粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.73
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本棚登録 : 652
レビュー : 107
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043913022

作品紹介・あらすじ

国民学校初等科に通う堀川真樹夫と中沢大吉は、ある時同級生の月ノ森雪麻呂から自宅に招待された。父は町で唯一の病院、月ノ森総合病院の院長であり、権勢を誇る月ノ森家に、2人は畏怖を抱いていた。と呼ばれる頭部が蜥蜴の爬虫人に出迎えられた2人は、自宅に併設された病院地下の死体安置所に連れて行かれた。だがそこでは、権力を笠に着た雪麻呂の傍若無人な振る舞いと、凄惨な事件が待ち受けていた…。

感想・レビュー・書評

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  • なんとも衝撃的な作品だった!
    カバーデザインから単におどろおどろしいだけの話を想像していたが、実際はとてもしっかりした小説。ホラー/ミステリー/コメディどの部分も見事で、大いにおののき、大いに笑わせてもらった。第二章、密林行のくだりは息を飲む面白さ。初めて読む「粘膜シリーズ」の作品だったが次はどれにしようか悩む〜。

  •  遅ればせながら、飴村行の粘膜シリーズにはまった。4作すべて読んだが、ベストはこれ。第弐章「蜥蜴地獄」の秘境冒険SFの部分がたまらない。ページをめくる手が止まらない面白さだ。肉食ミミズだの、巨大なゴキブリだのが攻撃してくる東南アジア・ナムールのジャングルの描写は貴志祐介「新世界より」の奇怪な生物たちがかわいく見えてくるほど。

     日本推理作家協会賞受賞作なので、ミステリの部分も申し分ない。グチャグチャグッチョンの描写があるのに、ラストには切なさが横溢しており、この小説の余韻を深いものにしている。傑作としか言いようがない。

     粘膜シリーズには河童や爬虫人ヘルビノなどが登場してくる。だから粘膜なのかと思ったが、作者インタビュー(http://bookjapan.jp/interview/090114/note090114.html)によれば、「粘膜というと卑猥なイメージがあるでしょう。グロテスクで、さらに卑猥というイメージ。河童が代表例なんですけど、この小説の登場人物はみんなそういう、グロテスクでどこか卑猥という印象があると思います。だから、登場人物をすべて象徴する言葉として粘膜を当ててみたわけなんです」ということなのだそうだ。

     これ、映画化かアニメ化ができないものかと思う。そのまま映像化すると、R-18は避けられないだろうが、監督は三池崇史が適任なのではないかと思う。

  • 前作のように方向性も結末も定まらず、激しい衝動のみが暴れまわるのかと思いきや、メチャクチャななかに因果応報の要素をもって、しっかり着地しているではないか。
    エロとグロとバイオレンスに充満した世界に不快感以外のものを感じるのは、私が特にイカれているからではあるまい。
    すべてのキャラクターたちの滑稽で悲しいまでの愚かさが作品を祝福すべきものに変えている。
    作者はただ単に、残酷であることに酔っているとは思われない。
    異形であれ、忌むべき存在であれ、愛も救いも与えられている。

  •  真樹夫は同級生の雪麻呂に自宅に招待され、友人大吉とともに雪麻呂の家に向かう。雪麻呂の家にはヘビルノという爬虫人が下男として仕え、さらには死体安置所があり……。同じころ真樹夫の兄、美樹夫は東南アジアのナムールという国で重要人物の護衛の任務を請け負うことになるのだが……。

     うわさには聞いていましたが予想以上のハチャメチャっぷりでした(笑)。まったく話のその後の展開が見えないまま第一部が終わると、第二部はいきなり戦地の東南アジアに話が飛び、第一部の閉塞的な状況とは打って変わっての冒険活劇風なストーリーに。さまざまな化け物や戦地でのゲリラとの戦いが終わったと思いきや、第3部ではまた日本、それも今まで真樹夫、美樹夫の一人称だったのに、急に雪麻呂の内省的な話になると思いきや、いきなりのヘビルノの富蔵に女の子を用意させて……

     グロ描写は当初の予想ほどページ数は割かれていませんでしたが、第2部の化け物の描写や第3部での決闘の描写などはうわさ通りしっかりとした描写でした。特に第2部はそうした描写のため美樹夫が生きて帰れるのか、ドキドキしながら読み進めました。

     そんな場面がありながらも笑える場面もあるのがまたシュールです。雪麻呂と富蔵のかけあい、中でも第3部の冒頭は「この作者はなに書いてんだ?」と思うくらいのばかばかしさでした(笑)。このシーンがいいんだよ、なんて友達に言ったらきっと変人扱いされるんだろうな、とは思いますが(苦笑)。

     雪麻呂や第二部で美樹夫が護衛することになる間宮もかなりの暴虐無人っぷりでイライラし通しだったのですが、不思議と嫌いになれませんでした。イライラが一周したのか、彼らのそうした振る舞いがどこかで自分みたいだ、とおもったからでしょうか。

     最後もまたすごかったです。1部、2部、3部と場面転換がかなり激しく、どう話に決着をつけるのか気になっていたのですが、そう来るとは……。力技ではありますが、めちゃくちゃっぷりの割には意外と綺麗に締められたように思います。

     ルールや常識、モラルに縛られず、作者の飴村さんが想像力を爆発させて書かれた作品だな、ということを読み終えてしみじみと実感しました。これだけ濃い想像力を見せつけられたら、好きになるか、嫌いになるかのほぼ二択になると思います。個人的には好きかも、という感じでしょうか。今後粘膜シリーズを読んでいくことになるかもしれません(笑)

     それにしてもこの本が日本推理作家協会賞を受賞しているとは……。失礼ながら世も末だなあ、という感じがしてしまいます(笑)

    第63回日本推理作家協会賞
    2010年版このミステリーがすごい!6位

  • これは、、、女の子の読む本ではなかったかな笑。

    いろんなランキングに入ってたので読んでみたんだけど、

    ぐろいぐろい。

    グロいとこ本を直視できず。

    でもただのグロい、なんか、コアな人のツボをついてる本かと思いきや、最後は割と、人間味のある終わり方だったかな。

    いやーしかし、ラストの母親の言葉も、女子にはわからない男子のマザコン的な感じだったかなぁ。
    富蔵の行動を母親だったと思って振り返ると恐ろしいような、納得のような。。。

    独特な世界、という意味ではおもしろい本だと思う!でも好みではない。

  • 面白い訳ではない。けど、突飛すぎて記憶から離れない。ある意味すごい。あの坊ちゃんガンバレって応援してくれるところとか、、なんなの?
    電車の中とかで、後ろから誰かに中味を覗かれたらどうしようってくらい、描写がグロい。

  • 軍国主義による支配が続く戦時下の日本という設定で、3部構成。
    第1部は国民学校初等科にかよう堀川真樹夫と、その同級生で病院長の息子、月ノ森雪麻呂が中心。
    第2部は真樹夫の兄、美樹夫が戦地で体験する悪夢。
    第3部は彼らの総出演による摩訶不思議な物語。

    真樹夫が誘われて仕方なく行った雪麻呂の自宅には、死体をホルマリン漬けにしたプールがあるし、使用人は爬虫人だし、精神に異常をきたした軍人が地下にいるし、とにかく不思議な世界。あまりにヘンテコな世界なので、涙目になりつつも笑いました。グロテスクな描写が多いですが、第3部の会話にはふき出してしまうものもあります。また、第1部の謎が第2部、第3部へと移るうちに綺麗に解き明かされ、軽妙と言えなくもない、これまた困った作品です。

  • 白井智之さんの『おやすみ人面瘡』、『東京結合人間』を読んで面白かったので似たスタイルの作家さんいないかな?と
    探したら飴村行さんがホラーで面白いと紹介されてたので
    いちばん人気の『粘膜蜥蜴』を読んでみました。

    このミス2010年6位、文春7位、 日本推理作家協会賞受賞

    ホラー+冒険小説+コミカル+ミステリ-なエンターテイメント小説ですねぇ。
    コミカルなところが思ったより強かったかな
    探してたタイプとちょっと違った
    ミステリ-にもっと寄ってるほうが好みかな。

  • これは思いのほか楽しめました。爬虫人の描写がそこまで突拍子のないものではないから、自分なりにイメージしやすい。この物語における重要な存在だから、その部分の分かりやすさは大事だと思われる。あとは、すっかり人間界に定着してしまった感のある、下人の爬虫人が愉快で、会話の返しとか、かなりセンスの良い笑いを提供してくれました。展開もテンポ良くて、無駄にダラダラ長引かせずにクライマックスを迎えるから、そういう点も好印象でした。機会があれば、シリーズ他の作品も読んでみたいかも。

  • 20161021

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プロフィール

飴村行 1969年、福島県生まれ。東京歯科大学中退。2008年『粘膜人間』で第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞。デビュー第2作『粘膜蜥蜴』で第63回日本推理作家協会賞を受賞。特異な作品世界で注目を集める。著書に『粘膜兄弟』『粘膜戦士』『路地裏のヒミコ』『粘膜黙示録』『ジムグリ』など。

「2018年 『粘膜探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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