地球を斬る (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043914036

作品紹介・あらすじ

〈新帝国主義〉の時代が到来した。ロシア、イスラエル、アラブ諸国など世界各国の動向を分析。北朝鮮―イランが火蓋を切る第三次世界大戦のシナリオと、勢力均衡外交の世界に対峙する日本の課題を読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤優さんが「フジサンケイビジネス ビジネスアイ」に連載している、
    「地球を斬る」というコラムを集めた一冊になります(今も連載中です)。

    素材となっているのが2006-2007年の情勢なため、
    現在(2012年8月)から見ると、ちょっと懐かしい感じも否めません。

    ただ、佐藤さんの軸のぶれなさは相変わらずで、興味深く読めました。
    中でも印象深かったのは、第1章の17、"日ロ外交のヒントとしての『美しい国へ』"の一説。

    - 安倍晋太郎氏は外相職を去った後も、政治生命を賭して日ソ関係の改善に努力した。
    - わたしは、約束をはたしました。桜がそろそろ咲きますよ

    ゴルバチョフ氏が"桜"とのフレーズを使うのに意外さと恐ろしさを感じました。
    日本人のエトスに響く言葉を使えるということは、それだけ調べているということ。

    利益を共有できるのであれば、価値観が共有できなくても、協業はできると思いますが、
    きちんと距離感をもってつきあえるのであれば、頼もしいのかなとも感じました。

  • ぼくらにはない視座を次々と見せてくれる

  • 2006年から2007年にかけて『フジサンケイビジネスアイ』に連載された記事をまとめた本です。

    現代の世界情勢を、元外交官の観点から鋭く読み解くとともに、今後の展望について大胆な見立てが述べられています。また単行本にまとめられるに際して、著者自身がみずから内容についての評価をおこなった「検証」という項が設けられています。

    私自身は著者の分析・考察がどの程度妥当なのか判断することはできないのですが、インテリジェンスの観点から世界情勢を読み解くときにどのような点に注目するのかということが明瞭に示されており、興味深く読むことができました。

  • 2009年刊。06~07年にかけて連載された産経新聞社「ビジネスアイ」コラムを集積した書。著者の外務省批判は反論を見ないと一面的に堕しそうなので、多少割り引いて読むが、公開情報から推測される露、北朝鮮等の実像分析は流石としか言いようがない。些か下世話ではあるが、暴露話的な面白さも垣間見えるのは著者の読ませる力なのだろうか。PS.「ザ・ペニンシュラ・クエスチョン」(船橋洋一著)の内容の的確さへの言及は良い補完(外交的得失は別儀だが)。ところで、著者の、特捜検事を戦前の青年将校に準えるのは無理筋かなぁ。
    現実に武器を持ち、テロによる問答無用の要人殺害が可能な軍人の如き力は、検事にはないからだ。また、司法取引は米国ではルール化されているものという視点も余り見受けられない。

  • インテリジェンス能力が国力から大きくかい離することはない。日本はGDP2位だから潜在的に、世界2位の情報力を持っている。

  • ちょっとネタは古いけど、普段触れ得ないマイナーな国を中心に取り上げられていたのは良い。麻生外交は支持なのね。政治的には直接の敵たる小泉田中界隈以外はすでに落ち目しか叩かない印象はあるけども。

  • 古い本だが、外交について考えるひとつの視座を与えてくれる良書。
    気がついた点
    1. 佐藤優は麻生太郎の外交センスを評価している。(世間が?と思っているにもかかわらず)
    2. 外交をスポイルしている官僚については名指しで批判している
    3. 海外の要人が出すサインは見逃してはならない。ミスリードしてもいけない。
    4. 日本の要人の発言は海外へのサインとなることがわかっている人が要職にいないと国益を損なう。

  • 「外務省のラスプーチン」佐藤優氏は好きな作家で、数冊読みましたがいずれもはずれなし。

  • 2011 5/28読了。@lumely君から借りた。
    元外務省職員の著者による、2006~2007年頃の日本の外交課題について扱った雑誌連載をまとめた単行便を、さらに文庫化したもの。
    ロシア/中国・北朝鮮/対テロ関連の話題がメイン。
    佐藤優氏の本は初めてであったし、自分にとっては馴染みのない分野でもあったが、読みやすかったし新鮮だった。

  •  フジサンケイビジネスiに連載された「地球を斬る」の文庫化。ロシア、アジア情勢を中心に鋭い舌鋒が光る。著者は何も秘密情報を得て情勢を見立てている訳ではない。新聞記事などの公開情報にヒントを得ている方が多いくらいだ。
     文庫本の加筆として「Qさんへの手紙」「文庫版あとがき~北朝鮮のシナリオ」、この二点だけでも本書を買う価値がある。国政選挙前に是非読んでおきたい一冊である。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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