ホルモー六景 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.86
  • (397)
  • (637)
  • (456)
  • (70)
  • (7)
本棚登録 : 4713
感想 : 478
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043939022

作品紹介・あらすじ

このごろ都にはやるもの。恋文、凡ちゃん、二人静。四神見える学舎の、威信を賭けます若人ら、負けて雄叫びなるものかと、今日も京にて狂になり、励むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。このごろ都にはやるもの。元カレ、合コン、古長持。祇園祭の宵山に、浴衣で駆けます若人ら、オニと戯れ空騒ぎ、友と戯れ阿呆踊り。四神見える王城の他に、今宵も干戈の響きあり。挑むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。古今東西入り乱れ、神出鬼没の法螺試合、若者たちは恋歌い、魑魅魍魎は天翔る。京都の街に咲き誇る、百花繚乱恋模様。都大路に鳴り渡る、伝説復古の大号令。変幻自在の第二幕、その名も堂々『ホルモー六景』、ここに推参。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 確かにこれは「鴨川ホルモー」のスピンオフで、ホルモー本編を読んだ人ならぜひとも読んでほしい短編集で、ホルモー本編を読んでいない人には少し理解がしづらいものかもしれませんが、それにしたって、素晴らしい短編集ではございませんか。再読ですが、初読みの時よりさらにそう感じます。その壮大な奇想天外さの割には本編では少し物足りなく感じたホルモーを、もっともっと深く感じられます。本編では、主人公安部視点で、安部の身の回りのことがほとんどだったので、安部の知らないところでこんなことがあっていたのね、と、よりホルモーを軸とした背景が過去に現在に広がります。しかししかし、こういう本を読むと自分の歴史の知識のなさに愕然とします。「サツマ」という言葉から「さつま芋」しか連想できず、シンガポールからの留学生に「薩摩藩」のことではないかと指摘された巴を笑うことは、私にはできません。どうにかこうにか目の前のテストを乗り切ることだけを考えて一夜漬けのように勉強し(たつもりになり)、長く知識を保てるようなちゃんとした勉強をしてこなかったことを後悔するのはやはり読書の時ですね。余談は続きますが、大人になってから、「あぁ、今なら、日本史・世界史・地理、いや数学でさえ大変な興味をもって授業を受けられるのに・・・」と思うことはありませんか?(余談終わり)

    本書に収められているのは以下の六景。
    ・鴨川小ホルモー
    ・ローマ風の休日
    ・もっちゃん
    ・同志社大学黄竜陣
    ・丸の内サミット
    ・長持の恋

    みなさんのレビューにザーと目を通したところ、「ローマ風の休日」と「長持の恋」が人気のようですが、私が好きだったのもやはりその二つでした。あぁ、でもどれも本当にいいのですよ。
    本書を読みながら思い起こすと、私も遠い昔、京都の私大に行く可能性があったのですが、結局関東の大学を選んだのは他でもなく自分だったのに、なぜあの時、京都に住むということを選択しなかったのか、と大学に行くという最大にして最優先の目的を忘れて、ほんのちょっと後悔することがたまにあります。あの日あの時あの場所で、京都に住む選択をしていたら私もホルモーをしていたかもしれない。(実際にホルモーをやってみたいかと言われれば、結構過酷そうなので微妙ですが。「ホルモー」と叫びたくないし。)人生に「たられば」がないことはわかっていてもそう考えずにはいられません。と言いつつ、「丸の内サミット」では、関東でもどうやらホルモーが行われているという事実が判明し、私の「もしも京都に住んでいたならば」の考えは、一瞬にして泡のように消え去りました。というか、この短編「丸の内サミット」自体は面白いですが、ホルモーはやっぱ京都でしょ、と思ってしまったりもします。「はいはい、さすが京都ですね」と言われないための作品だったのか、万人に夢(?)を見てもらうための作品だったのか。

    ホルモー本編を読んでから本書を読んだ方が良いというのは絶対ですが、「こっちの方が好き!」と言えそうなほどこのスピンオフは良かったです。いやぁ、凡ちゃんの良さがわかる少年、いいなぁ。芦屋、ホントにダメ男だなぁ。ホルモー、めっちゃ歴史あるなぁ。そして、ラストの「長持の恋」はもう全然ホルモー関係なしに、素晴らしかったです。泣きました。(え、なべ丸、実在の人物なんですか。)

    ひとつひとつがいとおしい、可愛い作品です。

  • 「鴨川ホルモー」のスピンオフ。

    「鴨川(小)ホルモー」
    京都産業大学玄武組、二人静の話。
    定子と彰子という登場人物の名前を知って、一気に好きになってしまった。
    そんな二人に挟まれる男は、もちろん一条くんである。いいね。

    女同士の決戦は、男同士のそれよりも、宿命的なものを背負っていないことが多くて、それが魅力的だなと思う。
    世界を背負う前に、自分の本音で戦う彼女たちだから、好きになるのだろうな。

    「ローマ風の休日」
    凡ちゃん推しなら、この一話に深く感動するに違いない。と勝手に断言させてもらう。
    なぜ彼女が、ホルモー本編で驚異的な力を振るったかがよく分かる。
    個人的には、ホルモーの終盤でヒロインの座を掻っ攫っていく、凡ちゃんが好きだ。

    全然関係ないけど、ある程度のキャパシティを持つホールの采配出来る人ってかっこいいよねー。

  • 鴨川ホルモーのスピンオフ小説だと思う。
    だけど私は鴨川ホルモーよりホルモー六景の方が好きだと思った。
    なんかウルっとしそうになる箇所が幾つもあった。
    歴史が絡むストーリーも好き。

  • ホルモーの裏話的な短編六つ。

    「長持の恋」はよかった。
    時空を超えたロマンス!
    ありがちなのに、よめる展開なのに、うるると泣けてしまった。

    個人的に、梶井基次郎の「檸檬」がとても好きなので、オマージュというかそういうのはちょっと複雑。

  • 「鴨川ホルモー」のスピンオフ作品。本編に脇役として登場した人物や、はたまた「ホルモー」をかつて経験した人たちのエピソードを絡めた6作品。

    「鴨川ホルモー」のスピンオフということで、愛すべきキャラクターたちにまた会えたという喜びに加えて、元々、史実や実在する場所などを織り込んで作られたフィクションが大好きなので、この短編集はツボにはまった。

    どれも良かったけれど、楠木の知られざるデート秘話「ローマ風の休日」と、本編「鴨川ホルモー」の巻末であっさり高村と付き合い始めていた細川嬢のエピソード「長持の恋」の二つが特に好きだった。
    「鴨川ホルモー」を読みながら「なんで同志社はこのホルモー4大学に選ばれなかったんだろうなぁ?地理的な理由かなぁ?(私は京都の大学分布図が全く分かりません…)」と思っていたら、めでたく同志社も次回からは参加できそうな雰囲気なので、またぜひ続編を作ってもらいたい。

    巻末の解説は有栖川有栖。この一連のホルモー物語群を「ホラ話」とバッサリ斬っていて(といっても、べつに批判してるのではなく、むしろ褒めている)、この作品を表す良い表現だと思った。

  • 鴨川ホルモー登場人物を別な視点から、面白く奇怪に繋がり合わせて語っている…
    万城目さんらしいユニークな展開!!
    鴨川ホルモーの裏話的なところは面白かったが、新たな展開があるのかと期待していたが、続編が出るという内容ではなさそうだ…

  • あぁ読み終わってしまった!とにかくとにかくとにかく面白かった‼ 鴨川ホルモーのスピンオフだと思っていたので、高村や安倍、楠木さんが出てきて嬉しかったし、東京でのホルモーや昔のホルモー、芦屋の元カノなどほんとに楽しかった‼ 中でも長持の恋ですよ☆泣いた泣いた!切なくて笑えてほんとにもう… ぜひまだ読んでないかた、万城目作品を読んでほしい‼ 鹿男⇒鴨川ホルモー⇒ホルモー六景の順番で☆これはもうオススメだなぁ‼

  • 鴨川ホルモーの番外編というか、裏話というか、そういった感じの短編集。短いけれど万城目エッセンスがギュッと詰まっている。

    二人静の話は男性から見ると怖い2人だろうけど、女の友情話と考えるといいなぁと思う。特に定子の一本筋が通った対応が好きだ。何だかんだけんかしながらも長続きする友人関係だろうなぁ。羨ましい。

    もっちゃんの話は一本取られた!と思った。安部と言われるとどうしても500代目の安部だと思ってしまう。

    芦屋の彼女の話は、芦屋も芦屋だけど、彼女も彼女だよなぁという感じで、一番裏話感があった。所で芦屋のホルモーペナルティは何だったんだろうか。

    一番好きなのは最後の「長持の恋」。高村は文句なくいい奴だし、おたまも可愛い。鍋丸とのやり取りが切なくて、6篇の中では一番応援したくなる二人だった。しかし高村がちょんまげになったのにはそんなわけが…。ホルモー恐るべし。

  • 「鴨川ホルモー」を読んだ時にも思ったが、有りもしない事を、
    よくもまあここまで具体的かつ真に迫る描写が出来るものだと只々感服。

    全編通して爽やかでかわいいお話だが、
    「もっちゃん」と「長持ちの恋」は切なさが溢れていて秀逸。

    特に過去の人との一風変わった文通という、
    歴史ミステリー的な要素も織り交ぜられた「長持ちの恋」は極上のラブストーリーだ。
    ハラハラしながら食い入る様に読んだ。

  • その名の通り短編集6作品です。
    個人的には「ローマ風の休日」がお勧めです。
    素直じゃないし、無愛想だけど可愛らしい・・・楠木さんの恋心が素敵でした。
    何より、京都在住なので、知っている地名もたくさん出てきて、親近感わきまくりでした(^∇^)

全478件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

万城目学(まきめ・まなぶ)
1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒。
2006年、『鴨川ホルモー』(第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞)でデビュー。主な作品に『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』などがあり、いずれも文学賞ノミネート、映像化等など、大きな話題を呼ぶ。また、エッセイ集に『ザ・万歩計』、『ザ・万遊記』、対談本に『ぼくらの近代建築デラックス!』がある。

「2013年 『ザ・万字固め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

万城目学の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×