実朝の首 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043930029

感想・レビュー・書評

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  • 甥の公暁に暗殺された実朝の首の行方が分からなくなり、その首を巡って幕府執権である北条、実朝の忠臣だった和田朝盛一党が争っているところへ後鳥羽上皇の弔問使が絡んできて、というそれぞれの思惑、駆け引きが面白いですが、首が葬られてからの展開はちょっと蛇足気味かなあ。実朝が孤独な人だったのは残された歌から想像がつくけど、本人の意思が確認できない以上、最後は持ち上げすぎな気がします。京から下ってくる新将軍を朝盛達が奪おうとするのは、理由を説明されても何だかなあって感じですね。
    実朝暗殺の黒幕も、よく言われる北条義時や三浦義村でなく他の人物にされてますが、彼らに比べると小者だったために実朝の首が一応の解決をみた後だれてしまったんじゃないでしょうか。

  • 竹宮恵子さんの吾妻鏡を思い出しつつ読みました。実朝の真意はどこにあったのかいろいろ考えさせられる場面に出会うことが出来ました。

  •  鶴岡八幡宮での実朝暗殺の事件は歴史の変節の象徴としてよく語られる。歴史の授業でも扱われてきた。この小説はその事件を発端として始まる。
     実朝の首はその後、公暁により持ち去られ、さらにそれをかつての実朝恩顧の者たちに奪われる。幕府執権側はこの事実を秘密裏に処理し、実朝の葬儀を恙なくおこなうことを目指す。それが鎌倉幕府の安定、北条執権体制の維持に不可欠と考えていたのである。
     この小説では実朝が殺害された後、一時首が見つからなかったという史書の伝にがモチーフになっている。もちろんこれは創作であり、ストーリー展開には多くの創意がみえる。
     小説の終末近くでそれまで遺骸の一部としてしか登場していなかった実朝が、実はストーリーを基盤で動かしていた人物であることが明かされる。このあたりの展開は巧みだと思う。

     

  • 2018.3.3 読了
     鎌倉時代初期のドロドロした権力闘争を描いている。源氏後継の根絶やしを狙う北条一族と三浦一族の執念が凄まじい。その中で北条政子の行動は尼将軍と言われるにふさわしい政治力を見せている。

  • 源実朝が好きなので、「葉室先生、実朝の話書いてくれてるんだ!」と大喜びで飛びついたのだけれど、読み始めてみれば、なんということか、タイトル通り「実朝の首」だった。
    さすがに登場人物たちに魅力があって、(実在したとはいえ)物語上の人物なのに、血の通いを感じられる。
    けれど、それはそうだけれど、なんとなくやっつけ感があって、置いてきぼりを食ってしまった。
    実朝が好きだからって、丁重丁寧に扱ってくれるものだと期待しすぎていたせいもあるのだけれど。
    もっと長くなってもよかったのになぁ…

  • うん、面白い。鎌倉時代の小説はあまり見つけられなくて。実朝の暗殺、首が取られたことをきっかけとした鎌倉の危機。政子の正しさ、北条の男たちの頼りなさ、本来負け組の朝盛たちの多分史実に出てこないことを爽やかに書いてある。

  • 鎌倉時代…各々家系の縦横軸を跨ぐ骨肉の争い、そして主導権を握る女傑陣。張り巡らされた点と点を線で結びたくなる面白過ぎる一作♪。

  • 鎌倉幕府第3代将軍実朝の暗殺事件を題材に、エンタメ要素多めで描かれた歴史小説。当該時代についての知識が浅薄のため、時代や事件の背景を調べ調べ読書進める。不勉強は恥ずかしい限りだが、それはそれで楽しみを増やしてくれた。
    題材や構想は良かったが、調理が追いつかず荒削りなのが惜しまれる。

  • 鎌倉幕府三代将軍源実朝が兄の遺児公卿に殺された。
    背後にうずまく陰謀をよそに公卿が持ち去った実朝の首は鎌倉にも京都にも属さない男たちの元へ。
    承久の乱までも鎌倉幕府終末期を描いた作品。
    権謀術数を巡らす北条方の軍勢たちに対して己の誠を尽くして挑む武士の姿が清々しい一冊でした。
    改めて、上手い人の歴史、時代小説は面白いなと再認識しました。

  • 甥の公暁に暗殺された実朝の首の行方を巡って執権北条氏、朝廷、三浦一族、摂津源氏らが権謀術数をめぐらせ覇権争いを繰り広げる。
    実朝暗殺の黒幕は誰なのか、実朝の首が誰の手に渡り権力を掌握するのか、そこにさまざまな人物の思惑を巧みに織り込み展開する物語はとても読みやすかった。

    あとがきによると、著者が吾妻鏡において実朝の首が奪われその後も見つかったという記述がないことや、暗殺を予告するように怪異譚が記録されているところから構想した本だそうだ。
    また、実朝に予知能力があったという記述も目にしたとのことで、この本の中でもしばしば実朝は自身について予知めいたことを口にしており、この物語の主人公は首だけになった実朝かもしれないと感じた。

    登場人物が多いためか強烈な印象を残す人物がいなかったことが少し残念で、せっかくの設定が活かされていない部分がもったいない。
    亀菊や茜丸、うつぼなどは想像していたよりもあっさりと本筋から消えていったので、もう少し濃い描写があると嬉しかった。

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プロフィール

葉室 麟(はむろ りん)
1951年1月25日 – 2017年12月23日
福岡県北九州市小倉生まれ。西南学院大学文学部外国語学科フランス語専攻卒業。地方紙記者、ラジオニュースデスク等を経て小説家に。2005年に短編「乾山晩愁」で第29回歴史文学賞受賞(のち単行本化)、2007年『銀漢の賦』で第14回松本清張賞受賞、2012年『蜩ノ記』で第146回直木賞受賞、2016年『鬼神の如く 黒田叛臣伝』で第20回司馬遼太郎賞受賞。
上記以外の代表作に、映画化された『散り椿』、第22回山本周五郎賞候補及び第141回直木賞候補だった『秋月記』がある。

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