公の男の子があんまり好きになれない感じの人なので、ちょっとイラっとしながら読んでた。
    バチスタなんかに比べると、なんか読みにくい。

  • ドーソン3作目( ´ ▽ ` )ノ。
    書き込みのくどさ、キャラの偏向(変人と美形しか出てこない)、受けたがり……等など、前2作の特徴すべてがしっかり受け継がれ、強化されている( ´ ▽ ` )ノ。
    読んだことないけど、ラノベってこんな感じなのかな?

    とにかく、いくら何でも事件の発生が遅すぎる(>_<)。
    ミステリーなんだよね、これ?(´ε`; )ウーン…

    変人・巻き込まれキャラをネタにした笑いも、いいかげん飽きてきたかな? 特に本作前半はそれがしつこすぎで、さっぱり話が先に進まない(>_<)。

    会話の流れがまた、かなりご都合主義(>_<)。
    話題が突然、あっちこっちに飛んで行く(>_<)。
    天馬対イワオのシーンにしても、対すみれ・小百合のシーンにしても、まず説明ありきで不自然そのもの(>_<)。
    実際あんな展開で会話を交わしてる人たちがいたら、かなり危ないよ(>_<)。

    正直、ナイチンも螺鈿もバチスタの遺産で食いつないでる感じ(>_<)。
    下巻の巻き返しに期待……。

    2016/01/17

  • 2008

  • 今回は終末医療がテーマ。
    海堂作品としての安定感はあるが、他の作品と比べて、入り込めなかった。田口先生と比べると、主人公がなんだか物足りなくて、結果的に全体的なノリが軽すぎる印象。謎自体もいまいち感があるのは趣味の問題か。

  • バチスタシリーズの世界観が引き継がれてて、これが今のところ一番好きかもしれないです。
    もちろん前作までが面白いから、海堂ワールドの深みを味わえるのだと思います。

  • 前回読んだ「チームバチスタの栄光」が最高に面白かったので、期待して読んだ。
    正直なところ、ちょっとがっかり。まず前半4分の1までは全く退屈で、ウケを狙うためか、深刻になりがちな医療小説をやわらかくする意図か、必要以上に軽薄なノリでうんざりする。
    作者の伝えたいことは、「チームバチスタ」と同じ。生に焦点を当て金をかける政府・国と、死を解明すべきだという作者の叫び。このテーマ自体には賛同したい。
    バチスタは優秀な専門家達がたくさん出てきたのだが、本書の医者達はどうも胡散臭く、それが残念な原因かもしれない。
    伏線の収束はさすが。個人的には、医療ミステリーはもうちょっと硬めに書いたほうがいいと思う。

  • なんかややこしい

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著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。医師、作家。外科医・病理医としての経験を活かした医療現場のリアリティあふれる描写で現実社会に起こっている問題を衝くアクチュアルなフィクション作品を発表し続けている。作家としてのデビュー作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)をはじめ同シリーズは累計1千万部を超え、映像化作品多数。Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の概念提唱者で関連著作に『死因不明社会2018』(講談社)がある。近刊著に『北里柴三郎 よみがえる天才7』(ちくまプリマー新書) 、『コロナ黙示録』『コロナ狂騒録』(宝島社)、『奏鳴曲 北里と鷗外』(文藝春秋) 。

「2022年 『よみがえる天才8 森鷗外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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