生き屏風 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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レビュー : 59
  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043923014

感想・レビュー・書評

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  • 優しい妖怪もの。

    馬の首で眠る皐月という少女の鬼は村境に住み、わるいものの侵入を防いでいる。
    村人からのお供えをもらったり、依頼を受けたりして暮らしている。
    ある日、亡くなったおかみさんが屏風に憑いて、その話相手をして欲しいとの依頼があり…「生き屏風」

    作者は遠野物語や民俗学、妖怪ものが大好きなんだなあ、と思った。
    妖怪と人間がつかず離れずで暮らしている、のほほんとした世界観でした。

    続編がありますが、表紙はこちらが一番雰囲気があって好きです。

  •  妖鬼の皐月と様々な人や妖怪との不思議な触れ合いを描く日本ホラー小説大賞受賞作を収録した連作短編。

     すごくとぼけた味わいのある短編集です。ホラー小説大賞の受賞作ですが、怖さはなく皐月と人は普通に会話しています。

     話をするだけでなく皐月は色々な頼みごとをされます。表題作「生き屏風」では霊が憑りついた屏風の話し相手、「狐妖の宴」では女の子に頼まれ惚れ薬を作るため一緒にヤモリを探します。

     こうして読んでいると日本昔話を読んでいるよう。登場人物たちみんなほのぼのしていて、肩ひじ張らず穏やかな気持ちで読むことができました。

     個人的に印象的だったのが「猫雪」の冒頭。皐月の先輩(?)の妖怪がある男に「何になりたい?」と問いかけると男は「雪になりたい」と答えるのですが、
    ここで雪という答えを持ってくるのがとてもセンスがあるなあ、と思いました。確かに雪のようにひらひらと落ちて、そして地面に落ちてそっと溶けゆく、ってなんだかロマンチックですもんね。

     雰囲気の非常にいい作品だったので皐月の出てくる次巻以降も読んでみたいなあ、と思いました。

     第15回日本ホラー小説大賞短編賞「生き屏風」

  • あらすじ

    村の酒屋の死んだはずの奥方が、あの世から戻ってきて家の屏風に取り付いてしまった。
    「村はずれに住む妖鬼の皐月」は、屏風の奥方の相手をして、
    退屈を紛らわしてほしいと頼まれ、しぶしぶ出かけていったのだが――。

    あらすじ終了

    「村はずれに住む妖鬼の皐月」←これ重要
    だって、この娘が主人公の話だから(他の短編も、この先も)
    物語に登場する者達は怪異側の生き物ですが、
    話自体はもの悲しさを感じる話です
    怖くは無い
    むしろ、登場する人間の方が恐ろしいかなと
    屏風の方に感情移入してしまいますよ

    ただ、この皐月の寝方が……
    グロいというか、不可思議と言うか
    作者の方の文書で理解は出来るのですが、本当に合ってるのか納得出来ない……
    是非、そこは読んで欲しい

    ちなみに、続刊として、
    「魂追い」「皐月鬼」が出てます
    全3部作になっているようなので、続きも読む予定

  • 村はずれで暮らす妖鬼の皐月。彼女が依頼を受け、亡くなった奥方の憑いた屏風の相手をする表題作をはじめとした連作3編。これは表題作が日本ホラー小説大賞短編賞受賞作ということからか、角川ホラー文庫から出ているが、ホラーというよりは人と妖との優しい日々を描いたファンタジーに近いのではないかと思う。どの話もそれぞれ好きだが、一番インパクトがあったのは「馬の首で寝る」という状況が絵で浮かんだ部分かもしれない。妖猫に雪に変えてもらいひらひらと宙を舞い、さっと溶ける…。音のない世界が浮かんでちょっと泣きたくなった。

  • 連作短篇集。表題作と「雪猫」「狐妖の宴」の三篇収録。妖怪中心のちょっと不思議な物語。艶のある優しい怪談がお好きな方に。意外と凡庸な扱いをされる妖鬼・皐月と喋る屏風の関係がよい。出会いと別れと少しの希望があり、全編通して後味のよい小説でした。とくに「狐妖の宴」は春が幸せを運んできたような終わり方で、恐怖心を煽るホラーとは対極にあります。また余談ですが、食べ物やお酒が美味しそうに感じられました。

  • 地の文が読みにくく感情移入できなかった。何を読ませたいのかよく分からなかった。

  • 他の方もおっしゃってましたが、物語導入が一番ホラーってのが不思議だな・・・
    馬の首の中で眠る子鬼・・・

  • ホラーというより、しみじみした寓話だった。しかし、にゃんこ先生ってどこにでも出てくるのな。ビジュアルが頭に浮かぶ作品だし、アニメ化したらいいんじゃないだろか。

  • 夏の角川ホラー消化月間。相変わらずのホラー要素無し。速攻で読んだ事自体を忘れかけていた。

    風来坊の美少女鬼と、その周辺の一癖二癖ある妖の昔語りを中心として、純文学風に機微を描く。

    「美少女鬼」てのに感情移入できなければ、最初から最後までなんにも面白くないという典型作品で、すんません、全くダメでした。話の内容は、芥川系の純文学風なところがあり、また、屏風に乗り移った屋敷の奥さんや、何になりたいかと言われて「雪」と答える粋というのは、落語調で悪くはない設定だと思う。

    …惚れ薬はまったくもって面白くなかったんだけど。

    話を戻して、昔風純文学風にしろ、落語調にしろ、この本に決定的に欠けているのは、文体の統一感である。妖の上下関係はあろうが、「○○ではありませんか」と急に現代風丁寧語が混ざってくる違和感のせいで、これっぽっちも作品の中に入れない。

    また、その他の情景描写も、中学生の作文のように、ダラダラとあれがこうして、これがこうしてとマス目を埋めたくて仕方がなかったの?と問いたいレベルのものである。

    作者は何かを書こうと模索しているんだろうけど、読み手にはなんにも響かなかった。響く人がいるとすると、「皐月」という鬼を、脳内で美少女に仕立ててアニメキャラにでも想像できた人だろう。想像するには情景描写が足りなさすぎるのだが。

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著者プロフィール

田辺青蛙  Seia Tanabe
『生き屏風』で日本ホラー小説大賞短編賞を受賞。著書に『関西怪談』『魂追い』『皐月鬼』『あめだま 青蛙モノノケ語り』『モルテンおいしいです^q^』『人魚の石』など。共著に「てのひら怪談」「恐怖通信 鳥肌ゾーン」各シリーズ、『京都怪談 神隠し』『怪しき我が家』『怪談実話 FKB饗宴』『読書で離婚を考えた』など。

「2021年 『大阪怪談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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