実朝の首 (角川文庫 は 42-2)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.47
  • (10)
  • (47)
  • (54)
  • (7)
  • (2)
本棚登録 : 396
感想 : 49
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043930029

作品紹介・あらすじ

将軍・源実朝が鶴岡八幡宮で殺され、討った公暁も三浦義村に斬られた。実朝の首級を託された公暁の従者が一人逃れるが、消えた「首」奪還をめぐり、朝廷も巻き込んだ駆け引きが始まる。尼将軍・政子の深謀とは。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 建保七年(1219年)正月二十七日
    源実朝の右大臣拝賀の儀
    雪の降り積もる鶴岡八幡宮の石段と傍らの大銀杏

    実朝暗殺の場面から物語は始まる
    甥の公暁によって殺された実朝の首を巡る騒動


    公暁から首を預かった弥源太。
    (弥源太は公暁の乳母子で美少年♪)
    弥源太は三浦館へ向かうはずだったが、そのまま持ち逃げする。
    そこから三浦義村の家臣、武常晴と出会い、連れて行かれた先には和田合戦の生き残りたち和田党がいた。

    この作品、成り行きで和田党の一員となった弥源太の成長物語…
    という側面もあるのかな。
    もちろん見どころは朝廷と鎌倉幕府、そして和田党の腹の探り合いですが。

    自分的に面白くて印象的なのは、北条義時と三浦義村の小物っぷりです。
    政子にバカにされ、底が浅いと思われ、臆病で。
    そういう描写が出てくる度に、思わずクスッと笑ってしまう。


    先日最終回を迎えた「13人の鎌倉殿」を毎週楽しみにしている中、
    くるたんさん、TOMさんのレビューで本書を知り、読みたい!と思っていました。
    実朝暗殺もう一つのストーリーとして空想が広がり、とても楽しい読書時間でした。

    • TOMさん
      『螢草』という作品は
      時代小説でありながらライトノベル的な感じでとても読みやすかったですよ。
      NHKで清原果耶主演でドラマになったくらいです...
      『螢草』という作品は
      時代小説でありながらライトノベル的な感じでとても読みやすかったですよ。
      NHKで清原果耶主演でドラマになったくらいですから。

      あとはなんと言っても直木賞受賞した
      『蜩の記』ですかね。
      岡田准一主演で映画化されました。

      あくまでも個人的な見解ですから…
      2022/12/24
    • aoi-soraさん
      TOMさん、早速教えて頂きありがとうございます♪
      どちらも面白そうですね
      まずは「螢草」から読んでみたいと思います
      来年のお楽しみ✧⁠◝⁠(...
      TOMさん、早速教えて頂きありがとうございます♪
      どちらも面白そうですね
      まずは「螢草」から読んでみたいと思います
      来年のお楽しみ✧⁠◝⁠(⁠⁰⁠▿⁠⁰⁠)⁠◜⁠✧
      2022/12/24
    • TOMさん
      是非!!!是非!!!
      また感想ヨロシクです♪
      是非!!!是非!!!
      また感想ヨロシクです♪
      2022/12/24
  • 行方、行く末の一冊。

    鎌倉幕府前代未聞、将軍の首が攫われた。

    この首の行方、鎌倉の行く末はいかに?と謎と展開に惹き込まれるストーリー。

    公暁が首と共に酒盛りが有名だけれどこの作品はまさにそこから深いドラマが始まったという感じ。

    こういう一つの史実にスポットを当てて色濃く読ませてくれるのは面白い。

    入り乱れる鎌倉と京サイドの将軍の座への思惑、駆け引きの腹黒ドラマはもちろん、オムツをしたむつき将軍、鞠子とまた一歩、深く知れたのも良かった。

    在りし日の実朝の描き方、遺された想いが違和感なく物語に溶け込んでいたのも印象的。

  • 実朝暗殺から承久の乱までのわずか2年間を
    鎌倉幕府と朝廷、さらに和田合戦での生き残り達との三つ巴を見事に描き切った作品です。

    こういった清らかでありながら何処か冷酷さも感じられるような読後感が葉室麟作品ならではの楽しみ方なのかもしれません。

    大河ドラマでどう描かれるのか楽しみになりました。

  • いきなり雪の鶴岡八幡宮のシーンから始まる歴史ミステリー。前半は実朝の首、後半は三寅をめぐる三つ巴の“争奪戦”がスリリング。特に三浦氏の郎党・武常晴ら“七人の侍”の活躍が痛快。暗殺の真相についても一捻りあって面白かった。ちょっと説明的に過ぎるところがあるけれど、考証のしっかりした内容で読み応えはあった。

  • 「鎌倉殿の13人」も佳境に入り、悲劇の三代将軍源実朝暗殺をテーマにした本をAmazonで探して購入。
    実朝暗殺を企てたのは誰か、北条と三浦、鎌倉幕府と朝廷後、反北条・反三浦の御家人たち、後鳥羽上皇の思惑、北条義時の思惑、三浦義村の思惑、和田党の思惑、摂津源氏と河内源氏の確執、そして尼御台北条政子の思惑。
    次の将軍を巡る様々な思惑が渦巻く中、実朝が暗殺され首が持ち去られる。
    面白かったが、なぜ首に固執するのかその必然性がよくわからず消化不足は否めない。

  • 源実朝暗殺後に実朝の首が持ち去られた。実朝の首の行方をめぐる物語である。実朝の首は何故か義村と対立していた相模国西部の波多野氏の所領で埋葬されたとの伝承がある。その伝承に沿った物語である。

    泉親衡の乱や和田合戦で北条氏から謀反人とされ、歴史から消された人々が活躍する。これは清々しい。『実朝の首』では北条政子に比べると北条義時は底が浅い。義時や三浦義村は陰謀家としても二流である。鎌倉幕府は尼将軍政子でもっていた。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では源実朝のBL展開が話題になった。北条泰時を相手とすることは主人公側の補正要素が強くなるが、和田朝盛とすることは成程と感じる。

  • 鎌倉時代大好きな私にピッタリ

  • 朝廷と幕府の駆け引きとか、北条と三浦のせめぎ合いとか、摂津源氏と河内源氏の確執とか、大概カオスなこの時代、尼将軍が孫娘に後世を託したくなるのも尤もだ。

    生前より死んでからのほうが世への影響力が大きかった源実朝。斬首された首がどれだけ引き摺り回されるんだかハラハラしたが、まあ和田朝盛らに慰められる格好になって良かったです。

    個人的には、少々、チーム和田の活劇調が冗長に感じられた。そこじゃなくて、朝廷方の後鳥羽や卿局あたりの深謀遠慮さを書き込んでほしかったな。

  • 竹宮恵子さんの吾妻鏡を思い出しつつ読みました。実朝の真意はどこにあったのかいろいろ考えさせられる場面に出会うことが出来ました。

  • 2024/2/17 読了
    日本史挫折したの、鎌倉時代の人たちの名前を覚えれんかったの思い出した

全49件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

葉室麟の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×